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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2007年01月10日(水)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)ホワイトカラー・エグゼンプション、(2)松岡農林水産相の経理処理問題、(3)金融政策、(4)みずほ証券と新光証券の合併、(5)春闘、(6)安倍総理の「景気拡大を家計へ」発言、(7)中小企業金融公庫の次期総裁、(8)三角合併、について発言があった。

Q:ホワイトカラー・エグゼンプション導入に慎重な声が相次いでおり、一部には、このままでは通常国会への改正法案提出も見送るのでは、という報道もある。経済同友会としては、昨年の意見書で慎重に議論すべきという見解だったが、改めてお考えを伺いたい。

北城: いわゆる時間に拘束されない仕事をするホワイトカラーについて、この制度を導入すべきという方向性には我々も賛成しており、いずれかの時点で、ホワイトカラーの新しい働き方に対する制度ができることを期待している。一方で、本来自らの裁量で仕事をし、その成果で評価されるという仕組みであるにもかかわらず、残業代を支払わないための制度であるという誤解もあるので、誤解を解くための活動をしたうえで成立することが望ましい。基本的方向は是非実現していただきたいと思うが、国民の理解が進むような議論が、今後進展することを期待している。

Q:いま随分議論が盛り上がっているが、これで国民の理解が進めば、今度の通常国会で成立、導入ということもあり得る、ということか。

北城: 基本的な方向は賛成している。ただし、議論の過程で、例えば一律に年収400 万円以上は導入ということが言われているが、そういうことではないのではないか。仕事の性格や内容に応じて決めるべきだし、業種・業界によっても給与水準は違うので、仕事の内容で成果を把握できる仕事に就いているホワイトカラー、勤務時間の長さで成果が決まるような職種ではない分野の仕事をする人について、こういう制度を導入すべき、という考え方だ。

Q:今回の通常国会で法案を提出しながら、引き続き国民の理解を得る作業が必要だということか。

北城: 法案を国会に提出するか、提出せずに議論するかは、政府・与党で判断することだ。この制度そのものの趣旨は、時間の長さではなく、仕事の成果に応じてホワイトカラーの仕事を評価していくということだ。長時間勤務ではなく、短時間でも良い仕事をすれば十分評価される。この制度は、ワークライフ・バランスなどを議論するなかで、非常に重要な労働法制だと思っている。長時間の残業代支払い(を回避する)ための手段ではないかという誤った意見もあるなかで、これ(法案提出)を強行することが適切かどうかを政府・与党で判断いただきたい。基本的な方針としては進めるべきだと思うし、単純に年収で切れる問題ではないので、仕事の性格や内容に応じて個別企業の労使で決めていく方向が望ましい。

Q:年収一律ということは経済界からの提言であり、それがあるゆえに問題が複雑化して、制度の導入に支障が起きているという印象をお持ちか。

北城: 高度な専門職ということを客観的に規定するために年収基準を入れたらどうか、ということで始まった議論だと思う。ホワイトカラー・エグゼンプションの趣旨においては、自らの裁量で働くことができるような高度な専門職ということなので、仕事の性格を前提に議論したほうがよいと思う。非常に低い給与水準で、成果に応じて処遇ができるという職種は実体としてはないと思う。ある程度処遇の高い人という議論だと思うが、年収一律で決めるよりも、仕事の性格や給与水準は業種や企業規模によって異なるので、個別企業で判断できる柔軟性のある制度がよいと思う。

Q:慎重論を言っている方々の中には、「経営者側からの説明が十分ではなく、これはやはり残業代カットではないかという誤解を多くの人が持っている」という懸念が出ている。

北城: よく説明していくべきだし、そうした実情もマスコミや労働界も含めて、理解を得るような方向が必要だと思う。

Q:代表幹事自身も(説明が)足りなかったとお考えか。

北城: そのようなことはない。労働法制として重要な法案なので、よく議論をして理解を得たうえで導入したほうが良いと思う。

小島: 世の中の理解が進んでいないだけではないか。本当にそう思っているかどうかは分からないが、こういうことを認めると、単に残業代をつけない仕組みを経営者が入れようとしている、と、少なくとも疑われてはいる。そこにひとつの問題がある。常識的に考えると、そうした仕組みを入れる際には、これまでの残業実績を加味して賃金水準が決まるはずだが、そういう経営者ばかりではないと言われればそうかもしれない。こうした色々な誤解の積み重ねがあると思うので、しばらく理解を求める努力が必要なのではないか。

