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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年12月19日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より「2006年12月(第79回)景気定点観測アンケート調査結果」、「第20回民間経済団体国際会議 共同声明」の発表があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)景気定点観測アンケート調査結果、(2)金融政策、(3)次期代表幹事の内定、(4)与党の税制改正大綱、(5)本間政府税調会長の問題、(6)政治献金、(7)日興コーディアルグループとミサワ九州の粉飾決算、(8)三角合併、(9)政府系金融改革、について発言があった。

Q:景気定点観測アンケートの3 ページに個人消費が低迷しているとあるが、好調な企業業績が家計に反映されていない。高度成長期のように賃上げをして消費を喚起すれば上がると思うが、国際競争が厳しく企業業績にもばらつきがある中で、個人消費を上向かせる方策についてお考えはあるか。

北城: 非正規社員の給与水準は上がってきているが、これから新卒の初任給も上がってくると思う。来年の採用について求人が増えているだけに、初任給も上がり、それにつれて中堅社員の給料も少しずつ上がってくるのではないか。但し、企業は国際競争の中で仕事をしているので、生産性向上や競争力を無視した賃上げはできない。これから日本がとるべき政策は、新たな雇用の場をより沢山作る、そして、より賃金の高いところに人が移動できるような政策をとっていくことで、相対的に賃金水準が上がることを目指すべきだ。いわゆる衰退産業の給与水準を上げることは非常に難しい。経済合理性がない政策は長くは続かない。

Q:景気定点観測アンケートで、景気の拡大が減って横ばいが増えている。本日の日銀の金融政策決定会合では、金利は現状維持ということだが、来年以降利上げになるだろう。横ばいが増えているということになれば、利上げが難しいという判断も出てくるのではないか。日銀が判断することとは思うが、利上げのタイミングをどうするべき、とお考えか。

北城: 経済の実態を反映して日銀が判断されることだ。前回の記者会見でもお話したが、現状から見ると、低金利のためにバブルが発生しているという状況ではないと思っている。今回、金利の引き上げがなかったことは妥当な判断だと思う。将来については、景気動向、それに伴って消費者物価がどう推移するか、インフレがどうなるのか、バブル的な動きが起きるのか、ということを見ながら日銀が判断されればよい。今の金利水準そのものは、国際的に見ても低い水準であるだけに、経済が正常化すれば実態に合わせて金利水準の引き上げが行われると思うが、今回、引き上げが無かったことは適切な判断だと思う。

小島: このアンケートだけで考えることではない。(今回の決定は)今の段階での判断であり、経済は動いている。必ずしも悪い方向に動くわけではなく、良い方向に動く可能性もあるし、物価も今の低い水準が維持できるなら構わないが、その保証はどこにもない。そのときどきで日銀が考えると思うし、今回やらないから次もやらない、という判断は誰にもできない。

Q:景気定点観測アンケートで、「いざなぎ超えを実感できない」という人が圧倒的だった。一般の方へのアンケートであれば理解できるが、経営者もそう感じているというのは驚きだ。代表幹事も同じ見方か。

北城: 以前のように年率10%の経済成長があるという好景気と比較すれば、大幅な景気上昇ではないと思う。着実に経済が安定的に推移しているということだ。国際競争もあるので物価が急に上がることもないと思うし、業種によって好況なものあれば、同じ業界でも業績の良い会社もそうでない会社もある。一律に景気が良い、給料が大幅に上がる、ということは、今後はないと思う。それぞれの会社が健全な経営を目指して努力をし続ける、過去の延長線上にはない、それぞれの会社が特長ある経営をしていくということだと思う。

小島: そういう経営スタンスを取っている裏側に、こういう見方がある、そんなにうかうかしていられる状況ではない、ということが、アンケートの結果として表れているのだと思う。

Q:先日、次期代表幹事にリコーの桜井社長が内定したが、他にも複数の候補者がいて選考の過程で絞られたと聞いている。選考の経過と桜井社長を選んだ決め手があれば伺いたい。

北城: 現在の副代表幹事が次期代表幹事候補ということで、有力な方はたくさんいらっしゃる。その中で候補者を絞って、最終的に桜井さんを内定した。役員選考委員会の構成は11名で、うち3名は私、専務理事、小林陽太郎前代表幹事、残り8名は幹事から選挙で選ばれた方である。名簿そのものは幹事会に報告しているが外部には出していない。11名の選考委員が議論した結果、桜井さんを推薦することになった。その過程で色々な意見が出たが、同友会の委員会活動での提言、経営者としての見識、リコーという会社を、特に環境経営を含めた企業の社会的責任にも配慮して立派に経営されていること、国際感覚にも優れているということでの推薦だった。製造業の経営者が選ばれたということも、日本はものづくりが重要な国だけに結果としてよかったのではないか。同友会(は経営者個人の集まり)なので、必ずしも業種にこだわったわけではない。最終的には同友会での活動と見識ということだと思う。良い方が選ばれたと、私は喜んでいる。

