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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年11月07日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)三角合併に関する認識、(2)税制のあり方、(3)現状の景気認識と今後の見通し、(4)賃金アップ、(5)自民党造反組の復党問題、(6)核保有議論、(7)米中間選挙、(8)村上ファンド解散、(9)APECベースでのFTA交渉、(10)教育基本法改正と教育問題、(11)道路特定財源、(12)再チャレンジ対策としての税制優遇、について発言があった。

Q:来年5月の三角合併解禁をめぐり、日本経団連が政府に対して慎重な対応を求めているのに対して、昨日の経済同友会と甘利経済産業大臣の懇談会によると、当初方針通りでいいのではないかという見解のようであるが、改めて三角合併に対する認識、そして日本経団連の主張についてのご見解をお聞きしたい。

北城: 三角合併は、敵対的買収の案件よりも、取締役会が承認したときに使われる手段、つまり、友好的な買収の手段である。敵対的な買収が行われる懸念で反対するよりは、海外のいろいろな制度をみながら、日本だけが特別な制度にするのはいかがなものかと思うので、経済産業省の言っている方向でいいのではないか。ただし、敵対的な買収に関しては、TOB、買収提案に対して、どのような企業防衛策を用意するかが本論なので、TOBルール等について、不十分な点があれば整理していけばいいのではないか。

Q:来年5月の三角合併解禁までに、経済同友会として議論をする予定はあるか。

北城: 今のところ委員会で取り上げてはいないが、関心がある課題なので正副代表幹事会等で議論はしている。経済法制についての委員会があるので、必要に応じて議論してみようとは思うが、三角合併そのものは友好的な買収の時に使われる手段で、取締役会が合併決議をしなければ実現しないので、直接的に敵対的買収ということではないと思う。株式の過半数を占めた会社がその後残りの株数に関して三角合併を使うかもしれないという懸念はあるが、それは過半数の買占めが行われるかどうかで、結局敵対的買収(TOB)になるのではないかと思う。TOBの制度をどうしていくかということだが、海外だけではなく国内でも起こりうることなので、三角合併だけで議論をする問題ではない。例えば、TOBを実行した際に、2/3以上の株の取得を行う場合には、全株を取得しなくてはならない、という改正案であったと思うが、これを1/2にするのか、あるいは買収に対する防衛策をどう導入するのか、という議論は必要だと思う。

最終的には、優れた経営をして、高い株価を維持して、株主に信頼される、ということが最大の防衛策であり、それ以外の過剰防衛的な政策を取ると、逆にその会社に対する評価が下がるというリスクがある。

三角合併は敵対的買収に使う手段ではないので、国際的に見て、日本市場があまりに信頼されない市場である、というメッセージを出すことは、この問題に関して必ずしも得策ではない。

Q:本日、政府税調が新しい体制で始まる。本間会長が法人税の実効税率を欧州並みに引き下げる意向を明らかにしている。成長路線の税調であるが、こうした税制のあり方、法人税減税等に関して、いかがお考えか。

北城: 法人税も企業にとっては一つの負担要因である。企業の国際競争力を高める意味では、他の国々との税制面での競争力を整備するのは、重要な課題である。現実に我々が先端産業で競争している地域には、韓国、台湾、中国などがあり、欧米だけと競争しているわけではない。従って、ある程度の国際調和のなかで、競争力のある税制整備が重要な課題である。法人税の実効税率、減価償却期間の短縮、償却可能限度額の撤廃など、税制は、企業活動において大きな競争要因であるので、国際的に競争力のある制度にして頂きたい。一方で、日本の財政は大変厳しく、また日本は先進国なので、発展途上国と同じにしてほしいとは思わないが、競争力のある制度にして頂きたいというのが我々の希望である。それが、企業の競争力を高めて、日本経済の発展にも貢献する。日本で活動することが不利になって、工場や研究所の立地を海外にしなければならない、ということは好ましくない。

Q:今月中旬の月例経済報告で、景気回復が続いているという政府の判断を維持し、「いざなぎ景気」を抜くことになる。あらためて、現状の景気認識と、米国経済の見通しを含めた今後の見通しについてお聞きしたい。日銀の展望レポートでは、過剰投資や資産価格の上昇など景気の上ぶれリスクが指摘されていたが、追加利上げの必要性も日銀は今のところオープンであるという話だが、代表幹事のご認識を伺いたい。

