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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年11月21日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)法人税減税、(2)消費税引き上げ、(3)APEC 首脳会議、(4)三角合併、(5)景気認識、(6)来年度予算の国債発行額、(7)政府による賃上げ要求、(8)証券優遇税制の廃止、について発言があった。

Q:法人税減税について、日本経団連は10%を目処に引き下げを求めている。政府税調も成長路線重視の観点から引き下げの方向だが、法人税減税を巡る議論について、見解を伺いたい。

北城: 法人税は企業にとって、一種のコスト要因、費用負担なので、国際競争力という観点からは、他国と調和の取れた水準にしていただく必要があるのではないか。特に日本が競争している国々には、米国、欧州以外にアジアもあるので、国際的に競争力のある水準にしていただく必要がある。そういう意味で法人税減税は、我々にとっても好ましいし、経済の活力も高めると思う。ただし、今、財政が大変厳しいだけに、消費税も含めて税体系そのものの見直しが必要になると思うので、その中で実現できれば有難いと思う。

Q:法人税減税について、日本経団連は30%といっているが、代表幹事は、何パーセント目処と考えているか。また、いつ頃から引き下げを実現して欲しいという目処はお持ちか。

北城: 国際競争力からすれば、米国は40%だが、アジアの国々は20%や30%なので、確かに実効税率30%というのは一つの長期的な目標だと思う。ただし、今の財政は大変厳しいので、経済同友会で議論しているのは、租税特別措置の中でいくつかを整理して、その上で、35%程度をまず実現していただきたい、というのが基本的な考えだ。先述した通り、税体系全体の見直しの中で議論すべきだと思うし、その中には、納税者番号制度の導入も含めて、税収を確実に確保するという制度も必要だ。消費税に関してもインボイス等を含めて益税の出ない、透明性のある仕組みを導入することが、まず重要だ。その上で、税収との見合いの中で、法人税減税も実現して頂きたい。

時期については、税収の見込みを見ながら、税体系そのものの抜本的な見直しが来秋から始まると言われているので、その中で議論していくことになると思う。その前に、減価償却期間の問題と減価償却費の全額損金計上については、できるだけ早く取り組んで実現して頂きたい。

Q:法人課税の実効税率について経団連は30%と言っているが、これは言い過ぎとお考えか。

北城: 我々も30%の方が望ましいと思っている。やはり企業経営者としては、減価償却等は期間の問題であり、早く償却した方が有難い。法人税は実額できいてくるだけに、国際競争の観点からは、企業が使えるお金がいくら残るかは重要なことである。長期的には30%が望ましいと思っている。一方で、財政再建ができないと日本にとって残念なことになるので、財政再建を実現するために、2011 年のプライマリーバランスの均衡という大きな柱が実現できない政策を今とるべきではない。まずは35%が実現できれば有難いと思う。

Q:減税の開始時期については、2011 年辺りを念頭においているのか。

北城: 透明性の議論もあるし、景気増による増収効果もある。金融機関の不良債権処理が終わり、納税が始まることもあるので、税収がどれだけ確保できるかという点も踏まえて、議論すべきである。今の段階でどれだけ減税ができるかは言いにくい。我々は、まずは減価償却の面での減税を実現していただき、次に租税特別措置の見直しや納税番号制度など、税制に関わる全体的な体系を見直す中で、法人税についても、国際競争力のある水準にする、海外も下げてきているので何%とはいえないが、まずは5%くらいの削減が実現できればと考えている。

Q:法人税減税分の財源としての消費税率引き上げということについては、どうお考えか。

北城: まず、財政再建は非常に重要だと思うし、2011 年までにプライマリー・バランスの均衡を達成するというのは非常に重要な課題だ。ただし、その手段として既に歳出削減の案が色々とできているので、まず16.5 兆円程度の歳出削減によってプライマリー・バランスの均衡を目指すべきであり、その間に、経済が活性化することによる税収増もある。従って、政府が取るべき手段として、第一に歳出削減、第二に経済成長を実現する政策を実行していただきたい。その上で、消費税の増税が必要になるのであれば、そこで議論するべきだ。法人税引き下げの財源が足りないから(消費税を上げる)という議論ではない。

Q:APEC 首脳会議が先般ベトナムで開かれた。日中で経済閣僚会議が開催される見通しになったほか、APEC 全域でのFTA の研究も今後の課題として取り上げられることになった。今回の会議について、全般的にどのような感想をお持ちか。

