ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年03月06日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)世界同時株安、(2)為替(円高進行)、(3)三角合併、(4)東京都知事選、(5)日興コーディアルグループ、(6)夕張市の再生計画、(7)郵政公社総裁人事、(8)NHKの受信料義務化と値下げ、について発言があった。

Q:世界同時株安といわれるような状況が先週から続いている。今日の日経平均は少し戻しているようだが、状況も含めて株安の要因について、ご所見を伺いたい。

北城: ここのところ世界的に株価が上昇していたので、ある意味ではその調整ではないか。最終的には株価は市場で決まることだし、中国での株価下落、あるいは円で借りて外国の債権等で運用する円キャリートレードに対する巻き戻しもあったと思う。また円が強くなったことにより、企業業績で上方修正が難しくなるのではないかということで株価にも影響していると思う。今日は116円位のようだが、輸出企業の円ドル相場は大体115円程度での決算を想定していると思う。そういう意味では、業績に大幅な落ち込みがあるという水準ではなく、上方修正が無いという水準だ。ある意味では、リスクが少し顕在化して調整したということだと思う。企業業績に大きな落ち込みが無い限りは、どこかで安定するのではないかということで、あまり大きな心配はしていない。一方で、景気が持続して発展している、GDPも成長している、あるいは株価が上昇しているということで、改革に対する意欲が薄れるのは心配だったので、その意味では良い警鐘ではないか。企業経営においても、政府の運営においても、競争力を強化するという視点で改革の続行が必要だと思う。我々企業経営者も企業業績の向上に努めると共に政府も構造改革を一層進めて頂きたい。そのための警鐘と捉えたい。

Q:為替が116円台で心配するレベルではないかもしれないが、輸出等の影響を含めても、あまり懸念する必要はないということか。長期化すれば景気への影響も少し懸念されると思うが。

北城: 輸出企業にとっての影響と輸入する側のメリットもあるので、為替に急激な変動が無ければ市場で決まる水準で企業経営をするということだ。今回は変化が急だったので企業側の対応が難しいということはあると思うが、長期的に日本経済が堅調に推移しつつ円安が持続するということではないと思う。市場で決まった水準に合わせて企業経営をするということで、大きく心配はしていない。

Q:為替について、長期的に問題は無いと思うが、これだけ急激に10日間で6円程度円高になってしまう。これまで代表幹事は急激な円高は困ると主張されていたが、それが現実に起きているということに対する危機感や警戒感はお持ちか。

北城: 個別の企業経営者は警戒感を持っているし、決算にどれだけ影響が出るかということを考えていると思う。だからといって為替に介入するということではないと思うし、当然企業経営としては、それに合わせた経営をしていく。今までの状況がややリスク含みだったのではないか。そういう意味ではリスクが大きく膨らむ前に、調整が行われたのは、かえって良かったのではないか。

小島: 大きく動いたけれども、想定の範囲内ということではないか。

北城: 日銀の金利の引き上げに伴って、長期的には円キャリートレードは続かないだろうという考えのもとに、円を買い戻す動きもあったと思うが、それも含めて市場だ。日本が長期にわたって低金利だという前提で、景気が回復しているのに、ずっと超低金利が続くということが本来リスク含みだ。そういう意味では、正常化への一歩、ただ、それが少し急激に来たということだと思う。しかし、急激だから警鐘を鳴らしたということだと思うので、警鐘が鳴っているときに、だから目覚ましを止めろ、ということではなく、目が覚めたら行動しろということだと思う。

Q:自民党が今日の小委員会で三角合併の決議要件の厳格化を導入しないという結論を出すようだが、改めて今回の決断について、どのように評価するか

北城: 妥当な判断だと思う。特に株式での三角合併については、買収側の株式の透明性、企業経営の内容、上場市場における評価等の情報公開を強化するということは、買収される側、外国企業の株をもらう側にとっては当然必要なことなので、それは妥当だ。一方で、三角合併が実施できなくなるような法制度を導入すべきとは思わない。基本的には三角合併は友好的な買収手段であり、三角合併だけでM&Aが行われるということにはならないと思うし、(質問の結論については)妥当な判断だと思う。一方で、買収される企業からしても流通できない株式を取得するというのは不便なことだし、必ずしも外国株を引き受けなければならない、ということではなく、合併に反対すれば買い取り請求権もある。こうした制度の周知徹底をして頂きたい。

