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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年06月06日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)村上世彰氏の逮捕とその影響、(2)民間トップの登用、(3)靖国神社参拝、(4)WEF東アジア会議、(5)対中円借款の凍結解除、について発言があった。

Q:昨日、村上ファンドの村上世彰代表が逮捕されたが、これについて所見を伺いたい。

北城: インサイダー取引が行われたということで村上さんも事実を認めているようであり、大変遺憾だ。市場に参加する人が、市場のルールを守って活動することが健全な資本市場を育てるので、ルールに反したことは大変問題だ。当初、モノを言う株主ということで、企業統治(コーポレート・ガバナンス)に参加し、企業の価値、株主にとっての価値を高めるという主張で活動されているように見えたが、今回の事件を含めて、最近の活動には問題があったのではないかという印象を受けた。

Q:村上ファンドの功罪について、どうお考えか。

北城: これまでの株主は、モノを言わぬ株主という色彩もあり、かつての株式持ち合いのように、株主でありながら企業経営に参加しないという側面があった。経営者は株主も含めて従業員、お客様、社会といった多様なステークホルダーに対する配慮が必要であり、そういう意味で企業業績を高めるのが経営者の責務であるとすれば、例えば過剰な資金を寝かしておくべきではないといった企業経営が取り組むべき課題について、モノを言う株主として、経営者に色々な意見を表明することは問題ではないし、それ自体は評価しても良い。一方で、利益を上げるためにインサイダー取引のような法に反するようなことをすることは、本来市場に参加する者としての責務や倫理観に反するようなことで、非常に残念だ。

Q:証券の世界からは身を引かれるということも表明したが、こうした幕引きの仕方については、どうお考えか。

北城: 今回、色々と反省されているようなので、反省し罪を償った上で、今後どのような活動をされるかは、村上さん自身が考えることだ。今のように市場の信頼を無くして、資金を集めて活動を続けるというのは基本的に無理があると思うし、。市場から信頼されなければ、どちらにしても今までの形で事業を続けるのは難しかったのではないか。

Q:逮捕されることが概ね分かった段階で記者会見を開き、一方的に自分の論理を語り、その内容が検察の見方と真っ向から対立しているような面もある。事件化する直前に会見を開き、自分の言いたいことを言うという姿勢について、どうお考えか。

北城: 村上ファンドについて色々な報道が行われている中で、村上さん自身がどのような考えをお持ちかについては、多くの人たちが関心を寄せていたと思うので、記者会見を行ったこと自体が問題だとは思わない。一方で「(ライブドアがニッポン放送の)買収を進めることを知ってしまったのだ」という、仕方なかったのだと取れる発言があったと思うが、(ニッポン放送買収を)知った上で株を買い増しするというのは、今回の場合、インサイダー取引になるので、やはり法律に違反することがあったということだと思う。

小島: ルールは知っていたが大丈夫だと思っていたような部分があったのではないか。

北城: 金儲けが目的ではないという発言には納得性が無かったのではないか。利益を得るために、ライブドアが買収を進めることが分かった後も株を買っていたのではないか、と考えるのが妥当な判断だと思う。市場は常に変化して進歩していくわけで、できるだけ規制をなくして自由な企業活動ができるように開放政策が取られてきたが、一方で、ルールが不十分であれば、対応する新たなルール、監視体制を作っていくというのが市場の進化の第一歩だ。そういう意味で、株主にとっての価値を考えて企業経営をするというのも市場の進化だが、一方でルールに反するような事例が出てくる、グレーな、判断に迷うような事例が出てくる、あるいは監視体制が不十分だということであれば、今後、特に監視体制については検討が必要になるのではないかという印象を受けた。同友会でもこうしたことを、少し考えていきたい。