北城: 今回のAPEC で、日本、米国、その他APEC 関係国も含めたFTA 協定の締結の必要性が協議されたことは、自由貿易協定を拡大するという意味で非常に意義のあることだ。これまで我々は、ASEAN プラス3、あるいは、それにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えるなど色々な議論をしてきたが、経済、安全保障の観点で関係の深い米国との良好な関係の維持も重要だ。また、日米がFTA 等の経済協定を締結できれば、世界の二つの経済大国が自由貿易協定に入るわけで、APEC を含めた21 カ国の間での自由貿易協定ができれば、意義のあることだ。一方で、国が多ければ交渉に非常に時間がかかるということもあるので、ASEAN プラス3 と言われている日中韓を含めたASEAN との経済連携協定の早期実現に向けて歩みを進める必要がある。重層的な取り組みが行われることは必要だが、まずは実現可能性のあるところを早く進める必要があるのではないか。できるだけ開かれた経済連携協定、他国を排除するのではなく、質の高い、自由化の度合いの高い協定を結んでいけばよいと思う。そのためには、日本の中での構造問題、特に農業の競争力の強化、労働法制の整備といった問題に取り組むことが必要だし、それが日本の将来の発展のためにも、好ましいことだ。

Q:三角合併について、前回の会見で、国際標準と対日投資促進という観点から、現行の適用条件での解禁を主張されていたと思うが、その後、日本経団連が「国際標準ではない」「対日投資を促進するものではない」という論点をまとめた。改めて、三角合併に対する認識を伺いたい。

北城: 日本経団連の正式な見解、お考えの詳細は、提言を読んでいないので存じ上げない。ただし、三角合併、特に外国株の株式を使った三角合併についてどう考えるかについては、元々、三角合併は友好的な買収の手段として、取締役会が賛成したときに成立する。一方で、TOB で過半数の株式を買い占めた会社が取締役を入れ替えて、その後で外国株等を使った吸収合併の提案が行われるのではないかということだが、そのような提案があっても、少数株主で合併に反対の方は買い取り請求権もあるので、その株を今の会社に買い取ってもらうこともできる。流通しない外国株を持つことによって不利になるという株主、市場で売却できる株の場合にも、株価が下がるという懸念がある場合には、会社に買い取ってもらうという方法がある。基本的には、三角合併で株式を使うのは友好的な買収の手段のはずなので、敵対的買収を恐れて、この制度そのものを使いにくくする必要はないのではないか。

Q:三角合併について、日本経団連が国際標準ではないという見解を述べていることについて、いかがお考えか。

北城: 日本経団連の見解の詳細は見ていない。米国には三角合併がある。

小島: 日本は、商法を米国並みの商法にした。その中で、三角合併を認める方向で決めたわけである。それを改めるという議論であれば分からないではないが、国際的には、米国と日本との間の法的な整合性は取れつつあるので、国際標準かどうかという話よりは、そのような商法を作ったことには問題はあるのではないか。何が国際標準かという議論は、意味のある議論ではないと思う。

日本の商法をそのような作りにしたというところから、物事を考えなければならないのではないか。率直に言うと、経団連の見解を我々は知らない。ペーパーがあって、こう書いてあるというのであれば色々といえるが、勝手には言えない。本気になって議論するのであれば、ペーパーを見ないと、議論しにくい。

北城: 新聞報道からみなさんのご質問に答えているわけで、日本経団連から直接見解を伺っているわけではない。株式交換による三角合併は、基本的に友好的な合併の手段にしか使われないので、敵対的な買収の手段ではないと思う。

Q:日本企業が米国に進出して三角合併することは、5 月に解禁されているが、事例が出てこないのはなぜか。

北城: 三角合併をしなくても、現金で直接買収できているからではないか。

Q:日本企業が買収に出るときには、必要性はないということか。

北城: 株を使って買収しようという戦略をとる会社がでれば別であるが、確か日本板硝子が英国ピルキントン社を買収したときも現金で買収している。企業は株式を買い戻しするくらい、株式の希釈化を好まない。ベンチャー企業等で時価総額の中で株価が高い会社は、株式交換を使うこともあるが、基本は敵対的買収の手段ではない。例外を組み合わせれば、敵対的買収の手段として使われる可能性があるが、非常に使われにくいだけに、ここの防衛策だけを議論するのは、ややバランスを欠いた議論のように感じる。

本来防衛策が必要であれば、TOB の制度、企業買収防衛策の議論の方がいいのではないか。敵対的買収の手段として三角合併だけを取り上げると、いかにも日本市場は、海外からの買収を認めたくないというメッセージを伝えているように見える。現実には問題そのものは起きないと思う。

