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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年07月04日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)景気動向とゼロ金利政策の解除、(2)消費税の税率と引き上げ時期、(3)ルノー・日産とGMの資本提携、(4)滋賀県知事選挙の結果、(5)民主党・小沢一郎代表の訪中、(6)税制改正と移転価格税制、(7)日銀・福井俊彦総裁の進退、について発言があった。

Q:日銀の短観が昨日発表され、企業業績が小幅ながら改善、5年半ぶりにゼロ金利解除なるかという観測が非常に強まっているが、景気および金利の動向についてどう見ているか。

北城: 今回の日銀短観を見ても、設備投資は堅調だし、基本的に個人消費も堅調だ。失業率も低下しており、経済は順調に回復している、あるいは景気が拡大していると言ってもいいのではないか。米国の経済や原油高といったリスク要因はあるが、景気は基本的には順調に回復していくだろうと見ているし、大きな不安要因はないのではないか。そういう意味で、金利については、ゼロ金利そのものが異常な金融政策でもあるので、経済が回復したことが確認できれば、ゼロ金利政策を解除することは妥当だ。時期については、株式市場や米国経済の動きを見ながら、次回の日銀の政策決定会合で判断すればいいのではないか。

Q:次の会合で判断するということは、まもなく開かれる(政策)決定会合で(ゼロ金利解除について)判断されることを歓迎する、という意味か。

北城: そこでどのような決定が出るか分からないが、金利引き上げ(という決定)が出たとしても反対するものではない。どういう結論になるかはこれからだが、今、金利を引き上げるべきと言っているわけではない。基本的にはゼロ金利が異常な状況であるので、正常化に向って歩みだす、その時期をいつにするかを日銀が決めるということでいいのではないか。逆にゼロ金利を続けろということが異常な状況だと思う。

Q:このタイミングでゼロ金利解除になった場合、中小企業に対しての影響について心配はないか。

北城: 金利は市場で決まっていくことであり、もちろん金利が安ければ、それだけ設備投資等が容易になる。一方で、金利負担がないこと自体は非効率な投資を呼ぶ。急にバブルになるとは思わないが、金利がゼロというのは異常な状況だということを考えれば、景気が回復した段階では、金利の正常化に向けて歩みだすことが妥当だと思う。

小島: 今回の短観でも、中小企業も順調にいっていることが確認されたのではないか。

Q:早くも年度内に追加利上げもあるのではないか、という観測も出ているが、それについての見通しはあるか。

北城: 今の段階では分からない。少なくとも景気が順調に回復している中で、ずっとゼロ金利を続けるべきだということではない。ゼロ金利にはもちろん良い点もあるが、一方で不必要なところに資金が投下される、設備投資だけではなく不動産など、バブルを起こす引き金にもなりかねない。そういう点で、正常化に向けて歩みだすことは必要だ。前回の量的緩和(解除)のときも申し上げたが、異常な金融政策を続けることにもリスクがある。前回の量的緩和解除について経済同友会は支持の声明を出したが、その後の景気動向、株価の動きを見ていると、量的緩和の解除も問題なく進められたのではないか。ゼロ金利の解除も景気の実態に合わせて日銀が判断するということで、いいのではないか。

Q:日銀のゼロ金利政策解除について支持するか、しないか、デフレから脱却したか否かについて、どうお考えか。

北城: デフレに関しては、デフレで景気後退という状況と、デフレではあるが経済は発展しているという状況があると思う。今の状況を見ると、生産性の向上に伴う価格の低下圧力はあると思うし、価格上昇の大きな要因は石油価格の上昇なので安易にデフレ脱却といえるかというと疑問もあるが、経済は少なくとも堅調に拡大してきている。日銀の金利引き上げについては、日銀が判断していただいて結構だと思う。今、日銀の金利引き上げに反対するという状況ではない。政策決定が行われるまで一週間ほど時間があるので、その間、何が起こるかはわからないが、金利機能が正常化するということは、経済が回復していく過程では一つの一里塚だと思う。従って、解除すべきではないとは思わない。