Q:株価も少し下がってきているが、(村上氏逮捕が)影響していると見ているか。

北城: 当然、村上ファンドが株を保有していた企業の株価下落ということはあると思う。それだけではなく、国際的に海外市場も含めて金利の上昇が進んでいる。米国、欧州における金利の上昇に合わせた株価の低下、インドをはじめとする新興市場で資金が金利の高い商品に移っているということもあるので、単に日本の株だけが下がっているわけではなく、世界市場でもある程度、株価の調整は起きている。一方で、日本の景気や企業業績の現状は健全なので、株価収益率を考えた水準で落ち着いていくと思う。そういう意味で、業績の良い企業の株価が上がるという当然のことが調整の中で起きているということで、余り危険な兆候とは思っていない。かえって、企業の実態以上に株価が上がることが異常なので、必要な調整だと見てよいと思う。

Q:村上ファンドについて、市場のルールに反した事例が出てきた場合には、それに対応することによって市場が進歩するというお話だったが、どのような課題があるとお考えか。

北城: TOBのルールについてや、市場外取引、ファンドを構成する構成員の情報開示や情報開示期間の整備が現在行われている。法律には反しないが、市場の本来の趣旨からすれば反する行動があるのではないか、という例がいくつか出てきている。このような行動が起きる度に、市場のルール・法制度の整備と、その法制度に基づいて健全に市場が動いているのかを監視する組織体制が今のままでいいのかを検討すべきである。今回の村上ファンドでは検察が動いた。ライブドアの件があり、そこで色々な情報を得たのかもしれないが、証券等の取引を監視する委員会の機能が十分であったのかも含めて検討すべきである。同友会では金融・資本市場委員会で、市場の監視機能の整備について、これから議論していきたいと思っている。

監視体制については、一概に強化すればいいというわけではない。米国のようなSECを作ればいいという意見もあるが、その要員の育成の問題、証券会社の職員との関係などを検討する必要がある。米国の場合は人の移動が多くあるので、現実に証券市場に参加している人が監視委員会に移れることもあるが、日本の場合はそうではない。日本の労働慣行にふさわしい監視体制がどうあるべきかを今年は検討してみたい。

Q:村上ファンドについて、オリックスの宮内さんがファンドの創設から関わっているが、お金の出し手の責任をどのようにお考えか。宮内さんへの批判は出てこないのか。

北城: 宮内さんやオリックスと村上ファンドとの関係については、具体的な関与の中身を知らないのでわからない。しかし、資本を出していたとか、非常勤取締役を出していたなど、村上ファンドが設立される過程ではオリックスの貢献もあったと思う。先ほどお話したが、当初の村上ファンドの趣旨は、経営資源を十分活用していない企業に対して、取締役や株主として発言をすることによって、企業の価値や株主の価値を高める経営をするという考えであり、それに賛同して当初資本を出されたと思う。しかしその後、村上ファンドの活動の変化の中で、どのようにオリックスが判断されたかはわからないが、最近資本を引き揚げたということであるので、当初の考えとは違う活動があったという判断があったのではないか。詳しいことは分からない。

Q:宮内さんへの批判は出てこないのか。

北城: 当初の村上ファンドができる上では、貢献をされたと思う。しかし、それ以降の経営方針について、どのようなご判断や貢献があったかについては、よくわからないのでコメントできない。宮内さんは、公的な仕事として規制改革に取り組まれているが、この2つを結び付けるのはおかしいと思う。村上ファンドに問題があればそこを見るべきだし、宮内さんが行っている規制改革は、日本のために必要なことかどうかということで議論すればいい。たまたま村上ファンドに関係していたから、規制改革での宮内さんの活動に問題があるという意見には賛同しかねる。

Q:宮内さんだけでなく、社会保険庁の村瀬さんや郵政公社の西川さんなど民間から入って改革を進めているが、道路公団の近藤総裁の退任などもあり、民間の経営者への批判が高まっている。これについていかがお考えか。