Q:先週、与党の税制改正大綱が発表された。減価償却の制度の見直しなど、ここ数年の中では減税色の強い改正大綱になったと思うが、感想と要望等があれば伺いたい。

北城: 企業の競争力を維持するということは、日本の発展のために重要だ。特に、これから財政再建をしつつ、イノベーションによる経済成長戦略で国を支えるという安倍政権の方針からしても、企業の国際競争力を高める税制を作っていただいたというのは、我々にとって大変有難いことだ。ただ、減価償却については、本来100%まで償却を認めるというのが多くの国々で行われている方策なので、日本で95%で止まってしまっている方が、国際水準から見ればやや異例だと思う。先端製造業、例えば、液晶や半導体については設備の経済的稼動期間は短いので、これを短縮することも妥当な方策だと思う。これは法人税減税のように、実際に税額が減るというよりは期間的な問題だ。償却を早めれば当面の経費は増えるが、将来は利益で逆に税額が増える。長期的には、それで大きく税収が減ることにはならない。企業の競争力という観点では良かったと思う。

今後、来年以降になると思うが、財政再建に向けて、現在の直間比率の問題も含めて税体系そのものの見直しもしていただきたい。

Q:政府税調の本間会長が、官舎に親しい女性を住ませていたことが問題になっているが、その点について、ご意見、ご感想があれば伺いたい。

北城: 本間氏は、大変的確な政策提言を出される方だと思っていたので、今回のような個人的な問題で批判を浴びているのは非常に残念だ。出処進退についてはご自身で判断されると思う。

Q:出処進退をご自分で判断する、という発言の意図はどう理解すればよいか。

北城: 先述の通り、政策については非常に的確なご意見を出されていると思う。報道されている内容を見ると、個人的な問題で批判を浴びるという内容だけに、政策と今回の個人の行動が批判の対象になることを考えるとやや残念である。政策が的確であっただけに、個人的な問題で政策そのものに対する信頼も失うことは残念である。それも踏まえてご本人がご判断されると思う。

Q:留任を希望しないということか。

北城: 政策的には非常に的確なので留任して頑張って頂きたいという気持ちと、しかし、いくら的確な政策提言があっても、個人的な批判を受けると政策の実現が難しくなるということを含めて、ご本人が判断されるのではないか。

官舎に入ったことは、必要性があって入っていたとすれば問題ではない。経済財政諮問会議の委員の間、東京への出張が多くてそれに併せて官舎に入っていたことは問題ではないが、委員を終わったところで退去するのが適切であったのではないか。個人的な問題に対する批判が大きいと思う。それに対してどのようにご判断されるか。決して政策の中味そのものに疑問を感じてない。的確な政策提言を行っていると評価している。

小島: 官舎の問題については、本間氏は月に20日は東京にいなければならないという状況があって、そのようなところからきていると我々は聞いている。我々の知らない話なので、そこが適切であったかどうかについては、政府がきちんと判断されることだと思う。

Q:大手銀行が政治献金を再開するという情勢になっている。公的資金を返したにしろ、税金を払っていない、預金金利が低いというなかで、再開した場合には預金者や一般の人からかなりの批判が出ると思う。このような中で、銀行経営者が政治献金を再開することについて、同じ経営者としてどのように評価するか。十分理解できるものなのか、理解に苦しむものなのか、伺いたい。

北城: 税金については税の制度であり、欠損が出れば繰越される。この制度そのものは、金融機関に限らず全ての業種に適用されるもので、過去にどれだけ大きな赤字があったかであり、それを元に経営者の判断が問題だということではない。一方で、預金者への預金金利や手数料を含めた利益還元をどう優先するかは、個々の経営者のご判断である。それぞれの銀行の判断に対して、預金者、利用者や株主がどう判断するかという問題である。個々の企業は、健全な判断をすればいいのではないか。

政治献金に関する基本的な同友会の考えは、個人献金、党員の党費、国からの政党助成金で運営するのが健全であるというものだ。個々の経営者が、政治献金は必要であると判断するのは、個々の企業の経営判断である。それをどう判断するかは、利用者と株主が行うことである。

Q:政治献金は、個人献金と、党員の党費、国の政党助成金で賄うのが健全である、という考えの趣旨を伺いたい。

北城: 政治活動は、それぞれの政治家や政党の活動に対して賛同する人たちが、個人の資格で資金を出し、それだけでは不十分であるので現在政党助成金が出ている。企業・業界が献金をするということに対して、決してそれぞれの業界の見返りを求めて献金をしているわけではないと思うが、国民の間でそのような理解が得られるかという心配はある。その意味で、個人献金の方が好ましいのではないかというのが我々の基本的な考えである。現実に、政治活動のために資金が不足するのであれば、それはよく国民に開示し、必要であれば政党の助成金を増やしていくべきではないか。

