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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年05月09日(火)
出席者 北城恪太郎 代表幹事
小島邦夫 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)阪神電鉄株と村上ファンド、(2)円高、(3)中央青山監査法人の業務停止命令、(4)地方銀行の不良債権問題、(5)為替レート、(6)トヨタ自動車のセクハラ問題、(7)日本経団連会長交代、について発言があった。

Q:阪神電鉄と村上ファンドの攻防について、取締役の過半数を村上ファンド側で占めるようにという株主提案があり、それに対して阪神側が経営支配だと反発している。一連の動きについてコーポレート・ガバナンスの観点も踏まえて、見解を伺いたい。

北城: 株主が取締役を選任するのが公開企業のありかただ。株主総会で、どのような結果が出るか分からないが、基本的に市場のルールに従って行われれば、後は株主がどのように判断するかということだ。個々の経営戦略について、特に投資ファンドの活動に関して、かつて違法性のあるような株の取得が行われたこともあるが、今回はそうではないと思うので、後は株主が判断されることだと思う。

Q:現在の阪神の社外取締役である玉井英二氏が、村上ファンド側の株主提案の取締役候補の中に入っているということで、阪神側が裏切り行為と反発しているが、この点については、どうお考えか。

北城: 株主が取締役を選任するわけだから、どういう取締役が相応しいかは株主が判断することだ。推薦された取締役が受けるかどうかもまた取締役の判断なので、裏切りかどうかという問題ではない。株主がどのような提案をするか、それを受けた取締役がどのような判断をするかという問題だ。今回、村上ファンドが取締役の過半数あるいはそれに近い形の提案をしているが、村上ファンドの提案が適切か、現経営者の経営戦略が適切かを決めるのは株主だ。株主総会でどのような結論が出るかを見守りたい。

Q:この3週間ほどで7円高くなるなど、急激な円高が(進行しているが)輸出企業等に、どのような影響を与えるとお考えか。

北城: 経営の立場からすれば、急激な為替の変動は経営に大きな影響を与えるので好ましくは無い。一方で、為替はその国の経済力を反映するものだから、日本経済が復活して海外からの評価が高まっているのであれば、円が高くなるのは自然なことだ。急激な変化を抑える活動というのは(これまでも)あったかもしれないが、人為的に為替の操作ができるということではない。7円も高く振れたのは急激な変化だと思うし、輸出企業や海外で主要な収益を上げている企業にとっては影響があると思うが、一方で、原油価格や原材料価格に関して言えば、円高によって消費者に安く提供できる可能性もある。従って円高について問題というよりは、この程度の水準であればそれぞれの企業が対応できる範囲だとは思うが、急激な変化は我々としては好ましくない。

Q:正式発表ではないが、金融庁が中央青山監査法人に対して、カネボウの粉飾決算に関連して業務停止命令を出す方針を固めた。四大監査法人に対する業務停止命令ということでは初めてであり、産業界に与える影響も大きいと思うが、どうお考えか。

北城: 確かに監査法人に業務停止命令が出れば、その監査法人から監査を受けている企業にとっては影響が出ると思う。一方で、公認会計士を含めて経済活動に参加する専門職には社会的責任もあるし、監査法人も健全な監査を行うということが株主、市場に対する責任でもある。従って、不正があった場合には厳しい処分があるのは当然だと思う。今後も経済犯罪については厳しい処分を行うということが必要だと思う。

小島: 金融庁もタイミングを考えて動くだろうし、目先の決算がうまくできなくなるということにはしないだろう。

Q:中央青山の監査を受けている企業がマーケットで売り材料にされる懸念は無いか。

北城: ちょうど決算をまとめて監査法人の意見を求めている段階だけに、決算が公認会計士の監査を通らないということは企業にとって大きな影響を与える。金融庁がどのような判断をするかは分からないが、これによって監査対象の法人(の株)が売られるということはないと思う。ただ、決算書類に大きな影響が出ないことを期待している。