北城: 基本的には景気は順調に拡大していると思う。かつての景気、特に戦後の景気拡大の局面と比較すれば、経済成長率そのものは大きくない。多くの国民からみれば、景気回復が長く続いている実感はないかもしれないが、順調に経済は運営されている。長期的には、米国経済の動きや資源価格の問題などリスクがある。特に、アメリカ経済は減速しているので、このまま軟着陸できるのか、あるいは景気後退に入るのかは一つのリスクである。今のところ、米国経済は、多少減速はしているが、ほぼ予定通り軟着陸できそうであるとすれば、大きな懸念要因ではなくなりつつあるのではないか。インフレが起きているかについては、一部土地の値上がりがあるが、現実にインフレのリスクが高いわけではない。景気の上ぶれのリスクは常にあるし、過剰に設備投資が進めば、将来景気後退の要因になりかねない過剰設備を起こしてはならない。日銀で景気の実情をよく判断した上で、政策金利を決めていただくことは妥当である。米国経済も軟着陸に入りつつあるのではないかという印象を持っている。

Q:昨日も甘利経済産業大臣との懇談会で、実感なき景気拡大というところで、持続的な拡大のためには個人消費の拡大も必要であり、企業も従業員の賃金アップが必要ではないかと認識を示されていたが、個人消費拡大のための賃金アップについては、どのようにお考えか。

北城: それぞれの企業で、経営者として、従業員のこれまでの努力に報いるとか、優秀な社員の確保であるとか、技術の高い労働者や社員に対して報いたいという気持ちはある。個々の企業で、社員への還元を進めることは好ましい。一方で、企業経営が成り立たなくなっては企業経営者としての責任が果たせないことになる。企業の業績に見合った形で昇給等を進めていけばいいのではないか。これから少子化の問題も含めて、優秀な労働力が不足することが予見される。企業が優秀な人材の確保に進めば、当然人件費は上がってくる。人為的に昇給するよりは、企業がそれぞれの企業の経営に合わせて処遇を決めていけばいいのではないか。これだけ業績がよくて仕事がたくさんあれば、当然採用の拡大や人件費の上昇が起きてくると思う。現実に、アルバイトの時間給が上がり始めているようである。

Q:郵政民営化関連法案に反対して自民党を離党した造反組の復党問題をめぐり、自民党内では最終的な調整に進んでいるようであるが、このような一連の復党問題については、参院選対策という批判もある。一連の自民党の動きについて、いかがお考えか。

北城: 復党問題については、個々の議員の状況が違うと思うので、単純に決められないと思うが、それぞれの議員の主張を聞きながら、自民党内で意見調整をして決めていけばいいのではないか。個々の選挙区の実情はよくわからないので、どの判断が正しいかは判断できない状況である。

Q:自民党を離党した造反組の復党問題について、判断できないということであったが、これから郵政民営化を実行する上で非常に重要な問題ではないか。

北城: 個々の議員が、選挙区で、どのような主張をし、どのような判断をしているかは分からない。郵政民営化は、国民に約束した一つの政権公約であり、マニフェストに入っているので、それを実行して頂くことを我々としては期待している。復党問題等で国民に約束した政権公約や改革路線が後退しないことを期待する。

小島: そのこととは直接関係しないのではないか。郵政民営化は清々として進んでいると思う。いろいろな問題があることも事実だが、それを後戻りさせる問題があるとは思わない。

Q:麻生外務大臣や中川昭一自由民主党政調会長らによる核保有についての発言が続いていて、与党内にも懸念が広まっている。代表幹事は以前にも核保有議論について懸念を表明されていたが、改めて現状についての見解をお聞きしたい。

北城: 議論すること自体を反対したわけではない。日本は自由な発言ができる国であるので、核保有についていろいろな議論があることを反対しているわけではない。なぜ日本が非核三原則を維持すべきか等について議論があることはいいと思う。ただし、発言をどのように国内外に提示していくかについて、海外に誤ったメッセージを出さないような対応をしていただきたい。前回も話したが、安倍総理は非核三原則を堅持することを日本政府の方針として表明しているので、その方針で進めていただければいいのではないか。日本が核武装するのではないかという懸念を持たれることは、核拡散防止条約の存在への懸念材料となる。どのようにメッセージを国内外へ出していくか、発信方法には配慮が必要である。議論をすべきではないという問題ではないと思う。

Q:日本時間の明日、アメリカの中間選挙が行われる。民主党優位とも伝えられているが、どのように見ておられるか。

北城: アメリカの選挙の予測は難しい。ブッシュ政権という共和党の大統領のもとで、共和党が議会の上院・下院の多数をもっているという状況での政策立案と、民主党が、下院が特に優勢だといわれており上院・下院どうなるかわからないが、逆転した場合、政策の実現そのものが難しくなるところはあると思う。しかしアメリカの政治を見ていると、大統領と違う政党が上院・下院の多数を占めることは過去にもたくさんあり、日本の議員内閣制とは違う。アメリカではその中での妥協点を探していくことになると思うが、大統領が権限を持っているので、選挙によってそう大幅に何かが変わることはないと思う。ただ、特にイラク戦争等を含め、大統領の政策に対するチェック機能が強まることはあると思う。

