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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年11月08日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、代表幹事より昨日行われた「同友会起業フォーラム2005(第一回)」の内容と、11月26日に行われる「カレッジ・ベンチャー・フォーラム in 京都大学」について紹介があり、その後、記者の質問に答える形で、(1)消費税率引き上げ、(2)御手洗・経団連次期会長への期待、(3)証券取引所のシステム障害、(4)山手線のトラブルをうけ、既存のインフラ整備への企業姿勢、(5)道路特定財源、(6)社外取締役の有効性、について発言があった。

Q:昨日、谷垣財務大臣が平成19年の通常国会に、消費税の税率引き上げに関する法案を提出したいと発言したが、この時期にそうした発言が出てくることについて、どのようにお考えか。

北城: 国の財政再建のために、いずれは消費税の引き上げが必要になる、特に社会保障のためにお金がかかるということで、消費税の増税議論はあると思うが、まずは歳出削減が重要だと思う。国民が納得するだけの歳出削減が行われ、その上で、財政再建のためにどうしても増税が必要だということであれば、その段階で(消費税率の引き上げを)議論すべきだ。三位一体改革や公務員制度改革もまだまだ不十分である。例えば、三位一体改革について、補助負担金と税源移譲については前進しつつあるが、16兆円におよぶ交付税には、まだまだメスが入っていない。それ以外にも、国の歳出削減が十分行われ、国民の側から、これ以上歳出カットは無理である、社会保障を含めて政府としての国民への役割を果たすためには増税も止む無し、ということが理解されて初めて、(増税について)納得性がある。現状の社会保障制度を持続するためには、いずれ消費税の値上げは止むを得ない、という理解は国民の側にも深まっているが、まずは歳出削減を行うべきだ。

渡辺: 特別会計についても議論は始まったし、政府系の政策金融機関も見えない国民負担だ。

北城: 特別会計、政府系金融機関、特殊法人、独立行政法人など、たくさんの課題があり、これにメスを入れてその上で、と言わないと国民の納得を得られない。

渡辺: それらについて、同友会でも収入や支出を調べているが、総動員で改革しないといけない。

Q:同友会の提言は、2010年代の初頭にプライマリーバランスを回復ということだったと思う。まずは歳出削減ということであれば、どの時期までに、どれくらいの規模で行えばいい、とお考えか。

北城: 来年度(2006年度)の予算で、前述したような歳出削減全てに目処をつけて、2007年度に消費税増税の必要があるという話であれば、一つの考え方だとは思うが、2006年度に全て解決できるような切り込み、法案の改正ができるかというと、そこまで進んでいないようだ。例えば公務員制度の改革でも、5年間で5%の人員削減では、財政再建には不十分だ。今後10年くらいの期間で、国で10兆円、地方で20兆円くらいの削減をする覚悟でなければ財政再建はできないだろう、そのためには道州制や市町村合併による基礎自治体の強化、それに伴う中央から地方への権限と財源の移譲を行う必要があると考えており、その上での増税だと思う。今の国会の審議日程からすれば、2006年度に全ては片付かないので、2007年度では早すぎる。

渡辺: 同友会が提言したプライマリーバランス均衡の道は、基本的には国民負担を増やさずに改革を通して実現するということだ。歳出削減と同時に社会保障、三位一体、特別会計などの改革を行えば、お金は出てくるということだ。

北城: 特に年金についての提言は、保険料をなくして基礎年金は消費税にしようということで、単に消費税を増税しようということではない。

Q:竹中総務大臣が「増税、増税と言うのは、形を変えた抵抗勢力だ」という発言をされたようだが、どうお考えか。

北城: 歳出削減を十分実行した上で増税するという議論だと思う。今、増税論を出すと歳出削減が不十分になるのではないか、というご意見だと思うが、私もその通りだと思う。

Q:消費税の引き上げについて、何年後くらいが適切だと見ているか。

北城: 2006年度予算で十分な歳出削減ができるかどうかだ。できれば早い方がいいが、法案も作らなければならない。政府の方針を見ると、公務員制度改革では、公務員数の削減も5年間で5%と、とても大幅な削減にはならないと思う。抜本的な改革が必要なので、それからとなると2007年度には間に合わないと思う。今後は、小泉総理がリーダーシップを発揮して、どれだけ歳出削減を実現するか、また後継者の方がどれだけ歳出削減に踏み込まれるかによるのではないか。

渡辺: これまで同友会の提言で、「増税はやむを得ない」、「増税すべきだ」と打ち出したことはない。現在のままでは困難な状況になるかもしれないが、「増税すべき」とは言っていない。「徹底的な改革と削減を早くやるべきだ」というところまでだ。

