ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2006年02月07日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)相次ぐ企業不祥事、(2)官製談合と天下り、(3)「まちづくり3法」改正案、(4)格差社会、(5)骨太の方針、(6)小林陽太郎・富士ゼロックス会長宅への薬きょう事件、について発言があった。最後に、北城代表幹事がWEFダボス会議(1月25日~29日)の感想を述べた。

Q:またぞろ企業不祥事ということで、大手ビジネスホテルチェーンの東横インの法令違反60件が明らかになった。昨年から今年にかけて、耐震偽装やライブドアなど、儲けるためには違反しても良いという風潮が一部にあるように受け止られかねない問題だが、不祥事についてどのような見解をお持ちか。

北城: 非常に残念なことだ。企業そのものは社会の一員であり、企業は社会に貢献して収入を得るので、反社会的な行動を取らない、企業経営者は倫理観の高い経営をする、というのが大前提だ。

一方、こうした不正を行う、法律に反する、反社会的な行動を取る人たちが、全くでないというわけではないので、こういった問題が起きないための制度設計が必要である。これまで規制によって、不祥事を起こすような企業が出ないように行政が管理していたとすれば、これからは規制をできるだけなくして、国は制度を作る、そして制度・ルールに反した人には厳しい処分をするとともに、併せてルールに反する人が出ないようなレフェリーの監視機関を整備しなくてはいけない。事前規制から事後規制への変化が起きているなかで、事後規制の分野が充分に整備されてこなかったと思う。制度の設計を怠ってきたことは、行政側の対応が不十分だったとも思う。

企業経営の立場からいえば、企業の社会的責任(CSR)ということで、企業経営者は健全な経営をしなければならない。これについては、経済同友会でも既に提言を出しているが、全ての経営者が志高い経営をしていないとすれば、経営者の選任の仕組みも考えるべきではないか。法律の制度設計だけではなく、企業の経営のあり方、特にコーポレート・ガバナンスについて、独立した社外取締役が、経営者の選任や解任、処遇を決めるようにすべきだ。本来制度的には取締役が経営者を決めるので、利害関係のない社外の取締役が、経営者を選ぶ際に、単に経営手腕があるというだけではなく、倫理観の高い経営者を選ぶ仕組みが必要だ。日本の取締役会は、社長や会長に権限が集中しており、外部の独立した社外取締役が取締役会に入っていない仕組みが大半だ。もちろん立派な経営者がいる限り問題はないが、不祥事が起きている現実をみると、これからは多くの会社で見識のある志の高い経営者、あるいは学識経験者などの社外取締役を入れることによって、不祥事を起こすような経営者が選ばれないような仕組みが必要ではないか。それでも起こしたときには、厳しい法律の処分も必要だ。

米国でエンロン、ワールドコムのような事件が起きると、素早く政治が動いて、不正に対する厳しい処分と、不正が起きないようなルール作りがされている。日本でもこれだけ問題が起きれば、すぐに政治が現在の制度を見直し、法律を変える、処分を変える、単に罰金だけではなく懲役刑も含めた刑事罰を導入する、なども必要だと思う。このような問題は、政府、国会が早く行動を取っていただきたい。

渡辺: 東横インについては、あれだけの数があるということは、行政も指摘しながら放置していたということだろう。あれでは法が軽く見られる。東京でも大阪でも、いたるところに駐車違反がありながら、抜本的に改革しようとしなければ、社会は段々と、ルールなんて違反して捕まった方が不幸だ、見つからなければ良い、という風になってしまう。そういうところからも、日本の社会全体がルーズになり過ぎているのではないか。

