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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年03月22日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、代表幹事より「2006年3月(第76回)景気定点観測アンケート調査結果」について説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)政府資産の売却論議、(2)外国人労働者の活用、(3)小泉総理の日中外交、(4)量的緩和解除の影響と景気、(5)WBCの日本チーム優勝、(6)春闘の結果と雇用問題、について発言があった。

Q:最近、政府資産売却についての議論が、政府、与党で、中川政調会長を中心に進んでいる。自民党は100兆円、政府は10兆円売却できるのではないかと言っているが、この問題についてお考えを伺いたい。

北城: 政府の資産をできるだけ縮小するというのは、財政再建に向かうなかで一つの進むべき道だと思う。企業でも再生を図る際には、単年度の利益あるいは赤字といった問題に対処するとともに、バランスシート的な観点で資産や負債の改善を図るのが当然の手段だ。政府も今保有している資産を民間に売却、開放することで、資産を少なくしながら財政再建にも努めるべきだ。

経済同友会でも、国の資産の見直しについては渡辺専務理事に座長を務めていただいてプロジェクト・チームを作り、明日(3月23日)提言を発表する。基本的には、政府の資産縮小には取り組むべきであり、資産を売却して民間がそれを活用することで経済を活性化することもできる。また、売却によって、政府としてどこまでが必要な資産かということがはっきりしてくると思う。そういう意味で、できるだけ資産の売却を進めるべきであり、それが無ければ、今後、財政再建に向けた増税に対する国民の理解が得られないのではないか。「あそこにもまだまだ十分活用されていない資産があるのに、何故増税しなければならないのか」という議論が出ると思う。

渡辺: 座長を仰せつかり、2月、3月の2ヶ月間で10回位の会合を持ち、メンバーの皆さんに非常に熱心に参画いただいて、6つの緊急提言をまとめた。民営化したものは徹底的に市場売却を進めるべきだ。NTTやJTの株を政府が法的に保有する必要があるのか。寮や官舎も不要とか古いということではなく、そうしたものを国が保有している必要があるのか。むしろ賃貸でいいのではないか。また、バランスシートについても1年半もかけて作成しているのでは、予算や構造改革のPDCAに活用できないので、早く作るべきだ。軽井沢セミナーでも議論したが、経済同友会は財政健全化法の制定を提言している。当然、小さな政府は、バランスシートの目標達成ということも健全化法案の中に入れてコミットするべきだ。詳細は明日発表するが、そうした主旨で急遽、明日、発表することになった。

北城: (資産売却について)基本的には公務員宿舎や事務所について、必要なものは残すという発想のようだが、我々は民間に売却して、必要であればその分を借りることによって、いかに経費がかかっているかがはっきりするし、コストを下げようという力が働くのでないか、ということを中心に考えている。

Q:公務員は緊急事態に備えて近くに住むべきという考え方のようだが、それについてはいかがか。

北城: 必要があれば、ということだ。どこまで必要なのか、どういう人が近くに住むべきか、危機対応のためにはどれだけの体制が必要かを決めて、その分を借りるということでいいのではないか。その方が、コストがいくらかがはっきりする。

この委員会とは別に、行政改革委員会では、国会の質問に答えるために官僚が都内に住まなければならない、準備のために徹夜があるのはいかがなものか、という意見もある。例えば、3日前までに質問書を出してもらい、それについては答える準備をする。それ以外の質問については、当日答えられなくても別途調べて答えるということでいいのではないか。単に国会審議の質問が前の日に出るから、そのために公務員が徹夜をして準備する、そのために宿舎が必要だということにはならないという議論も行っている。

Q: 明日、政府、与党の少子化対策協議会が行われる。少子化によって将来労働人口が減るという見通しのなかで、先日、日本経団連の奥田会長が、高齢者、女性、IT等を活用した上で、それでも足りなければ外国人労働者をあらゆる分野で活用したらどうか、という問題提起をされた。過去に何度か発言されているが、外国人労働者の活用について改めて、お考えを伺いたい。

北城: 高齢者や女性の活用というのは、少子化対策ということではなく、日本の活力のために重要な課題、施策だ。しかし、現在でもニートや失業者の問題があるなかで、人手が不足するから外国人を受け入れるということではない。日本の競争力強化のために必要な高度な専門家は、是非受け入れるべきだし、人の面で鎖国をするということではない。日本社会がどういう人たちを受け入れるのかを議論する必要がある。

