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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年10月04日(水) 13:15~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)クールビズ、(2)日銀短観、(3)道路公団民営化会社、(4)中央青山監査法人の不祥事、(5)平成16年分政治資金収支報告書、(6)原油高の価格転嫁に関する政府と企業の関係、について発言があった。

Q:クールビズ(の期間)が終了したが、総括をお願いしたい。

北城: ネクタイを締める必要が無いときにする必要も無いので、クールビズを強制する必要も無いが、それぞれの判断で好きな格好をするのは良いことだと思う。特に夏の暑いときに、無理にネクタイを締める必要の無い職場はたくさんあると思うので、それによって省エネが進んだということも含めて、良かった。クールビズという運動そのものは環境に対する配慮を喚起したという点でも意味があった。また、上(の立場)の人がネクタイをしているから、自分もしなければならない、と言わなくなったという意味でも良いと思う。

ただし、私は着けたり外したり、ましてや外さなければいけないというの(強制)は変だと思うので、(クールビズの服装を)着たいときは着ているという形にした。

Q:昨日発表された日銀短観についてはコメントを既に頂いたが、踊り場脱却を裏付けたのではないかという見方がある一方で、原油高の影響が少しずつ統計に現れてきたのではないかと思う。改めて見解を伺いたい。

北城: 踊り場脱却というと、景気が非常に強く回復しているという印象を受ける。景気は回復しつつあると思うが、原油高の影響が出たと思う。期待していたほど良くなかったという意味で、ある程度、慎重な見方が経営者の中に出てきたのではないか。特に、その理由として原油高によってコストが上がるにもかかわらず、最終製品にはなかなか転嫁しにくい。そうなると、途中で吸収することになるが生産性の向上だけでは対応できない部分もあるという点で、将来に対して多少厳しい見方が出たかなと思う。一方、内需拡大を中心とした経済政策を取らなければならない、という印象を強くした。特に米国経済については、来年以降減速のリスクがあるだけに、国内での経済活性化、そのための規制緩和、福祉・医療関係も含めて、もっと新しいことに挑戦するようなサービス産業活性化のための政策が必要だ。

Q:10月1日に道路公団の民営化会社がスタートしたが、今度、どのような点に注目されているか。

北城: 民営化会社ができたので、民間としての創意工夫を活かして経営の規律が働くような運営をしていただきたい。不採算な道路を作るようなことを無くして、国の借金が確実に返済され、なおかつ利用者に良いサービスが提供されることが大事だ。

一方で、経営者の規律に関しては、経営の実情についての適切な情報開示と、不採算道路の建設といった事業にお金が回されていないことを確実にするためにも、経営の透明性、コーポレート・ガバナンス、特に、取締役会の仕組みは非常に重要だ。今回、会長や一部の役員に民間の経営者が参加しているが、もう少し多くの民間経営者が社外取締役のような形で(経営に)参加して、国民の視点で民営化会社が堅実に経営されている、効率化に努力している、政官からの圧力等を受けて不採算の事業を行うことがないようにする仕組みづくりが必要だ。特に、独立した社外取締役が今後登用されることを期待したい。一部の民営化会社では複数の民間経営者が参加しているが、道路公団や国交省といった官の組織の人が中心の経営形態のようなので多少懸念もある。今後、より多くの民間の視点を持った経営者が、執行役ではなく監視役の形で参加することが好ましい。この論点はなかなか注目されないが、民間から会長一人が経営に参加した(だけの)取締役会が、様々な観点から国民の視点で経営されていることを保証するのは難しい。マスコミの取締役会には社外取締役がいないので、あまり関心が無いかもしれないが必要なことだ。

Q:産業再生機構の奥山取締役が先般辞任を表明したが、中央青山監査法人の不祥事が背景にあると思う。同法人を巡っては、資本市場の信頼性を揺るがすのではないかという事態になっているが、公認会計士や監査法人の制度のあり方や法律も含めて、見解を聞かせて欲しい。