Q:現時点で、(ゼロ金利政策)解除の環境は整っていると認識ということか。

北城: 今の時点でゼロ金利(政策)解除の環境は整っていると思う。経済は順調に回復しているし、ゼロ金利を続けること自体が異常だ。ただし、7月に行われるか、8月に行われるかについては、これからの市場の動きも含めて日銀が判断することなので、私が、どちらがいいということではないが、少なくとも現時点で環境は整っていると思う。

Q:今回の「骨太の方針」で、消費税について引き上げ時期や上げ幅が示されていないことについて、どうお考えか。

北城: 今回、2006年の「骨太の方針」を出す過程で、2011年までにプライマリーバランスの均衡を達成するためには16.5兆円の財源が必要になる、もちろん景気や金利の動向によって変わることで確定した数字ではないが、政府として3%の名目成長が実現できれば16.5兆円の(財源)不足で納まるだろうという目処を示したことは非常に重要だ。これまでは、プライマリーバランスの均衡といっても、どれだけ歳出を削減すればいいか、どれだけ増税策が必要かという目処が出されていなかったので、こうした削減の目標が示されたことは、非常に意義のあることだと思う。その上で、どれだけ削減するか、どれだけ増税策を取るかが今後の議論だと思う。不足額の大半を歳出削減で実現しようという取り組みは適切だと思うし、政府与党の中でこうした方向が出されたことは重要だと思うが、国民として納得のできる歳出削減であるかというと、まだ疑問も残る。特に、地方交付税の問題や公共事業の規模、特別会計の問題、社会保障等、本当にこれ以上削減できないのかということについて、納得できる状況ではない。まずは、歳出削減に取り組んでいただいて、その上で、本当に増税策が必要かどうかを、これから議論するべきだ。その結果として、消費税の引き上げも必要になるかもしれない。更に2011年以降プライマリーバランスが均衡しても借金の額が減るわけではないので、最終的には国と地方の長期的な債務の縮小ということを考えると、持続可能性を考慮すれば消費税を含めた増税策が必要になるかもしれない。さらに、消費税の引き上げの際には税体系の抜本的な見直しをするべきではないか、と思っている。その中では、納税番号制の導入も含めて税負担の公平化ということも考える必要があるのではないか。

Q:ルノー、日産連合とGMが資本提携に向けて動き出しているようだが、グループで一千万台超という超巨大自動車グループができる可能性もある。この提携について、量を追求するだけではうまく行かないのではないか、という懐疑的な声もある。鉄鋼の大型再編もあったが、こうした動きについて、どう見ているか。

北城: 今回の提携が具体的にどのように進展するかは分からないが、それぞれの企業がより健全で成長ができる、収益の上がる体質を求めて、色々な施策を検討するのは結構なことだ。こういうことが検討の俎上に上ること自体が、より開かれた市場の中で競争が行われているということを示している。一方で、非常に巨大な企業が出来たときに、独占の弊害が出るのではないかというリスクはあるが、今の自動車業界を見れば大変厳しい競争が行われており、独占の弊害を心配するより、こうした提携が実現し、一層効率的な経営ができるようになれば結構なことだと思う。しかし、どのように進展するかは分からないので、その推移を見守りたい。

Q:滋賀県知事選挙で、与党や民主党が推薦する候補が敗れて女性候補が当選した。小泉総理も「変化を求めているのではないか」とコメントしているが、統一地方選に向けて、政治の状況をどう見ているか。

北城: 滋賀の知事選挙は、個別の県の選挙としてひとつの特色があったのではないか。新幹線の駅を作るか作らないかということについて、大きな住民負担があるにもかかわらず、それほど大きな利便性を感じられないという状況があったと思う。一方で、公共事業を拡大することによって雇用を拡大するという政策は必ずしも持続可能ではない、という考え方が示されたと思う。特に、これから地方に財源も権限も移譲しようという三位一体改革の方向からすれば、あるいは地方の人たちが歳出のための負担をする、一方で何に歳出するかを考えるという大きな流れからすれば、中央からお金をもらってきて公共事業をするという仕組みは持続できないということを示している。そういう意味で、公共事業の費用を確保すれば住民から支持されるという状況ではない。それが国政にどう影響するかは、これから見守るべきだ。

