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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年05月23日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から「日本企業のCSR:進捗と展望——自己評価レポート2006」について説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)CSR自己評価レポート、(2)株価と景気、(3)政府の政策決定のあり方、(4)銀行の決算、(5)中国委員会の提言、について発言があった。

Q:CSRレポートの、不祥事が起こりにくい組織作りという設問に対する結果をどう評価しているか。

北城: 不祥事を起こさないという会社の方針についてはトップから指示が下りていると思うが、それが健全に機能しているかどうかを確認する体制としては、まだまだ十分ではないということではないか。従って、トップとして方針は出されているが、組織の中での徹底、それが健全に運営されていることを監査する仕組み、あるいは問題があった場合に、内部通報等でトップに知らせる仕組みが整備されていないということではないか。同友会の(会員)企業のトップについては、不祥事を起こしてはならないという意識は徹底してきていると思う。大手建設会社でも談合等を今後行わないという方針を出されていると聞いているので、組織のトップが健全な経営をするという方向を出されれば、今後、組織に徹底していくのではないかと期待している。

Q:今日も株価が下がっているが、この現象を一時的と考えているか、それとも景気回復が難しくなる兆候なのか、見通しを聞きたい。

北城: 株価の見通しは分からないので、今の状況をどのように評価するかということだと思う。今の株価を企業収益と比較してみると、PER(一株あたり利益)の水準は20倍程度なので、米国でも18倍と言われており、諸外国を見ても健全な水準ではないか。株価は現在の利益水準もあるが、翌年度の利益水準も考慮して決まっているので、そういう意味では、ほぼ企業業績を表していると思う。従って、企業業績の今後の展望をどう評価するかということだが、一方で、多少の円高や原油高等、いくつかの懸念要因があるし、米国経済減速というリスクもある。しかし、多くの日本企業は健全に経営をしているし、来年度についても急に企業業績が落ちるということは予測されていない。個人消費も比較的健全な状況にあって、基本的には景気が拡大している局面だと思う。従って、大幅な株価下落が起きるという状況ではない。株価は企業業績の健全さを反映するので、経営者は企業業績を上げるように努力すべきだ。景気が良くなると安心してしまうこともあるが、安心せずに改革に努めるべきだ。国も小泉総理が続けてきた構造改革の推進、9月には首相交代も予測されているが、構造改革を継続することが必要だ。

Q:昨日、政府与党が財政経済改革会議を発足させたが、経済財政諮問会議と重複する部分があり、これまでの官邸主導の政策決定のあり方が変わるという見方もあるが、どうお考えか。

北城: これまで首相の下で経済財政諮問会議が運営され、民間議員も含めて改革の推進力になってきた。一方で、自民党の党としての改革推進体制が今まで不十分だった。どちらかとういうと、経済財政諮問会議を中心として政府主導で改革が行われてきた。これに対して、党も改革に取り組むという方向を出されたのは非常に結構なことだ。政府では、それぞれの省庁の利害もあって、改革が実行しにくいテーマもあると思う。政治主導で改革を進めようという動きは結構なことであり、民間議員も入った経済財政諮問会議と両輪で進めていただきたい。改革が遅れることがあってはならないが、幸い中川政調会長も構造改革の推進に、大変熱心に取り組んでいらっしゃるし、財政再建についても増税よりも歳出削減を重視する方向を出されている。国の資産活用も含めて、まずは歳出削減に積極的に取り組んでいただければ良いと思う。

Q:銀行の決算が発表され、軒並み高い利益を上げているようだが、今回の銀行決算について、どのようにお考えか。

北城: 大手銀行の決算が出されているが、これまでは不良債権処理のために利益が落ちていた、あるいは赤字決算をしていたという色彩があると思う。今回は不良債権処理が進んで大幅な引き当てが必要なくなった、あるいは一部の銀行では既に引き当てたものが景気回復に伴って企業再建が進み、必要なくなった分の戻し入れが起きたということもあると思う。そういう意味で、基本的な業務利益の水準を上回るような決算が出されているが、これから不良債権処理が進展していく中で、こうした戻し入れの利益は出てこないと思うので、今後は、それぞれの銀行の業績そのものが企業業績として出てくると思う。業務純益が上がれば、競争力の強化やお客様サービスの向上に活用していきながら、一方で、日本の金融機関の利益水準そのものが規模に比較して、国際的に非常に高いというわけではないので、一層の経営効率の向上に努める必要がある。従って、一時的に戻し入れの金額が多いからおかしいということではない。引き当てに積んだものが景気回復に伴って必要なくなったとういことは結構なことではないか。ただし、預金者の方に正しく理解していただく広報活動が必要だと思う。

