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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年10月18日(火) 14:15~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)小泉総理の靖国神社参拝、(2)楽天とTBSの経営統合、(3)米国連邦準備制度理事会・アラン・グリーンスパン議長の講演、(4)石油価格、(5)為替相場について発言があった。

Q:昨日、小泉総理が靖国神社を参拝した。中国や韓国からかなり反発の声が上がっており、アジアの国々との関係について懸念する声も出ている。参拝の是非について見解を伺いたい。

北城: 以前から、これまでのような形式で参拝されることに関しては問題があるのではないか、特に中国や韓国の理解を得るのはなかなか難しい、という立場だった。今回は私的参拝という形式を明確にされた。特に、内閣総理大臣と記帳しなかった、一般の方々と同様な参拝形式を取ったということからすれば、小泉総理の個人的な考えに基づく私的な参拝であり、決して過去の戦争を正当化する、戦犯に対する尊敬の念を示すということではない。戦没者に対する慰霊の気持ち、不戦の気持ちを表したものだと思う。そういう意味で、総理の真意を中国や韓国、それ以外の国々で今回の参拝に反対する人々に十分説明をしていくこと(が重要)だと思う。今回、明確に私的という形態を取られたことは、総理が色々配慮された結果だと考えているし、これを重く受け止めるべきだと思う。

Q:今後、総理が真意を十分に説明していくということだが、それ以外に政府が国家的に対応したほうが良い点があるか、伺いたい。

北城: 総理も自ら話されると思うが、当然、外交努力を通じて、外務省を通して各国政府に総理の真意を伝えていく、あるいは政府だけではなく、それぞれの国の人々に日本政府の考えや小泉総理の真意を伝えていくことが重要だ。これまでの参拝は、裁判の結果も二分している通り、私的か公的かが分かりにくかったが、今回は明らかに私的参拝であり、一般国民と同じ形式を取ったということで、これまでとは違う。それが重要な変化であり、中国や韓国に対する配慮である、と積極的に伝えていく必要がある。

Q:代表幹事は以前、明らかに私的であることを示すことが重要だというご見解だったが。

北城: 今回は明らかに私的であることを示されたと思う。これまで内閣総理大臣というタイトルをつけて昇殿して参拝されていたことに比較して、今回は記名もなかったし、明らかに私的であり一般国民と変わらない参拝であった。これは私人としての行動であり、これまで公式参拝かどうかがはっきりしなかったことと比較すれば大きな変化で、外交関係に配慮した行動をされたということを評価し、各国に説明していく必要がある。

Q:楽天の三木谷社長がTBSに共同持ち株会社による経営統合を持ちかけたが、現時点でTBSは明確な回答をしていない。ネットとテレビとの融合、今回のような大量の株を取得して経営統合を持ちかけるという手法について、見解を伺いたい。

北城: 市場で株を買う、提携を行う、(提携の)提案をすることはルールに反するわけではない。要は、市場のルールの中で最適な戦略を模索し、それを株主等がどう評価するかということだ。今回の提携の中身を詳細に把握していないし、TBSも現在検討していると思うが、経営統合は非常に大きな課題なので、そう簡単に結論が出るとは思わない。情報が適切に開示されて少数株主が不利にならない形であれば、最後は市場で株主がどちらを取るかを決めるべき問題だ。ネットと放送、通信の組み合わせは今後も起きてくると思うが、それぞれのビジネスのあり方、その結果の良否については、市場における株主の評価で決まると思う。

Q:三木谷社長はTBSの経営者と(株を買い進めることについて)話し合ったかと聞かれたところ、「TBSの経営者と会ったときには話し合っていない」と答えていた。相手に株を買う意向を伝えないまま、15%もの株を買うのは敵対的だという指摘もあるが、それについては、どうお考えか。

北城: 企業に対して敵対的どうかは、最後は株主が決めることだ。一方、経営者や現経営陣に対して敵対的かどうかは、経営者が判断することになると思う。TBSの経営者が敵対的だと感じれば、それは経営者の判断だが、その際に、経営者の保身の観点があっては好ましくない。できるだけ第三者の株主の立場で、今回の提案が企業にとって敵対的なのか、単に経営者にとって敵対的であって企業にとって好ましい提案であるかは、本来は独立取締役が決めることだ。今回は委員会を作っているので、そこでの判断で結論が出ると思う。

渡辺: 通信と放送の融合の事業計画や提携計画については、色々な経営者が考えている。相手先に(提携を)申し込み、それに対して仮に株主や経営者がNOと言ったとき、それでも自分は(計画を)実行したいから株を取得して事業意思を徹底する、というのが敵対的買収の範疇に入る。また、十数パーセントの株式を持っていて、その上で提携を申し込んだが、相手先の株主や経営者が保身も含めて、その事業計画を完遂したくないと断った場合、株を買って支配権を取りに行くのも敵対的買収だ。今回の件については、報道だけしか見ていないので最初のいきさつ等が分からないが、提携とは本来、内密かどうかは別として、まず正式に申し込むと言う形にしないと、今回のようなケースが起こる度に混乱してしまう。

