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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年04月18日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で、(1)長期金利の上昇と原油高の影響、(2)いざなぎ景気を超えるか、(3)歳入・歳出改革と消費税の引き上げ、(4)小沢民主党への評価、(5)千葉7区の補欠選挙、(6)会社法施行、(7)アイフル業務停止命令、(8)グレーゾーン金利、(9)クボタのアスベスト被害に対する救済金、(10)原油価格高騰、(11)労働人口の減少、について発言があった。

Q:最近、長期金利が上昇傾向にあり、原油価格も最高値を更新しているが、企業収益や個人消費に与える影響等について、どのように考えているか。

北城: 原油高も含め、燃料や素材原料の価格高騰は、最終的には最終製品の価格に転嫁されると思うので、そういう意味では短期的には多くの企業の収益にとって悪い方向に働きかねない。特に燃料費の値上がりは、エネルギー多消費産業にとってはコスト高になるので、そういう意味でも短期的には企業収益に悪い影響を与えるだろうし、物価の上昇にも影響してくる。ただし、今のところ日本経済そのものに対する影響はそれほど大きくない。

長期金利は基本的には市場で決まってくるので、今の2%(程度)の水準であれば、急激に個別企業の経営に大きな影響を与える状況ではない。日本経済はバブル崩壊以降、大変厳しい時期を過ごしてきたが、逆にこの経験が(生きて)、経営者は特に投資判断に対して慎重な姿勢を持っているだけに、急にバブルになるような行動をとるとも思えない。そういう意味では、景気は持続する形で成長できるのではないかと思っている。どちらかといえば、日本の金利というよりも、米国での金利上昇と原油価格の上昇が米国経済にどのような影響を与えるかということを注意深く見ていく必要がある。

Q:日本の景気拡大が今月でバブル期に並び、いざなぎ景気を超えるのではないか、ということが話題になっているが、これについてはどのように考えているか。

北城: 経営者は慎重な判断をしながら設備投資を行っているし、何か突発的な問題が起きない限りは、戦後最長の、いざなぎ景気を超えるような景気回復が続くのではないかと思っている。

Q:歳入・歳出一体改革に関連して、政府の中から消費税の引き上げ幅についての議論が出ている。竹中大臣は「3%上げれば十分だ」といい、政府税調の石会長は「3%などありえない」といって議論が活発化しているが、消費税の引き上げ幅についてはどう考えるか。

北城: 基本的に、財政再建は日本にとっての重要な課題だ。その実現の手段として、無駄な経費を削減していく、中央から地方へということで三位一体改革を一層推進して交付税改革を行う、社会保障の改革、行政改革を行う、そのほかに特別会計の問題もあるが、まずは歳出削減を重視すべきだ。歳出削減が不十分な状況で、特に昨今の談合の例を見ても、公共事業でももっと効率化できる分野がある。行政改革についても手を付ける分野がまだまだある。前回の三位一体改革は第一歩であり、交付税の改革も手を付けるべきところは沢山残っている。歳出削減についてまだまだやるべきことが残っており、十分な対策が取られる前に増税を語るのはおかしい。これ以上歳出削減ができない、ということで増税を言われているが、本当に国民に納得の行く歳出削減をしたのかといえば疑問だ。まずは歳出削減、あわせて、国の活力や競争力を高めるといった、経済成長を確保するような政策を実現した上で、更に財政再建が必要であれば、消費税を含めた増税を議論するべきだ。従って、今、増税を議論するのは早い。

Q:先日、民主党の代表が小沢一郎氏に代わって、これまでの対案路線から対決路線へと対決色を前面に出しているが、小沢民主党への評価、期待を聞かせて欲しい。

北城: 民主党の代表を選ぶために党内で選挙を行ったということは、国民の関心を呼んでよかったのではないか。偽装メール問題以降、民主党のリーダーシップに懸念があっただけに、代表選挙を行ったことで民主党に対する関心も高まったと思うし、健全な野党が優れた政策提言を行うことは、国政にとっても重要なことだ。そういう意味で、小沢代表の下で民主党が対決であれ、対案であれ、健全な野党として発展していくことは日本の政治にとって重要である。小沢さんも、自分はだいぶ変わったとおっしゃっているので、これから民主党なりの政策を出されることを期待したい。