Q:こうした監査法人の不祥事が起きていることを受けて、監査法人のあり方が問われていると思うが、そのことについてどのように考えているか。

北城: 企業経営者が、主な監査法人の役割について、企業の決算を企業の立場で理解して監査結果を出して欲しいと期待するのであれば、それは本来の監査法人の役割に対する誤解ではないか。本来の監査法人の役割は、株主に対して企業の決算状況が健全であることを確認することである。信頼に基づいて市場が形成されているので、企業経営者にとって心地よい決算を認めて欲しいと期待するのはおかしい。かつての粉飾決算に関しては、企業経営者側の意向を反映した監査報告を出した例がある。これは重大な裏切り行為である。株主に対する責任を果たしていない。監査法人は本来の責務である株主に対して、会社の経営者が健全な経営をしていることを確認して、意見を表明すべきである。それに反する行為であれば、処分の対象になるのは当然であり、それだけ責務があるということである。

Q:処分は厳しくあるべきなのか。

北城: そうである。監査法人に限らず、耐震偽装問題などの建築基準法違反や弁護士も同様である。それぞれの分野でのプロフェッショナルは、それだけ社会的責任を持って判断している。従って、社会の期待に反する行動があったときには厳しい処分があるのは当然のことである。逆に健全な活動をすることを期待されて、それぞれの事業を行っている。

投資家は、監査法人が適正な監査を行っているということをもとに株を買っている。不正な会計処理によりその会社が倒産したときに誰が責任を取るのか。もちろん経営者にも問題があるが、適正な監査報告を出した監査法人の責任は重いと思う。

Q:金融庁は処分の時期を考えているようであるが、時期についてはどのようにお考えか。

北城: 今は丁度決算の時期で、監査法人が監査結果を表明する時期である。ここで監査業務ができなくなって、別な監査法人を見つけて監査をお願いするのは、物理的に無理である。その意味では大きな混乱を起こすことが本来の趣旨ではない。それを考えて金融庁は判断するのではないかと思う。だからといって責任を免れる話ではない。監査法人は襟を正して、監査する。法人全体の問題ではなくて、監査を行う公認会計士のモラルも関係する。しかし、社員、パートナーなどの構成員が健全な活動をすることを保証する仕組みを作ることは、経営者であり、代表パートナーの責務である。企業でも不祥事があれば、不祥事が起きないような仕組みを作ることは経営者の責務である。

Q:米国ではエンロン事件などの延長線上で、内部統制が厳しくなっているが、監査法人が社会的責任にのっとった行動をしているかどうかは外部から見えにくい。外部に見えやすくする仕組みの導入が必要ではないかと思うが、その辺についてはどのようにお考えか。

北城: 今後はそのような議論も出てくると思う。監査法人でも特定の人が長く特定の企業を監査することは問題があるので、交代すべきというルール作りもされている。しかし、それでも上手く機能しないのであれば、監査法人の監査の結果が適正であるかどうかを確認する運営体が必要かもしれない。米国では、監査法人の監査の内容を監査する仕組みがある。日本でそこまで仕組みを作る必要があるかは、大きな経済的な負担もあるので、今後の監査法人の活動によってくると思う。従って、監査法人は襟を正して、市場の番人という意識を持って活動して欲しい。それでも不正会計について監査法人の関与、支援が起きれば、監査法人のあり方そのものについての仕組みづくりが日本でも必要になるかもしれない。少なくとも、内部統制の仕組みについては、日本版サーベンス・オクスリー法(SOX法)が整備されると思う。それを踏まえて、さらに問題があれば、米国と同じ仕組みを日本に入れるかという議論が出てくると思う。当面は、監査法人の自助努力に期待をしたい。

Q:米国には、監査法人の監査の内容を監査する仕組みがあるというお話であったが、日本はまだ必要ということではないのか。そこまでしなくても、まだ 日本の企業行動は信頼できるのか。

北城: 今はまだ、米国のような仕組みは必要ないと思う。企業行動ではなく、監査法人の企業行動について、十分期待ができるのではないかと思う。建築基準法などで一級建築士が設計した中身を監査し、またその中身を監査するとなると、どこまでやるかという問題もある。一方では、信頼を置けない監査法人に対する企業の評価が厳しくなってくると思う。従って「あそこの監査法人は信頼できるが、ここの監査法人は信頼できない」となるかもしれない。市場の中での淘汰も起きるのではないかと思う。

