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経済3団体長 新年合同記者会見
北城代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2007年01月05日(木)
出席者 山口信夫 日本・東京商工会議所 会頭
御手洗冨士夫 日本経団連 会長
北城恪太郎 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)景気見通し、(2)税制改革、(3)安倍政権の評価、(4)参議院議員選挙、(5)今年のキーワード、(6)雇用・労働、について発言があった。(*以下、北城代表幹事発言部分)

Q:昨年、景気拡大期間が「いざなぎ」を超えて戦後最長となったが、足もとの経済指標では不安要素もある。今年の景気見通しと、景気拡大持続のための条件について伺いたい。

北城: 日本経済は順調に推移すると思っている。これまで日本経済のリスク要因としては、アメリカの景気減速と資源高、特に原油価格の上昇が非常に大きかった。幸いアメリカの景気は、住宅価格の低下等はあるものの、適切な経済運営のもと、軟着陸できて順調に回復する過程に入っていると思うし、原油価格も比較的安定していることもあり、基本的には日本経済は堅調に推移すると思う。

不安要因としては、ひとつは為替、もうひとつはテロ等の突発的な問題の発生に伴う原油価格、資源価格の上昇がある。いまの為替は日本にとって非常に心地よい状況であり、金利も低い水準で経済活動にとっては心地よいが、為替が大きく変動することがあれば、ひとつのリスク要因である。

また、構造改革の進展が揺り戻し等で進まないのではないか、という印象を海外に与えることにより、日本の株式市場が停滞すると、日本経済に悪い影響が出る。景気が順調に回復しているこの状況のなかで、いかに構造改革を進めるかが大きな課題である。

Q:(1)いざなぎ景気を超えた景気回復はいつまで続くと予想されるか。(2)今年の実質経済成長を、どのように分析されるか。(3)日銀の利上げが近いという観測が出ているが、今年行われるとすれば、時期と上げ幅はどうか。

北城: (1)先進国は、適切な金融政策と財政運営によって、長期的に経済成長を実現してきている。最近の中国やインドなどBRICs諸国の経済成長を考えれば、世界的にも2007年の経済成長は堅調である。そのうえに、適切な金融政策と財政運営があれば、景気は持続できると思う。(2)と関連するが、2%程度の経済成長はできるだろう。2%の経済成長ができれば、景気の拡大は今年も続くと思う。(3)現在の金利水準は異常な低金利の状況にあるので、経済が健全化するにあたって、金利も健全な水準に調整していくべきである。その時期については、超低金利政策による資産の高騰というバブル的な要素を引き起こすべきではないので、物価の上昇、特に土地等の資産の上昇の状況を見ながら、日銀に適切に判断していただきたい。基本的には、経済が順調に発展すれば、今のような超低金利の状況そのものはやや異常であると思うので、金利の引き上げはあってもいいと思う。

Q:本日の経済3団体新春祝賀パーティーで挨拶された安倍総理は「景気回復を家計にも拡げたい」と発言された。日本経済全体は回復していると思うが、なかなか個人単位では回復の実感が乏しい。個人が景気回復を実感できるようにするにはどうすべきか。また、政権に何を望まれるか。

北城: 従業員の処遇をどう決めるかはそれぞれの企業が考える問題であり、業績が上がり、なおかつ生産性が上がった企業が、社員にその利益を還元することはあって当然だと思うし、優秀な社員を採用・確保するために処遇を改善することも重要な経営戦略だと思う。しかし、家計の所得を増やすために経済界一律に賃上げをすべきだというような論調は、個々の企業の判断を拘束するものだと思うので、個々の企業がそれぞれの経済合理性のなかで処遇を決めていくべきだ。

新たな職を作ることがあって初めて、より生産性が高い、付加価値を作れる職場ができ、そこに人々が移動することで処遇が良くなるので、生産性が上がらない、あるいは国際的に見て付加価値の低い仕事に従事しながら処遇だけを上げることは難しい。これから重要なことは、いかに経済を発展させて、企業が雇用の場を日本国内に作る、あるいは新たな企業が創業して雇用の場を作る、また海外から日本への投資が進んで雇用の場ができるということで、より付加価値の高い生産性の高い職が日本のなかにできる、そしてそこに人々が移動することで処遇が上がっていくことが望ましい。国際競争力のない仕事に従事しながら処遇を上げることは、国の政策としても適切ではない。

安倍総理にお願いしたいのは、できるだけ規制をなくし、民間企業が活躍できる場を増やしていただきたい。職を増やすことで雇用にも良い影響が出てくる、あるいは生活者の所得水準が上がることが大事だ。