9月には自民党の総裁選もあるし、民主党の代表選挙もあるということなので、両党ともに政策を中心として党首を選ぶあり方を追求していただきたい。総理候補が、あるいは民主党の次の代表候補も小沢さんだと思うが、どのような政策を実行するかをマニフェストという形で出していただくことが重要だ。そうでなければ、政策として何を実行するかが国民に分かりにくくなってしまう。人物として好感が持てる、人気がある、ない、で党首を選ぶべきではない。

Q:千葉7区で補欠選挙が行われているが、経済界としてはどのように見ているか。

北城: 補欠選挙で一議席なので、国の政策にそう大きな影響がすぐに出るとは思わないが、民主党の代表選挙が終わった後だけに、この結果がどう出るかで小沢・民主党代表に対する評価も出てくるのではないか。一方、今回は補選だが、来年の参議院選挙に向けて自民党がどういう政策を出していくかということも、今回小沢さんが民主党代表になったということで、今後の自民党総裁候補にも影響を与えるのではないか。そういう意味で、一議席ではあるが、今回の結果は政治的には意味があるような気がする。

渡辺: 今回は接戦と聞いている。民主党はメール問題があったが、政治改革のためには常に政治的緊張感が重要だ。政治的緊張感が、もう一度高まってくるという良い方に繋がれば良いと思う。

Q:来月1日に会社法が施行され、企業経営にも大きなインパクトを与えると思うが、施行に際して改めてお考えを伺いたい。

北城: 会社の自由度が増すということは、経営者にとっては責任もあるが、成果を出せる場が広がるという意味では良いと思う。

社外取締役の任用については、その企業と特別な利害関係が無いことを示すために、どのような経歴かを示すのは良いと思う。社外取締役の発言内容について経営陣との間でどのようなやり取りがあったか、執行部の経営戦略に対してどのような影響があったかについて、主なものを記述するということだが、執行部と、社外取締役も含めた取締役との相互の協業関係で企業経営は進んでいくわけで、執行部だけが経営戦略を作って、取締役はそれに意見を言うだけ、ということではない。そういう意味で、社外取締役になる方が出にくい仕組みになっているような気がする。これについては、実際に会社法が施行されて運用されていくなかで、必要があれば改正した方が良い。基本的には、社外取締役を推進する考えだと思うが、それにしては社外取締役の登用にハードルを高くしているのではないかと懸念している。

Q:アイフルに対して業務停止命令が出され、消費者金融に対して批判が高まっているが、これについて、お考えを伺いたい。

北城: 消費者金融に限らず、企業は健全な経営をすることが重要であり、コンプライアンス、環境への配慮といった企業の社会的責任を考慮した経営が非常に重要だ。今回の件について詳細は新聞報道で把握しているが、事実だとすれば業務停止命令は止むを得なかったと思う。そういう意味で、健全な経営をすることの重要性を示したものだと思う。

併せて出資法と利息制限法の異なる上限金利の間に挟まれたグレーゾーンの金利帯がある問題が注目されているようだが、二つの法律によってグレーゾーン金利があるというのは、国民にとって分かりにくいので、ある水準で一つの上限金利に決めた方が良いと思う。これから議論が始まるようだが、私は一本化したほうが良いと思う。

Q:グレーゾーン金利については、上限金利を出資法、利息制限法のどちらかに合わせる、中間に設定するといった、色々な意見が出ているが、これについてお考えを伺いたい。

北城: いわゆるグレー(ゾーン)が存在するというのは、最高裁の判決もあったが、多くの国民にとって分かりにくいと思う。そういう意味で、どの水準がいいかをこれから議論するべきだ。私は一つの水準で決めたほうが良いと思う。低くすれば良いかというと、そうすると闇金融が暗躍するという意見もあるし、今の社会情勢からして高い金利を適法と認めることも問題があるのではないか。

Q:クボタのアスベスト被害について、住民に1人最高4600万円の救済金を支払うことで合意した。このような企業の対応について、他のケースへの影響も含めてご意見を伺いたい。