Q:アメリカの経済政策について何か影響がでることはあるか。

北城: そう急激には出てこないと思う。ブッシュ政権のもとでの経済運営は、いまのところ順調に動いていると思う。外交戦略等についてはいろいろと議論が出ると思う。

Q:村上世彰氏の村上ファンドが本格的に解散に向けて動き出した。インサイダー取引で検挙されてからこれまでの一連の流れをご覧になって、お感じになるところがあれば教えていただきたい。

北城: インサイダー取引そのものについては裁判で決着すると思うので、事実だったかどうかはわからない。インサイダー取引が行われていたとすれば由々しき問題であるし、それに伴ってファンドが解散になることもあるだろう。一般論としていえば、企業の社会的責任、法律に違反しない、反社会的な行動を取らないというのは、企業が持続して成長していくために重要な課題だということを示している。インサイダー取引については、最終的に事実関係がわからないので、あったかどうか、それに伴う判断についてはコメントを控えたい。裁判で決まることだと思う。

Q:アメリカが日本政府に対してAPECベースでのFTA交渉を提案しているようだが、これについてどのようにお考えか。

北城: 経済界としては、FTA、EPAは基本的には推進していただきたい。日本経済を活性化する非常に重要な手段であるし、財政が厳しいなかで歳出増ではない景気を刺激する重要な政策だと思う。また、特にアジア諸国の発展にも貢献する。ASEAN諸国、韓国、オーストラリアとのFTA交渉をどう進めていくかという課題があるが、アメリカから見れば、東アジアだけのFTA、EPAのゾーンができることは、アメリカを阻害するのではないかというリスクも感じていると思う。日本は、日本とアメリカとのFTA、EPA交渉に進んでいくことが望ましい。アメリカだけではなく、中国や韓国も含めてのことだ。広い意味では、より開かれた経済協定、質の高いFTA、EPA交渉であれば、東アジアで経済圏ができ、それがまたアメリカとも繋がることは、日米という2つの経済大国が自由貿易の協定ができるということで、非常に大きな経済圏になるとともに、世界経済にとっても良い影響がでるのではないか。本来WTOで推進すべきだが、なかなかWTOが進まないので、FTA、EPAを推進していただくことは大変好ましい。一度に全てAPECでできるかというと、3カ国の合意となるとなかなか交渉が進まないので、当面日本としては、ASEAN、あるいはASEAN+3、それにオーストラリアやインドを含め、ASEANを核にしたFTA、EPA交渉の推進と、アメリカとのFTA交渉、農業・医療・医療機器など、いくつか懸案があるが、我々としては推進していただきたい。

Q:教育基本法改正案の議論が進む一方で、現実としていじめや履修問題など教育の現場で非常に深刻な問題も起きている。代表幹事は教育の現場も見ていらっしゃると思うが、どのようにお感じか。

北城: 現状の問題が、教育基本法の改正で全て解決するということではない。教育基本法は、基本的な考え方を示したもので、そのなかでは規範、倫理観についての考え方も述べているが、教育基本法を改正すれば、いま出ている受験やいじめ、学力の向上など全ての問題が解決するということではない。基本的には枠組みだけを提示しているので、現実の教育をどう変えていくかについての対策が必要で、政府もこれから取り組まれると思う。教育については多くの課題を持っていると思う。いじめについては、簡単になくならない。いじめを無くすことも必要だが、一方でいじめが起きたときに子供たちにどう逃げ道を用意するか、いじめられたことに対して深く痛手として受けいれて自殺にいかないような子育てについても、これから考える必要があるのではないか。我々の頃は子供がたくさんいて、兄弟げんかやガキ大将がいる環境で、いじめはあっても大きな問題にはならなかったかもしれない。現在は少ない子供が育っていく社会で、このような環境に応じた対策が要る。家庭や第一線の先生の対応も非常に重要な課題だと思う。優れた活動をされている先生もいらっしゃるので、事例も含めて意見交換をするなかで、いじめをゼロにすることは難しいとしても、いじめによる自殺者が出ないような教育現場にしていくことが大事だと思う。

先生は、聖職と言われたように、大変志の高い先生がいて、自分自身も小学校の先生が卒業の時に言ってくれた「社会に出たら正しいことをしなさい」という言葉や、中学の担任の先生が言った言葉は、いまでも心に残っている。先生という仕事は非常に重要な仕事で、教育に適さない先生がいることも問題だ。教育現場には、優秀な先生が、高い意欲をもって教育に取り組むような学校運営の仕組みが要ると思う。それは教育基本法だけで決まっているわけではない。