小島: メンバーの中にも、このような議論をしていると、日本の市場は閉鎖的だと世の中に思われないかと心配している人もいる。そうなると、それだけで株に影響することもありうるかもしれない、と心配している人も結構いる。

Q:明日、月例経済報告が発表され、いよいよ「いざなぎ越え」が確定する。先日の7-9 月期のGDP速報を見ても、個人消費が少し弱含みのような感じがするが、現状の景気認識、踊り場入りをするかどうか、現在の景気拡大局面がいつまで続くかということについて、見解を伺いたい。

北城: 景気が緩やかに成長しているという見方については、私も同じような感覚を持っている。しかし、個人消費も含めてやや弱いというのはご指摘の通りだと思う。経済同友会の景気定点観測アンケートでも、多くの経営者が景気は拡大しているが、先行きは少し弱含みだろうという見方をしている。決算の発表などを見ても、下期はかなり慎重に見ているということがあるようだ。個人消費だけではなく、外国、特に米国の経済について、私は軟着陸すると思っているが、多少警戒感がある。そういう意味で、企業経営者が下期の業績について、より慎重な見方をしている、というのは同意できる。従って、株価は、それを織り込んでやや低下しているというのが、企業業績に対する市場の見方ではないか。これから、どれだけ続くかは、今後の政策にもよるが、財政が大変厳しいだけに、財政出動によらない成長戦略、安倍政権ではイノベーションによる成長戦略と言っているが、特に経済を活性化するための政策を、是非実現して頂きたい。先ほど申し上げたFTA の推進もあるし、医療、介護といったサービス分野、医療分野では混合診療の実現、農業への株式会社の参入といった規制改革や、新たに起業に挑戦する人たちが活躍できる機会を作る、いわゆるエンジェル税制のような取り組みなど、財政出動せずに成長を実現する政策を導入していただくことによって、景気が持続して発展できるような環境を、是非早く実現して頂きたい。

踊り場に入るかどうかについては、米国も軟着陸すると見ているし、かなり輸出に依存するところもあるが、中国経済も順調に伸びているので、そう悲観的になる必要も無いと思う。

Q:いざなぎ景気越えといわれるが、何か良い名前はあるか。

北城: 特別考えていない。構造改革景気というか。

Q:構造改革景気と言うことだが、そうした認識の裏には、構造改革によって、今いざなぎ越えの景気拡大が続いていると思うが、構造改革景気ということについてお伺いしたい。

北城: 小泉政権が、「構造改革なくして景気回復なし」、政府が財政出動をしない、小さな政府、官から民へ、という方針を出されたことで、民間が覚悟を決めて努力をしたことによって、景気が持続的に発展した。政府が規制緩和や不良債権処理を行ったので、政府が主導した政策による効果もあるだろうが、一番大きなところは、小泉政権の構造改革という方針のもとに、民間が努力するように政策の舵取りをした。結果、民間が3 つの債務を解消し、そこに中国やアメリカの景気が良かったことも相まって、ここまで景気が持続的に発展した。景気は通常は循環があるが、経済成長が低いにしても、これだけ持続して経済成長が続いてきたのは、政府や日銀、金融当局の政策判断が適切であったということである。これから持続していくためには、基本は財政再建とイノベーションを中心とした経済成長戦略の2 つの取り組みがいると思う。

個人消費については、所得が増えている、増えていないということの他に、定率減税の廃止や社会保障負担などで、個人の負担増もある。そう簡単に企業の業績が個人の消費にすぐ結びつくかというと、多少時間の遅れがでてくると思う。

Q:景気について、企業の業績が下期は厳しいということだが、どのような要因が背景にあって、株価の動向を見ているのか。

北城: 基本的に、株価は将来の企業業績を反映している。現在の景気状況というより、来年の企業業績に多少懸念があるというのが市場の見方ではないか。例えば、液晶テレビなどの先端分野でも価格が下がっているが、販売価格の低下に見合うだけの原価低減ができるかどうかについて、競争が厳しいために価格は下がるが、価格転換ができていない、コスト増を吸収しきれていない業種がたくさんある。最近は安定してきたが、原油価格が上がり、原燃料費や素材関係のコストが上がっているので、これまでコスト増を色々な形で最終価格に転嫁する努力が行われているが、転嫁しきれないのではないかということや、米国やアジアの景気の減速の問題があるのではないか。アメリカは、住宅問題はある程度軟着陸すると思うが、減速はすると思う。輸出等の減速も見込んで、企業経営者は下期についてはかなり慎重な見方をしており、それが株価にも反映している。