北城: 裁量労働制導入の段階で、ある程度想定した勤務時間に応じ、残業手当も含めて処遇を決めている。低い処遇のままで、単に残業代を無くすための制度であるというのは、誤解以上に、こういう制度に反対する人たちが言っている議論だと思う。要するに、成果に応じて処遇するという考え方に反対である、成果が上がるかどうかにかかわらず勤務時間で給与を払って欲しい、という人からすれば、この制度は好ましくないと思われるかもしれない。

北城: 日本がこれから、知識やノウハウに基づいた知的社会を作っていくとすれば、知的労働について時間の長さで評価するということは、全くそぐわない。例えば、研究者、芸術家、あるいは記者もそうかもしれないが、時間の長さではなく、どのような仕事をしたかが重要な社会に変わっていく。日本の労働法制についても、工場で働く人が勤労者の主体であるという発想を変えていく必要があると思う。

Q:年末の労働政策審議会では、ホワイトカラー・エグゼンプションと同時に時間外の割増賃金も認められているが、これについてはどうお考えか。

北城: この議論には二つの色彩がある。時間外賃金が高くなることで短時間の労働になるのではないか、ということと、逆に時間外賃金が高いのでそれをあてにして収入を増やしたいという人が出てくる懸念がある、ということだ。時間外賃金の割増率を増やせば残業時間が短くなるほど単純な問題ではない。ワークライフ・バランスも考えて、長時間労働は好ましくない、という発想の下で制度を作っていくべきであり、(賃金を)引き上げれば(残業が)減るだろうということではないと思う。

Q:そういう方向性が、審議会の場でホワイトカラー・エグゼンプションとセットのような形で出されているが。

北城: その辺りが誤解の原因ではないか。残業代をなくすためではないかという議論になってしまうので、制度の趣旨をよく考えた方がよい。ホワイトカラー・エグゼンプションというのは、成果に応じて処遇する人の仕事の内容については時間で管理するものではない、という発想が必要だ。時間を越えたら残業代の対象になるのは、例えば自動車の組み立てラインで8 時間勤務していた人が、9 時間、10 時間と働けば成果が増えるので、そうした職種については残業代の対象にすべきだ。しかし、知的な作業、例えば我々(IT 産業)においては、システムを設計する、ソフトウェアを作成する、インターネットのコンテンツを作るといった仕事は、時間の長さではなく、どのようなものができたかが重要なので、仕事の成果に応じて評価する職種については、ホワイトカラー・エグゼンプションをしていくべきだ。

Q:時間外(の議論)だけが先行して進んでいくことはあり得ると思うが。

北城: 少しおかしいのではないかと思う。

小島: 基本的に、時間外手当の賃率を上げれば時間外労働が減るという発想自身が、何か逆転しているように思う。本来、長時間労働をどのようにやめていくかという発想がないと、減るとは思えない。

北城: 大事な視点は、日本のなかに質の高い雇用の場をたくさん作ることが処遇を上げることにも結びつく、ということだ。雇用の場を増やさずに賃金だけ上げる、生産性を上げ、付加価値を高めることなしに賃金だけ上げようという考え方は、日本の産業界を弱くすることになると思うし、世界的な流れにも反する。

Q:ホワイトカラー・エグゼンプション導入にあたって、週休2 日相当の休日を確保するといった法的な下支えが必要になるとお考えか。

北城: これもおかしな議論で、自らどのような時間で働くかを判断できる人がホワイトカラー・エグゼンプション(の対象)になっているのに、その人に強制的にこの日に休め、休むなということを言うこと自体がおかしい。勤務時間の長さに応じて処遇する人の働き方と、成果に応じて処遇する人の働き方を一緒に議論しているように見える。どうしても忙しくて休日勤務が必要になる場合もあるが、長期的に休めない職場は魅力のない職場であり、もっと魅力的な職場に人が移ることで魅力ある企業ができていく。勤務時間の長さでルールを作ることは、勤務時間の長さで処遇しないという制度と反するのではないか。勤務時間の長さを企業が決めてしまう、実質的に自らの裁量権がない職種があるという前提の制度設計を、自らの裁量によって働くことができる、仕事の成果で処遇が決まるというように(変えていく)。あとは本人が、仕事の成果を上げるために、例えば土曜日に働くかどうかは本人が決められる制度のほうがよい。

