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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年06月21日(水)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、「2006年6月(第77回)景気定点観測アンケート調査結果」、「2006年度(第21回)夏季セミナー」、「世界経済フォーラム・東アジア会議2006(6月15-16日開催)」について発言があり、その後、記者の質問に答える形で(1)景気の現状と見通し、(2)日銀・福井総裁の村上ファンドへの出資とその後の対応、(3)米国産牛肉の輸入再開、(4)重要法案を残したままでの国会閉会、について発言があった。

Q:景気について先行き慎重な見方が出てきている兆候がある。株価も軟調だが、その要因と見通しについてどうお考えか。

北城: 今回のアンケートを見ても、多少景気の先行きについては慎重な意見があるが、それぞれの企業の業績に関しては、引き続き増収増益という声が多い。個々の企業の業績については円高や原油高といった制約要因があるが、堅調に推移すると見ているのではないか。そういう意味で、経済の本質的なところに問題が出たとは思わない。株価がやや上がりすぎた、BRICsをはじめとする新興国の市場価格(株価)の低下、米国の金利上昇のリスクなどによって、資金が多少移動したという面はあるが、本質的に経済に変調が起きたとは思っていない。株価は多少、気分の面もあるので、株価が下がることによって明るさが少しなくなる、慎重な感じが出てくるということが、消費等に影響をしなければいいと思っている。消費に影響すると言う点では、多少、株価の影響が逆資産効果としてあるかもしれない。しかし、本質的に経済は堅調だと思う。

小島: 株については、日本の株価もそうだが、世界中、特にインドや中東から下げが始まっているので、一つは世界的に余剰資金があったのを、これから少し金利が上がるという警戒感もあって、引き揚げているという部分があるのではないか。日本だけの現象ではないし、日本の景気は決してそんなに弱くなっているわけではない。景気指標として新たに弱い数字が出たわけではない。今度のアンケート調査の結果も、円高が進んでいる、株価の下落が始まっている時点だったので、多少弱く出ているが、先ほど代表幹事も言ったように、企業業績は前回の予想より強い。7~9月も増収増益と言う数字が出ているので、株価(の水準について)も四半期決算が出る頃になると、少し考え直すかもしれない。

Q:ワールドカップで、日本チームが弱いというか決定力不足であり、テレビ関連株に影響しているという見方もあるが。

北城: 多少あるとは思う。勝てば気分がよくなるということもあるので、今週末の結果を期待している。明るい展望の方がいい。日本チームには頑張ってほしい。

Q:日銀の福井総裁の問題について、発覚から一週間が経つが、どのように見ているか。

北城: この問題に関しては色々な観点から議論されているが、三点ほど申し上げたい。

最初は、村上ファンドに投資した道義的な責任の問題である。村上ファンドの運用についてインサイダー疑惑等が出ているが、そうしたファンドに当初投資したことに対する道義的責任に関しては、確かに結果として村上ファンドを支援したことにはなるが、ファンドの成立時点でこうした違法性を予見することはできなかったわけで、道義的責任はあるにせよ、進退を云々する問題ではないのでないか。

二点目は、総裁に就任した時点でこうしたファンドを売却しておくべきではなかったか、あるいは、ファンドや株式を信託しておくべきではなかったかという議論についてである。確かに透明性の観点で言えば、信託をしておくということはより透明な手段だった。しかし、日銀として株式等の運用に関するルールがあって、この範囲内で行われたことだ。そのルールが海外と比較して問題があるのではないかということに関しては、ルールを修正することは必要かもしれないが、振り返ってルールそのものに問題があったから、その責任を追及するのは公平ではないのではないか。我々はルールに従って行動する社会を作っているわけで、ルールそのものに問題があったということで、後からルールがおかしいので行動もおかしい、というのは本来の姿ではない。

三点目は、非常に巨額の利益を得たのではないか、特に低金利の中で、預金等による利息が少ないなかで、多額な利益を得たのではないかという点だ。確かに大きな利益を得たと思うが、一方でファンドは元本が保証されているわけではなく、損するリスクもあったわけで、元本を保証された預金と利回りについて比較することはおかしい。結果として大きな利益は出たが損するリスクもあった。結果として大きな利益が出たからといって、責任を追及するのは本来の主旨ではない。

確かに道義的責任等がある面もいくつかあるが、総裁を辞任しなければならない、ということではないと思う。職責を全うしていただくとともに、資産運用等のルールについては改正に踏み切られたらいいと思う。

Q:先日自ら処分を発表されて、6ヶ月間30%減給、ファンドに投資した一千万円と運用益一千四百万円の合計を全額寄付するという結論を出されたようだが、これについてどう評価するか。

