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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年03月07日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、「企業の社会的責任(CSR)に関する経営者意識調査」について報告を行った後、記者の質問に答える形で(1)日銀の金融政策、(2)政府のEPA推進閣僚会議、(3)日本郵政の200直営店舗展開という報道、(4)CSR経営者意識調査結果、について発言があった。

Q:日銀の政策決定会合が今週の8、9日に行われ、市場は8日の量的緩和解除決定をほぼ織り込みつつある。経済同友会はかねて、量的緩和を早期に解除すべしという見解を表明されているが、今回の政策決定会合で解除を決定すべきか。また、解除後の金融政策のあり方について、どのような姿勢で臨むべきか、について伺いたい。

北城: 最終的には日銀が決定することなので、我々が憶測を持って発言することで、その決定に影響を与えることは本意ではない。昨年から経済同友会(の見解)は、量的緩和は危機対応であり、非常時の金融政策だと考えている。特に、企業経営者は業績の向上等について自信を持っており、景気も順調に回復しているという状況では、少なくとも金融のシステミック・リスクがあるときの非常時対応は終わってもいいのではないか、と感じている。そういう意味では、今回量的緩和が解除されても大きな影響が出るとは思っていない。

今後の金融政策に関しては、今すぐに金利の引き上げを行う状況ではないと思うので、当面は日銀が低金利政策を続けることを期待しているし、そういうメッセージを出すと思っている。

Q:量的緩和解除後の政策の枠組みについて、物価管理目標といった数値目標を容認すべきかどうかについて、どうお考えか。

北城: 市場との対話が柔軟に行われる方が好ましい。インフレ目標値といった数値を決めてしまうと、日銀の政策が固定的になってしまう。数値目標を作るよりも、日銀がいま金融政策としてどのような判断をし、経済情勢や物価の動きに対してどのような判断をしているかを表明する方がいいのではないか。これまで福井総裁をはじめ、日銀の方々の市場との対話はうまく機能してきたと思う。これからも市場との対話による柔軟な政策が取れる仕組みが良いと思う。数値目標による固定的な政策を取るよりは、今のような基本的な方針を表明される仕組みの方が良いと思う。今、(解除を)3月にやるべきだ、4月にやるべきだという議論がなされているが、本質的には1ヶ月早いからどうという問題ではないので、日銀の判断で良いと思う。あまり「3月は早すぎる、早すぎる」と言われると、4月にした場合、政府の圧力でそうなったという議論を呼びかねない。日銀に粛々と決めていただくのが一番良い。あまり(政府が)発言すると、意見に相違があるように思われてしまうし、かえって健全ではない。

渡辺: 経済運営において、政府と日銀が対立しているという誤解を与えるのが一番まずい。日銀が決定したら、政府も尊重すると言っていただきたい。日銀の「市場の対話」の信頼性を政府もサポートする必要がある。

北城: (量的緩和解除は)金利の引き上げではなく、非常時の金融政策を正常化するということだ。日銀の金融政策だけで景気が動くわけではないので、正常化に向けて歩み出すことは、日銀の判断で決めて良いと思う。

Q: 今日、政府でEPAの推進閣僚会議が開かれ、EPAやFTAの交渉をスピード・アップして締結をしていくという取り決めを行った。経済界からは、これまでの政府の交渉姿勢について、スピードが遅い、韓国や中国との交渉が進まないといった不満も出ているが、代表幹事はどのような見解をお持ちか。

北城: 今の経済事情やこれからの少子化・高齢化社会を考えると、経済を健全に発展させていくためには、活性化のための政策が必要だ。そのために規制緩和、科学技術の振興、新規創業といった色々な対策が取られてくると思うが、EPAやFTAの推進も非常に重要な政策であり、これまでは、やや取り組みが遅かったという感じがしているので、(スピード・アップは)非常に結構なことだ。国内事情も関連があるので、国内の構造改革を一層推進しなければならないという意味で、外交問題であると同時に国内問題でもある。これからの経済運営を考えたときに、日本は先進国として市場を開放し、発展途上国に経済発展の機会を提供することで、長期的に日本経済の発展に貢献するということもある。特に、日本のように貿易によって成り立っている国という観点からも、FTAやEPAの推進は非常に重要な課題だ。政府が積極的に取り組んでいくことは非常に重要であり、歓迎もしている。

渡辺: 昨年バンコクで日本・ASEAN経営者会議が行われ、近いうちに提言も出るが、その中では当然、もっと促進すべきだという意見だ。中国も一所懸命取り組んでいるし、リーダーシップ争いではないが、日本はこのままでは遅れてしまう。

Q:新聞報道の範囲だが、日本郵政が200を越える直営店を展開するということを検討しているようだ。これまでの西川社長の発言を見ていると、拡大路線がにじんでおり、民間の銀行が懸念を募らせている。民業圧迫という言葉が正しいかどうかは分からないが、今後の日本郵政の経営のあり方、懸念等についての考えを聞かせていただきたい。