小島: 家庭、親も非常に大切だ。今回教育基本法のなかで、家庭教育を取り上げているのは非常によいことだと思っている。

北城: 家庭教育は大事だが、親の教育は難しい。最終的には学校が中心となって、保護者を教育の場に参加させるような形で、親の教育をしていく必要もあると思う。

小島: いまは親も孤独なのだろう。

Q:道路特定財源の一般財源化について、提言が出ていたかもしれないが改めて見解を伺いたい。

北城: 道路財源を含め、揮発油税など燃料に関する税制のあり方については、抜本的に見直すべきではないかという提言を出した。ガソリンや灯油など石油製品ごとに税率にばらつきがあるので、全体の見直しが必要という内容である。しかし、抜本的改革が終わるまで全く手をつけないことはできないので、いまの道路財源、特に基本税率以上に徴収している問題に対して、現状であれば、財政が大変厳しいだけに、税収確保の手段としてはいまの税率のまま一般財源化することで対応すべきだと思う。道路以外に使うことは、本来の負担の理由と違うのではないかという議論もあるが、自動車は道路を使うだけではなく、環境など、社会にいろいろな負荷を与える。国民の側で、税負担のひとつの手段としていまこれだけ定着しているので、ここで減税をするよりも、一般財源にして、そのうえで必要な道路財源なら道路財源として使っていくということが好ましいのではないか。それが政府の方針と伺っているので、その方針で進めていただくことで良いのではないか。

Q:商工会議所は道路を作って欲しいという提言を出し、経団連・御手洗会長は新幹線の建設に前向きな発言をされている。風向きが変わってきているように見えるが、どのようにお考えか。

北城: 地方の発展のためには必要な道路もあるだろうし、新幹線等の整備も必要だろう。公共事業が必要ないとは思わないが、これだけ財政が厳しいなかで、基本的には財政再建に向けて公共事業も含め16.3兆円の歳出削減をするという枠組みのなかで、どう鉄道や道路を整備していくか、という問題だ。重要な視点は、地方がその優先順位を決める、地方の主権が生きる体制、地方分権の考え方にしていくべきだ。いまは、どこに道路を作るかを中央で決めることになっている。もちろん道路はネットワークがあるので地域だけでは決まらないにしても、第一義的にはそれぞれの地方にとっての優先順位がある。道路を整備するのか、鉄道を整備するのか、港湾を整備するのか、その他教育、社会保障など、どこにどうお金を使えばよいかは、その地域の人が一番よく知っている。地方主権の生きる、長期的には道州制への方向のなかで、優先順位をつければよいのではないか。

最近の公共工事の入札等を見ていると、談合等がなくなったこともあり、かなり入札価格が下がった例もある。いままでの予算のなかでたくさんの道路の整備等公共工事ができるのではないかとも思うので、予算の拡大というよりも、歳出削減のなかで、どう効率的に道路や鉄道を整備すべきか、その優先順位は地方が決めていくことが望ましいと思う。東京にいると、どの地域のどの道路が大事か、優先順位を決めるのは大変難しい。

高速道路で公団が民営化され、45年でいまの債務の返済をしなくてはならないという前提で動いている。お話を伺っている限りは、金利が低いこともあり、前提の4%以内で金利が推移しているので、40兆円の借入金を45年で返済できる形で推移しているようなので、民営化の進捗としては、いまのところ順調に進んでいるのではないかという印象を受けている。よく言われている、不採算道路をつくることによって借金が返せなくなるのではないかという議論はあるが、いまのところそういうことはなく、規律のある道路建設が行われているような印象を受けている。

Q:再チャレンジ支援策のひとつとして、高齢者やニート、フリーターなどの雇用促進に貢献した企業に税制上の優遇措置を導入する方向になっているようだが、これについてどのように評価されるか。経済同友会では、エンジェル税制について提言されているが。

北城: エンジェル税制は、新たな事業を興すことを推進し、新たな企業が成立すれば雇用の拡大にも結びつくということだ。いまのお話は、ニート、フリーターや高齢者雇用など、職を拡大するうえで税制を活用しようという話だと思う。

職場を確保する、新たな雇用の場をつくることは良いと思うし、補助金で行うよりは税制で行った方が良いと思う。ただ、具体的な制度設計はなかなか難しいように感じる。雇用の場をつくることを中心に議論を進めていただければよいのではないか。雇用の場ができれば就職先はできると思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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