北城: クボタ社が、従業員だけではなく地域の住民で被害に遭われた方々に対する保障を決められたことは非常に適切な行動だったと思う。今回の決定が、他の企業の被害者への対策のひとつの基準になると思う。他社が全く同じ対策をとれるかどうかはこれから決まってくると思うが、ひとつの方向を示したもので、適切な経営判断だったと思う。

もっと早くアスベストの使用を止めるべきではなかったかという意見は確かにあると思うが、現実にここまで来てしまった上では、被害に遭われた方への救済が重要な課題だと思う。

Q:原油価格について、どの程度が適切と思われるか。

北城: 具体的に価格がどうなるかは解らないが、中国やインドなどBRICsを中心として、発展している国々にエネルギー需要があるだけに、消費側が増えていく状況では、十分な供給体制が整わない限り価格はある程度高い水準で決まっていくと思う。先般サウジアラビアの皇太子も来日されたが、供給国側も、非常に高い水準で価格が上下することを必ずしも望んでいるわけではなく、世界経済の観点からも、ある程度の水準で安定することを望んでいるということだ。

原油価格が60ドルを越えてある程度高い水準で留まると、代替エネルギーやオイルサンド等の開発が進むし、米国では原子力の利用が見直されている。ある程度の水準で持続されれば、逆に代替エネルギーも開発されると思う。投機的に一時的に高くなるにしても、そう大幅に上がるとは思わないが、逆にこれだけ需要があるので下がることもないと思う。

日本としては、特に原子力の推進や太陽エネルギー、風力エネルギーを含めた代替エネルギーの開発が非常に重要な政策課題になると思うし、さらに資源確保も日本の大事な外交課題になってくると思う。最近、原子力では、プルサーマルというプルトニウムを原子力発電所で燃焼しようという動きもある。長期的には高速増殖炉というプルトニウムを燃料としつつ増殖させる発電方法もあるが、その技術が確立するまでの間は、プルサーマルは日本の核燃料サイクルを考えた際には重要な政策課題だと思う。安全性の問題などいろいろいわれているが、海外ではフランスを含め十分実績のある運転方法なので、技術の検証をしながらできるだけ早くプルサーマルの利用も推進すべきだと思う。再処理をしてプルトニウムだけ作ってしまうことはテロ対策を含めて問題があるし、1回使って再処理をしないということは、ウラン等の燃料を持たない日本としては、資源確保という観点で問題が出てくると思う。多少コストが高くなる点もあるだろうが、最初に九州電力で実行されるようだが、中断されている関電や東電でも、できるだけ早く安全性の確認をしたうえで、プルサーマルを実行に移すべきではないかと思う。国でも安全については十分な検討をしているようなので、私は推進していく必要があると思う。

環境問題(の観点)から原子力を反対する方もいるが、今はCO2排出を含めて地球温暖化の方が、リスクが高いと思う。原子力政策は、地球温暖化対策やCO2の削減に非常に重要なので、日本としてはもっと積極的に取り組むべきだと思う。

Q:G7でもエネルギー問題が採り上げられると思うが、どのような課題があるか。

北城: 消費国としては、省エネルギー技術の開発等を含め、原油をはじめとするエネルギーの多消費を抑えるべきで、日本のハイブリッド自動車を含めた省エネ技術は大変価値のある技術だ。一方、産油国は、資源開発は短期的には必要だ。過去に、価格が上昇した後下落して産油国側が大きな被害を被った例もあるので、増産に対してかなり消極的だったが、ここにきて40ドルを超える価格がある限りは、産油国は採算が合うと思うので、増産に努めていただく必要があると思う。さらに、先進国はオイルサンドや原子力等代替エネルギーの政策に積極的に取り組むべきだ。中国をはじめとするBRICsや発展途上国に対しては、省エネ技術の導入に力を入れていただきたいと思う。

