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経済3団体長 新年合同記者会見 北城代表幹事発言要旨(未定稿)

日時 2006年01月05日(火)15:00~
出席者 奥田 碩 日本経団連 会長
山口 信夫 日本・東京商工会議所 会頭
北城恪太郎 経済同友会 代表幹事

記者からの質問に答える形で、(1)景気見通し、(2)量的緩和政策の解除、(3)デフレ脱却の見通し、(4)消費税引き上げ、(5)春闘、(6)小泉内閣への評価とポスト小泉、(7)企業不祥事撲滅に向けて、(8)景気拡大を持続させる条件、について発言があった。(*以下、北城代表幹事発言部分)

Q:今年の景気見通しについて、具体的な成長率と懸念要因について伺いたい。

北城: GDPの成長率は2%前後、2005年よりは少し減速すると見ている。懸念要因には、奥田会長や山口会頭がお話されたことに加え、2つある。まず、アメリカ経済が減速するのではないかと考えている。アメリカの金利やガソリン価格の上昇に加え、住宅価格の上昇が止まることによってホーム・エクイティ・ローンを使った個人消費が伸びなくなるだろう。現実に、アメリカの住宅価格は下落が起きているようなので、バブル崩壊ではないと思うが、住宅価格が上昇しなくなることが、消費を抑える。もう一つは、(日本)政府はこれから増税の方向で、消費者の税負担や社会保障費負担が増えることにより、消費が少し減退するかもしれないという懸念がある。

Q:消費者物価指数がプラスに転じるなど、日銀の量的緩和政策解除への動きが強まっているが、量的緩和政策の解除について、どのようにお考えか。また、解除のタイミングと、景気への影響についても併せて伺いたい。

北城: 量的緩和政策は、金融危機に対する非常時対策であり、本来は正常化に向けて動き出すべきである。経済がデフレを脱却できるという判断があれば、日銀が量的緩和政策を解除し、金融の正常化に努めるべきだ。その時期については、固定的に判断すべきではなく、日銀の判断に任せたい。経済が安定的に成長できる、デフレから脱却できるという判断があれば、まずは量的緩和を正常化すべきだろうと思う。実体経済には大きな影響がないと思うが、量的緩和が終われば次は金利の引き上げかという心理的影響が出る心配がある。市場、特に長期金利に影響が出ないことが重要だ。日銀は、市場との対話を進めつつ、順次量的緩和の正常化に向かって歩み出すべきだ。すぐに金利の引き上げということにはならないだろうと思う。

Q: 今年、デフレ脱却を達成できるかについては、どのようにお考えか。

北城: 経済が順調に成長していけば、物価が安定的に推移する限り、デフレ脱却と言っていいのではないか。技術革新による価格の低下は今後も起きるので、経済が順調に成長できるかどうかを重視した方がいい。昨年の2.7%前後の成長率、そして今年2%前後の成長があれば、デフレ脱却の方向にあると判断してもいいと思う。

Q:財政再建や景気への影響などを含めて、消費税の引き上げについてどうお考えか。引き上げる場合には、適当な時期についても伺いたい。

北城: 少子化・高齢化社会において、最大のリスクは財政再建の問題である。財政再建のための増税もこれから選択肢に入ってくると思うが、第一の段階としては、政府の無駄な支出を削減、歳出の大幅な削減に取り組むべきだ。小さくて効率的な政府を作ることが第一である。国民にとって、税負担の少ない政府の運営こそ求められるものだ。道州制を含めて、地方自治や中央政府の役割、社会保障制度、特別会計を含めた政府の支出などの問題に切り込んで、国民が見てもこれ以上歳出削減をすべきでない、税負担をしても政府によるサービスの提供を求めたい、という段階まで、歳出削減に努めるべきだ。

第二の段階としては、経済活性化のための政策を実行すべきである。規制緩和、新しい事業の推進、経済を活性化する人材育成、またFTAやWTOの推進などによって、経済を活性化し税収を確保することが大事だ。

そして第三の段階として、やむを得ない場合に増税となるのではないか。増税する場合には、直接税や所得税等は把握の問題があって不公平感も出るし、これから高齢化社会で数が減る現役世代に過度の負担を求めることはできなくなる。実際にお金を使う段階で税がかかる消費税は、最も公平な税制ではないか。ヨーロッパなどを見ても大体20%前後の消費税であり、手段としては消費税が好ましいと思う。累進性について、食料品などは税率を低くすることもできる。消費税の導入はいずれ必要になると思うが、福祉など特定目的税にはすべきではない。福祉のために必要だということは、国民の理解を得るために必要かとは思うが、一般財源にすべきだ。

Q:春闘がまもなく本格化するが、企業業績が回復しているなか、組合側からはベアも含めた賃金改善要求が早くも出始めている。経営側として、2006年春闘の対応をどのようにされていくか、お考えを伺いたい。