北城: これまで監査法人や監査人の位置付けについて、どちらかというと企業が持続的に経営できるような視点で、企業側の色々な考え方について納得してもらう、というような色彩があったと思う。しかし、本来、公開会社であれば資金は株主が出している。株主は、会社の中身について詳細を理解できないのだから、監査法人は、取締役等の経営執行役員が健全に経営しているかを調べて、市場に情報を出すのが使命だ。そういう意味で、不健全な会計処理が行われているとすれば、それを容認するのは監査法人の役割ではない。市場に公開するのが本来の役割だ。

今回の件は、日本の株式会社の経営者と監査法人との関係に、より緊張感のある仕組みを作らざるを得ないということを示したと思う。今後、監査法人については、適正な監査をしているかを確認する仕組みも必要になるかもしれない。米国の場合は、監査法人の監査の中身を監査する組織を作っている。どこまで組織を作るかという議論はあるにせよ、今回の件は、監査法人は、市場に向けて情報を開示するのが役割だ、と言うことを明確に示したと思う。逆に、不健全な情報を市場に提供しているということになれば、他の事業会社にとっても、そのような監査法人を利用すること自体が市場の批判に晒されることになる。今後は、規律、少なくとも自己規律が働くのではないかと期待している。

渡辺: 今回の件によって、投資家がどの程度不測の損失を受けたかは分からないが、市場に対する透明性の高いガバナンスをもって、個人投資家を含めて保護していかなければならない。透明性の高い会計を真面目に行っている企業もたくさんあるのに、海外から日本全体がそのような社会だと見られれば、日本の企業の競争力、資本市場そのものにも影響がある。会計士協会は、相当真剣に受け止めて、今後の資本市場をよりよくする、競争力を高めるために徹底的に改革を行うべきだと思う。

北城: 今回の問題は、会社は誰のものかということを再度、我々に突きつけたと思う。これまでは、会社は経営者と従業員の組織である、そしてお客様や取引先がある、という視点だったと思うが、株主という視点を忘れてはいけない。元々、資金を出した株主が、会社の大事なステーク・ホルダーであって、株主に対して適切な情報を開示するために、監査法人が監査を依頼されている。本来の役割を再認識しなければならない。

Q:透明性を高めるために、米国のように監査の中身の監査を行っていくと、恐らくコストが上がっていく。透明性を高めるためにコストを掛けすぎるということも問題だと思うが、どうバランスを取るべきとお考えか。

北城: バランスの問題として、どの程度お金を掛けるかということはあると思うが、今回の件は少なくとも、これまでの日本の監査法人の監査に対する考え方について、大きな反省を求めていると思う。今回の問題を通して、監査法人の取り組みも変わるだろうし、癒着の問題もあって定期的な交代も行われるだろうから、これで健全な方向に行くのではないか。それでうまく機能しないようであれば、米国のような形で、監査法人の監査内容を監査する仕組みも必要になるかもしれない。

渡辺: 米国はエンロンの問題があって、異常にコストが高くなった側面もあるが、日本は悪く言えば不当廉売の気配が少しあった。良質な監査を維持するためには、企業は投資家のために正当なコストを払わざるを得ない。そのバランスをこれから探り出すのではないか。

(先般発表された平成16年分政治資金収支報告書について)

北城: 先般発表された政治資金の収支報告書の中身にも色々な疑問もあるので、本来は、監査法人が監査を行って発表する必要があると思う。本当はお金が無いにもかかわらず、あると認められること自体が、本来おかしなことだ。そういう意味で、政治資金収支報告書について、お金の出入りも含めて正しい報告がされているかを監査する必要がある。その中身はインターネット等で公表していただきたい。

中央と地方の政治団体を持っている議員については、議員単位での収支がどうかとういことを、インターネット等で公開された方が、実際の議員の活動について理解が進む。また、政党支部の問題もあるので、政党支部なのか議員個人の政治団体かという問題もある。

企業側の監査にも問題があるが、政党の政治資金の問題についても、健全性、透明性を確保するための監査が必要であり、監査法人等の役割も大きいと思う。

Q:先週の会見で、原油高に伴う価格転嫁に関して、トラック業界について国土交通大臣が経団連会長に配慮を求めたことについて、「政府が口を出す問題ではない」という発言があった。これに対し、今日の閣議後会見で、中川経済産業大臣から「極めて遺憾である。独禁法や下請中小企業振興法のなかで許されない発言だ」とのコメントがあった。これについてはどのようにお考えか。