官が、法令がありながら違反を見過ごす、秩序を維持できないということであれば、何かを変えないと、子供の教育においても日常茶飯事で行われてしまう。

北城: ルールはきちんと作らなければいけない。ルールに反したら厳しい処分があるということでなければ、ルールに反する人が出てくる。

談合の問題も同じで、談合が無くならないというのはとんでもないことで、談合が起きないような制度設計も必要だ。官製談合の問題もある。公正取引委員会が談合についての課徴金を、以前の6%から10%に引き上げたが、これまでの道路公団等の談合を見ると、談合が無くなって十数%価格が下がっている。十数%価格が下がって、課徴金が10%では、談合をやり得ということではいけないので、厳しい処分が必要だ。

併せて、他に官製談合がないのかを、全省庁に関して見直し、こういうことは許さないという文化を作るべきだ。

Q:防衛施設庁の官製談合が問題になっているが、昨年7月の夏季セミナーで発表された「利益誘導型の天下りを受け入れない」ということも併せて、具体的な対策を伺いたい。

北城: いろいろな原因があると思う。ひとつは、天下りで、官僚の方が定年を前に退職し、再就職が必要になるという問題がある。これについては、60歳もしくは65歳までの定年まで働けるような仕組み、少なくとも若い段階で途中で退職しなければならないような制度は変えるべきだと思う。

また、官製談合が行われた場合には、官の側にも厳しい処分が必要だし、それを受けて行った民間側に対する課徴金や刑事罰を含めた厳しいペナルティが必要だ。ペナルティが少なく、ルールを守らなくても実害が無いということではいけない。これまでのペナルティは、単に経済的な利得を剥奪するということだったが、それ以上に大きな処分があるという方が、抑止力が働くと思う。海外の例を見ても、アメリカでもヨーロッパでも大変厳しい課徴金があり、アメリカでは経営者に対する刑事罰もある。それでもまったく無くなっているわけではないが、少なくとも厳しい処分が無い限り、非常に残念なことではあるが、抑止力はなかなか働かない。

渡辺: 普通の企業は当たり前に60歳まで働いているのに、なぜ官だけができないのか。常識外れだ。

北城: 人事制度も含めて考えなくてはいけない。事務次官が出たらその代より先輩の人は退職するというような制度では、どこかで若い人がトップになったらそれより年次の上の人はみんな辞めなくてはいけなくなる。そうではなく、年齢に関わらず優秀な人は責任ある仕事に就く、そうでなくても定年まで働ける仕組みが要る。ただし、給料が単調増加では難しいかもしれない。

渡辺: 普通の企業でやっていることをすれはいい。

北城: 給料を単調増加するからこのような問題が起きるので、成果主義でやればいい。人事制度の抜本見直しをすべきではないか。単に1%人員削減、5%経費削減などではなく、世の中のほとんどの企業が成果主義に移ってきているので、官庁だけが成果主義を入れないということではないと思う。成果主義といっても、今の官庁のような単調増加の成果主義では、どこかで若い人が責任ある仕事に就いたときに、その上の人たちが働き続けることが非常に難しい仕組みだ。成果に応じて処遇するという発想が要ると思う。

渡辺: 政治家も官もマスコミも、知っているのに知らないふりをしている社会は、非常に透明性に欠けている。日本を立て直すには、悪いものは悪いと指摘し合える社会にするべきだ。

Q: 昨日、「まちづくり3法」の改正案が閣議決定された。郊外への大型店舗の出店を規制するという改正案で、経済界でも賛否が分かれているようだが、経済同友会としてはどのようにお考えか。

北城: これについては、経済同友会で委員会を設けて議論しているわけではないので、個人的な考え方だ。基本は、できるだけ国全体としての規制は無い方が良い、まちづくり等それぞれの自治体が検討する必要があれば、それぞれの自治体が決めていけばよいのではないか。今回のことによって、大型店の出店が規制されるようになってしまうと、本来の経済の活性化に反することが起きかねない。一方で、ひとつの市だけでは問題が解決せずに、隣の市に大型店ができると周りに影響があるなど、広域行政の必要性も分かるが、本来の中央から地方へ、官から民へという動きからすれば、住民の生活や経済活動に関することは、できるだけ地方自治体に任せていく方が、本来望ましいと思う。その地域の方たちが、大型店が郊外にできることは好ましくない、必要ない、と決めれば、その地域では規制する、あるいはまちづくりのために規制する、ということがあっても良いと思う。