Q:同友会では企業献金は好ましくないと考えているのか。

北城: 好ましくないというよりも、個人献金、党費や政党助成金を重視すべきというのが基本的な考え方である。

Q:小島専務理事に伺いたい。自民党に対して融資残高が80億円もある状態で、そのようなところに業界が政治献金をすることは、形としては利息を債権放棄したようにも見えるが、詳しい方から見てどうお考えか。

小島: 詳しくはない。いわゆる法人としての活動と銀行としての活動である融資とは、混ぜて考えない方がいい。

Q:法人としての活動というのは献金ということか。

小島: 普通の法人としての色々な活動、つまり、人を雇い、給与を払うなどの活動であり、企業献金はその中の話である。金を貸すのは銀行だけの話であり、私はそれを一緒にしない方がいいと思う。銀行も一つの法人であるので、法人が献金するのがいいかどうかは別の話としてある。

Q:外資系企業も政治献金を行うよう法改正が行われているが、この件についていかがお考えか。

北城: 日本法人といわれながら、外国人の株主の比率が50%を超えるような会社がいくつかあるということだと思うが、実態的に日本法人でということは、日本で登記され、経営者が日本人ということであれば、50%を超えたから外国企業として政治献金を認めない、と、そこまで厳格にする必要はないと思うので、今回の改正そのものには反対しない。実態として日本法人として活動している企業が、政治献金をできることによって、たとえ外国人の株主が50%を超えたからといって、外国の意向通りに政治を動かそうとしてみているというほどの批判をする必要はないと思う。

例えば、キヤノンさんの株主は50%前後だと思うが、時によって50%を超えたからといって、外国法人として見るべきではない。

小島: (株式の)外国人保有は、東証の平均で3割程度になっている。ということは、50%を超える企業がいくつか出てきているはずだ。それを全部否定するかどうかという話になるのではないか。外国人として登録されているなかには、ファンドなどで実際にお金を出しているのは日本人というところもある。

Q:日興コーディアルグループとミサワ九州の粉飾決算について、いかがお考えか。

北城: 報道されている内容しか知らないが、いずれも決算の表示方法に問題があったということなので、このような問題については適正なルールに基づいて経営をすべきだし、不正があったとすれば、経営者として大変大きな問題であったと思う。刑事責任については、社内の統制の仕組みがどのように機能しているかも踏まえて判断することになると思うが、大変残念なことである。

Q:税制改正大綱で課税の繰り延べが可能になり、実質ペーパーカンパニーを認めないと記されているが、税制での三角合併の規制について、いかがお考えか。

北城: ペーパーカンパニー部分の詳細についてはよく理解してないが、いわゆる租税回避的な行動について課税繰り延べは認めない、という話だと思う。租税回避そのものは好ましくないので、それを回避する手段を取り入れてしかるべきである。三角合併そのものを推進しないように、という制度を導入したとは理解していない。

Q:普通外国の企業が三角合併を使って合併するときには、特別目的会社(SPC)を作って行うと思うが、それができないのは大きな制約になるのではないか。

北城: 詳細については理解していないが、親会社が租税回避、タックスヘブン的なところで作られた会社を認めないということではないかと思う。

Q:三角合併の問題について、経団連が先週提言を出した。以前北城代表幹事は、何もペーパーが出てないのでコメントできないとおっしゃったが、今回の経団連の提言についていかがお考えか。

北城: 提言の中に、「合併に反対する株主に与えられる買取請求権のみでは、株主が損害をこうむる恐れがある」という文言があったと思う。基本的には、三角合併は友好合併の手段なので、敵対的買収の手段として株式による三角合併そのものに過剰な警戒をする必要はないと思う。今回かなり注目を浴びているが、現実、株式による三角合併がそうたくさん敵対的に行われるとは思わない。海外の例をみても、敵対的合併はそんなにはない。日本の安全保障や技術の流出、特にテロや安全保障・防衛等の懸念のある分野について、敵対的な買収が行われることに対する対策は必要であるが、これは他の国でも行われていることである。日本に十分な対応がないのであれば、外為法を含めて対処すればいいのではいか。

小島: 敵対的な買収に限ったことではない。

北城: 日本の安全保障については、きちんと歯止めを作っておいた方がいい。

Q:政府系金融改革について、最近、財務省がJBICに対して子会社として残すというような動きが出てきている。小泉総理時代と比べるとトーンが変わってきており、安倍総理は後退させないと言っているが、若干トーンが弱まっていると思う。これについていかがお考えか。

北城: 当初の趣旨通り、政府系金融機関については一本化するということなので、一つの組織に統合し、民営化すると決められた政府系金融機関は民営化に向かって進んで頂きたい。政府の関与が残る移行期間についてどう取り扱うかという問題はあるにしても、当初の趣旨通りに政府系金融機関の改革が進展することを期待している。現状どうなっているのかはよく理解していないが、最終的な政策がまとまった段階で、意見表明をしていきたい。小泉内閣のときに基本的な方針を出されているので、その方向で進むことを期待している。

小島: 改革法の中に書いてあることまで変えようとしているのかは分からないが、もしそうだとすればそれは大変なことである。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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