Q:経団連は以前から三角合併を含めてM&A法制全体の見直しを進めるべきだという提言をしている。代表幹事も三角合併だけではなく、TOB制度に問題があるのであれば、全体として議論すべきだと主張されていたが、現状の日本のM&A法制に問題があるのか。あるとすれば、どこを、どのように改善すればいいのか、ご意見を伺いたい。

北城: 最近、TOBの制度も整備されてきたので、今のところ法制度で変えなければいけないということは、特別感じていない。ただし、コーポレートガバナンスの観点で、企業の取締役会のあり方、買収防衛策の発動に関して外部の眼、株主の視点を経営の意思決定の中に入れていくという点については、日本の株式会社には課題があると思う。経営の執行側を守るための買収防衛策なのか、企業や株主にとって提案が不十分だと言う評価なのかという判断をするのは、執行側ではない株主の意見を代表する取締役の判断が必要だ。そういう意味では、独立取締役の(経営への)参加を進める、あるいは独立取締役による買収防衛策発動の委員会といった機関を作っていくといったことは、法制度というよりも、企業の取締役会の改革の中で色々と議論していく必要があるのではないか。そうでなければ、買収に対する反対が経営陣の保身のためなのか、企業にとって不適切な買収提案なのかという判断が分かりにくくなる。

Q:東京都知事選の構図が固まってきて、日本の首都である東京を誰に任せるかという重要かつ関心の高い選挙になると思うが、石原都政の評価も含めて、どのように見ているか。

北城: 私は東京都民ではなく、横浜市民なので私の意見は適切ではないかもしれないが、東京は日本の首都であり、その知事が誰になるかは、国際的にも、国内的にも大きな関心のある話題だと思う。まずは、それぞれの候補がマニフェストというか、どのように都政を運営するかという方針を提示されて、選挙戦を戦って頂きたい。人気投票ではなく、政策中心の選挙戦を行っていただきたい。今回地方選挙でもマニフェストの配布はできるようになった。ただし、詳細は配布できないようなので、本来は具体的な政策やその財源やスケジュールを書いたマニフェストを作り上げて、それを提示して選挙戦を戦っていただきたいが、今回は一歩前進ということで、政策中心の選挙をして頂きたい。

Q:都知事選について、石原さん自身が自民党の推薦を辞退したり、民主党が独自候補を立てられないなど、参院選の前哨戦として位置づけられている割には、自民、民主の対立構図が見えにくい。地方選挙なので直接関係無いかもしれないが、政党の力が落ちていると言う気もする。この点についてはどうお考えか。

北城: 地方選なので、それぞれの地方自治体に対して適切な首長を選ぶということだと思うので、各党が必ず推薦をすべき、候補を必ず出すべきということではない。国はやはり国政としての政策があると思うし、地方自治体はそれぞれの自治体に必要な政策があると思うので、必ずしも国と一体ではない。その意味では、公認候補が立てられない、推薦候補がいない、ということは別に問題だとは思わない。それぞれの候補が具体的にどういう政策を実行するかを是非出して頂きたい。国の場合には政策を書いてマニフェストを出しても、国会の審議や財政的な問題があって中々実現できない点があると思うが、地方自治体のトップ、知事や市長の権限は大きいだけに、自ら決められる裁量の範囲が非常に大きい。特に東京の場合は財源的にもかなり自主的な運営ができるだけに、政権公約、マニフェストを明確に作り上げて選挙民に問うということが大事だと思う。