北城: ルールに反していないというなかでの道義的責任に対する福井総裁ご自身の判断であり、私はそれを尊重したい。適切な判断ではなかったかと思う。

Q:海外の論調を見ていると、今回のことで日銀総裁の信頼が揺らぐのではないかという声があるが、それについてはどのようにお考えか。

北城: 日銀総裁としての金融政策等を判断するうえで、福井さんのこれまでのご発言等を見ていて、信頼が揺らぐことはないのではないかと思う。確かに今回、非常に大きな利益を得たということに対して、一般国民に「おかしいではないか」という気持ちはあるにせよ、これが金融政策に影響するとは思わない。また、政府が日銀総裁の立場を支持したということが金融政策に影響することでもない。日銀総裁については、政府に罷免する権限は基本的には無いので、金融政策についてその中立性が疑われるリスクはないと思うし、結果としてそれが示されると思う。

Q:多くの新聞の論調は、信頼が失われた、その回復こそが大事だということだと思う。ルールという論理的な部分とは別の、儲け過ぎ批判といった感情的な不信感が残ってしまうと思うが。

北城: 村上ファンドにインサイダー取引の疑惑があって、ファンドの運営については問題があったと思う。しかし、ルールに反して利益を上げたのであれば問題だが、結果として大きな利益が上がっていたということに対して問題を指摘するのはおかしい。低金利で預金等についての利息収入は非常に少なくなっているので、預金で運用していた人から見るとこれだけ大きな投資の結果、収益が上がったことに対する反感はあると思う。しかし、元本が保証されていないファンドや株式に投資して、結果として利益が上がったことに対して批判すること自体はおかしい。日本は資本主義の国であり、市場を中心に最も効率の良い事業に資金が回る仕組みで運営されているわけだから、多くの国民が株式市場等(の直接金融)に参加していないという現実はあるが、それをもってして結果として大きな利益が上がったことで、責任を追及するべきではない。ルールに違反することで利益を上げたのであれば、それは厳しく批判されるべきだと思う。

Q:代表幹事の認識は甘いと思う。日銀にほとんどルールがないという実態があったからこそ、今回見直そうという声があるわけだが。

北城: 例えば、米国の連銀や欧州の中央銀行との比較で日銀のルールが不十分ではないか、あるいは透明性に欠けているのではないか、という議論はあると思うし、それについてはルールを変えてもよいと思う。今の一般公務員の服務規程では、もちろんインサイダー情報を使った取引は問題だが、一般の株、ファンド、投資信託等への投資については報告義務がある。要するに、インサイダー情報を使って、不適切に資産を増やしたかどうかを評価する仕組みであって、これは日銀だけではなくて、一般公務員も服務規程(の対象)に入っており、国家公務員の規定と同じ水準だと思う。それが不十分であれば、変えても良いと思うが、今までのルールが不十分だ、全て海外のルールと同じでなければ不十分だということではない。日本に海外と同じでないルールは沢山ある。したがって、ルールが不十分であればルールを変えるべきである。

Q:儲け過ぎ批判、ルール違反ということは置いて、いま問われているのは、日銀総裁としての資質があったか、これからもあるかということだと思う。北城さんは、金融政策において中立性が疑われるリスクはないと断言されたが、その根拠はなにか。

北城: 今までの福井総裁の活動、金融政策に対する取り組み、説明責任ということに対して十分信頼を置いている、ということだ。

Q:経済同友会を舞台に村上マネーがメンバーに広がっていたという実態があるが、過去現在の主要メンバーが村上ファンドに投資していたかを調査する予定はあるか。

北城: 福井総裁は経済同友会の元副代表幹事であるが、2003年3月に日銀総裁に就任した段階で、副代表幹事を退任されている。村上氏が経済同友会に入会したのはそれ以降なので、決して経済同友会関係で資金が集まったということではないと思う。私が投資をしているかという質問もあったが、私は投資してないし、個々の会員の投資について、調査する考えは持ってない。今回は、投資したことが問題というよりも、村上ファンドの運営に問題があったのではないか。裁判の結果が出てないので、今のところ疑念ということになるが、インサイダー取引で利益を上げたとすれば問題である。

Q:道義的責任があるとご発言されたが、どういうところに道義的責任があるのか。

北城: ファンドを組成する段階では民間人だったが、元日銀副総裁が支援のために資金を出したことが、他の方の投資、つまりこのファンドに参加するという決断に影響し、資金調達が容易だったということはあるかもしれない。結果としてこのファンドの運営に問題があったとすれば、そのファンドを作る組成の過程で(福井さんの)投資が影響しているとすれば、そこには道義的責任があると見てもよいのではないか。しかし、その段階ではこのファンドに問題が出るとは予見されておらず、結果が問題だったからといって、投資したことについて責任を云々するべきではないと思う。