Q:民主党・小沢代表が本日、中国・胡錦濤国家主席と会談する。小泉政権が対米重視の外交姿勢に見えるが、小沢代表の対中外交についてはどのように見られているか。

北城: まず、アメリカと良好な関係を維持することは、日本の繁栄や安全保障を考えたうえで大変重要なことだ。加えて、日本はアジアの一員なので、アジアとの良好な関係も必要なことだ。小泉総理以降の首相に、アジアも含めた外交をどのように展開していただくかも、ひとつの大きな政策課題だ。一方で、民主党・小沢代表が今回中国を訪問されているが、どういう会談が行われてどのような意見交換がされるかを見守りたいと思う。

中国に限らず、韓国やアジア諸国とも、国民レベル、つまり民間、ビジネス、政治など、多様なレベルで相互交流や意見交換が行われて信頼が醸成されるということが、日本の将来の繁栄や安全保障のために重要なので、いろいろな交流が行われることは良いことだ。会談での議論の内容をこれから見守りたい。

Q:有力な野党の代表がこのような会談を行うのは望ましいことか。

北城: 会談でどのような意見交換が行われるかを見たい。多様な意見交換や交流が行われることは好ましいことだし、当然野党だけではなく与党も含めて交流が行われることが好ましいと思う。

Q:どのような点を見守りたいとお考えか。

北城: 日中関係に限らず、首脳外交では、お互いの考え方を理解し、なおかつ信頼関係を構築できるかが重要なことである。もちろん近くの国の場合には色々な利害関係がある。資源の問題や領土の問題などもあるので、対立する意見は主張しながら、お互いに信頼できるか、相手の意見も理解し、こちらの意見も述べ、その上で双方にとって妥当な、妥協できる、お互いに利益を見出せる道を探していくというのが外交の重要なことである。そのような会談が行われるかどうかに注目していきたい。野党だけでなく、もちろん与党が外交の中で果たす役割は大きい。ブッシュ大統領と小泉首相にはお互い信頼関係があって、必ずしも全ての政策が一致しているわけではないが、大きなところで信頼があって外交が成り立っている。その信頼が構築できることが望ましい。

Q:税制の問題について、所得税の最高税率引き上げや、相続税の見直しなどが与党のなかで検討されているようだ。格差是正という観点もあると思うが、この辺りについていかがお考えか。

北城: 単に最高税率を引き上げるよりも、税制の仕組み全体、例えば直間比率の問題や公平に税の負担が行われるのかどうか(が問題)だ。サラリーマンはかなりの所得を捕捉されているが、所得の捕捉がない人たちがいると、公平感の問題があるので、納税番号制度を導入して、公平に税の負担が行われるようにした上で、直間比率の問題も含めて、持続可能な税制を構築していくべきだと思う。所得税だけではなく、固定資産税の問題や自動車税を含めた特別会計の問題もあるので、そうした問題を全部含めて検討していくべき。単に、税収が不足するから最高税率を上げるべきという議論はおかしい。

あまり高い税にすること自体は、活力や努力するインセンティブをなくすだけでなく、不正がおきるリスクが高くなる。脱税等を助長するようなことがあってはいけない。公平に、公正に徴税ができる仕組みがいい。特に、社会保障の面で世代間の負担の問題もあるが、世代内の負担を考えても、高齢者が必ずしも収入が少ないわけではない。お金を使ったときに税が把握されるのは、非常に公平な税である。所得の段階で100%捕捉できればいいが、それはなかなか難しいとすると、納税番号制度を入れて、できるだけ捕捉を高めるべきである。それでも不正する人がないわけではないし、高齢者でも税の負担ができる人もいる。支出をしたときに税の負担をする消費税という仕組みを、税の重要な体系の中に位置づけていくことは重要だと思う。