Q:松岡農水大臣が、家賃のかからない議員宿舎を所在地としながら年間三千万円程度の経費が掛かっていた、と政治資金収支報告書に書かれている。松岡大臣は「変な支出はしていない」と発言しているが、これについてはどうお考えか。また、政治資金収支報告書をチェックする機関があれば、このようなことは報道される前に分かると思うが、どうお考えか。

北城: 事実関係が良く分かっていないし、一部報道内容を聞いているだけだが、基本的に、政治資金をどのように活用したかは議員ご本人が説明することが大事だ。今の質問の内容(が事実)だとすると国民から理解が得られないだけに、ご本人から説明していただきたい。そのうえで、政治資金の問題が色々出ているので、政治資金に関しては費用の透明性をはっきりさせるために、必要なものについては領収書を添付した上で、公認会計士による監査を行うべきだ。また、その結果をインターネット等で公表することによって、国民の疑惑を招かない透明性のある政治資金の運用をしていただきたい。国民から政治資金について疑問を呈せられるようであれば、政治に対する信頼がなくなるということなので懸念している。

Q:来週、日銀の政策決定会合が行われるが、今回、利上げをするべきか。仮に利上げをした場合、おそらく0.25%だと思うが、中小企業を中心にどのような影響があるとお考えか。

北城: 現在は基本的に低金利で、経済の実体と比較して量的な緩和状況にあることに変わりはない。金利の引き上げについてマーケットがどのように反応するかを考えて、日銀に判断いただいたらよい。実体経済における企業の資金需要を考えた場合、0.25%から0.5%になったとしても、非常に大きな問題が起きる状況ではないと思うが、金利の引き上げが今後も続くという印象を与えれば、為替市場に影響する。マーケットの動きを見ながら、日銀で適切な時期を判断していただければよいと思う。

Q:金融政策について、一ヶ月前に同じ質問があり、まだバブルが発生する状況ではないという慎重なニュアンスであったが、今回は状況の変化があったということか。

北城: 経済が順調に成長している状況だと思う。先進国を見ても、経済が長期的に成長しているひとつの大きな要因は、金融当局の適切な金融政策判断があったからだと思う。そういう意味で、政府から独立した中央銀行の政策判断を尊重したい。今の環境からすれば、現在の超低金利をずっと続けていく状況ではないが、マーケットの反応もあるので、日銀が適切に判断されるほうがよい。

Q:みずほ証券と新光証券の合併という報道について、正式発表はまだだが、感想を伺いたい。

北城: 企業の戦略として、統合によって経営力がつくという判断であれば、経営統合は重要な経営手段だと思う。M&A も経営効率をあげる重要な手段であり、経営効率が上がれば企業業績も向上するし、従業員の処遇等にも反映でき、日本経済の発展のためにも必要だ。いま、日本は国全体をあげて生産性を高めなければならない、少ない人口で効率の良い経営をしなければならない、ということなので、経営効率を上げる手段として、合併、統合、買収等が必要であれば、経営者として実行していくべきだ。そういう流れの中では、当然出てくる経営判断のひとつだと思う。

小島: 感想をひとつだけ言わせて頂きたい。これで、大騒ぎして作った独立した銀行系証券会社がなくなる。

Q:結局、証券会社が全て銀行系に飲み込まれるということでもあると思うが。

小島: 飲み込まれるというのとは違うが、銀行の戦略として、従来の業容だけでは銀行業が成り立たなくなっている、ということの裏返しだと思う。みずほ銀行は、米国に持ち株会社を作り、その下に証券会社をぶら下げることによって、米国でも証券業務を行えるようにするという戦略だ。