北城: 一般に民間から入って、民間的な経営手法をとったから問題が起きた、という短絡的な意見には賛同できない。今までの官の中での運営でよかったのかといえば、官の中でも大きな問題があった。社会保険庁の問題も、具体的にどのような問題があったかについてこれから情報が出てくると思うが、社会保険庁そのものにも問題があったので、村瀬さんが長官になったわけである。結果として色々な問題が出たということは、トップにいる方の責任は常にあるとしても、民間的な経営手法を創意工夫して、効率を高める活動に問題があるというのは、非常に短絡的な言い方である。どのような組織でも、無駄をなくし、効率的な運営をして成果を出すのは重要なことである。政府や官でも効率的な運営は必要なことである。効率的に運営しなくてもいいということではない。ただ、法に反する、社会での価値観や倫理観に反するようなことをしてまでも業績を上げろというのは社会のルールではない。特に組織のトップにある人間は、常に社会に対する高い責任感と倫理観を持って、組織運営をしなければならないという自覚をすべきだ。民間から出たから問題という言い方は、改革をしたくないという意見の代弁に聞こえて仕方がない。

小島: 逆にもっと多くの人が民間から入ればまともになったかもしれない。社会保険庁に関して言えば、本来ルールを良く知っているはずのお役人が、きちんと法律を守らないという事態が起きてしまったことの方が、よほど大変なことである。

Q:民間からトップを一人送り込まれても、改革することに限界があるということなのか。

北城: 一人だけではなかなか難しい点があると思う。どんな組織でもトップ一人だけで運営できるわけではなく、トップが変わるとそのトップの考え方を支持する体制を作る。例えば郵政公社でも、生田総裁がトップになられた後、何人か経営陣や幹部に、民間だけではないが経営に必要な人材を集められた。その中で健全な経営や組織改革ができるのではないか。いろいろな組織において、民間からトップ一人を投入すれば問題が全て解決するというのも単純な発想だと思うし、トップに就いた方が改革に必要な組織体制を築けるような支援がないと、トップ一人だけで全てをやれというのも無理がある。ただし、トップの役割は非常に大きい。健全な組織運営や効率的な運営をできるように組織をつくることも、トップの役割だと思う。トップの意向にあわせて組織体制を組めるような支援が必要だ。

Q:靖国参拝について、安倍官房長官が総裁選の争点にしないし、自身が参拝するか、しないかは表明しないと発言されている。先日(の会見でも)、マニフェストに示すべきだと発言されていたが、争点化しないという動きが出ていることについて、どう見ているか。

北城: 自民党の総裁選に当たって、候補になる方が政策を政権公約(マニフェスト)でまとめていただきたい。マニフェストの中には当然内政、経済政策もあるが、外交政策もあると思うので、それを含めて政策を出していただきたいという主旨で発言した。安倍官房長官は、靖国参拝について適切に判断されると発言されているので、それでいいのではないか。今の段階で(靖国に)行く、行かないということよりも、アジアを含めた外交政策をどのように考えていくかを政権公約の中でまとめて表明していただければよい。靖国参拝だけを取り出して議論するということに、殊更、焦点を当てる必要も無い。

小島: マニフェストの中に、それを必ず書いて欲しいと申し上げたつもりは無い。

北城: アジアの中で、中国、韓国、その他の諸国との良好な関係、ASEAN諸国を含めたFTAの問題、それを拡大した東アジア経済圏の設立に向けてどう取り組むか、といった外交政策を考える必要はあるし、当然、日米の安全保障を含めた外交政策も重要な機軸になると思う。

Q:中国委員会の提言について、小泉総理が「北城さんもわかっていらっしゃると思う」と発言された。総理は、何についてわかっているとおっしゃったとお考えか。

北城: 経済同友会の中国委員会としてまとめた提言の一部である靖国問題について、いろいろと報道された。靖国問題については、何度も総理とお話をさせていただいたことがあり、我々の主張について総理にはご理解いただいていると思うし、総理も決してA級戦犯を崇拝するために靖国に参拝されているわけではなく、戦争で亡くなられた方々への慰霊の気持ちでいらっしゃっている。日中関係が重要であることは総理もおっしゃっているし、総理のお考えを我々が理解していないわけでもない。1回立ち話をしたという程度ではなく、何度か議論をさせていただいたうえで、我々も総理のお考えを理解しているし、総理も我々の主張をご理解いただいているということで、そのようにご発言されたのではないか。

