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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年04月04日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)景気見通しと金利政策、(2)民主党代表選、(3)日中外交、(4)小泉政権の評価、(5)経済財政諮問会議の活用、(6)企業の買収防衛策、について発言があった。

Q:昨日、日銀短観が発表になったが、景気の見通しについて本格的な回復軌道に乗ったとお考えか。ゼロ金利解除の見通しも含めて伺いたい。

北城: 基本的に景気は堅調と考えている。設備投資も堅調だし企業業績も良いということで、今のところ株価も上昇しているし、景気は持続的に発展していると考えている。長期的な不安要因としては、基本的には米国の景気がどうなるかということが一番大きい。原油価格については急に安くなることもないだろうから、これ以上大幅に値上がりすることがなければ、一番の懸念は米国経済が堅調に推移するかどうかだ。米国経済がこれから金利の上昇とともに停滞する方向に進むと、アジアや中国、日本の経済にも影響する。

基本的には今のところ大きな問題はないとは思っている。ただし、これだけ景気が良くなった時期だからこそ改革が実行できる環境でもあるので、これまで小泉政権の構造改革が進展してきたが、さらに改革を進めるべきだ。景気が良くなったからといって、改革を止めるべきではない。

金利の引き上げについては、長期的な金利が少しずつ上がっていくだろう。景気が良くなり、株価が上がり、企業業績も上がれば、今のような金利がゼロに近い水準こそ異常だ。従って、景気の実体に合わせて金利が上がっていくことは自然なことであり、急激な金利上昇を起こさないように市場と日銀が対話をしていけばいいのではないか。

Q:ゼロ金利解除について市場と対話をすれば良いとのことだが、具体的な時期を念頭においてのことか。

北城: 特別時期を念頭においているわけではない。景気がどのように推移するか、デフレ脱却だけではなく企業業績がどのような方向で推移するかということも、金利には影響する。また、国の財政、特に財政再建の方針も長期的な金利には影響する。これらを踏まえながら、市場がどのように金利を評価するか。それに併せて日銀が、特に短期金利をどのように調整するかは市場の動きを見ながら、メッセージを市場に出しながら決めていけばいいのではないか。時期を決めて「いま上げる」という問題ではなく、経済の実体を踏まえて、正常化に向けて歩み出すべきだと思う。

Q: 長期金利の上昇が続いているが、これについてはどうお考えか。

北城: 今までのように10年物の国債の金利が1.5%というのは非常に低いと思う。国際的に見ても長期金利は4~5%という国が多く、(これまでの)1.5%は低い水準だったと思う。一方で、長期的な金利の水準が高くなることは、企業、特に借入金が多い企業にとっては重要な問題だし、国債を含めて国の財政にとっても非常に大きな影響がある。(これまでの)1.5%は低いと思うが、一方で急激に上昇しているわけではなく、なだらかに推移している。市場が望ましい金利水準を決めていくということでいいのではないか。今のところ2%を越える水準になっているわけではないので、「異常である」「危機感を持つ」水準ではないと思う。

Q:先週末、(民主党の)前原執行部が総退陣し、7日に新しい代表が選出される。新代表にどのような人を期待するか。民主党全体について、この一ヶ月の迷走も含めて、今後の注文、期待を聞かせて欲しい。

北城: 政権交代が可能な野党が存在することは、政治に緊張感をもたらす、政策にいくつかの選択肢を出すという意味で重要だ。この一ヶ月間位、民主党の存在感が薄かった。偽装メール問題については色々と報道されたが、政策提言についての意見がなかなか国民に伝わらなかったのではないか。今回、前原さんが退任され、新たな代表を選ぶにあたって、それぞれの候補者がどのような政策を行うかを表明した上で、選挙を行った方がいいのではないか。本来であればマニフェストのように、どのような政策を実行する考えかをまとめて、その上で党首選に臨むべきだ。今回は急だということもあり、マニフェストという形でまとめるのは難しいが、基本的な方針を語っていただき、その上で誰が相応しいかを選挙で決める方が、党内で政策を実行しやすい環境ができるのではないか。(今回選ばれる代表は)暫定的で9月には新しい代表選もあるようだが、それに向けては候補者になる方たちがマニフェストに近い形の物をまとめるべきだと思う。これは自民党の総裁選に向けても言えることで、それぞれの人物評価、これまでの発言に対する評価はあるにせよ、基本としては、どのような政策を実行するかをまとめていただいて、それを表明していただくなかで、党内の選挙で次の代表、あるいは総裁が選ばれることが望ましい。

Q:民主党代表選について、小沢さんが有力と言われているが、小沢さんに対する人物評価を伺いたい。

北城: 小沢さんは政治経験が豊富で、財界にも期待する声はある。人物評価も大事ではあるが、どのような政策を実行されるかが重要である。基本的には、構造改革によって小さな政府と民間の活力が活きる社会を作ろうという方針だと思うが、経済政策や外交政策についてのお考えを話して頂き、他の候補者があればその方の方針も伺って、選挙で決まるのが望ましい。それにより、提示した政策に対する求心力も高まる。掲げた政策が支持を得たのでその政策を実施するということで、党内がまとまってくると思う。具体的に政策を掲げないで党首が選ばれてしまうと、政策を集約する過程で反対意見が出て、党内がまとまらないと思う。特に民主党の場合は、党内がまとまっていないと言われているのが問題である。明確な政策を出して、党内の支持を受けて代表に選ばれる方が、政策の実行能力が高まるのではないか。

