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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年02月21日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)ライブドア事件を巡る送金指示電子メール問題、(2)米牛肉輸入問題と食の安全、(3)日本航空社の内紛、(4)オリジン東秀社の買収、(5)景気と株価、(6)量的緩和解除と金利政策、について発言があった。

Q:ライブドア問題で、堀江前社長が送ったとされる送金指示電子メールが、今国会で与野党の駆け引きの材料になっている。今日の午前中、民主党の幹部から「メールの信憑性を立証するのは難しいのではないか」という声が上がっている。ここまで問題が大きくなっているなかで、民主党の信頼性にも関係してくるのではないかと思うが、これについてどう思われるか。

北城: 事実関係がよく分からない。電子メールのような文書を作ること自体はいくらでもできることなので、事実関係を明確にしていく必要がある。民主党がどれだけの情報を持っているか分からないが、発信者個人の安全などプライバシーを守るという問題はあるとしても、これだけ大きな問題になっているだけに、事実関係をできるだけ明確にし、そのうえで必要があれば捜査当局による問題の解明も必要ではないか。

Q:牛肉の問題で、総理が米国産牛肉の輸入再開は当面難しいのではないかと発言された。食の安全に関するこれまでの政府の対応について、どのように評価されるか。

北城: 食の安心・安全は国民の関心事であるし、BSEの問題についても安全な食肉が日本に輸入されるよう確保するのが政府の重要な仕事だと思う。今回は、米国の制度が整備されているかに対する確認が十分行われないままに、輸入が行われたのではないかと思う。制度を作ることも重要だが、制度が確実に実行されているかどうかを担保するのも非常に重要なことだ。米政府には、制度の運用についての確認を求める、制度の実行性の確認を求めるにしても、やはり日本政府としても、こうした問題が起きただけに、現地の調査を含めて、安全が確保されているということを確認することが重要だ。それがなければ、国民が安心して輸入牛肉を食べることができない。基本的な責任は米国政府にあるとしても、確実に実行されていることを確認するのは、日本政府の重要な仕事だ。そういう意味で、結果として不十分だったと言えると思う。

Q: 日本航空(JAL)社の内紛について、コーポレート・ガバナンスの観点から伺いたい。

北城: 経営の現状などについて詳しいことは分からないし、報道されている事実以上のことは知らないが、基本的に社長や会長など、経営執行の責任者を選任するのは取締役の役割だ。取締役会が十分に企業のガバナンスを働かせていたかということが大事なのであり、取締役でない役員などが反対の意見を言ったから、それで退任するということではない。そういう意見も含め、取締役会が経営者をどのように選任するかが重要だ。JAL社の場合には、社外取締役もいるようなので、独立取締役と言われるような取締役を中心として、ガバナンスの観点で、現執行部が経営することが適切か、経営戦略などについて変更が必要か、などについて検討するのは、ひとえに取締役会の役割だと思う。これはJAL社に限らず、ライブドアの取締役はどのように機能していたのか、など、いくつかの企業不祥事が起きるなかで、取締役会の役割は何かということを、もう一度よく考えてみる必要がある。

日本では、商法などで取締役会の規定はあるが、ガバナンスについては、委員会等設置会社が適切なのか、監査役会の形態が適切なのか、という議論が中心だと思う。できるだけ株主の立場を代表して、企業経営が健全に行われていることを保証するための、独立した社外取締役の重要性をよく議論していかなければならないのではないか。たくさんの企業不祥事が出ているが、多くの会社で取締役が社内の方だけで構成されているように見える。見識ある独立した社外取締役を入れていく、社外取締役の登用は非常に重要だ、ということを、機関投資家も含め証券市場に参入する人たちが要求していくべきだと思う。

経済同友会は、社外取締役を推進すべきという立場だ。日本では社外取締役なしで立派な経営をしている会社がたくさんあるので、そういう会社のトップからは社外取締役の必要性はない、という議論もある。確かにトップが優秀であれば、社外取締役がいなくても健全な経営はできるが、一方、社長、会長の経営判断に問題があるときに、その修正は社内の人では非常に難しい。社外取締役の登用は非常に重要だ、ないしは社外取締役が入っていない会社の健全性にはリスクがある、という認識が出ても良いのではないか。

渡辺: JAL社のトップも経済同友会で一緒にやっている。経営者仲間としていろいろ言いたいこともあるが、情けないの一語だ。ガバナンスの問題も含め、こういう問題が起きるのは、残念だし情けない。官であった企業が民間に移る過程や合併など、複雑なこともいろいろあるが、全体について取締役会とガバナンスというものが一体となって経営を改革しなくてはならない。その改革が先送りされてきたことが残念だったというのが個人的印象だ。