Q:ライブドアとフジテレビの際にも、ルールを守ることを前提として、社会的に歓迎される手法を取ることが望ましいという発言をされていたが、今回の株の買占めの手法について違法かどうか、歓迎される方法だったかどうかについて、見解を伺いたい。

北城: ライブドアとフジテレビの時には、法律として境界線上の手段で株を取得した経緯があったので、本来の趣旨からすれば疑問があると申し上げた。今回の楽天の(TBS)株の取得はルールに反したということではない。ただし、楽天の提案が両社にとって好ましいものかどうかは、それぞれの取締役会が判断し、それに対して両社の株主が市場において意思表明を行う。敵対的であってはならない、ということではないが、ルールに反するべきではない。

今後、色々な買収が行われるときに、株式の大量保有に関する情報開示(いわゆる5%ルール)の問題がある。今回は事業会社であるため、取得後5労働日以内に発表されたが、ファンド等による株の取得については事業会社と同じルールではない。ファンドのような機関投資家は、大量の株を保有しているため事務作業が煩雑で色々な報告義務があるので、(大量保有の早期開示が)簡略化されている。株の大量保有が生じたときに、一般株主に適切に早く情報が開示されることも重要なことだ。これから、大量保有の適正開示に関するルールについて検討する必要があるかもしれない。経済同友会でも、11月発表を目処に、どのようなルールで行うべきかについて意見をまとめているところだ。私は、保有しているという事実だけは早く開示したほうが好ましいと思っている。

Q:本日午前中に、米国連邦準備制度理事会(FRB)アラン・グリーンスパン議長の講演会があったが、内容について感想を伺いたい。

北城: グリーンスパン議長は、主として原油価格の問題について講演された。エネルギー問題は、世界経済の発展に大きなリスク要因である。これは、アメリカ経済にとっても、中国経済にとっても同じである。議長が石油の高騰をはじめとするエネルギー問題をどう捉えているかを伺うことには意義があった。問題はいずれ市場のメカニズムの中で解決されていくだろう。石油が高騰すれば、石油開発や代替エネルギー開発など技術革新が進み、将来的には石油資源が枯渇する前に他のエネルギーが出てくるだろう。経済合理性の中で問題が解決されていくと思う。

Q:金利や為替についての話が出なかったことについては、どうお考えか。

北城: 元々議長は金利を上げるとか下げるとかいった将来についての話はしないと思う。経済の実情を判断する上で、一番大きなリスク要因であるエネルギー問題についての見解をお話されたのには、非常に意味があった。

渡辺: 解決方法としては、健全な市場主義が一番いいという印象を受けた。政府が余計なことをしない方がいいということを強く認識した。

北城: 単に投機的なお金が入って原油価格が高騰しているのではなく、需要と供給の問題があってこういう高い水準にきている。高い水準になれば、技術革新や資源開発や代替エネルギーの開発が進むということで、本来あるべき水準に落ち着くのではないか。

Q:政府の介入といえば、本日経団連が業界との対話の場を持つ予定だ。これについても政府の介入として余計なこととお考えか。

北城: 情報交換をすること自体は悪いことではない。トラック業界の厳しい実情や荷主のおかれた立場を正確に理解することは悪いことではない。その結果として価格がどうなるかは、それぞれの企業の取引の中で決まってくる。一律に価格を上げることにはならない。情報交換そのものに反対するわけではない。

Q:グリーンスパン議長は、メジャーが持った原油価格決定権がOPECにいってしまい、それが市場に戻ってきたと話されたが、最近の動向では市場に戻り過ぎた感があり、投機の金が入ってきて価格が高騰し、産油国でも石油危機状態になって世界経済の減速要因になっていると思う。あまりに市場主義を高く評価しすぎているのではないか。過度にぶれているという印象を受けるなかでそれを礼賛する話だったように思うが、いかがお考えか。

北城: 要は市場で決まる、市場で解決策が作られるのではないかと考えている。アメリカのガソリン価格については、投機的な資金も入っているかもしれないが、単にそれが原因というよりも、原油の供給だけではなくガソリンの精製能力の問題もある。供給が不足すれば価格が上がる。原油増産・資源開発、代替資源開発や原発、省エネ技術の開発など、最終的には市場で解決策が作られていく。ある程度価格が高く留まれば、代替エネルギーの開発が進むだろう。市場で解決していくのが最も好ましい方向であると思う。一時的供給不安には備蓄の取り崩しで対応できるが、長期的な原油の供給と需要のミスマッチの問題は備蓄だけでは解決しない。その意味では、市場のメカニズムの中で解決策を見つけることでよいのではないか。「市場の中で解決策は求められる」というグリーンスパン議長の発言は適切だと思う。