Q:先日発表された日中関係の提言について、先週17日に代表幹事も含めて財界人と首相の懇談があり、その際に、「ご迷惑をお掛けしました」と発言したと伝えられている。その事実関係と発言の真意についてお聞きしたい。

北城: 総理との会食の席であり、総理とこの問題については(過去に)議論をしたこともあるが、会食の席で議論したわけでもない。食事の最中なので、一言「お騒がせしています」と申し上げた。提言そのものは幹事会で決定したものであり、方針を変えたということではない。一部、提言と違う内容を発言したという報道もあるが、食事の席で「お騒がせしました」と一言申し上げた。

Q:提言が大きな波紋を呼んでいるが、発表して以降の政界の反応についてどう受け止めているか。

北城: 色々な方からご意見は頂いているが、多様な意見を交わすことができる社会は非常に健全な社会だ。従って、賛否両論いろいろな意見を頂いて、我々も真摯に耳を傾けているが、提言の内容が変わるということではない。

Q:発表された日に、小泉首相が「商売と政治は違う」と発言されたり、国立追悼施設について「遺族に対して僭越ではないか」と政府首脳が発言したりしているが、こういった反応に対しては、どうお考えか。

北城: 政府高官の意見は存じ上げないが、総理の発言は、商売という言葉で発言されたと思うが、政治と経済は別だということだと思う。これまでも政治と経済は違うというご発言をされている。(政治と経済は)必ずしも一体ではないと思うが、経済も含めて国の政策を決めていくということではないか。総理は経済とは別の判断をしているということを言われたのだと思う。

Q:9月の総裁選含みで、靖国について思惑の異なる方々が、同友会の提言を自分にとって有利、不利と解釈するような動きがあるが、思惑含みで捉えられるということについて、どうお考えか。

北城: 以前から申し上げている通り、総裁選に当たっては、それぞれの候補者が基本的な政策の方針をいわゆる政権公約(マニフェスト)でまとめて頂きたい、それに基づいて我々も意見を表明していきたいと思っている。候補者と言われている4人も含め、どのような政策を打ち出されるかを見て判断したいと思う。その中に、内政、外交含めて、どのような政策課題が提示されるか分からない段階で、今、お話し(お答え)するのは適切ではないと思う。

小島: 少なくとも、そのようなことを意識して出したものでは、全く無い。

Q:意識していなければ、なおさら、何故このような時期に出したのか。

北城: 幹事会では時期についても議論があったが、同友会の運営が、4月末が新年度の始まりであり、一年経つと委員会が終わるので、提言は大体3月から5月にかけて出されるという、それだけのことだ。特別、時期を見計らったというようなことはない。

Q:ポスト小泉を考える際に、靖国参拝については、どのような姿勢を求めたい、とお考えか。

北城: 内政に関しては、ほとんどの総裁候補と言われている方が構造改革の推進に努められると思う。構造改革にも優先順位のおき方、歳出と歳入の一体改革について歳出削減をまず進めるのであれば、どのような政策を取るのか、社会保障をどうするのかについて、政策をまとめていただきたいと思う。提言にも書いているが、靖国参拝や日中関係に限らず、日韓、(対)米国、欧州、アジアの色々な政策課題があると思うので、外交や安全保障も含めてマニフェストに書いていただくことで国民が判断できる。まずは党内の判断になると思うが、政権公約として提示したことが、政策を実行する原動力となる。従って、政権公約の中にまとめていただきたい。

Q:食事の席だったので詳しく話しをしなかったということが、そういう機会だからこそ、詳しく総理に話をするべきだったのではないか。

北城: 私は経済同友会代表幹事という経営者個人としての立場で、総理とこの話を何回か議論している。今回は幹事会として方針を出した中で、(靖国参拝は)日中関係を含めた色々な提言の中の一項目であり、その場も政策を議論する場ではなく、総理が、経済がどのように進んでいるかを聞かれる場だ。色々報道されている中で、総理にお会いして一言も言わないのも変なので、一言だけ言った。

Q:提言後、同友会の方に、特に批判的な声や電話が寄せられている(と聞いている)が、身の危険を感じる、あるいは言論に対して挑戦的な反応があったりしたのか。

北城: 賛否両論、電話や手紙等をたくさん頂いている。それぞれのご意見については全て目を通しており、真摯に拝聴したいと思う。一方で、色々な立場の意見を表明できるのは民主主義の重要な仕組みなので、色々なご意見があっても、同友会としての立場で意見は出していきたい。