りそなの社外取締役を務めているが、何のためにいるかというと、公的資金を導入したので、国民に負担をかけないために、銀行経営者はどうやって真剣に取り組んでいるかを監視している。社外取締役が入った会社とその経緯によって、視点は違ってくる。JAL社の場合は、安全など総合的視点があるだろうが、9つも組合があれば、普通の経営はできない。

JAL社の改革を行うに相応しいガバナンスをもう一度再スタートして取り組むべきなのではないか、というのが外から見た考えだ。

北城: 現実に、JAL社の社外取締役が、取締役会でどういう議論をされていて、どういう方針が出されるか分からないので、社外取締役が十分機能しているかどうかは、これからの判断だと思う。3名の独立した社外取締役が経営に参加しているので、これからの経営判断に対する社外取締役の位置づけが非常に大きいと思う。どういう結論を出されるか、注目して見ていきたい。

渡辺: JAL社がしっかりすることによって、乗る顧客、働く方たち、株主の三者が共同の利害を共にしている。経営のより健全な建て直しは、国民にとって重大な関心事に違いない。

Q:経済同友会は個人の経営者の集まりであるが、JAL社のトップが以前副代表幹事を務められていた。これについてご意見があれば伺いたい。

北城: この先どういう結論が出るか、その結果である安全な運航や業績の推移について、まだよく分からない。今回の件で、これまで経営の責任を持っていた方がどれだけの影響力を持っていたのかはよく分からないが、基本的には、従業員が社長の交代を求めるのではなく、社長の経営が不適切であれば、取締役会が社長の交代を求めるべきだし、経営戦略に問題があれば社長を更迭すべきだ。一方、社長としては、取締役会で選任された限りは、健全な経営をするために役員等の更迭が必要なら行えばいい。ガバナンスという面で、取締役会がどれだけ経営のあり方に機能していたかという方が問題ではないか。

JAL社には社外取締役が3名いらっしゃるので、形式的には、外部の取締役のガバナンスが動く体制は作られている。しかし体制ができても、実体が機能していたかどうかについては、やや疑問があると思う。これまで経営の任にあたっていた方が、体制づくりはやられたが、その後の実行性についての推移はよく分からない。

Q:オリジン東秀株を巡る、ドン・キホーテとイオンとのTOBの争奪戦が活発になっている。違法ではないがグレーではないか、という意見も出ており、企業倫理を問うひとつのモデル・ケースとして注目されていると思うが、これについてご意見を伺いたい。

北城: ライブドア社によるニッポン放送株の問題以降、市場でTOB等をかける、あるいはM&Aをされる場合のルールはだいたいはっきりしてきた。今回のオリジン東秀社を対象とした買収に関していえば、そのルールの中で行われていると思う。どういう結果が出るかは、ドン・キホーテとイオン・グループの株主がどういう評価をするかで、株価の動きなども踏まえて、経営者が判断することもあると思う。最終的には、両社の経営判断とそれに基づく株主の判断で決まってくるのではないか。これまで、敵対的買収が少なかったといわれているが、立派な経営をしている会社に対して買収等の提案が起きることは、これからも有り得ると思うし、それがけしからんということでもない。最終的には、その会社の経営者や従業員、顧客、株主にとって、どういう経営判断をするのが適切かということは、マーケットの中で決まっていくということで良いのではないかと思う。

Q:昨今の株価の動向は、足元の景気を反映しているとお考えか。

北城: 昨年末くらいまでの株価の動きは、企業業績と日本経済の回復を反映したものだと思う。株価のパワーが、株価収益率が20倍を越えてきた段階くらいで、ほぼ企業業績の現状を反映していると思う。これまで株価が上昇してきた背景には、海外投資家と個人の市場への参入があると思うが、特に個人の場合、買えば上がる、市場に参入すれば自動的に儲かるということではない。今の株価の水準は、企業業績を反映した形になっているので、これからは個別銘柄をきちんと選んでいくということだと思う。一方的に上がることが異常で、ずっと上がり続けるとバブルだ。そういう意味で、健全な状況ではないか。

今後、株価が全体として上がるかどうかは、海外投資家が日本の経済の先行きをどう判断するか、来年以降の企業業績はどう推移すると株主、マーケットが見るかにかかってくると思う。単調で上がりすぎるとバブルになっていたかもしれないので、かえって上がらなくて良かったのではないかと思う。金融の量的緩和政策も止めてはいけないという意見もあるが、全てやっていたらバブルになるかもしれない。あとは個別銘柄をきちんと選び、長期的にはこれからも日本経済が発展する可能性はあるので、経済の実情に合わせた株価が形成されればそれでいい。

渡辺: この半年から1年くらいで株価は4-5割上がった。そのうち半分は一株当たりの利益、業績が反映されて上がり、半分は株価収益率が18倍から22-3倍になった。日本経済全体を買うという状態だったが、その間に海外からお金が入ってきている。今は踊り場で、いろいろな判断が行われているのではないか。上がり一辺倒では、むしろ(良い状況を)早く終わらせるかもしれない。