日本は省エネ技術が進んでいるので、ある意味では良いビジネス・チャンスだし、ODAなどでも国際貢献できるのではないか。

Q:原油や素材価格の高騰に伴い、原料として利用しているメーカーも商品に価格を転嫁せざるを得ない状況になるのではないか。

北城: 最終的な価格は市場で決まるので、価格転嫁をする、しないも市場で決まってくる。各メーカーは技術革新等を通して、原料コストが上がっても最終的には市場でお客様に買っていただけるような価格で提供するよう努力すると思う。これまでのところ、かなりの技術革新等を通して、最終価格の上昇をもたらさないできたと思う。一方、景気が拡大し、消費が拡大しているということは、ある程度高い価格でも買っていただける消費者がいる、あるいはより性能の良いものを買っていただけるということだ。人為的に決めるものではなく、市場で解決すべきだし、各々の企業が原材料や燃料の価格の高騰に対応して経営努力をすべき課題だと思う。

一方で、省エネのような問題に関しては、価格が高い、例えばガソリン代が高いということが、技術開発を進める。もちろんそれによって消費を抑えることも多少あると思うが、利便性があるので、車の利用を控えるよりも、技術開発を進めるのではないか。例えば、ハイブリッド自動車や省エネの車、エアコン、冷蔵庫などがある。

自動的に価格転嫁を行うような仕組みを作れということは、市場経済において方策はないと思う。個々の企業の努力によって、この問題を克服すべきだと思う。政府が関与するような状況ではないと思うし、ある程度価格が高い水準で留まれば資源開発は進む。このような問題は、最終的には市場で解決していくべきだ。

渡辺: 先日、企業価値向上委員会が提言を発表した。以前よりは、日本の経営者は企業価値を大事にするようになったので、価格をどうするか、コストとどのように折り合いをつけるか、については、互いに競争市場で会話しなくてはならない。原油価格が高騰しても、企業収益が耐えているということは、いろいろな苦労を重ねながら、経営の技術が向上したことも、価格転嫁せずに企業経営を持続させている背景にあると思う。為替が安定しているということも、もう一つの要因だろう。

Q:人口減少に伴い労働人口が減るということで、女性や高齢者、外国人労働力の活用を推進すべきという意見があるが、これについてはどのようにお考えか。

北城: 労働人口の減少が、日本の経済成長に悪い影響をもたらすのではないかと心配されている。基本的には、女性の活用について、日本と韓国は先進国の中でもっとも遅れている方だと思う。女性の活躍や高齢者の活用にはまだまだ改善の余地がある。高齢者も、必ずしも60歳で定年退職した方が仕事ができないという状況ではないし、フリーターやニート、失業率等の問題もあるので、まだまだ日本の労働力が活用できると思う。さらに、生産性の向上に努力すべきだし、安易に外国人労働者の導入によって、労働力不足や人口減少を解決することを考えるべきではないと思う。一方、優れた技術を持っている外国の方が日本に入ってくることは日本にとっても良いことであるし、また、先進国の責務として全く人の移動を閉鎖することもできない。高度な技術を持っている人たちが日本に住み、活躍できる社会は作っていくべきだ。特に、3Kといわれているような仕事において労働力が不足しているからといって、外国人をすぐに導入すべきかといえば、日本社会は多民族で生活することを受け入れるような社会基盤、いわゆる教育や医療、年金、治安を含め、社会体制の整備をしつつ、国民がそれを受け入れる土壌を作ってから受け入れるべきだ。労働力が減るから外国人を受け入れる、ということではないと思う。

渡辺: 人口が減ると需要が減るという心配はあるが、経営をしていると、少しくらい人間が不足していた方が、人材は育つしいい仕事の場が提供される。有り余っているよりは少なめの方が人は活きるので、この程度で心配するよりは、問題になっているフリーターやニート、失業率に目を向けた方が良いのではないか。機会が増えるという風に、積極的に受け止めた方が良いのではないか。

北城: 社会の価値観も含め、ニートやフリーターが出ないような教育も必要だろう。企業に関していえば、国内に需要がなければ、当然海外市場を考えるので、企業経営は各々の会社が対応していくだろう。日本という国を考えると、人口減少に伴って国の経済規模、GDPが縮小していくことが、財政の大きな赤字との関係で問題になってくる。財政再建を進めつつ、一人一人の国民が豊かに生活できる政策を考えていけば良い。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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