Q:経済界から、日銀総裁に就任した後もファンドを継続していた点について道義的責任を問う声が上がっているが、その点についてはいかがお考えか。

北城: より透明性という意味で信託した方が良かったのではないか、という判断はひとつあると思う。信託だけではないかもしれないが。一方、結果として株の売り買いはされていなかったということのようであるし、信託してあっても大きな利益が得られたかもしれない。「総裁就任時点で全ての金融資産について信託すべきである」というルールを作るとすれば、それに従うべきだと思う。今回は、インサイダー取引等による大きな利益を防ぐための制度であり、株式の売買をした場合には報告するようにというルールだったと思う。国民の疑念があるので、より透明な仕組みにすることは良いことだ。ルールそのものが不十分であるという議論はあってよいと思うが、そのルールに反していないにもかかわらず、ルールが不十分だったことで(総裁に)問題があるという意見には賛成できない。

ファンドを作る段階で、当時元副総裁であった福井さんが参加されたことが、支援という意味であったとはいえ、他の方からの資金調達に影響したとすれば、結果としてファンドの運営に問題があるということのようなので、そこには道義的、結果的責任があったかもしれない。就任時に将来の問題発生を予見するものではないので、道義的責任はあるにせよ、それをもって総裁を辞任しなければならないなど、そういう問題ではないと思う。

Q:中央銀行の総裁は、より高い倫理観を求められる。法令に規定されていなくても、ファンドへの投資などについては当然気をつけるべきという意見も多いが。

北城: 中央銀行の総裁も国家公務員もそうだと思うが、資産について株式やファンドでの運用は禁止すべきである、という意見の方もいらっしゃると思う。しかし日本は市場主義で運営している国なので、資金運用は全て預金でなければならない、ということはないと思う。インサイダー取引疑惑等の発生リスクの少ないシステムにすべきではないか、いくら報告を受けてもその検証が不十分なので信託をすべき、という意見には賛成する。今回福井総裁が大きな利益を得たことについて、国民感情からすれば、村上ファンドのように特定の人しか参加できないもので大きな利益を得たことをおかしいのではないか、というのは、心情的には理解できるが、総裁就任時にすでに取得してあった株の値上がり益の方が大きかったところもあるようなので、必ずしも大きな利益が問題なのではなく、大きな利益を得るための手段に問題がなかったかどうかを判断していくべきだ。

Q:先週の会見では、民間人の時代に株式投資をしたことはなんら問題ない、とおっしゃっていたと思うが、今日の発言はニュアンスが違うのか。

北城: 投資したこと自体には問題はなかった。その時点で法令に違反するようなファンドの運用が行われることは予見できなかったので問題ない、と発言した。結果として、村上ファンドの運営に問題があるとすれば、それに関しては道義的責任があるという意味だ。

Q:日銀総裁であろうが国家公務員であろうが、ルールがきっちりしていれば、株の運用は積極的にやるべきだとお考えか。

北城: ルールがきっちりしていて、なおかつインサイダー取引等の不正がない仕組みであれば。例えば公務員の場合、株の売買をしてはいけないということではなく、売買をした内容を報告する義務がある。報告の内容が正確かどうかをどう確認するのか、ということになれば、信託してあった方が自分の判断で不正が行われていないことが確認しやすいということだ。中央銀行の総裁は、特に金融政策について一般の国家公務員以上の権限があるので、より厳しい制度やルールを整備するということには賛成だ。

Q:日銀の内部ルールに「公正な職務を遂行するうえで疑いを生じてはならない」という箇所があり、今回の福井総裁の行為をもってして、既に金融政策をまともにできないだろうという見方がある。この点はルール違反になっているとお考えか。

北城: 公正な運営ができないとは思わないし、日銀のこれからの金融政策も公正に行われると期待している。総裁なので、日銀の運営については大きな権限があると思うが、最終的な評決に関しては総裁の一存で決まるわけではなく、審議委員を含めての最終決断だと思う。これからの運営を見ていきたいと思うが、私は信頼している。

Q:アメリカ産牛肉が輸入再開となるが、この段階での輸入再開は国民の理解を得ることができると思うか。

北城: 十分な検査体制であるかを政府が判断した結果、十分な体制がとれたという判断の下に再開される。米国側も当初約束したような形で、安全性に十分配慮した体制で輸出する。なおかつ、それが十分に機能していると検証していれば、輸入再開そのものについては問題ないと思う。当面は、日本側で全頭検査を行うようであるが、信頼回復が確立されれば、全頭検査という方向でなくてもいいのではないかと思う。

Q:重要法案を残したまま通常国会が閉会してしまったが、この点についていかがお考えか。

北城: 確かに重要法案が残っている。一方、十分な審議をせずに結論を出すことには問題があるし、外交日程を考えた上での総理のご判断だと思う。重要法案であればあるほど、次の政権を担う方の判断も重要になる。その意味で、次に総裁になられる方が、重要法案についてどのようなお考えをお持ちかを表明して頂くうえでは、かえって国民の側で十分議論できる機会ができたのではないか。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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