Q:春闘について、企業ごとに判断すべきだというお考えだと思うが、全体としてどのような流れが予想されるか。

北城: 全体としては昇給、あるいは給与水準が上がっていくと思う。企業業績が上がり、失業率が下がって、優秀な人材を確保したいという方向に動けば、そのために処遇を良くしていく。経営者にとって、従業員に報いたいという気持ちはあるので、結果として企業業績の良い会社が昇給、ベースアップをするということはある。ただし、個別企業の経営判断なので、かつてのように業界一律に賃金水準が上がるということではない。結果としては、(処遇が)上がる会社がかなり出てくると思う。

企業業績が良いから給与を上げよという話になると、企業業績がよい理由がどこにあるかを考えなくてはならない。例えば、米国での業績が非常によく、米国市場で増収増益だから業績が上がっているなどという場合、昇給をするのは米国の従業員なのか日本の従業員なのか、ということは個別企業が考える話だ。企業業績が上がっているからすぐに日本国内で昇給があるか、ということは、いまや多くの国際企業にとっては(現実と)離れた議論だと思う。

小島: 個別企業の立場で言えば、きちんとした人が採用できるかどうかに大きなウエイトがある。

北城: 魅力ある優秀な人材を採用しようとすれば、処遇を良くしなくてはならないし、勤務時間も考慮する必要がある。労働時間が長い会社には喜んではいかない。個人のための時間も使える会社が魅力ある会社だと思うので、企業業績が上がり、なおかつ雇用の場が広がることが、処遇や昇給の問題も解決していくと思う。

Q:昨年の春闘で、マスコミの論調では昇給が見込まれていたが、最終的に統計をとるとほとんど変わらなかった。

北城: それが健全なのではないか。マスコミの考え方が少しおかしいし、そういう時代ではない。業界全体で良くても、非常に業績の良い会社も悪い会社もあるので、同一で上がるという考えではない。採用の段階で、処遇を上げなければ優秀な人材が採れないという経営判断で、業績の悪い会社が処遇を上げることもあるかもしれないが、そういう政策はとらないという企業もあると思う。原則は、やはり個別企業の経営判断という考え方が正しいと思う。給料があまり上がらないような魅力がない会社には人が集まらないという制度にすれば、自ずといい処遇になると思う。

要は、職をいかに作るか、質の高い仕事をいかに日本のなかに作って、生産性の低い仕事をしている人たちが、そうした仕事に移ることによって、日本全体の生産性が上がり、賃金の水準が上がることが健全である。産業構造や労働の移動なしに、ただ(処遇を)上げようという議論は、昔の高度成長期の議論である。いまは国際競争の時代で、競争は国内だけではないので、常に中国、インド、東南アジアを含めた労働コストの問題であり、仕事も単に製造業の海外展開による空洞化だけではなく、オフショアという考えに関していえば、いわゆるホワイトカラーの仕事も海外にいく時代だ。そういうなかで、どういう制度を作ることが日本にとって好ましいかが課題である。

Q:先般、経済3 団体の新春祝賀パーティーで、安倍総理が「景気回復を家計にも広げたい」と発言されたが、これについてはどのようにお考えか。

北城: 大きな方針としてはその通りだと思う。国民が豊かさを感じる社会を作ることが政治家の大切な仕事であるが、それをどう実現するかについてはいろいろな議論がある。先述の通り、単に既存の企業経営者が昇給をすることで日本全体がうまく機能するかというとそうではない。国民が豊かさを感じることができる社会を作るということは、政治家として適切なご発言だったと思う。それをどう実現するかについては、これからいろいろな政策を是非出していただきたい。

Q:中小企業金融公庫の総裁に、帝人の前社長で現相談役の安居祥策氏の起用が決まったことについて、いかがお考えか。

北城: よかったと思う。これまで帝人の経営でも改革に成果を上げた方である。水口(弘一)総裁も成果を上げたが、引き続き政府系金融機関の改革に民間人が登用されることは好ましい。単に民間人トップが一人だけ行って、会長には民間人がいるが、社長にはお役所の人がいて、そこに経営の実権があるのでは成果が出ない。民間経営者が実力を発揮できる体制で運営されることを期待したい。