Q:靖国参拝について、小泉総理と何度かお話されたことがあるとのことだが、参拝再考という今回の提言のような内容だったのか。

北城: 私の意見はその通りで、いろいろ議論をしたうえで、小泉総理も「政治と経済とは別の判断がある」というお考えだ。これは総理のご判断だと思う。

Q:今回の提言で靖国参拝の再考を求められているが、それによって小泉総理がお考えを変えることをあまり期待はされていないということか。

北城: これから小泉総理がどうご判断されるかということだ。9月の退任までに参拝されるかどうかは分からないが、それは総理の判断だ。我々は経営者として、会社の業績や業界の利益ではなく、日中の良好な関係のためには、総理に靖国参拝を再考していただいた方が好ましい、特に、中国や韓国でいろいろな意見があるなかで、総理ご自身の慰霊の気持ちはわかるが、なかなか真意が伝わらないので再考を求めたい、そういう議論をしていた。しかし、どうご判断されるかは総理のご判断だ。

小島: あの提言自身が、そこだけを捉えたものではない。いろいろな意味で広く議論をしたなかの一部に過ぎない。そこが変わらなかったら日中関係も変わらないというほどのことでもないような気がする。

北城: これが解決すれば全ての問題が解決するわけではない。まだ、資源問題や歴史認識などいろいろな問題がある。

Q:日本側だけでなく、中国側にも中国大使館を通じて、反日行動や教育などについて提言を届けたようだが、中国側の反応はどうか。

北城: 昨年反日運動があり、上海や北京などの大使館や領事館に投石などが行われた。その際、「反日行動を阻止することや大使館や領事館の安全を守るのは中国政府の責任であるので、大変遺憾なことだ」と発言している。また、中国側での教育の中身が反日的であったり、狭いナショナリズムをもとにして日本を批判することもおかしいし、我々も日本のナショナリズムを狭い意味で捉えて、反中国、反韓国ということを煽り立てるのは好ましくない。このような趣旨は、先日の提言にも入っている。

先日の提言は、日本政府だけではなく、中国政府への提言でもあるので、外務省と中国大使館にお届けした。

中国側は、全文を読んでから意見を伺ったわけではなく、お届けした時点での意見だが、戦争等で被害を受けた国民の気持ちもわかっていただきたいとはおっしゃっていた。我々としては、反日的な行動については問題だと思っていることを、本国政府に伝えて欲しいと大使館にお伝えした。

Q:今月末、産業界が中心となって、日中の省エネ環境フォーラムが開催される予定となっており、中国の閣僚が久し振りに来日するのはないかと言われているが、このような動きについてはどうお考えか。

北城: 省エネや環境について日本には大変優れたものがあるし、こういった技術を利用して中国での省エネ運動や環境対策が進むことは、日本だけではなく地球環境の維持や資源等の確保という観点でも好ましいことだ。我々の提言の趣旨は、日中が良好な関係を築くことが好ましい、そして双方の利益になるようなプロジェクトを共同して進めることが望ましいということだ。環境や省エネに関して、日中でいろいろな技術交換や政策提言に関する意見交換が行われ、相互に理解が深まることは非常によいことだと思うし、日本の技術が多くの国々で利用されることは、日本の外交や安全保障の観点でも大変好ましいことだ。日本が存在することによって、他の国々がメリットや利益を得られることは、日本の将来や技術力による安全保障、産業政策としても非常に好ましいことだ。

Q:ポスト小泉は、靖国問題をマニフェストに示すべきだとお考えか。

北城: 靖国問題だけではなく、いわゆるアジア外交、外交全般や安全保障も含めてマニフェストに方針を示していただくと良い。外交、特に外交交渉に関しては日本だけで決められるものではないので、どういう方針で外交・安全保障に取り組むかを出していただきたい。もちろん、構造改革を含めた財政運営についても方針を示していただきたいし、教育、人材の育成や格差の問題、再挑戦、特に格差のなかで一度失敗しても再挑戦ができるような社会を作る、格差が固定しないことが重要だと思うので、内政については当然書いていただきたい。

Q:日中間の首脳外交が途切れている理由として靖国参拝を位置づけられているということは、そこが注目点ということではないか。

北城: マニフェストにどういう形で書くかとか、どういう行動をされるかについては、各々の候補者のお考え判断だと思うので、我々がこう書くべきということではない。我々の立場は表明しているので、候補者の方々の政権公約を見て、我々の意見を述べさせていただきたい。

中国があまり批判すること自体も、我々が自主的な判断をするうえで制約になるので、できるだけ双方に良好な意見交換や相互交流の場を拡大し、各々が狭いナショナリズムで反中国、あるいは反日という行動に走らない方が、アジアの主要国として好ましいことではないかと考えている。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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