Q:どなたがいいという、希望はあるか

北城: 政策中心の選挙をするというのに、政策が出る前に、どなたがいいという議論をするのはおかしい。

Q:日興コーディアル(グループ)の上場について、どのような扱いになるかは決まっていないが、三大証券の一角であり、証券市場に重大な影響を及ぼす事案だと思うが、どうお考えか。

北城: 最終的には東証が判断することだと思うし、どのような不正があったのかという詳細な情報は無いので、その結論を待ちたい。特に、監査法人が適法と判断した上での決定なので、詳細が明らかになるのを待ちたい。株式市場を含めて冷静に行動していると思うので、確かに証券市場の担い手である三大証券の一つが問題を起こしたということのようなので、本来、こうした不正会計については厳しい態度で臨むべき証券会社に不正があったとすれば、それは非常に大きな問題であり、東証が厳しい判断をするということもあると思う。市場は冷静に行動しているし、これからの推移を見守りたい。

Q:本日、北海道の夕張市が総務省に再生計画を提出して、総務大臣の認可を受けたが、改めてこの問題も含めて地方財政のあり方について、ご所見を伺いたい。

北城: 今回夕張市が再生計画を出されたということだが、地方の大変厳しい自治体に対する大きな警鐘だったと思う。一方で計画を見ると、市の職員の削減、給与水準の修正、市が運営していた、いくつかの施設を民間に委託するなど、色々な財政的な再建策が作られて、歳出削減に向けて色々な政策が取られたと思う。これだけ財政破綻ということが明確に出れば、たとえ痛みがあっても解決しなければならないという方向で歩みだしたということは、一つの前進ではないか。市で経営が難しくても、民間で成功できる可能性も出てきたということは、民営化に向けて一つの大きな刺激になるのではないか。したがって、夕張に限らず財政が厳しい市町村、地方自治体についても、単に財政が厳しいから国に要請するという考え方から、地方自治体として自立した経営をするべきである。そのためには歳出削減について大胆な取り組みがいるということを示している。地方自治体に対する大きな警鐘であるとともに、地方分権を進めて、地方が自ら責任を持って住民サービスを担う、もちろん財源の委譲が必要だが、国に依存するのではないという地方分権の推進を認識させたと思う。これを契機にして、地方分権、さらには道州制に向けて検討が進むことを期待したい。

小島: これを契機に、地方自治体の受け止め方も変わってきているのではないか。自分たちで、そうなる前に何とかしようという機運が結構出てきているというのは、相当大きな刺激ではないか。

北城: 一歩前進だ。議会がどういう対応をしていたのか、ということも議論され始めたので、議会が知事ないしは市長に対するけん制機関としての機能を、今後、果たすようになるのではないかと期待している。少なくとも、隠れ借金などということが認められること自体がおかしいと思う。

Q:郵政公社の総裁に、4月から西川(善文・日本郵政社長)さんが就任することが正式に決まったが、どうお考えか。

北城: 郵政公社の民営化が、株式会社として始まるのが10月ということで4月から10月は移行期間になると思うが、生田(正治・郵政公社)総裁はこれまで郵政改革に成果を挙げられたし、その仕上げとして10月まで担当するという考えで準備をされてきたと思う。一方で、西川社長としては10月から始まる会社の運営の準備を今からしておきたいということで、二人経営者がいるということ自体は両方とも優れた経営者なので、組織運営として難しい。そういう意味では経営責任を一本化して、新たに始まる体制の方を尊重したといことではないか。そういう意味では、10月までの移行が成功するかどうかは西川社長の責任になるということなので、是非、問題なく10月に新しい会社が発足できることを期待したい。特にシステムの準備については、大規模システムだけに安定して稼動するように、これから準備に務めて頂きたい。

小島: 郵政民営化は、まだスタートしていないわけだから、きちんとスタートして、やっていくということは相当大変な話だ。そこ(民営化)は、是非、しっかりとやって頂きたい。

Q:NHKの受信料の義務化について、菅大臣が受信料の値下げと義務化はセットと主張し、NHKは値下げありき、は確約できないと言っている。これについて、どうお考えか。