一方で、所得が低い人への負担感が増えるので、それについての対策は、別途税体系を見直す中で考えた方がいい。活力があって、持続可能な税制をいかに作るかを考えるべきである。活力をなくす税制を導入するのは、本来のあり方ではない。

国際社会を見ても、多くの国々では法人税も所得税も税率を下げる方向で各国は競争している。日本だけが法人税や所得税を上げるのは、世界の潮流に反する。日本だけが魅力のない国になる。

Q:移転価格税制の問題で、大企業がかなり強力な追徴課税を求められるケースが起きているが、これについてはどのようにお考えか。

北城: 日本企業も国際展開しているだけに、海外での需要規模が拡大している。それに伴う税制は重要な問題である。国内で税を支払うのか、海外進出先で税を支払うのかという問題になる。どちらでどれだけの税金を払うかは、企業の経営にとって重要なことである。移転価格税制についても、国税当局の判断を求めないと企業経営としても大きなリスクがある。企業としては、健全に実質価格を決めたとしても、国税庁から低い価格で出しすぎているとして、そこで追加の税が発生することがある。二重払いは企業としては避けるべきである。

各国とも、租税協定を作る中で、移転価格の問題は一番大きいと思う。脱税の意図があれば問題であるが、そうではない移転価格については、より企業にとっての達観性がでるような取り組みを、税務当局にとって欲しい。併せて、報道も脱税という書き方はおかしい。税は払うのであるから、日本で払うか、海外で払うか、どちらで払うかの問題である。払う仕組みの元になっている価格設定が妥当かどうかという判断であり、脱税という書き方はおかしい。移転価格の問題で、税負担について2国間の違いがあるという報道の方がいい。このような例を見ても、あまり税率が違うということにも問題がある。日本では税率が高くて海外では低いと、そのような疑念が起こりやすい。税率が同じなら企業は疑念を持つこともない。その意味では、日本社会も国際社会の中で競争していく、あるいは、国際社会の中で生活していくことを考えると、税負担の大きさもある程度国の競争力の要因になっている。企業からみれば税負担も経費という色彩がある。人件費や土地代が高い安いではなく、税も含めて競争力のある国を作ることが、日本の将来の発展のために重要である。

Q:日銀の福井総裁の問題について、世論が厳しい方向に向かっているが、改めて、こうした情勢についてどうお考えか。

北城: 世論は、マスコミの報道などでかなり影響される。もちろん情報の開示の仕方が適切であったか、道義的責任があったかという問題もあるが、今の時点で、福井総裁が辞める必要はないと思う。道義的責任はあるかもしれないが。総裁が辞める辞めない、あるいは日本の金融政策は、世論で決めることではない。問題があるとすれば、退任を求めることがあるかもしれないが、今回の福井総裁の問題で、基本的な日銀の内部ルールの趣旨に反したことはないと思うので、退任する必要はないと思う。経済界の多くの人は退任の必要はないと思っている。

Q:経済界の中で、退任すべきという意見は聞かれないか。

北城: 全員の方とお話したわけではないが、私が話した経営者は全て退任の必要はないという意見である。確かに道義的問題についてはいくつか意見はあるが、退任すべきかどうかについては、退任する必要はない。私が個人的に話した方では、退任すべきという意見はきいたことがない。

Q:いくつかの道義的責任とおっしゃったが、前回の会見では、他の人を勧誘する時点で名前が使われたという1点について述べられたと思うが。

北城: (私が考える)道義的責任というのはそこである。その他に、2月時点でファンドを解約するとご判断されたのが時期として適切であったのかどうか、持ち続けた方が良かったのではないかという経営者もいる。しかし、だから退任すべきという意見ではない。世論といっても、ワイドショーのようなところで、「国民はゼロ金利で困っているのに特別なファンドで利益を上げた」などあまりにも報道しすぎているのではないか。元本が保証されている預金と、投資して結果として全く損失してしまうかもしれないファンドや株の投資とを同列に扱って、結果として利益が上がったからおかしいというのは、投資そのものがおかしいという議論になってしまう。そうではないのではないか。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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