北城: 歳出削減の次の段階として、経済活性化による経済の拡大が必要だ。その施策には、規制改革、エンジェル税制を含めた税制改革、教育や人材育成、国の長期的な競争力強化などがある。すぐに増税というのはおかしい。本来は、歳出削減と経済拡大のための施策を打ち、その上での増税であるべきだ。

Q:昨日、日本経団連で会長・副会長会議が行われ、来年5月に任期を迎える奥田会長の後任として、キヤノンの御手洗社長が了承された。御手洗次期会長に対して期待される役割と、御手洗氏に対する評価を聞かせて欲しい。

北城: 御手洗社長は、国際的な経験も長く、企業の経営改革に取り組まれて業績を上げられており、大変立派な経営者だと思う。奥田会長の下で構造改革を進めてきた日本経団連として、御手洗社長も、今後の構造改革、市場での競争を通じた効率的な経済運営を踏襲されるということなので、大変結構だと思う。経営者個人としても尊敬している。奥田さんも立派な経営者だが、御手洗社長もそうだと思う。コーポレート・ガバナンスについては我々と少し違う考え方ではあるが、経営者として立派な業績を上げられていると思う。事業構造の転換をされ、不採算事業から撤退され、競争力のある分野に経営資源を投入された。あるいは生産方式を変えて、人件費が高い日本でも競争力のある事業構造を作られた。そういう意味で、国際的な視点を持ちながら、日本の製造業の競争力の強いところを活かそう、年功序列ではなく能力に応じて処遇することで終身雇用が守られるというお考えについても、日本の良さを活かしながら国際的な視点を持って経営をされている。国際的な経験を活かしながら、日本の構造改革をさらに進めるという観点で、これから活躍いただくことを期待している。経済同友会も構造改革を支持する考え方なので、色々とご一緒できる点もあると期待している。

Q:週末、東京証券取引所をはじめ、情報システムがダウンするというトラブルが発生した。これによって、せっかく回復基調にある市場の信頼が失墜するのではないかという意見もあるが、どうお考えか。

北城: こういう問題が、引き続き何度も起きるということであれば、市場の信頼を失うということもあるだろうが、今回一回だけで、株式市場や東証に対する信頼が失われたということではない。情報システムが巨大になってくると、完全を期すのはなかなか難しい。問題が起きた後には原因を見つけ出せるとしても、未然に防ぐのは非常に難しいし、そのためのテストを行う労力は非常に大きい。しかし、(ダウンが)起きた場合の混乱を考えると、東証に限らず金融機関も含めて、情報システムが完全に、安全に動くための努力は引き続きせざるを得ない。

Q:昨日、山手線がストップし、トラブルの原因は調査中だが、既存のインフラに対するメインテナンスに対して企業が労力を割かなければいけない時代になったと思うが、それに対する企業の姿勢について、お考えを伺いたい。

北城: インフラも含めて、設備の効率的な運営と安全性という観点があると思う。特に安全性に 関しては、それを確保しても経費が下がらないという面もあるが、問題が起きたときの企業や社会に対する影響は非常に大きい。安全を確保するということは、企業の重要な社会的責任の一環でもあるので、単に利益や経済効率を上げるだけでは済まない。特に安全については重要な問題だと思う。今回のケースでも、初めて起きたときには、なかなか原因がつかめないという面もあるが、問題が起きたときに、いかに迅速に再発しないような検査体制をとるかということが重要だ。

Q:道路特定財源の議論について、政府では一般財源化の方向で議論が進められている一方、日本経団連の奥田会長は「暫定税率の区分はまず元に戻すべきだ」と主張され、議論が二分されている。これについてどのようにお考えか。

北城: 道路特定財源に関わらず、その他の特別会計の多様な税があり、同友会でもいろいろ議論がされているが、最終的な意見はまだまとまっていない。同友会の意見としては、まとまった段階で改めてお話させていただくとして、個人的な意見をお話しする。基本的な考えとしては、奥田会長がおっしゃるように、本来ある目的で作った税、あるいは暫定的に税率を高くした分に関しては、本来その目的がなくなった段階で暫定税率をなくす、あるいは特定目的の税をなくす、減税する、というのが本来の筋だと思うし、そういう意味で、本来のあるべき姿としては奥田会長のおっしゃる通りだと思う。一方で、現在の財政状況を考えると、非常に大きな財政赤字を抱えている状況で、確保していた税をなくして、なおかつ新しい税を作ることができるかというと、これも現実的には難しいと思う。個人的な考えとしては、小泉総理が指示されているように、特定財源は止めて一般財源にする、という方向で考えるのは止むを得ないのではないかと思う。環境省が公表した環境税も特定目的税的なものだったが、本来、特定目的税というのは止めるべきだ。目的に必要な税収の確保と実際に上がる税との間に乖離が置きやすい、そうすると、不必要なところに支出が行われる可能も高い。本来は目的税を止めて一般財源で税収を確保し、必要に応じて優先順位をつけ、国の(一般)歳出のなかで取り組んでいくべきだと思う。そういう意味では、環境税についても道路の財源についても、特定目的税にするべきではないと思う。またこれは、ガソリン税を含めたエネルギー税制の見直しの問題もある。エネルギー税制や環境省が言っているような炭素税的な考え方など、全部まとめて抜本的に見直さないと、この問題は解決できない。いずれ抜本的見直しが必要になるだろう。