Q:株主が監査法人を選んでいくということか。

北城: 株主が監査法人を選ぶわけであるし、監査役が監査法人を選ぶので、信頼がおけない監査法人に対しては厳しくなるのではないか。ライブドア事件等が起きたときに、監査法人がどこか追究する。その監査法人を使っている企業は他の監査法人に変えたいと思う。自分たちの決算は健全に行われても、社会的に信頼されない監査法人に監査を依頼していること自体で、市場の評価が下がる。監査法人に対する社会の評価が出てくる。今回の中央青山監査法人に対しては、特定の公認会計士が行った問題であり、監査法人全体として問題があるという評価ではなく、急に市場が動くとは思わない。しかし、今後こういうことが続けば、そのような意見も出かねないと思う。

Q:連休前に大分県の第二地銀である豊和銀行が公的資金を申請すると発表し、ペイオフ解禁後初のケースとなった。大手銀行が相次いで公的資金を返済するという流れにある中で、地方金融機関では依然として不良債権問題が解決していないという見方が一部にある。地方経済の現状を踏まえて認識を伺いたい。

北城: 今回最終的にどのように決着するかは分からないが、大きな混乱が無いということでは良かったと思う。ペイオフ以降、金融機関の不良債権処理で金融破たんなどが起きれば地域経済にも大きな影響が出るということで心配されたが、預金者も含めて非常に冷静に対応している。国民の側にもペイオフに対する認識、その後の処理に対するある程度の信頼感が出てきているのではないか。そういう意味で、大きな混乱が今のところ起きていないということは良かったと思う。今後も不良債権処理、金融庁の検査等で経営の健全性に問題が生ずる金融機関が出てくる可能性はあるが、大きな混乱が無ければ健全な経営をするということを大前提に検査を続けていくべきだ。

Q:為替について、どの程度のレートが許容範囲と見ているか。

北城: 特定の為替(レート)で、経営が成り立つ、成り立たないということではないと思う。個別の企業がそれぞれ対応することであり、為替が上がったから、下がったからということで日本経済が急激に立ち行かなくなるという状況ではない。日本経済は、規模に比較して貿易の比率は少ないほうなので、内需主導の経済回復という基本政策を取るべきであり、今、 急に円が高くなったからといって懸念を表明すべきではない。将来的には財政再建ができなくなったときに円が暴落することの方がリスクだ。円が強くなっているということは、日本経済が健全に発展しているということを象徴しているわけであり、自然なことだ。従って、この水準以上になれば経営が成り立たないということではなく、個別の企業にとっては影響があることだが、為替は日本全体として議論すべき課題ではないと思う。今、円が強くなって、将来急に円安に振れることがあれば非常に大きな問題だと思うが、自国通貨が下落することが問題であって自国通貨が高く評価されること自体は悪いことではない。我々日本国民が努力している成果が国際社会で評価されているということだと思う。幸い、株価も昨日は上がったし、今日もそれほど大きな変動は無い。市場も冷静に受け止めているのではないか。

小島: 今の水準は、それほど昔ではない時期に経験した水準だ。企業としては、これくらいの水準は考えて、今までも動いていると思う。

Q:北米トヨタ自動車の大高英明社長がセクハラ問題で損害賠償訴訟を起こされ、本日、退任した。セクハラ問題は国内外の全ての企業に関連することだと思うが、企業のガバナンスを含めて、どのように対応するべきとお考えか。

