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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年09月20日(水)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より「2006年9月(第78回)景気定点観測アンケート調査結果」の報告と、同友会起業フォーラム2006「めざせ、起業大国ニッポン!-イノベーションは個と知の完全燃焼から-」のシンポジウムに関する告知を行った。その後、記者の質問に答える形で(1)タイの軍事クーデター、(2)グレーゾーン金利、(3)景気動向とデフレ脱却、(4)経済財政諮問会議のあり方、(5)自民党総裁選、について発言があった。

Q:タイで軍事クーデターが発生し、軍が全権を掌握したという事態になっている。混乱が続いていて実態がはっきりしない部分もあるが、日本経済への影響や今後の見通しについて見解を聞かせて欲しい。

北城: タイは東南アジア諸国の中でも最も経済活動が堅調な地域であり、日本との関係も大きいだけに早く政情が安定することを期待している。タイは伝統的に国王の影響力が大きい国なので、これから国王の関与があると思うが、クーデターが早く終了して安定した政権ができることが、日本にとっても重要だ。当面、早期に問題が解決すれば、そう大きな影響は出ないと思う。

Q:タイとはEPAの交渉も進めているが、それに対するクーデターの影響をどう見ているか。

北城: 結局このクーデターが早く収束するかどうかだと思う。タイは、自動車産業など日本の製造業の拠点としての重要な位置づけにあるし、特にハブ空港として大変重要だ。早く政情が安定することが日本にとっても望ましいので、問題が早く解決することを期待している。

Q:貸し金業規制法の改正案について自民党内の協議がまとまり、ほぼ3年でいわゆるグレイゾーン金利がなくなる一方で、2年間25.5パーセントの特例金利が残るという形になった。この問題について、消費者側と貸し金業者側でいろいろな意見が出ているが、ご意見、ご感想を伺いたい。

北城: 基本的に、グレイゾーン金利があること自体が非常に分かりにくく、それがなくなることは歓迎している。また、金利水準をどのように設定するかについては、本来、民間で適切な金利が決まることが好ましいが、現実にいろいろな問題が起きているので、金利の引き下げも必要だと思う。金利の引き下げに伴って新たに融資を受けることが難しくなる、などいろいろな意見があるが、引き下げの方向で結論が出たということは好ましいことだし、早く実現することを期待している。

Q:特例金利が残ることに対して、かなり批判もあるが。

北城: 常に議論になることだが、特例金利、ある程度高い金利水準でもお金を借りたいというニーズにどう答えるかだと思う。低くすれば逆に借りることができなくなる人が出る、という問題をどう解決していくかもあるが、基本的にあまり高い金利でなくても経営ができるような民間企業の努力も必要だと思う。そういう意味で、金利引下げの方向で改正されることは望ましい。

Q:マクロ経済環境について伺いたい。小泉政権の後期は経済の追い風が大きな支えになったことは否めないと思うが、本日の景気定点アンケート調査結果でも、調整局面に入ってきたように見える。これについてはいかがお考えか。

北城: 将来について経営者にやや不安がある。拡大基調であるという判断に変わりはないが、横ばいという声が増えてきたことについては、多少景気の先行きに懸念材料があるということだと思う。特に、アメリカ経済がこれから軟着陸できるか、住宅の高騰を含め大変順調に推移してきたアメリカ経済が、巡航速度で持続的に発展できるかどうかは、日本企業の業績に直接的に影響するし、アジア諸国や中国の経済にも大きな影響を与える。米国経済の推移は一つの懸念材料である。

新政権には、経済の現状が堅調であると安心せずに、一層の改革を推進していただきたい。特に、民間の活力が生きるような経済政策や、アジアの国々の発展が日本の産業の発展にも貢献できるようなFTAの問題、また、規制改革民間解放推進会議についても新しい形態で規制改革を進めていくとのお考えを表明されていた。規制改革により、財政出動せずに民間の活動の場を広めることで経済が発展できる。FTA、地方分権、ベンチャーなどイノベーションを起こすような企業の活躍の場を広めることを通して、経済を一層発展させるための政策が非常に重要になるのではないか。

財政再建は、大枠がある程度決められたので、中身の具体化はこれからのところがある。特に、政府系金融機関については、一つの法人にすることは決まったが中身は決まっていない。財政再建の具体化を詰めていただくと同時に、イノベーションによる経済成長を目指すことは大事であるが、具体的な政策として何を実行するかを早く打ち出していただくことが必要である。幸いいざなぎ景気を超えるような状況にあるが、しかし、世界第2位の経済大国であるので、アメリカの経済の状況だけに依存するのではなく、内需拡大を通して、日本が経済成長のエンジンになれるような政策がいい。