北城: 郵政株式会社の中で、銀行と保険業務に関しては将来的には民間企業として経営していくという方針が出されている。民間企業として、政府の関与が全くなくなった形でどのような経営が行われるかが、非常に重要な課題だ。西川社長が、新たな金融機関、保険業務(機関)として健全な経営をするための体制が必要だという発言をされていることは理解できる。最終的には会社として設立されるわけで、取締役会を経た経営方針の中で議論されていくことだ。政府の関与、国の資本が入っている間にどこまで拡大するかということを、今後議論すべきだ。完全に民営化された会社が健全に経営をするために、長期的に色々な経営戦略を取るのは当然であり、出来るだけ早く国の関与が無い仕組みにしていきながら、競争力があって健全な経営ができる体制を作るべきだ。国が株式を持ち、暗黙の政府保証がある中で、拡大路線を走るというのは問題なので、できるだけ早く国の関与が無くなる仕組みにするべきだ。

経済同友会は、10年の移行期間は長すぎるので5年位を目処に完全民営化に向かって進むべきだと主張している。どこまでが準備期間としての体制整備として認められるのか、それを超えた場合に、民間との競争上問題があるかどうかという判断については、田中委員会で議論していけばよいと思う。私は、一概に民業圧迫ということで反対しているわけではなく、早く完全に民営化すべきだと思う。

Q:国の関与がある間にどこまで拡大するかを先に議論すべきで、一方で、早く国の関与を取り払って健全かつ強い経営をするべきだということだと思うが、その間に200以上に店舗を持つという拡大路線については、悪い、民業圧迫だという評価はしないということか。

北城: 200店舗でどのような経営をするかという具体策が出ていない。預金だけの体制なのか、融資はどのように取り扱うのか、一般の金融機関と同じような経営をするのか、農林中金のような資金運用的な経営をされるのか、具体策がはっきりしていないので、一概に民業圧迫とも言えない。一方で、国の関与がある間に拡大政策をずっと続けるということでは問題だ。200店舗の多少については、民間の金融機関でも200を超える店舗展開をされているが、業務としては融資業務等も含めて経営されている。今後、郵政銀行がどのような経営をし、収益管理やリスク管理をどうするのか、採算を合わせるための要員、体制をどう考えるのか、といったことを総合的に判断しなければ、拡大路線ともいえないし、一方で、新たな銀行が健全な経営ができるのかどうかは判断できない。基本的な方針は西川社長が出されているようだが、新たな体制の中で取締役やガバナンスの機構もあるので、そこで検討され最終的な方針として出てきたものについて判断をしていきたい。

渡辺: どういうビジネス・モデルで、どの程度の規模で民営化していくのかという経営計画をきちんと説明しながら、その中で店舗はどうあるべきかについて、まず取締役会の承認を得て(店舗展開が)行わなければならないということだと思う。また、報道されたことが西川さんの考えなのか、郵政公社なのかがはっきりしない。

Q:CSRに関する経営者意識調査の結果で、「企業不祥事の頻発を受けて、周知徹底に取り組む経営者が83.6%」という結果が出ているが、実際に周知徹底がなされているかを検証される予定はあるか、またその方法についてはどのようなものがあるか。

北城: アンケートの結果に、周知徹底83.6%、体制構築(見直し)61.5%、社内点検34.5%とある。訓示や行動基準を徹底していたとしても、その通りに実際の経営が行われているかどうかを検査・監査するという観点で、少なくとも3割の経営者が社内点検を始めているということだ。指示するだけでは健全な機能運営ができているかどうかの確認ができないので、少なくとも実行を点検することにも取り組んでいる証で、これは必要なことだ。本来これをもっと高めていくべきだと思う。

性善説に基づく従来の日本の経営、社員は健全で社外に悪い人がいる、という発想から、不祥事は社内からも起こる可能性がある。それを防ぐことも、健全に経営が行われているかどうかを確認することも、経営者の責任である。

このアンケートは経営者自らが答えているので、経営者自らが不祥事に関与することは論外だ。ライブドアや耐震偽装、東横インの問題など、経営者が関与したのではないかという事態がある。もし経営者が関与しているとすれば、今後の課題は、どういう人を経営者に選ぶかというガバナンス、経営者の選択の仕組み、ないしは経営者が健全に経営しているかどうかを確認するガバナンス、取締役会のあり方、特に独立した社外取締役の重要性についても、これから認識していく必要があるのではないかと考えている。経営者自らの健全性、倫理観、経営者の行動に関する監視体制の整備も、要るのではないか。