北城: 今回の事案については事実関係がよくわからないので、コメントは控えたい。セクハラについては、それぞれの社会における価値観が影響することなので、日本社会の中で冗談のつもりで言っていたことが、許される、許されないということもある。そういう意味で、セクハラも含めて企業内においてどのような行動を取るべきか、ということについて、経営者はもちろん、社員に対する教育も含めて対応を考えるべきだ。どちらかといえば、日本社会はセクハラという問題に対しての危機意識が足りなかった。それぞれの国において、日本と同じ価値観ではないし、それぞれの社会の価値観、労働慣行があるので、それを踏まえて健全な活動をする努力をするべきだ。多くの企業が今、会社の行動基準の中に、セクハラ問題も含めて社員の行動に関する指針を入れている。セクハラは日本の中での指針だけでは不充分かもしれない。特に海外で事業を行っている会社は、海外でのルールについて十分対応して社員教育をするべきだ。社員教育をしたから問題が起きないということではないかもしれないが、経営として十分な方針を出し、十分な社員教育をしていたということは、特定の個人の行動を守ることにはならないかもしれないが、会社を守ることに繋がる。そうした方針を出したり、教育をしていなかった企業は、個人の行動について会社の責任を追及されかねない。会社側としても対応を取るべきだ。トヨタがどうされていたかは、よく分からないが、米国は結構厳しく、セクハラで退職になる。

Q:損害賠償の請求額が1億9千万ドル(211億円)と、我々の感覚からすると法外な額のように思えるが、これについてはどうお考えか。

北城: 事実が良く分からないので法外かどうかは分からない。米国の訴訟の場合は懲罰的にかなり高い損害賠償が要求されて、陪審員に支持されるケースもあるので、結論がどうなるかは分からないが、少なくとも企業として十分な対策を取っておくべきだ。

Q:日本経団連の会長交代が近いが、奥田経団連の評価と、IT系の企業のトップが会長になることで、御手洗経団連にどのような変化が起こると思われるか。

北城: 変化は良く分からないが、奥田さんが経団連の会長を務められている間に、小泉政権が構造改革を推進し、それを基本的には支持してこられたと思う。少なくとも日本の経済界の中心として景気の回復を含めた経済構造の転換、特に政治の仕組みの転換について大きな貢献をされたと思う。基本的な発言については我々も同じような感じを持っているので、経済界の中心として優れた活動をされたと思う。御手洗さんに代わるが、是非、改革路線を引き継いでいただきたいと思う。御手洗さんは改革をすべきという考え方の経営者だと思うので、奥田さんが敷かれた構造改革路線を推進し、日本を競争力のある国にしようという考え方は、引き続き、御手洗さんの下で実行されると思う。その上に、御手洗さんは米国での経営の経験が非常に長いので、国際社会における日本の経済界の役割を十分に発信できるのではないか。そういう意味で海外との関係にも期待している。もちろんトヨタ自動車もグローバルに経営をしているので、(奥田さんの)存在感は非常に大きかったが、御手洗さんは米国での経営の経験が長く、米国の様々な経営者との交流もあると思うので、国際的に日本の立場を表明するうえでは、さらに大きな活動ができるのではないか、と期待している。

Q:重厚長大型の企業からIT系の企業のトップに会長が代わるということについてはどうお考えか。

北城: 業界は色々あると思うし、IT業界、あるいはキヤノンが行っている業態が日本の発展にとってこれから重要になる。そういう中で、大変成功されている経営者がトップになるということは好ましいことだ。特に国際展開で成功されている企業だけに、日本の立場を海外に表明するうえでも適任ではないか。重厚長大産業が悪いわけではないし、素材型産業も重要な日本の競争力になっていると思うが、国際社会で競争していく上で、エレクトロニクスという最先端産業の経営者がトップになるというのは素晴らしいことだと思う。選任に当たっては、恐らく奥田会長も企業としての経営の業績も見ていると思うが、経営者としての御手洗さんに対する評価もあったのではないか。米国の経営をご存知であり、なおかつ日本の労働慣行、社員を大切にするという発想を活かしていながら、年功序列ではなく、社員を評価しながらレイオフはしないという人事政策を取って、成功されている。日本型人事慣行というよりもキヤノン型人事慣行が非常にうまく行っているということだと思う。トヨタの人事政策もうまくいっており、日本型、米国型ということではなく、キヤノン型、トヨタ型の経営がうまくいっているということであり、キヤノンさんは大変立派な業績を上げられている。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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