安倍政権には、評判の良し悪しもあるが、2007 年度の予算編成も財政再建路線であるし、道路特定財源でも前進が見られる。特殊法人の経営者に民間人を登用するのは一つの大きなメッセージであり、特殊法人改革の進展のためにも、民間人の登用を進めていただきたい。そのうえで、民間人の経営者が経営能力を発揮できるような体制を作っていただきたい。

Q:総裁だけではなく、理事クラスなどにも民間人を入れていく方が良いということか。

北城: それは経営者の判断である。民間人(経営者)が必要であると判断すれば入れていただきたい。予算や組織の運営について、監督官庁の規制がたくさん働くようでは、民間企業の経営者として能力を発揮できない。能力を活かせるような、例えば、企業経営にふさわしい情報開示のあり方や、株式会社並みの決算のあり方、組織運営に関する人事政策など、単に民間から行っても制度に自由度がなければ、能力を発揮できない。周りの経営層に民間人を入れることに限らず、有能な人材を登用できるような仕組みが必要である。人事権がすべて監督官庁にあるということでは、民間経営者の能力を発揮できない。経営者の経営権は、一つは人事権であり、一つは予算をどのように作るかであり、これらは組織運営のための重要な権限である。こういった権限が民間経営者にあり、自主的に運営できる環境が必要である。方向としてはよかったし、官邸主導で決められたことでもあり、評価すべきである。

Q:M&A について、昨年末にいくつか動きがあった。(1)税制については、外国企業が望んでいる形にはならなかった。(2)外為法が三角合併の一つの要因と考えており、対内直接投資審査の強化について、財務省と経済産業省では検討を始めている。(3)自民党の部会で、外国企業の株式と交換する三角合併の場合には、法務省令で特殊決議を必要とすることについて、これから議論していく動きがある。このような動きについてどうお考えか。

北城: (3)三角合併は友好的な手段であるので、特殊決議にする必要はない。(2)日本の安全保障の観点で、問題があるものについて外為法で規制することは当然である。現在の外為法で不十分な点があれば、強化していけばよい。(1)三角合併については、国内の企業でも税制の適応があるなしを決められるようである。税制で不利な扱いをすれば、株式による三角合併は難しくなる。本来、M&A、企業合併や買収は、日本を発展させ、国民の生活を豊かにする。それにふさわしい税制の優遇策があってもいい。一方で、脱税のための制度があることは好ましくない。国内法人と同じような適切な優遇税制を用意して頂いた方が三角合併も進む。これは外国に限らず、国内でも同じ問題がある。時価総額が小さいから株式で買収されると思われているが、そういうことはないと思う。(対価柔軟化の解禁によって)買収されることを強調する一部マスコミも適切ではない。三角合併を含めて企業の経営効率が上がり、国民や日本社会にどのようないい影響が期待されるのか判断していけばいい。

日本は対内直接投資の額が圧倒的に少なく、(直接投資残高は)対GDP 比で2%超である。先進国を見ても、アメリカでは20%を、ヨーロッパでは30%を超えている状況である。優れた経営能力をもった企業には、日本に進出してより経営効率のいい経営をしていただく、経営のノウハウを日本に伝えていただく、あるいは、日本で活動していただくことで質の高い職場が作られ、雇用が拡大し、国民の所得も上がり、日本の税収も上がることが好ましい。日本にとって好ましい海外企業は日本にきて欲しいという政策が必要である。政府はそのような立場であると思うが、アジアや中国など海外を訪問すると日本からの投資がほしいと言われ、政府が投資してほしいと言わない国はない。対内直接投資が拡大できればいいと思うし、拡大しないと魅力がない市場と思われ、残念である。

買収で企業の価値がなくなるようであれば、既存の株主が反対すると思うので、三角合併そのものをそう恐れるべきではない。企業買収に関しては、買収防衛策が必要であるし、企業実績を上げて時価総額が上がるような経営をするのが経営者の責務である。

最近の敵対的買収などを含め、企業経営者が規律ある経営をするようになってきて、結果としては、時価総額が上がり、時価総額が上がることは株価が上がることなので、株式市場も株価が上がって日本社会も健全な市場運営ができている。企業経営の効率が上がることは日本にとって好ましいことである。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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