Q:格差社会と言われているが、格差についてのご認識と、それをどう考えるか伺いたい。

北城: 格差が全くないのはおかしい。努力したことが正当に評価され、それによって所得が変わるというのは、経済の活性化のためには必要な制度であるし、これによって、創意工夫をして、効率のいい経済運営をすることが、より少ない資源で生活を豊かにする仕組みとして重要である。努力が報われる社会でなければならない。逆に、努力しても報われない社会は問題である。特に、親の資産が大きいことが次の世代の格差を固定してしまうことはよくない。

格差が存在すること自体が悪いことではなく、格差が固定しないような社会を作るべきである。そのためには、失敗しても再挑戦できるような仕組みが必要である。また、親の資産があるないに関わらず、親の格差が子供の世代に影響しない仕組みも必要である。例えば、意欲のある人は奨学金制度などで進学できるなど挑戦できる社会がいい。何も大企業に入ることだけが将来の安定を決めるわけではない。自分で事業を興すような挑戦をする人がいてもいい。それによって事業で成功し、大きな所得を得ることは問題ではない。

ただ、病気など色々なハンディキャップがあって、経済活動に参加できない人もいる。そういう人たちに対する配慮も必要である。格差がなければ共産主義の国のようになってしまい、結局非効率な社会になる。

格差があることは賛成であるが、格差が固定されるような社会を作るべきではない。

一般的なジニ係数などで格差が広がっているとよく言われるが、他方で、高齢者で退職する世代が資産をたくさん持ち、若い世代がそれほど持っていないという世代間の格差もある。特に日本は今高齢化に向かっているので、資産の大きい高齢者人口が増えており、こうしたことに伴って格差が増えるのは当然起きることである。

構造改革の結果で格差が広がったという問題ではない。問題は、若い世代で格差が広がっていることだ。それは、日本は豊かになったので働かなくてもすむというニートのような考えによって、親元にいれば生活できるから定職に就かない。これは本人の考えでもあり、親の考えでもあるかもしれない。多くの人が定職に就くように努力する、そうした価値観を作ることは必要である。若い世代は、就職することの重要性をもっと理解する必要がある。

渡辺: 日曜日に慶應義塾大学に通う女子大生に話を聞いたら、フリーターがとても増えていると言っていた。フリーターは格差の一つの典型である。親はみな中流である。フリーターは貧しい人というよりは、親との所得の関係でそのような選択をしている。また、雪国では、おばあちゃんやおじいちゃんが一人取り残される。かつては、格差も家族単位で見ていたが、今では核家族化が進んでいる。格差が広がったかどうかと抽象的に問われても、色々な事情が絡み合っていると思う。この問題は実情であり、検討するに値する。

北城: よく貯金がない世代があると聞くが、親のところで生活していたら、貯金しなくても困らない人は多い。あまり、断片的なものを捉えて格差はおかしいということはよくない。格差が全くなければ、活力がない社会になってしまう。本人の努力が報われる社会を作るべきで、努力しても何も良くならないのはよくない。

Q:「骨太の方針」が6月に出るが、名目の経済成長率の議論で、政府与党内では4%以上という意見と、もう少し低めに設定すべきだという意見で分かれている。今後の日本経済をみて、どれほどの経済成長を見込んでいるか。

北城: 経済が活性化して日本経済の成長率が高まる政策をとることは、政府として必要なことであるが、経済活性化のための手段が十分とられているかといえば、まだまだ改革すべき点がある。政府の不要な支出を減らし、より小さな政府をつくって、民間活力の活きる社会を作るという政策については、まだまだ実行すべきことがたくさんある。その意味で、改革を実行して、より高い成長を目指すことは必要である。