我々の意見は、日中関係においては、単に経済だけではなく、国民の相互理解等に問題が起きていること自体について、問題意識があるということだ。双方の国民の中に、反中国、反日本という機運が広がることが、長期的な日中関係の構築に問題だろうということを含めて提言をしたものだ。短期的な売上を念頭に置いて提言したわけではないし、それについても小泉総理にはご理解いただいていると思う。

経済同友会の提言や私個人の発言は、概ね小泉総理の構造改革を支持しているし、一歩前進だがもっとやっていただきたいというのが大体の我々の主張だが、この問題については総理と少し見解の違う点があったということだ。小泉政権の政策について反対しているわけではないし、それは総理にもご理解いただいているだろう。

Q:6月15日、16日に世界経済フォーラムが開かれる。日中韓の連携等も議題に上ると思うが、この会議に期待することは何か。

北城: ご存知のようにWEF(ワールド・エコノミック・フォーラム)は色々な会議を開催しており、ダボスで行われる会議が非常に有名でダボス会議とも言われるが、世界全体の色々な課題について経営者、政府閣僚、学者、マスコミといった多様な人々が約2千名集まって議論をする。世界全体の政策課題に関して、昨年や今年のダボス会議では、例えば温暖化やアフリカを含めた貧困や疾病の問題に対して、先進国としてどのように取り組むべきかを議論している。そのほかに地域での会議も行われており、東アジアに関するWEFの会議も行われている。東アジアの会議といいながら、これまで日本では行われておらず、開催地はシンガポールや韓国、マレーシアだった。やはり東アジアの主要国である日本でも開催すべきと考え、WEF側に働きかけたところ、今回の開催となった。日中韓という課題よりも経済協力・発展、環境問題、資源・エネルギー問題、FTA等、東アジアが今後、どのように安定的に発展していくべきか、そのためにどのような手段があるのかについて、東アジアが世界経済の発展の中で重要な位置を占めるということで、東アジアだけではなく米国、欧州の経営者、政府、マスコミの方も参加して会議を開催する。この会議に参加する過程で日本の閣僚、経済人、学者が日本の考え方をアジアあるいは世界の人々に対して表明する良い機会になると思うし、海外の人たちが日本に何を期待しているかを理解する場にもなるのではないかと期待している。

Q:本日、政府が中国向けの円借款の凍結解除の方針を決めた。小泉総理も、安倍官房長官も総合的に日中関係を見て決めたとのことだが、中川農林水産大臣は何故解除するのかと反発している。先日の日中外相会談開催など、日中相互に政治面でも多少動きが出ているように見えるが、これについてはどうお考えか。

北城: 日中が良好な関係を維持するというのはアジアの発展にとっても重要なことだ。単に経済関係で企業の投資が進む、利益が上がるということだけではなく、両国の国民が相互に理解していく中で安定的に発展していくということが必要だ。そういう意味で、日本のODAが中国の発展に果たしてきた役割も大きいし、その役割が日本人の中でも十分に理解されていない。例えば北京や上海の空港建設における日本のODAの貢献について日本人も理解していないし、中国の中でもよく理解されていない。昨年、抗日運動が行われたが、それ以降、中国経済の発展に対して日本のODAが果たした役割を学生に教えるとういことを大学が取り組んでいるとも聞いている。中国は確かに大きな経済発展を遂げているが、一方で環境問題、省エネルギー問題といった政策課題があるし、中国やインドが資源を浪費しない形で発展するということは、世界的に見ても原油や資源価格の高騰を抑えることに繋がり、日本にとっても利益になる。ODAの額は今後減っていくと思うが、必要な支援をしていくこと自体は良いことではないか。中国も国内では大きな課題を持っているので、そうした問題の解決に日本が貢献するということは、良好な関係を維持する意味では適切なご判断だったと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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