通常は上期の業績がよければ、通期の業績の上方修正をするが、上期が良くても通期は上方修正していなかった。市場からみると、慎重な経営者の判断を株価が反映しているのではないか。

Q:来年度予算の国債発行額について、税収が予想よりも多く、今の議論では少なくとも26兆円くらい、あるいは今年度並みの29 兆円くらいと言われているが、どうお考えか。

北城: 基本的には歳出削減によって財政再建をするという大きな枠組みがあるので、16.5 兆円程度と言われる歳出削減をまず優先すべきだ。税収が増えたからといって歳出増をするべきではなく、予算以上の税収増は基本的には国債発行額を減少することで、取り組んでいただきたい。できるだけ赤字国債の発行を抑える方向でお願いしたい。25 兆円でできるのであれば、それで取り組んでいただきたい。

小島: 数字はどうなるか分からないので、今、25 兆円がいいか悪いか、という議論はできない。

Q:個人消費が弱含みということについて、霞が関や永田町では、企業にもう少し賃金を増やして欲しい、給与を上げて欲しいという意見がでてきているが、どうお考えか。

北城: 経営者は優秀な正社員に報いたいと思っているし、雇用の安定確保の観点から必要な処遇の改善をしたいと思っている。一方で、昇給によって企業の競争力がなくなる、ということでは経営が成り立たないので、最終的な人件費の水準は市場で決まってくるのではないか。少子化の問題もあって、学生の採用についても、就職の機会が増えているということで、特にアルバイト、派遣、パートの人件費も上がってきていることもあって、自ずと市場で人件費も上がってくると思う。それによって、雇用、収入の確保もでき、長期的には消費にも結びつくと思う。人為的に上げるということではなく、各企業の判断であり、政府で一律に決めるというものではない、と思う。

Q:自民党の中川政調会長は、法人税減税の分を正規、非正規社員の格差是正に回してほしいと言っているが、どうお考えか。

北城: 非正規社員の問題に関して、多くの企業はできるだけ正規社員を採用したいのだと思う。その方が、企業への忠誠心や、会社の中でのノウハウの蓄積ができる。ただし、今、正規社員を採用した場合に、問題のある社員等の退職を求めるのが非常に難しいということで、いわゆる派遣、請負といった非正規社員の採用が行われていると思う。非正規社員の問題を取り上げるときに、同一労働、同一賃金という考え方は良いが、非正規社員の給料だけが上がるということではなく、成果に応じて処遇ができる制度にしていくことで、正規社員の数を増やしていくということだと思う。減税によって企業の業績が上がる、国際競争力が高まることで雇用の場を作ると思うが、減税分によって人件費が一律に上がるということはなく、個々の企業の判断だと思う。基本的には人件費も含めて、マーケットで決まってくると思うし、経済合理性の無い政策をとっても長続きはしないと思う。

Q:政府税調では、証券優遇税制が廃止の方向になっている。景気や株価を踏まえて、現時点でいかがお考えか。

北城: 証券税制だけを取り上げているが、金融所得の一体課税の問題である。米国では総合課税で、証券や金融所得などとそれ以外の所得を通算して、株価の値下がりによる損失がでると、それを所得通算することで痛みを和らげる制度がある中での税率である。米国は、総合課税をしながら、証券等のキャピタルゲインについては、短期保有と長期保有は違うが、税率を5%や15%に抑えている。総合課税をすると、最高税率が50%程度に上がるように見えるが、基本的には、証券等のリスクのある商品への投資については優遇税制を設けている。損が出たときに、損の痛みをなくす税制もある。

日本の場合には、株で損をしても所得通算できず、キャピタルゲインや配当の利益部分だけの税率議論をしているので、基本的には総合課税に持っていくべきであると思う。そのためには、納税者番号制度もいる。総合課税にした中で、金融所得全て含めて20%の同一税率が一つの方向である。総合課税をしながら、キャピタルゲイン、株式の利益については、米国も優遇税制を入れているので、入れてもいいのではないか。優遇税制の率をどこにするかについては議論があり、米国並みの15%にするのか、今のままか、別途議論してもいいと思う。基本的には総合課税に向けて、これから制度の改革をすべきではないか。

証券優遇税制のところだけを議論するのは、本来の課税体系としてはバランスを欠くのではないか。消費税の問題も議論されるが、納税者番号制度によって、確実な所得把握を行った上で、直間比率の問題も含めて税体系を決めていく。その中には、企業の法人税や消費税の議論もあるだろう。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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