Q:昨年末に日経平均株価が17,000円を突破した。今年の株価の先行きについてどうお考えか。

北城: 株価は企業業績の反映であり、一時的に上がり下がりがあるにしても、企業業績が上がれば、株価は必ず上がる。2%の経済成長が実現できて、なおかつ2008年以降も経済が順調に成長できることが展望されれば、株価は必ず上がると思っている。株価は18,000円前後になるのではないか。そのうえで、経済政策、特に構造改革やイノベーションなどの経済成長戦略が出てくれば、18,000円前後で株価は上がっていくだろう。日本では長期的に、株の方が預金より有利であるという前提で投資が十分行われていない。経済成長が続くと見れば、資金は株の方に移ってくると期待していいのではないか。

Q:今年秋から本格化する税制の抜本的な改革論議の進め方、焦点について、消費税に対する見解も含めて伺いたい。

北城: 現在、税制、特に消費税引き上げ等が議論されているが、財政再建のためには、まずは大幅な歳出削減と経済成長による税収増をはかるべきと考えており、2007年度の予算編成もその路線で進んでいると思う。2011年にプライマリーバランスを均衡するために、16.5兆円程度の歳出削減あるいは税収増を実現しなければならないということに関して言えば、2006年は順調に進展を見せた。いま増税をしてしまうと歳出削減の圧力が弱まることを懸念しており、まず歳出削減に努力をし、そのうえで経済成長戦略をはかるべきだ。これによって、まずは2011年あるいはそれ以前までに、プライマリーバランス均衡の段階までは実現していただきたい。それ以降も債務の削減は必要だが、まず2011年までにどのようにして歳出削減による財政再建を果たすかという工程表を、夏に向けて作っていただきたい。

また、将来を展望したときに、社会保障政策、特に年金や医療に関する持続可能性の問題が非常に大きいと思う。出生率も予想以上に回復しないという状況のようなので、人口減少に伴い、税だけを取り上げるのではなく、社会保障制度を持続可能な仕組みにしながら、そのなかで税体系をどう組み立てていくかが大事である。年金に関しては、経済同友会では、基礎年金は消費税でまかなう、二階建て部分は個人年金にしていくべきだと考えている。現在の社会保障制度のまま消費税等の増税によって財政再建を果たすのではなく、2011年のプライマリーバランス均衡までは歳出削減と経済成長を中心にし、それ以降は社会保障制度も含めた抜本的な税制改革という取り組みのなかで、消費税、直接税、資産課税等を含めて全体として税を考えていくべきだ。

Q:今年は国民の間でも消費税への関心が高いと思う。夏の参院選で、消費税率の将来の引き上げについて、各党は争点としてどのような形で言及すべきか。あるいは、言及する必要はないか。

北城: 各党には、財政再建の手段とスケジュールを提示していただきたい。そのなかには、消費税を含めての検討があると思う。重要なのは、財政再建のために歳出削減をどう実行して、プライマリーバランスの均衡をどう実現するのか、そしてそれが達成した段階で次の債務残高の縮小に向かってどう進めるのか、を議論するべきであって、単に消費税率だけを取り上げるのではなく、現在の制度については非常に問題がある社会保障の持続的な仕組みづくり、税と社会保障費を含めた国民負担を考え、どういう仕組みを作るのかを議論すべきである。消費税だけを上げるということになると、歳出削減という本来の目標が達成できないのではないか。将来の財政再建を考えると、どうしても歳出削減をしなければならないので、まずいまは歳出削減をやるべきだと考えている。

Q:北城代表幹事はパーティーの挨拶のなかで「構造改革の揺り戻し」について言及されたが、このところ安倍政権に対する国民の支持率が低下している。安倍総理に、会見や発言のスタイルなども含め、支持率を上昇させるためのアドバイスや注文があれば伺いたい。

北城: 総理がおっしゃっているような構造改革の推進やイノベーションによる経済成長の実現について、具体的な政策を打ち出していくことで支持も高まるのではないか。実際の経済運営を見ると、2007年度予算編成に関しては、財政再建の方針のもとに歳出増をしない、税収増は国債の発行を減額する方向で使うという方針を出されているし、道路特定財源についても基本的には一般財源化に向けての動きが出てきている。こうした構造改革路線を現実の政策として実現することを打ち出していけば、支持も高まるのではないか。揺り戻しがあるのではないか、という懸念に対して、そんなことはないということを具体的な政策で出していただきたい。