北城: 米国の機関投資家で、日本株の比重を減らすべきという意見を出している(2月8日)ところがあり、それ以降外国人投資家の売りが続いてきたということもある。基本は、企業業績が持続して上がれば一株当たりの利益が上がり、それに伴って株価も上がるので、要は経済を活性化することが大事だ。小泉政権以降、構造改革によって日本企業の経営が随分変わってきたと思うが、ここで安心すべきではない。景気が回復した今こそ、改革を実行、加速すべきだ。最近の政治上の課題があり、やや構造改革が停滞するのではないかという方が心配だ。

Q:マザーズ、ヘラクレス、ジャスダックなど、新興市場で株価の下落が大きくなっているが、それについてはどのようにお考えか。

北城: 新興市場で、特にベンチャー企業の株価については、現在の一株当たりの利益と比較して非常に高い水準の会社がたくさんある。これは、これからの急成長が望めるだろうという前提のもとで、(株価収益率が)50-60倍という会社もある。しかし、最近のライブドアの問題も含め、決算の内容に対する心配や、利益が何倍も増えていくことが持続可能かどうかに対する冷静な判断が入ってきたのだろう。そういう意味で、株価が単なるムードで上がっていることの方がバブルのようなもので、2000-2001年くらいのITバブルのときも、企業の実体以上に株価だけが上がり続けることが起きた。株価の上昇に伴って実体がついてくればよかったが、必ずしもそれが持続可能ではないという判断があると思う。個々の企業の業績に応じて株価が付いていくことの方が健全だ。バブルはどこかで弾けるので、あまり大きくなって弾けるよりは、小さい頃に弾けた方が良い。

量的緩和の解除も、早くやらないとバブルを作っているかもしれない。土地の値段や株価など、金利がただのお金がたくさんあるということは、いずれバブルを作る懸念をもたらすわけで、金利があって初めて健全な経済の仕組みが回る。ゼロ金利のお金が市場にたくさんあることの方が異常だと思う。

渡辺: 東証銘柄は、企業価値がある程度安定的に評価、予測できるが、新興市場は将来価値を算定するので、幅が大きい。ライブドアのような事件が起きれば、その影響度が違うのは当たり前だ。新しい市場も、これからの企業価値がどのくらい成長するかを、情報開示も含めて、新たな観点で模索し始めたことは、むしろ健全性への回帰なので、あまり心配する必要はない。健全に評価されたうえで、努力で成長を続ければよい。新興市場の企業価値の将来実体は、みんなが予測する世界なので、影響度が大きいのは当然だ、という当たり前の動きをしている。

Q:東京証券取引所の現物株と大阪証券取引所の先物の取引時間が異なり株式相場の混乱を招いているとされる「魔の30分」と言われる問題が起こっており、市場操作的な動きの温床となっているという声がある。これについてはどのようにお考えか。

北城: 市場は健全に機能して、株価が形成されることが望ましい。取引件数の増加などに懸念して、市場が健全に運営されていない方が問題だ。将来株価が下がる、今の株価が高いのではないかという一般的な認識と、海外からの投資が減っていることを踏まえて、将来に対するいろいろな予測で先物の価格が決まっていると思うが、市場というのは健全に、なおかつ制約なしに機能することが重要だ。東証も取引件数に対するシステムの対応が進んだということなので、これから今のような制限がなくなる方が好ましい。なるべく早く正常化した方が良い。

金融の量的緩和政策も、いずれどこかでやめるわけだが、将来景気が単調に回復することはなく、どこかで景気循環的に後退も起きる。いま量的緩和を解除しないで、景気後退期に解除すると、量的緩和の解除が原因で景気が後退したと言われかねない。量的緩和の解除自体、実体経済にはそれほど大きな影響は出ないと思う。金利については、その先影響が出てくるだろう。金利機能がないことで企業の経営が助かっていることもあると思うが、一方で、本来退場しなくてはならない企業が残っていることが非効率を生む。より効率の良い競争力のある企業体質や、日本経済の競争力を考えれば、金利機能が働かない仕組みの方がおかしい。金利機能についてもできるだけ早く正常化すべきだし、まして、量的緩和の問題については、これだけ景気回復の指標が出ているだけに、できるだけ早く健全化した方が良いと思うし、日銀の判断で良いと思う。3月、4月といわれているが、日銀の判断で、私はできるだけ早くした方が良いと思う。そもそも、量的緩和政策は非常時のリスク管理として導入した制度なので、非常時を脱しつつあるときに、このような政策はできるだけ早く変えて、なおかつ、金利が急上昇することもリスクなので、金利政策の方向性についても日銀が意見を出していくと思うので、正常化に向かって進むべきだと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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