渡辺: 1971年のオイルショックまではスタンダード・オイルなどの大石油資本が価格を握っていたが、今は原油国がイニシアティブを握っている。ここまでよくマネージされてきた。中国などで極端な需要が増えているため価格は上昇するが、グリーンスパン議長の考えでは、その上がり方では市場に任せても暴走するようなことはない、とのことだ。しかし、政治的に問題がある国に価格のイニシアティブがあることは心配だ。長い歴史のなかで、石油価格は明らかに上がってきているが、エネルギーのイノベーションによって、経済を壊すほどの上がり方をしてはいない。歴史を踏まえながら、なだらかに市場の知恵で解決していくことに意味があると思った。

Q:アメリカ流の市場主義の結論が、石油精製施設の能力不足に行き着いており、短期のリターンを重視しすぎるために、この30年の間精製所が作られていないということがある。ハリケーン被害によって、今までなかったIEAの備蓄まで取り崩すまでに至ったことの原因は、市場に任せすぎているからではないか。市場に任せることがよくないとは思わないが、あまりに周りに影響を与えすぎているのではないか。

北城: 市場で価格が決められるというメカニズムは、結果として色々な問題が起こるかもしれないが、資源配分のメカニズムだと思う。これまで政府が関与してきた別の代替策を取ったら良かったかというと必ずしもそうはいえない。計画経済が上手くいかないのは自明のことである。今回に関しては、テキサス州周辺では、アメリカの石油精製施設が集中していることもあって、被害が大きくなったと思う。価格が高いということであれば、精製施設も拡充されていくと思う。その意味では、市場の行き過ぎがあっても、それは必ず市場の中で是正されていくと見るべきである。政府が関与して無理やり精製施設を拡充したからと言って問題が解決するわけではない。もちろん、市場主義でも競争に参加できないハンディキャップのある人もいる。その人たちへの温かさは必要である。我々もそのような気持ちを持っているが、みんなが自立をして努力をする社会でないと非効率なことが起きる。あらゆる局面で政府が関与すると、必ず非効率が起こるといっていい。例外的に救わないといけないことに関しては支援する。

Q:為替相場について、2年振りに1ドル115円台となったが、今後の見通しや経済への影響についてどうお考えか。

北城: アメリカの金利上昇とアメリカ経済堅調により、ドルに対する評価が高くなっており、これに対して円が115円という水準になったのではないか。今後、日本経済やアメリカ経済がどのように進展するかは分からないが、最終的には市場で決まるだろう。少なくとも、日本の輸出企業にとっては採算がよくなる状況である。原油価格をはじめとするエネルギー・コストに関しては、上昇の圧力が働く。素材産業についても、鉄鋼や化学など供給能力が不足する分野では素材価格の値上がりがあった。最終価格への転嫁は簡単ではないので、原油価格の上昇は企業収益にとってマイナスの業界もある一方、自動車業界など製造業では円安により輸出や海外での収益が本体の利益に貢献している。

渡辺: 1ドル105円から115円の間を行ったり来たり波打っている状況だ。リスク・ファクターが多いのでは、と我々は心配しているが、それ以上にアメリカ経済は健全であるのかもしれない。グリーンスパン議長がエネルギー問題だけを語っていた理由もそこにあるのかもしれない。ドルの信認は簡単には崩れない。

北城: アメリカ経済には、原油価格の問題、金利の上昇、住宅価格の上昇などの懸念がある。ホーム・エクイティ・ローン(住宅価格が上昇することでその差額を担保に借り入れを行う)による消費が続くかどうかも問題である。人口が増加しているので、住宅価格がバブルによって崩壊することはないが、長期金利が上昇するとホーム・エクイティ・ローンによる効果がなくなるなどのリスク要因がある。しかし一方で、金利を上げている状況を見れば、まだアメリカ経済は堅調だという判断であり、為替にもそのように影響が出ているのだろう。

渡辺: これ以上円が下がるのも困る。安定しているということは、我々の将来にとっていいことではないか。円が安くなれば原油が高くなる。市場経済は常になだらかな調整があり、それが(リスクを)ソフトにしている。この程度の変化は気にする必要はないだろう。

北城: 企業としては、円が上がったり下がったりすることが問題ではなく、急激な変化が問題なので、なだらかな変化については、それぞれの企業が考える問題である。その意味では、急激な変化ではないということだ。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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