北城: かつてのような、護送船団方式で業界全体で給与が上がる時代には、一律のベースアップの意味もあったと思うが、現在多くの企業では成果主義を採っており、給与のあり方も一人一人の仕事ぶりによって決まる。また、個別企業は国際競争のなか、競争力のある企業を作らない限り生き残れない。よって、それぞれの企業の判断によって、どのような賃金政策を採るかを決めるべきだ。

一方、これからの少子化で若手労働者が減少していく傾向のなかで、個別企業が若手の採用のために、ベースアップを含めて給与を上げるということもひとつの戦略だ。このようなことを含め、個々の企業の判断に任せるべきで、業界全体としてのベースアップは意味を成さなくなってきていると思う。

Q:小泉内閣の構造改革への評価と、ポスト小泉にはどのような人物が相応しいとお考えか、また、次期総理にどのような政策を期待されているか。

北城: 小泉政権の構造改革の進展は高く評価すべきだ。政治は結果責任ということもあると思うし、これまでの政権が取り組まなかったような、郵政や三位一体、社会保障制度などの改革について大きな進展があった。また、景気回復に関しても、大幅な財政出動をせずに、改革によって民間の活力を出すという政策を実現し、結果として経済も回復してきたので、これについても評価すべきだ。残された任期である9月までの間には、三位一体改革のなかでも道州制の問題や、公務員制度の改革、政府の役割等について、より一段と踏み込んだ政策を実行していただき、構造改革が後戻りすることのないような政策を実現していただきたい。さらに、人材こそ国の将来を支えるので、人材育成という観点で教育面での改革にこれから取り組んでいただきたい。戦後60年機能してきた仕組みのなかで、負の問題に対しては、金融の不良債権をはじめ、既得権益を維持するような制度を打破してきたと思うので、私は高く評価している。

次期総理については、構造改革を一層推進する方が望ましいと思う。構造改革続行というより、促進する政権が望ましい。どなたが相応しいかについては、通常国会後の7-8月に、それぞれが政権構想を出されると思うので、自民党総裁として政権を担う際に、どのような政策を実行するかというマニフェストを出していただいて、それによって判断すべきだ。小泉総理が、政治力学でこれだけ力を発揮できたのは、郵政民営化のような自ら掲げた政策を、国民の信任を得て実行できたということに、非常に意味があったと思う。

Q:2006年は、橋梁談合や重大な交通機関の事故など、企業をめぐる不祥事が相次いだ。経済三団体では企業倫理の徹底を声高におっしゃられていたが、なかなか再発防止の糸口が見えていない状況だと思う。今年、企業不祥事の撲滅に向けて、どのようなことをするべきか、伺いたい。

北城: 日本は市場経済で、効率のよい運営をしようと考えているので、健全な市場での競争によって生産性を高めることが、少子化・高齢化を迎える日本にとって非常に重要なことだと思う。そういう意味で、談合など法令に違反するような事件が起きていることを非常に残念に思っている。企業経営者としてはまず、法律違反や安全性に反するようなことが起きないように、組織を運営し、点検し、保証することが重要な責務だ。まずは、企業の社会的責任(CSR)以前の問題として、企業経営者は自らの責任をもって不祥事が起きないような対策を採るべきだ。

一方、談合や耐震偽装の問題を見ると、制裁金が低く処罰が軽すぎると感じる。少なくとも、違反をすることに比較して処罰が非常に厳しいということがなければ、違反はなくならないと思う。談合に対する課徴金や刑事罰の問題、耐震偽装のような経済犯罪に対する処分、これは経営者や実行した人に対して刑事罰も含めて厳しい制裁を課すことによって、このような犯罪を防ぐ抑止力になると思う。

また、「官から民へ」という動きのなかで、民間に任せることによってこのような問題が起きるという意見もがあるが、官が建築確認を行っているなかでも問題は起きてきたので、今回の事件を「官から民へ」に対する問題に摩り替えるべきではなく、民間がより健全に経営、営業活動ができるような仕組みづくりを、官が取り組むべきである。全てのことを官が決めるとなれば、大きな政府になる。併せて、自己責任の問題も考える必要がある。各々が自分の判断で物事を決めていく、それがなければ大きな政府になってしまう。ただし、今回の耐震偽装については、消費者が対応できなかった点はあるので、一定の国の関与があることは認めざるを得ないと思う。

Q:日本経済の景気拡大を持続させるための条件について、伺いたい。

北城: 日本経済が持続的に発展するためには、日本社会が国際競争力を持続して向上していかなければならない。そのためには、民間もイノベーション(改革)を行って国際競争力ある企業を作っていかなければならない。日本社会も政治の運営も、改革を行う、そして小さくて効率のよい政府を作って、イノベーションによって日本経済を発展させていくことが必要だと思う。

さらに、海外の経済情勢によって日本経済がふれることは、ひとつの大きなリスク要因だ。世界第2の経済大国として、内需拡大によって日本経済が健全に発展していくような努力が必要だ。国内の需要が回復するよう、各々の既存企業がイノベーションを実行するとともに、ベンチャー企業を含めた新産業の創造によって新たな価値を作りだす、これによって国際競争力ある日本を作っていくことが大事だと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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