渡辺: 小沢さんの考え方や姿勢は、これまでも雑誌などで出されているが、時代が変わってきたので、新しい考え方を出して頂いた方が国民のためにもいいのではないか。

北城: 発言を見ていると、本格的な構造改革をする最後のチャンスだとおっしゃっている。では、本格的な構造改革とは一体どういうことか。社会保障、行政改革や三位一体改革、財政再建、社会の活力、教育問題、外交政策の方針などについて述べていただいた方が、国民にもわかりやすく、党内の支持も得やすいのではないか。選挙をすると党内が割れるという意見があるが、話し合いで進めれば党内の意見が集約できるとも思わない。

Q:先週末、日中友好7団体の代表が中国の胡錦濤国家主席と会談した際に靖国問題を持ち出し、「靖国参拝を止めれば首脳会談を行ってもいい」という主旨の発言をしたが、これについてどう考えるか。

北城: 日本と中国はアジアにおける非常に大きな経済大国であり、中国あるいは韓国、東南アジアも含め、それぞれと良好な関係を維持するというのは非常に重要なことだ。一方で、今回のような発言があると、靖国そのものが政治問題化してきて、日本国内の世論としても靖国参拝を止めることが難しくなる。中国から言われたから参拝を止めるのかという問題になる。外交は一方で国内問題でもあり、国民がどのように外交政策を判断するかということも重要だ。双方から非難合戦をすると解決が難しくなる。そういう意味で、今回の胡錦濤主席の発言は非常に残念だ。一方、日本側からもこの問題について解決するための方針を考えていく必要がある。

Q:日中関係について、靖国問題が政治の問題となっているとすれば、小泉総理の次のリーダーによっては現在のような異常な状況が続く可能性がある。代表幹事からみて、どのような解決策が考えられるか。

北城: 外交は相手があることなので簡単な解決策はないと思うが、アジアの主要な二カ国と良好な関係を維持することは重要なことだ。感情的には、中国側は総理など政府高官の靖国参拝について反発があり、一方、日本側は中国からの反対によって靖国参拝を止めるべきではないという議論がありこれも正論だと思う。そういうなかで、基本的には相互理解を高めるような方策を採っていくべきだ。基本的には民間レベル、経済人、政治家などの交流を進めることなどだろう。特に、過去の歴史認識について双方に大きな理解の違いがある。日韓間で歴史認識についての議論が行われており、簡単に共通の理解にはならないと思うし基本的に双方の理解が一致することもないと思うが、お互いに主張を交わすなかで相手の立場の理解は進むと思う。日本政府のなかで、日中間でも歴史認識について歴史学者等による検証作業を行おうという声もあるが、そういうことをやった方が良いと思う。特に、戦争を経験した世代が生きているいま、共通の理解にできるだけ近づける努力はすべきだ。共通理解にはならなくても、相手の主張や立場は理解できるし、日本側の意見も主張すべきで、そのなかでの相互理解を高めていくのが重要だと思うし、併せて、対立軸ではなく双方にとって利益のある共同開発的な案件を探しながら推進していくなかで、このような問題も解決していくことができるのではないか。

両方が主張していると、お互いに対立がエスカレーションする。過去の外交上の問題でも、非難合戦をするうえでエスカレーションすることがあった。私は中国の人に、「あなたたちが靖国参拝を止めろと言い過ぎると、ますます止められなくなる」と言っている。

日中問題については、中国委員会で5月に提言を発表する予定だ。

Q:小泉総理の在任期間が、中曽根内閣を越えて戦後歴代3位になる。小泉総理の評価について改めてお伺いしたい。

北城: ある程度政権が安定することは、政策実行に向けて重要なことなので、小泉政権が構造改革に取り組まれ、成果を上げてきたことは非常に重要な評価項目であり、私は高く評価している。特に、小泉総理の就任時は景気が厳しかったので、財政出動すべき、という大幅な公共投資増額を求める声もあったが、「構造改革なくして景気回復なし」という政策を掲げ、財政出動せずに景気回復に舵をきった。結果、景気も回復してきた。政治の結果責任という意味においては、高く評価すべきである。不良債権処理や規制緩和など色々と反論もあったが、私は重要な成果があったと評価している。