一方、少子化は日本の人口構成を考えると非常に大きな問題で、それを外国人労働者の導入によって解決するという状況ではないと思う。人口減少を補うだけの外国人労働者を入れた社会を作るという準備ができていない、社会の価値観も無いなかで、大量に外国人労働者を導入するということは、逆に将来問題を残すと思っている。慎重に議論すべき課題だと思う。

Q:北東アジア、特に中国と、経済面でどのように付き合っていくべきか。ポスト小泉もにらんで今後のアジア外交がどうなって欲しいと考えているか。

北城: 中国は日本の近隣にある非常に大きな国であり経済も発展している。こうした国と良好な関係を維持することは、日本の国益にも適う。単に中国を工場として利用するだけではなく、中国という大きな市場に対して日本の産業界がどう貢献していくか、あるいは事業として発展させていくかという観点も重要だ。そういう意味で、日中間の良好な関係を維持できることは日本の国益にもなるし、単に経済界として企業の利益になるということではなく、日本の安全や繁栄にとって重要だ。経済界では交流も進んでいるが、それだけでは非常に不安定なので、観光や教育も含めて多様な交流をするべきだ。政治レベルでも交流ができることが望ましい。相互理解をするためには相互交流が必要だ。

ポスト小泉政権、9月以降の自民党総裁については、中国だけではなく韓国も含めてアジアと良好な関係を維持できるような政策をとって頂くことが望ましい。現状では、総理になる可能性のある方が、どのような政策を取られるかがはっきりしていない。国会が終わる6月末から7月にかけて、外交政策だけではなく、経済政策も含めて、政権を取った際に、どのような政策を行うかをマニフェストにまとめて提示して頂きたい。外交ではないが、最近、内政の中で、成長率や金利、高い成長を目指すことにより増税を抑えるなど色々な議論が出ている。こうしたことも非常に健全な議論だと思うので、各々がどういう経済政策をとるかについてもマニフェストにまとめていただきたい。それによって、単に人物として信頼がおけるなどといったイメージや感想で次の総理が選ばれるのではなく、政策によって次の総理が選ばれる仕組みを期待している。できれば、マニフェストを出して頂いて、その比較を行っていただきたい。経済同友会も、政策が出てくれば、それぞれについて何が好ましいかという意見を出したい。これは自民党だけではなく、民主党も9月に代表選挙が行われるということなので、民主党についても同じことが言える。

Q:量的緩和政策の解除が、日本企業の経済活動に与える影響について、また、日本経済が持続的に発展できる環境に入ったかどうかについて伺いたい。

北城: 短期的に、量的緩和政策解除が経済活動に大きな影響を及ぼすとは思わない。量的緩和政策そのものは、危機対応の異常時における対策であり、現在の日本経済は金融危機を引き起こす異常状態ではない。従って、量的緩和政策解除によって、急に経済活動に大きな影響が出るとは思えない。多少長期金利が上昇しているが、いずれ、量的緩和政策解除の後で、日本経済が順調に発展していけば、金利の引き上げも行われるのではないか。ゼロ金利も本来は異常な政策であり、お金に金利がつかないこと自体が異常である。量的緩和政策を解除したが、これからは金利機能も正常化に向かって歩んでいくと思う。その時期については、色々な考えがあると思う。心理的な問題で、業績の厳しい企業にとって金利が将来高くなるという不安を持つことはあるかもしれないが、短期的に経済自体には影響ないと思う。

日本経済が持続的に発展できる環境に入ったかどうかについては、基本的には、企業活動としては、今後も持続的に発展できる環境に入ったと思う。しかし、財政の点で日本には大きなリスクがある。経済に関しては、外的要因として、アメリカ経済が持続的に発展できるかという問題がある。双子の赤字があって順調に成長できるのか、また、エネルギー問題などのリスクがある。中国については、リスクはあるが、リスクが直ぐに顕在化するとは思わない。リスク要因として一番大きいのは、米国経済が持続的に発展できるかどうかである。アメリカは金利の引き上げを続けるようなので、上手く軟着陸できるかどうかがリスクである。

そのような意味で、個々の企業経営については持続可能な環境に入っているが、国としては、財政再建と競争力強化の政策がこれから必要となる。これまでは、不良債権処理、官から民へ、中央から地方へ、財政再建といった過去の問題を解決するような対策がとられてきたが、日本の競争力強化という観点からの政策はまだまだ不十分である。FTAの締結やそれによる市場拡大、規制緩和による事業活動の拡大、競争力の源泉となる人材の育成、新事業創造などの観点からは、まだまだ政策が出されていない。競争力強化の政策を財政再建とともに打ち出して頂きたいと思う。