小島: この景気定点観測アンケート調査結果は、2枚目の表を見ると分るように、非常に振れの大きい数字である。短観と比べると、右と左で目盛りが違うので振れが大きいということを頭に入れておいて頂きたい。また、輸出と消費が弱くなっているという判断が出ているが、この程度ではたいしたことはない。輸出については、アメリカがどうなるかという問題がある。消費については、今年は天候が悪かったので分らないという気もする。あまりこの数字を過大に見ない方がいいと思う。

北城: 過大に見ない方がいいが、政策としては経済成長を目指して、政策は実行していただきたい。安心して改革の矛先を緩めないで頂きたい。

Q:デフレについて、先日政府はデフレ脱却宣言を見送った。現時点で全体をどう判断するか。

北城: デフレの問題と、デフレに伴う経済停滞は別なものだと思う。デフレはそう簡単には解消できない。技術革新や生産性の向上が進む限り、デフレ傾向が進むものはたくさんある。人件費については、雇用の場が広がれば人件費が上がるのでデフレを抑えるが、製造業については、これからもデフレの圧力が働くであろう。また、中国をはじめとする発展途上国が国際競争の場に参加すれば、必ず圧力が働くので、デフレ脱却はそう簡単なことではない。ただ、物価がある程度下がる方向にあっても、経済が成長できることが重要である。そうすれば、サービス価格の方が上昇し、最終的にはデフレ脱却に進むと思う。まずは、経済の活性化の政策を打ち出すことが重要である。一方、金利だけ低ければいいかというと、これには弊害もある。土地バブルなどを起こしてはならないという過去の経験がある。収益還元に基づく土地価格の設定だと思うが、将来の上昇を期待して価格が上昇するとバブルのようなことが起きかねない。金融政策については、日銀が適切な判断をして頂きたい。

小島: デフレとは何を意味するかが非常に問題である。デフレという言葉だけが独り歩きしていることがおかしいと思う。物価が下がり続ければ経済が悪化するということがデフレの問題であり、単に物価が下がっているということを問題視する必要はない。デフレ脱却宣言をするとかしないとかについて、ことさら取り上げることは、経済の見方としてはおかしいという気がする。

Q:経済財政諮問会議について、22日で小泉政権は終わり、また新政権になって装いを新たにすると思う。今後の新しい経済財政諮問会議のあり方について、民間議員の人選・任期やどういった議題を取り上げるべきかなど、お伺いしたい。

北城: 小泉構造改革の実現において、経済財政諮問会議の果たした役割は大きく、この仕組みを次の政権でも持続していただきたい。この仕組みで重要なことは、民間議員が参加していることで、日銀総裁を除いても4名の民間議員がいる。総理を議長として意思決定をしており、総理が参加することで、意思決定した内容が閣議決定に結びついたということが、改革を実現する上で非常に大きかった。その意味で、次の政権でも民間議員を含めた諮問会議であって頂きたい。諮問会議で決まったものは閣議決定をされる形で、実際の経済運営に反映させていただくことが重要である。

取り組むべき課題として、歳出削減の大枠については骨太方針に示されているがそれをどう実現していくか、経済発展のための政策をどのような優先順位で実行されるか、がある。骨太の方針2006で大枠は出されたが、現実に予算化する過程では、年末に向けて諮問会議の役割である。次の新たな枠組み設定に向けて、恐らく来年の中ごろになると思うが、骨太の方針の骨格作りにも民間議員を中心とした議論が大きな役割を果たすことを期待したい。官邸・総理主導で政策決定を行わないと、省庁縦割りの意見がたくさん出てくる。多くの経済政策は、省庁横断的な課題が多いので、官邸主導の諮問会議のような意思決定の仕組みは重要である。

<以下、自民党総裁決定後に解禁という条件のもとで質疑応答>

Q:今日、自民党総裁選の投開票が行われる。まもなく国会議員の投票が行われ、結果が出るのが15時頃の予定だが、安倍晋三氏が選出されることは確定的であるため、それを前提に報道は選出後ということで、コメントをいただきたい。

北城: 小泉政権の構造改革路線を継承する形で安倍新総裁が選ばれたことは大変嬉しいことだ。安倍新総裁はこれまでも小泉政権の中枢として構造改革を推進されてきた方なので、小泉構造改革を継続していただくとともに、大きな方向性は出されても実現されていないたくさんの課題に果敢に挑戦いただきたい。

財政再建については、方向は決められたが具体策はこれからなので、特に公共事業の見直し、公務員制度改革、特別会計、そして特殊法人の見直しといった残された課題に挑戦いただきたい。我々としては2011年のプライマリーバランスの均衡を増税なしで実現するような、大幅な歳出削減に是非取り組んでいただきたい。