一方、これまでの色々な問題を解決してきたなかで、一歩前進したがまだまだ不十分な点もあったと思う。例えば、道路公団改革や、これからであるが郵政民営化、社会保障改革、規制緩和についても特区の導入など一部進展はあったが、まだ取り組むべき課題は多い。行政改革やFTAの推進、特に、経済の活力を高める視点での対策が必要となる。さらに人材の育成などの教育問題についても総理には取り組んで頂きたい。小泉さんが総理になられて、衆議院選挙に向けてマニフェストを出された。その中に、新事業創造として、当時年間18万社あった新たに起業する会社を、2006年までに倍増すると書かれていた。政策として、1円起業や大学初ベンチャー1000社創業などは実現したが、実際に創業数が増えて、そこで新たな雇用が作られたかというとまだまだ不十分だ。この点については、政策の実効性を含めて見直して頂きたい。経済の活力を高めるためにも新たな創業が雇用を作ることは大切である。エンジェル税制など、創業に挑戦する人が出やすい社会を作ることが重要だ。最近は格差の問題が出ているが、資本主義は格差を是正する優れた制度である。親がお金持ちであったり、既得権を持っている人だけが成功するわけではなく、意欲がある人であれば、自ら創業できる。事業を興せることは格差是正においても重要な政策である。その新たに事業を興すことに挑戦できる、特に資金を集めやすい税制については、まだまだ十分な対策がとられていない。この辺りは総理に取り組んでもらいたい。次の総理になる方にも、日本の活力、日本の競争力強化という観点から取り組んで頂きたい。

渡辺: 中央政府と地方政府の三位一体改革も最大のテーマである。先日発表した政府のバランスシートの問題もある。構造改革は、プライマリーバランスと財務諸表のバランスシートに結果が出てくる。まだ成果には繋がっていないが、これから郵政民営化や政策金融などの改革が進展すれば、バランスシートに成果が出てくるのではないか。実行の意味においてこの5年間が重要な時期となる。

Q:小泉総理を高く評価しているが、小泉総理は財界との距離が近いように思うが、これについてどのようにお考えか。

北城: 財界との距離ではなく、経済政策に関して、市場のメカニズムが活きる仕組みを導入すべきである。既得権益を守るのではなくて、自ら努力する人が報われる社会を作ろうとしてきたことが、結果としていい政策の実行、あるいは景気回復に結び付いた。決して、企業寄りの政策であったとは思わない。短期的には、不良債権の処理や財政出動をしない、公共事業を縮小する、ということは、一部の企業にとっては大変厳しい政策であったが、改革をしていこうということが成果を出したと思う。

三位一体の改革、特に地方の行財政改革に関して言えば、補助金4兆円の削減や2兆円の税源移譲は一歩前進であるが、国税改革は抜本的にはまだ行われてないので、第一期の三位一体の改革が終わったとすれば、第二期の交付税改革に踏み込まなければ、地方の財政再建はできないし、地方の自立もない。交付税は、国の歳出の中で、社会保障についで2番目に大きな項目である。この改革を行わない限り、財政再建もできない。基本は地方の主権が活きる三位一体改革を行うべきである。住民サービスについては地方に任せるべきだ。地方財政計画のように、どれだけ各地方の歳出が必要かを国が精査して決めて、不足分は国が補填するということでは、地方の改革が進まないし、国の財政再建もできない。

Q:小泉総理は手法として経済財政諮問会議を重視されたが、メンバーへの注文などはあるか。

北城: 官僚と政治家だけではなく、経営者や学者など有識者を交えての議論は非常に良かったし、政策の透明性も高まったと思う。経済財政については諮問会議が非常に機能したと思うが、それ以外の、例えば外交、安全保障、海外への支援、ODAを含めた経済協力等いろいろな政策課題について、本格的に総理と主要閣僚と関連する経済人等が入った諮問会議のような形を作っていくことの方が、より透明でかつ社会の実態に合った政策が実行できるのではないか。総合科学技術会議も総理が議長を務めていらっしゃるが、なかなか会議の開催頻度も少なく、実際に政策への反映も少ないので、諮問会議のような形で内閣府の機能が活きるような、政策立案過程が強化された方が良いと思う。経済運営については非常に良かったと思っている。

渡辺: (各分野で)諮問会議のような形態を取るべきだという提言は、3月31日に発表した行政改革委員会(丹羽委員長)の提言で述べている。

Q:先週末、鉄鋼大手3社が買収防衛策を発表したが、これについてどのように認識されているか。また、今後日本の経済界でこのような取り組みが広がっていくと思われるか。

北城: 最終的には今回の取り組みがどう市場で評価されるかだ。株主からすれば、長期に保持して配当等で見返りを得たいという株主も、株価の上昇によるキャピタル・ゲインで収益を得たいという株主もいると思う。買収策が実行できないような会社は、その会社の経営をさらに強化したり、買収によって業績や企業価値を上げるという選択肢がない。時価総額を高めるような提案があることによって、経営者としての規律も高まるが、全く買収されることのない体制になった企業は、逆にいえば外から買収提案が来ないことになり、株価が十分高くならないというリスクもある。今回の提案がどう株主に理解されるかによって、同じような方式を採る企業が出てくる、出てこないという結果が出ることになるので、これからの市場の評価だと思う。

企業価値は時価総額で評価すべきだと思うが、企業業績が持続して向上すれば時価総額も上がり、経営者は時価総額を上げる努力を続ける。買収が絶対に行われないような会社にすること自体は、本来の資本市場のあり方に反すると思うが、企業防衛策の水準については各々の企業が考える問題だと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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