また、イノベーションによる経済成長は非常に重要な政策だが、イノベーションの主体である民間企業がイノベーションをしやすくする環境や制度をどう作っていくか、という具体的な政策を出していただくことが重要だ。将来のビジョンを作るということもあるが、現実にイノベーションができる環境をつくる、そのためには民間企業が活動できるよう規制を緩和する、FTAやEPAによって日本の構造改革を進める、特にサービス産業の分野で医療、介護、教育など、民間企業の参入によって生産性を上げる、イノベーションをはかる分野がたくさんあるので、このようなことも政策として実現していただきたい。さらに、イノベーションの担い手は大企業でもあるが、アメリカのシリコンバレーの例を見ると、ベンチャー企業の果たす役割が大きい。日本では、新たな事業を興す人が少ないという現実があるので、ベンチャー企業が成立しやすい環境や税制をどう作るかも大事だと思う。

教育改革に関しては、日本はイノベーションによって成長するということなので、教育の重要な目標は、イノベーションの担い手になるような人材をどう作るかが大事な課題ではないか。

財政再建に関しては、夕張市の財政破たんの現状は、多くの国民がどういう問題が起きるかをよく理解しているので、ひとつの警鐘としてこのまま日本の財政を歳出削減なしに運営すれば、日本全体が夕張市のようになる可能性があるということを国民に示しながら、具体的な歳出削減策を実行していただくことで、国民の支持も高まるのではないかと思う。

Q:今年は統一地方選挙や参議院議員選挙があるが、何をテーマに論争すべきとお考えか。

北城: 日本の持続的発展のための一番大きなリスク要因は、財政の問題だと思う。各党には、財政再建をどのように実現するのか、その手段とスケジュールを提示していただきたい。政府は、2011年に財政再建をするということを明示しており、2006年度は一歩前進したと思うが、今後どのような政策手段をとって財政再建をするのか、各党ともに提示していただきたい。二点目は、経済成長を実現するためにどのような政策手段をとるのか、大幅な歳出増はできないので、財政再建という枠組みのなかでいかに経済成長を実現するのか、そのための具体的な手段として、政府は何を実行するのかを出していただきたい。そのうえで将来の持続可能性を考えると、ひとつは社会保障のあり方を今後どう組み立てるのか、国民の関心が高い年金制度をどう再構築するのか、あるいは少子化対策についてどのような政策をとるのか。ばら撒きはできないはずなので、財政再建の枠組みのなかで、少子化、経済成長、社会保障などの問題をどう組み立てていくのかを提示していただきたい。

御手洗会長もおっしゃったが、教育は非常に重要な課題だ。しかし、単に学力を高めるといっても、何のための学力か。例えばフィンランドは、国の発展のためには起業家を育てることが教育の目標であるとしている。日本は、イノベーションを支える人材を育てることが非常に大きな教育の目標になるのではないかと思う。イノベーションができる人材とはどういう人材なのか、それをどう育てていくのか、初等・中等教育で何をするのか、高等教育で何を行うことによってイノベーションができる人材が育つのか、ということを含め、倫理観や規範ももちろん大事だが、単に入学試験でよい成績を修める学力を向上しても、日本の持続的発展には貢献しない。何のために教育をするのか、人材をどう育てるのか、という大きな方向付けをしながら、教育の政策を出していただきたい。

日本の安全保障等の問題についても、各党いろいろな考え方があるので、安全保障をどう実現していくかについても、政策として掲げていただきたい。

Q:今年のキーワードは何か。短い言葉で表現してほしい。

北城: 「飛躍」という言葉を挙げたい。これまで景気が低迷しており、やっと2%くらいの成長ができる状況まできた。経済としては順調に回復したが、この先を考えると、イノベーションによって経済を飛躍的に成長させる政策をとらなくてはならない。人口減少が進むだけに、経済規模を拡大するためには一人当たりの生産性を飛躍的に伸ばさなければならない状況になる。今年は飛躍という言葉を大事なキーワードにしていきたい。

Q:労働問題について、25歳から35歳までの就職氷河期といわれた世代は、就職できずに困った状況に置かれている。この世代を企業として救済していくには、どのような手段が必要か。関経連の秋山会長は中途採用を増やすということをおっしゃっていたが、どのようにお考えか。

北城: 御手洗会長のおっしゃったことに基本的に賛成である。成果に応じて処遇する給与体系に移っていけば、年齢が高くても正社員として就職する機会ができる。今後人口が減少するなかで、中小企業には人手不足の会社もあり、就職の機会はたくさんあると思う。一つは給与体系を変えることで新たな職に就くことが可能になる。もう一つは、より付加価値の高い、生産性の高い、処遇の高い職に移るためには、十分な経験や技術を持っていなければならないので、職業訓練等を含めて再就職に必要な技術をどう身につけていくか、個人一人ひとりの問題でもあるし、政策として職業訓練の機会を用意していくこも大事である。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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