Q:「不正行為が発生していないと言えるか」という設問で、「自信を持ってないと言える」と解答した経営者が3年前の44.1%から32.3%に減っている。一方、「ないと確信しているが不安はある」という経営者が増えている。これは、経営者の社員に対する信頼度が落ちているということか。どのような経営者の心理を表しているとお考えか。

北城: 私個人の解釈になる。これまで社員を信頼する経営を行ってきて、これは大事なことだが、一方で、不祥事が起きたときには、会社にとって非常に大きな損害になる、社会的な制裁を受けるということがある。経営者は、企業の持続的発展のためには、社内で不正の起きない体制を作る必要があるということを認識し出したのだろう。社内で問題が起きる可能性がある、そのための周知徹底や監査体制を作る必要があることを、経営者が認識しているのだと思う。それだけ不祥事に対する社会の批判が厳しくなっているということだろう。不祥事に対して、経営者が知らなかったでは済まされない環境になっている。

渡辺: 最近の不祥事で、経営者自らが起こしている不祥事については、この問題ではない。カネボウやライブドアの粉飾などは、本当だとすれば経営者にしか起こせない不祥事だ。組織の中で目の届かない不祥事と、経営者自らが起こしている不祥事とは、分けて考えなくてはいけない。このアンケートでは、521社が回答を寄せてくださっているが、このなかで実際に不祥事を起こしている会社は少ない。意識は持ち出したということが結果に現れているのではないか。経営者自らの不祥事も、内部統制や取締役会のガバナンスで防げる。その辺りを分けて、ひとつずつ取り組んでいかなくてはいけない。

商法改正によって内部統制の強化は行われるが、取締役会のあり方については、別のステージできちんと議論される必要がある。

Q:CSRに含まれる項目について、3年間で大きく経営者の意識が変わっているようだが。

北城: 社会の批判がそれほど厳しくないときには、性善説だけで経営をしており、不祥事が起きても会社の存在が危ぶまれるほど影響は大きくなかった。ここ数年をみると、中には会社が倒産したり、業績が非常に大きく低下するような例も出てきている。経営者自らの、(企業の)反社会的な行動が企業の持続的発展に非常に大きな問題であるという認識が大きくなってきたなかで、今までのように社員が善良であるという仕組みだけで健全な経営ができるのか、ということに対する危機感が表れていると思う。大きな組織になったときに、全員が健全に機能する仕組みを作っておかなければ、不正は起きかねない。一人で不正ができないような仕組みを構築することも経営者の責任だし、問題が起きていないかどうかを監査する仕組みを作っておくことで、社員の不正を防ぐこともできる。制度を作ることも今の経営者には必要だ。

渡辺: 3年前の調査のときは、コンプライアンスは当然クリアした上で、という環境だった。この3年間で、社外取締役を導入する企業も増え、コーポレート・ガバナンスの議論などは相当進化したと感じている。その割には、まだ不祥事が増えてきている。自社では問題はないはずだが、頻発する不祥事を見て、経営者自らが意識を高めているのだろう。

北城: 談合などを見ても、会社としては行わない方針を決めていても、現場で何かが起きているかもしれない、というリスクを経営者自らが感じているのだろう。やるべきではない、というメッセージを、経営者が出し始めていると見てよいと思う。

Q:ISOが、2008年の発効に向けて、企業に限らないSRの規格づくりをしている。これについてはどのようにお考えか。

北城: ルール作りには参加した方が良いと思う。ただし、CSRの基準が一人歩きして、これさえ行えば高い評価、認証を受けるということになると、企業の社会的責任、健全な経営は何か、に関する多様な価値観があるなかで、あまりにも固定的な仕組みだけで企業を評価してしまうということは、今の段階では時期尚早だと思う。ヨーロッパをはじめ、世界中である程度の基準を作ろう、特に発展途上国から、ある程度の基準を作ってもらわないと自分たちが対応できているかどうかがよく分からないという議論があり、最終的には日本は積極的に賛成したわけではないが、ISOで現在どのような基準にするか検討が進められているようだが、それには参加して我々の意見を表明していくことは重要だし、一方的な格付けというよりは、基本的な考え方のもとに、各々の企業がどう努力をするかという仕組みが良いと思う。

渡辺: 経済同友会の調査は、経営者自らの自己採点リストであり、格付けではない。基準を作るのはよいが、それが規制になるとかえって企業の自由な行動を制限する。自らの努力と独自性で、良い企業を作る競争をするというのが、企業活動だ。

北城: ISO等の標準というのは、ある程度技術が成熟したときには基準が必要だが、発展段階で基準を作ってしまうと、技術の発展を抑えてしまう面がある。CSRに関しても、社会の価値観がある程度定着しない段階で、これで点数さえ取れば立派な会社だ、という風に決めてしまうと、本来いろいろな会社が努力をして健全な経営をしようという際の創意工夫を抑えてしまうかもしれない。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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