渡辺: 不良債権処理が一応終わり、その後に景気の回復が続いてきているので、これは持続する一番大きな要因であり、イノベーションも起きている。企業不祥事があるが、我々の主張しているコーポレート・ガバナンスや企業価値など、企業側も徐々に進化の過程にある。国内的に持続できる要因が重なってきた。あとは財政再建と人口減少が課題である。やってきたことが積み重ねになって、持続性を維持するベースになっている。

北城: 企業は、リストラなどで痛みを伴いながら努力してきた。それなりに国際競争力をつけてきたが、日本経済全体では、さらに競争力強化のための戦略も必要であろう。リスク要因として財政再建に乗り出す必要もある。一方で、財政再建だけ進めれば、日本経済が順調に発展できるわけではない。これからは、国の政策を競争力強化、或いは、イノベーション、国の国際競争力という視点に移していくべきではないか。

Q:第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の結果について、感想はいかがか。

北城: 日本が勝って本当によかった。各紙新聞の朝刊一面には大きく取り上げられている。国際試合で日本が勝ったことには、国民のアイデンティティが感じさせられた。企業でも色々な試合に出ると社員のモラルが上がるというが、あのような試合を観ることで、日本人のアイデンティティを感じた。

試合終了後の監督のコメントが興味深かった。特に韓国の監督は立派で、日本を非難するのではなく、日本チームはよくやったと発言している。キューバの監督も日本の野球を褒めている。競技においては対立するが、競技が終わった後でお互いを讃えることは必要ではないか。色々な問題においても、問題点を指摘するだけではなく、相互理解、お互いの立場を尊敬する発言も重要であると、監督のコメントを聞いて感じた。日本の盛り上がりだけではなく、韓国やキューバなど海外でも盛り上がった報道があった。国際試合は、それぞれの国の人を盛りたてて、国の活力を高めるのには良かったかもしれない。これでまた、GDPが上がればいいと思う。

Q:アンケートの中で、非製造業の先行きが横ばいになっている。背景には、人件費や人材確保難があると分析されている。先日、大手企業の春闘の回答があり、何年か振りにベア引き上げを復活させるところが出て来た。将来的に、人材確保のために賃金面で上乗せしなければならないとなると、矛盾を抱えることになるのではないか。

北城: 個別企業で生産性を上げ、競争力を高めて収益を上げた企業が、人材の確保や成果をあげた社員に報いるために昇給をすることは望ましい。一方で、人材確保のための昇給に対し、自社の生産性を上げられないようなところは厳しくなってくる。それぞれの企業がイノベーションをして、業績を高めなければならない。特にサービス業は、人件費の占める割合が非常に高いので、短期的にそれだけの改革ができない企業は、収益面で悪い影響が出る。しかし、雇用者の収入が増えることは、個人消費を拡大させることになるので、一般的に昇給が経済に悪い影響を与えることではない。一層、生産性向上や競争力強化に努力をする企業とそうでない企業の峻別が行われることになる。自己責任で経営をし、企業の業績についても、それぞれの企業が判断や努力をする。景気が厳しいから金利を低くしてほしいといったような、マクロで政策を語るべきではない。

Q:人口減少が大きな問題であるというお話があったが、現在の日本の人口が多すぎるのか、どのくらいのレベルならいいとお考えか。

北城: 人口減少は長期的な課題のリスク要因として話をしたわけで、今期・来期の景気動向に大きな影響が出るわけではない。財政再建のことを考えると、20年や50年のスパンで政策を採っていくので、長期的に人口が急激に減少することは、経済運営を非常に厳しくする。その意味で問題である。人口が減少すると住む家は広くなり、環境への負荷も少なくなっていいのではないかという意見もある。地球全体の人口増を考えると、人口増自体は環境問題から見ると良いことではないかもしれない。問題は、急激な減少と合わせて、大きな財政赤字を持っていることである。財政赤字がなければ、緩やかな人口減少であれば、それを上回る生産性の向上によって、一人一人にとっては豊かな生活ができる。人口減少そのものが悪いわけではなく、大きな財政赤字を持つなかで急激な人口減少がおきると、財政再建や経済の活力に非常に難しい課題を投げかけるのが問題である。急激な人口減少が起きないようにする。特に子供を生んで育てたいという家庭があるので、そのような人への対策が必要である。併せて、競争力強化、日本の生産性向上や国際競争力強化の政策をもっと取り入れていくべきである。特に人口が減るので、一人当たりの生産性を高めなければならない。活力はこれから重要な課題になっていく。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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