北城: 私は基本的には義務化は賛成だ。NHKは公共放送として全てではないが、少なくとも報道番組については多くの優れた番組を作っていると思う。基本的には公共放送としての役割もあると思うので、受信料の義務化についても賛成だ。ただし、受信料の義務化と引き下げをすぐに実施するべきかに関しては、NHKが公共放送として視聴者が求める番組が製作されているか、組織運営が健全にされているかということを確認する経営管理の仕組みをまず整備して頂き、そこで視聴者の信頼を回復した上で、進めていくべきだ。そういう意味で、基本的な方向としては賛成だが、まずガバナンス体制、特に経営委員会の権限や、その任命等に関して広く視聴者の理解を得るような仕組みの改革が先ではないか。

Q:今回、義務化までいかなくても、まずはガバナンス強化を先に行って、義務化はその後でもいいということか。

北城: それによって国民の信頼が得られる、視聴者の信頼が得られるということではないか。組織をどう作るか、経営委員会にどのような権限を持たせるかということも一つだが、どういう方を任命するかということも非常に重要なことだ。特に経営を監視する立場なので、経営について広い見識を持った方が多く参加しないと、視聴者の声を聞くと言うのは色々な調査等で仕組みは作れるが、必ずしも視聴者の代表が何人も(委員会に)入るということではない。経営管理に関して見識の高い方を経営委員に入れていかないと、執行部側と監視側がうまく独立してバランスしないのではないか。経営改革をまず先にやるべきだし、どういう方を任命するかということが大事だと思う。私は直接、経営委員をしているわけではないが、顔ぶれを見ていると、もう少し経営管理に関して見識のある方を増やしたほうがいい。委員長など見識のある方がいらっしゃると思うが、全体としては十分機能するだけの組織体制になっていないように見受けられる。そういう意味では、これから総務省が中心になって考えると思うが、人選についても経営管理にふさわしい方を任命していただいて、それによって経営改革の成果が出たところで、国民の納得と支持を受けたうえで、公共放送として義務化していいと思う。

Q:なぜ義務化していいのか、という説明を伺いたい。

北城: 義務化によって徴収コストを下げることができるのではないか。今でも不払いの方がいて、その方を説得するために多大な労力をかけている。中にはNHKの番組を見ていても払わない人もいるということは、逆に払っている人に対して不公正な感じを与える。そういう意味で、公共放送として多くの国民の支持が得られる限りは、義務化でいいと思う。海外を見ていても義務化しているところのほうが、徴収率も高いようだし、徴収コストも少ないという実績もあるので、義務化でいいと思う。その前に、ガバナンスの改革と、それによる放送の質の向上ということに対して視聴者、国民の理解を得るということが必要だと思う。これは余談だが、どういう家庭では、どのように受信料を払うのかという制度を明確にするべきだ。テレビ一台毎に払うのであれば一家に何台もテレビを置いている場合に、一家に一台の契約でいいのか、それとも個別に契約しなければいけないのか。自動車のカーナビについているテレビについては受信料が必要だということだが、受信料払っている人はどれだけいるのかといえば、ほとんどいないと思う。このように建前としては払わなければいけないが、実際には払わないという制度にしておいて、義務化というと国民の側に納得性が無い。本音と建前の無い制度を作っていただいて、そのうえで義務化に進んでいいと思う。

小島: 受信料体系そのものも新しい時代に対応していない。昔は、テレビは一家に一台しかないという前提で、あの体系ができている。それが、一家に二台になったときに、二台分払うかというと、ほとんど誰も払わない。

Q:義務化してしまうと、国家介入が強まるのではないかという懸念が出てくるのではないか。

北城: 先ほども申し上げたとおり、ガバナンスという経営を監視する仕組みの中で、独立性を担保できるのではないかと思う。逆に言えば、ガバナンス体制をはっきりすべきであり、その上で義務化に進むべきだ。英国のBBC放送であっても義務化していても独立性は十分に尊重されていると思う。

小島: 中央銀行の独立性と同じような意味において、世の中のサポートがどれくらいあるかということだと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。