その上で、やはり経済が成長しないと財政再建もできないし、失業問題などで国民の豊かさも実感できないので、成長戦略についても具体策を作り上げて実現していただきたい。イノベーションを重視するという方針は良いと思うので、その推進のために具体的に何に取り組むのか。我々は、規制改革によって民間が活動できる場を広げることが大事だと思っている。なかでも混合診療など医療の分野や農業分野への民間参入も含めて、規制改革を一層推進していただきたい。

また、FTAの推進についても前向きに取り組まれるということなので、是非FTA締結を推進していただき、特にアジアの国々の発展が我々の発展にも貢献するような施策もお願いしたい。この分野は日本国内の構造改革の問題でもあるので、農業も含めた構造改革にも取り組んでいただきたい。

大企業、既存企業の科学技術を含めたイノベーションへの挑戦も大事だが、既存の会社が取り組まないようなベンチャーによるイノベーションが進むような政策も実現していただきたい。

さらに、地方の経済を活性化させることが日本の将来の発展にとっての重要な課題なので、是非、地方の主権が生きるような三位一体の改革、新しい分権一括法案の早期成立によって地方の権限が生きる、そして補助金等をできるだけなくし、国の関与なく地方が創意工夫できるような政策を実現していただきたい。

安倍新総裁は、総裁選の過程で教育問題についても大変熱心に語っていらっしゃったが、倫理観や思いやりを持った子供たちを育てるとともに、イノベーションを支える人材の育成という観点でも、教育分野に積極的に取り組んでいただきたい。

安心できる社会保障制度の持続可能性について国民の側に不安があるだけに、現在の制度をもう一度見直して、少子化の中でも持続可能な社会保障制度、特に年金とその他の社会保障の一体改革に取り組んでいただきたい。

最後に、外交・安全保障に関して、日米の良好な関係の維持は当然として、アジアの近隣諸国との外交関係の一層の発展を目指して取り組んでいただきたい。

基本的には、構造改革を推進されるという安倍新総裁の誕生を歓迎する。

Q:小泉改革の継承が望ましいということだが、小泉改革の旗振り役であった竹中平蔵総務大臣は、安倍政権の不安として官僚の復活を盛んに挙げていた。小泉改革の継承が一点の曇りもなく行われるのか、竹中大臣が指摘するように再び官権が頭をもたげてくる心配は無いのか。

北城: 小泉構造改革の非常に大きな柱は「官から民へ」だと思う。もちろん、公共事業等を行わない、「構造改革なくして景気回復なし」というのも一つの柱だったが、「中央から地方へ」と「官から民へ」というのは非常に重要な課題だと思う。竹中大臣が小泉構造改革で果たした役割は非常に大きいと思う。特に、経済財政諮問会議を活用し、改革の基本方針の下で、民間(議員)とそれを支援する小泉総理の官邸主導、政治主導で政策が決定されていった。それが改革の大きな成果をもたらしたと思う。安倍新総裁の下で、官僚主導の縦割りの行政に戻ることはないと思うし、それをしてしまったら日本経済は発展することができない。安倍新総裁も「より小さくて効率的な政府」とおっしゃっているように、官の肥大化をもたらすような政策はとらないと思う。官邸主導の政策、意思決定の仕組みとイノベーションによって、民間主導の社会を作るという方針を実現していただくことで、持続的な発展が可能な社会が作られると思う。それに逆行していては、日本経済は発展できないと思う。

再チャレンジの課題についても、官主導で再チャレンジの場を用意するよりも、民間が挑戦して雇用の場を作る、事業を拡大するという政策を実行していただきたい。民間が努力するために、政府が無担保で融資するとか職を提供する、もちろん中途採用はあっても良いと思うが、(そういう政策はとられないと思うが)官の職員数を拡大することでニートやフリーターの問題に対処するべきではない。

Q:実際、再チャレンジについて省庁各々が様々な予算項目を挙げ、今回の概算要求額もかなり膨れ上がっている。そういうことからすると、潮目が変わってきたという気もするが、どうお考えか。

北城: いろいろな政策実現のための要求案はこれからも出てくる。一方で、2011年までにプライマリーバランスの均衡を達成しようとすれば約16.5兆円のギャップがあるということだから、基本的には歳出削減をするなかで、どのような政策をとるかという取捨選択をしていただきたい。逆に、歳出削減せずにいろいろな政策を実行することになれば、結局財政再建はできないということになるし、そのためには消費税も含めた増税も必要になる。しかし、今、国民の側に増税に対する納得感はないし、いろいろな非効率なものがあるので、これをまず是正するべきだ。再チャレンジであれ、少子化対策であれ、社会保障の分野であれ、必要な対策を取らなければならないが、それは16.5兆円の歳出削減をしていくという枠組みの中で実行していただきたい。