Q:エネルギー税制、環境税の抜本的見直しが必要とのことだが、どのようなイメージの見直しか。

北城: 石油や石炭等のエネルギーにかかっている税については、いろいろな背景があって現在の税率に決まってきたが、環境税的な色彩、いわゆる炭素を含めた環境負荷を想定した税率ではない。そういう意味で、炭素税的な色彩も含め、ガソリン、石油、灯油、ガスなど全体の税を見直すべきだと思う。ガソリン税については、炭素税の負担だけでは、今の水準より低くなると思うので、一般財源としてその上に追加の税率が必要になるかもしれない。一方、灯油などは非常に低い税率になっているので、炭素税的な考え方を入れるとこれまでの価格で良いか、という議論になる。そういう意味で、全体を見直さざるを得ないと思う。ガソリンにかかる税は非常に高く、灯油(にかかる税)は低すぎる。炭素税を導入すると灯油等の税を上げざるを得ないのではないか。

Q:社外取締役について、キヤノンの御手洗社長は懐疑的なお考えを示されているが、社外取締役の有効性について、どのようにお考えか。

北城: この件について御手洗社長と直接お話したことがないので、真意を誤解しているかもしれないが、新聞等で拝見している範囲でお話しする。経営を行う執行役員の立場から見て、社外の人が会社の事業内容を十分理解せずに、執行役員として経営に参加できるのだろうか、という意見は正しいと思う。基本的に、社外の人が執行役員になるのは無理である。社外取締役の役割は、(経営の)執行ではなく、執行している経営者が適切な経営を行っているか、経営方針が妥当であるか、あるいは経営者の交代が必要であるか、ということを監視、監督、支援することだ。社外取締役は、社内の人が行っている経営が適切であるかどうかを、株主の立場から判断する人として必要だと考える。キヤノンやトヨタのように、トップが非常に優秀な経営者である限り、社外取締役がいなくても、株主の立場をよく理解し、なおかつ多様なステークホルダーに配慮した適切な経営をできると思う。そういう意味では、キヤノンの経営を御手洗社長がやられている限り、社外取締役がいなくても十分であると思う。しかし、日本の場合、トップが株主総会で選ばれるといっても実質上人事権はトップにあるので、なんらかの理由で経営方針に問題が起きたり、長く務めていている間に経営環境が変わったりした場合、それについて軌道修正する仕組みとして、社外取締役がいた方がよいのではないか。

渡辺: 商法上、従来型の監査役制度、社外取締役制度を入れる、委員会等設置会社など、いくつかやり方があるが、株主企業価値を中心に、どういうガバナンスがよいかを切磋琢磨するのはよいことではないか。我々の経営体験から言えば、社外取締役の方が優れていると思っている。花王、伊勢丹やりそなの経験から、社外取締役は監視をしながら適切にアドバイスできていると思う。キヤノンの御手洗社長は、ご自身の経験から自分の考えが最善だと思われているので、それはそれでいいのではないか。りそなの場合には、社外取締役の関与がなければ、今のような速い回復もあったかどうか分からないくらい機能を果たしている。また、狙い通りの社外取締役の役割を果たす人は少ないので、今後日本の経営のためにも育てていかなければならない。

北城: この場合の社外取締役は、主に独立した社外取締役のことだ。財閥やメインバンクから社外取締役が入るのではなく、その企業との利害関係が少ない人たちが社外取締役で経営に参加することには意味がある。最近起きているM&Aでは、M&Aが企業の株主にとって好ましいことか、を執行側ではない人が判断することが重要になってくる。そうした意味において、独立取締役の存在価値はあると思う。

渡辺: テレビ局は公共性も必要なので、独立した社外取締役が入らないと取締役会として持続できないのではないか。それぞれ企業の置かれた状況によって違うが、社外取締役が独立した機能を果たせば、意味のある時代になるのではないか。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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