ただ、長期の財政再建に向けて、どのような選択肢をとるか決めるとき、予測としてはより保守的にみるべきではないか。4%の成長率を目指すにしても、財政再建の議論のときには例えば3%の名目成長率、実質の成長率でも2%前後、ということを一つの前提において、そのもとでどういう政策を実行することができるのかを考えるべきではないか。成長率を低くみる人たちの中には、増税が必要であるという議論が先に出てきて、不必要な歳出削減の努力が十分働かないのではないかという懸念がある。一方で、ある程度高い成長率を目指す人の中には、経済成長によって税収が増え、歳出削減をすれば増税しなくてすむのではという意見がある。両方が一緒になって議論されていると思う。

より高い経済成長を目指すような経済政策をしながら、財政再建の目標としては保守的で控えめな経済成長をみつつ、歳出削減には取り組むべきである。安易に増税に取り組むべきではない。

今回の談合を見ていても、無駄なお金を使われながら、それで税を増やすのでは、国民の納得を得られない。政府側は無駄をなくし、官から民へということを実行するなり、行政改革や地方に権限を移すなど、(構造改革を)やり切ってから、増税の必要性について議論すべきである。やや成長率の話と歳出削減の話とが混同されているように思う。財政再建のために、これ以上の歳出カットは無理であるという言い方では、国民の納得を得られない。

Q:昨日、小林陽太郎・富士ゼロックス会長の自宅近くに薬きょうが見つかった。因果関係が分からない段階であるが、これは2度目の嫌がらせである。これについてどうお考えか。

北城: 背景は分からないが、暴力的なものを示唆することで、発言や行動に圧力をかけるのは、民主主義のあり方として非常に問題である。こういうことが起きないように、警察や警備当局には、問題解決のための捜査活動に力を入れて頂きたい。このようなことで言論が抑圧される社会は非常に危険である。

<WEF年次総会(ダボス会議)について>

北城: 先週、World Economic Forum年次総会(ダボス会議)に参加した。

今回良かった点は、日本から閣僚の方が何人も参加されたことである。竹中総務大臣、中川昭一農水大臣、中川秀直自民党政調会長、二階経産大臣などがパネリストとして参加された。他にも町村前外相や川口元外相が参加されていた。

昨年の話題の中心は中国であったが、今年は中国とインドが中心となっていた。この二つの国の発展による資源問題への影響や中東和平について議論された。中国に関する分科会は12~13、インドは7つ、欧米も7つくらいだったが、日本は1つだけだった。経済が復興して日本に対する関心が高まったと言われるなかで、日本の本来の経済力やODAを含めた世界への貢献度を比較しても、このような場で採り上げられないという点では、日本の存在感はやや低かった。

これから、我々の国際社会での貢献を知らせていく必要があると思うが、さらに、このような会議に出ることで、世界の人々がどのようなことに関心を持っているのかを肌で感じながら、政治家や経営者が行動することも必要である。情報発信の場としても重要であるが、他の国々の人の考えを理解することも、外交・安全保障を考えるうえで重要である。日本から参加された閣僚のみなさんは、(ご自身が関係する分科会等に)参加してすぐ帰ってしまう。他国の人が、自分の発言だけではなく、他の人の発言を聞いているのをみると、日本ももっとそうすべきであると思う。

さらに、今回小泉総理が参加されなかったことを残念に思う。小泉構造改革の進展と日本の経済と外交政策について発言するのに、よい場であった。日本が国連の常任理事国入りを目指すのであれば、これからどのように国際貢献を考えていくのか、日本のODAはアジアの発展に非常に貢献したので、その経験をもとに世界の繁栄にどう貢献するか、などについて、メッセージを出す機会としてよかったと思う。しかし、国会の関係で参加されなかったことは非常に残念である。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。