そういう意味では、骨太の方針2006で、経済の推移によって額は変わるかもしれないが、2011年までに16.5兆円のギャップがあるという大枠を決めたということは非常に大きなことだ。これまで政府が大枠の歳出削減の目標を出されていなかったので、小泉政権が残した大きな遺産だと思う。これを尊重して政策を実行していただきたい。

Q:経済同友会も、増税なき財政再建はできるという提言をしているが、その根拠となる16.5兆円は3パーセントの経済成長が前提となっている。16.5兆円という数字が一人歩きしており、そこまで削らなくても良いような試算に思えるが、数字の組み立て方についてはどうお考えか。

北城: ある程度の経済成長を前提にせざるを得ないと思う。現実に成長できるかどうかもあるし、税収がどれだけ増えるかもある。特に、かつての不良債権処理も含めて、企業が赤字決算をしたことによって税負担をしてこなかった、あるいは繰越してきた損失があるために税収が確保できないという問題もある。これからは、金融機関等も税金を納めるようになってくると思うので、ある程度の税収確保も期待できると思うし、それを精査した上で最終的な金額が決まると思う。しかし16.5兆円というのは非常に大きな目標であり、逆に明確な数字が無ければ具体策も出てこないとすれば、こうした方針を出されたことは結構なことだと思う。

例えば公務員の人件費に関しては、2011年までに30兆円から約2.3兆円増えるということだ。定員の5パーセント削減により人件費の伸びを抑えたとはいえ、この5年間で2.3兆円の人件費増を予定している。しかし、民間企業であれば赤字決算をして多大な借金がある会社は、まず歳出削減、そのなかでも人件費をどう効率化するかが重要な課題だ。今いる方を退職させるのではなく、採用を抑えるという効率化の方法もあると思う。公共事業でも、談合がなくなったことによって入札価格が2割程度下がった例もあるということなので、まだまだ効率化の余地があると思う。まずは16.5兆円の歳出削減、そのなかでどういう政策課題を優先的に選ぶか、ということではないか。

Q:近隣諸国との関係について、中国要人の訪日が調整されるなど、日中関係の修復に向けて下地が整ってきている。近隣諸国との関係改善に向け、安倍新政権には具体的にどのようなことを望まれるか。

北城: 近隣諸国、特に中国と韓国との関係に関して言えば、靖国参拝を含めて非常にぎくしゃくした関係にある。ただ、近隣であるために、靖国参拝だけではなく、領土、資源などいろいろな問題があり、これらを解決するためには国の主導者がお互いに意見を交換する場が非常に重要だ。外交関係を通していろいろなことが検討されていると思う。中国、韓国も小泉政権のなかで関係改善をこれ以上進めるのが難しいという認識があっただけに、安倍新政権の誕生に基づいて改善していきたいという考えがあると思う。また、中国、韓国の発展のためにも、両国にとって日本と良好な関係を持つことは好ましいことだと思う。事務当局が事前に打ち合わせをしながら、どういう形で交流が再開できるかを模索していただくことが大事だと思う。安倍新総裁も、関係改善の重要性については十分理解されていると思うし、総裁選の過程でもそのようなお話をされていた。相手があることなので、具体的に何を実行するかについては一方的には決められないが、外交の関係改善に積極的に取り組まれるということは大変貴重なメッセージだと思うし、中国や韓国もそれを望んでいると思う。

Q:閣僚人事、党役員人事が取り沙汰されているが、具体的な名前も含めて注文はあるか。

北城: いろいろなご意見はあると思うが、安倍新総裁は人の意見を非常によく聞かれる方だと思う。しかし聞いた上で、最後は自らご判断される方だと思うので、派閥や順送り等にとらわれずに、安倍政権にとって必要な人材を自ら選任して配置していただくことが好ましい。特に経済関係において、経済に詳しい閣僚の方が任用されることを期待している。

Q:新総裁の靖国参拝については、5月の中国委員会の提言通り、控えて欲しいとお考えか。

北城: 5月の時点では、参拝そのものよりも、中国や韓国の、政治だけではない国民を含めた感情にも配慮して、参拝の再考を求める提言を発表した。これからどのように両国の国民感情や政治面での理解が深まるかが大事だと思う。政府だけでは決まらず国民感情もあるので、そこにも配慮して何が日本の国益に相応しいかをご判断いただくのがよいと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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