北城: 内容について、詳細を把握してわけではないので、正確なものにはならないかもしれないが、先週の発言の主旨は以下の通りだ。

原油にかかわらず、石炭や鉄鉱石などいろいろなコストが上昇している。コストの上昇について、経営者がいかに経営努力をして、市場競争に勝つかということだ。最終的に、トラック業界や運送業界の経営が成り立たないという形で日本経済が回るわけではないので、当然各々の厳しい状況を説明しながら、価格は市場で決まる。理解を求めるための会談を行うこと自体に反対しているわけではないので、各々の企業が経営の実情を話しながら、取引先との関係を考慮して最終的な価格は決まっていくだろう。

もちろん、大手企業が優越的な地位を利用して、取引先である下請企業をいじめることは好ましくない。

Q:市場メカニズムの信頼度と、下請中小企業振興法のような社会的制約との兼ね合いについて、どのようにお考えか。

北城: 市場メカニズムを活用することが最も効率良く資源を配分する仕組みである、ということは変わらないと思うが、それが暴走して問題を起こしてはいけないということで、独占禁止法などいろいろなルールを作っている。優越的な地位の乱用に関しても法律で規制し、問題があれば、独占禁止法の観点で公正取引委員会等が関与すればよい。法律のルールの枠組みの中で競争が行われることが重要で、ルールとは別のところで、他の人が指示をすることは本来好ましいことではないと思う。

渡辺: 第一次オイルショック、第二次オイルショック当時のことを思い出すと、政府は値上げをしろなどとは一切言わず、むしろ異常な便乗値上げを警戒した。政府が音頭を取るという意味では、先週の代表幹事のような発言になる。第一次・第二次オイルショックのときには、むしろ企業が便乗値上げをして、いたずらな負担を消費者に強いるのではないかという視点でのチェックだった。このような違いがあり、これは時代の変化かもしれない。

北城: 最終的には、消費者にとっての利益を考えるので、消費者に提供される商品・サービスの価格は市場で決まると思うので、それを無理やり上げることはできない。一方、運送業界そのものが立ち行かなくなってしまっては、日本経済がうまく回らない。その過程では、当然価格の値上げが必要な形も出てくるだろう。しかし、それは各々の企業の努力で行っていく問題で、業界全体や政府が音頭を取って決めることはできない。

双方の意見交換を十分にしてほしい、ということ自体に反対するわけではない。その場にはいなかったが、北側国土交通大臣も値上げを求めたわけではないだろうし、奥田経団連会長も値上げを認めるとかそういう話ではなかったと思う。

Q:渡辺専務理事の発言にもあったが、政府が便乗値上げを監視するのであれば理解できるが、値上げしやすい環境を作ることに政府が関与することには、違和感がある。「時代の変化」について、どのようにお考えか。

渡辺: 正確な理論的根拠があったわけではないが、今の時代でも、このような事態に政府が率先して動かなくてはならないのか、という疑念を持っての発言だ。第一次・第二次オイルショック当時は異常なインパクトがあった。現在は、デフレではあるものの、(原油高によって)倒産が出るまでには至っておらず、吸収する企業努力をしている状態だ。影響を受けているのは、トラック業界に限ったことではなく、家計もガソリン価格の値上げの影響を受けているが、給料が上がるわけではない。資源の不測事態にみんなが格闘し、合理化で何とか乗り切らなくてはならないという考えのもとで、それでもやはり価格が上がることへの理解をしなくてはならない。本来は、みんなが受けている痛みを理解し、努力するよう国民を励ます、そのうえで、どうにもならないコストの転嫁については理解を求める、という順序であるべきではないか。いきなり「価格を上げてくれ」ということではないだろう。

政府に頼めば保護される、という方向だけは避けたほうが良い。これから生きる道は「市場」にあるという前提で、ものを言わなくてはならないのではないか。

Q:先週の発言から考えに変化があった、ということか。

北城: 基本的には価格は市場で決まる。運送業界に限らず、原油の値上げによってエネルギー・コストが上がっている業界はたくさんあるし、個別に苦しい会社もたくさんある。政府が音頭を取って、価格の値上げを理解してもらうための情報交換の場を設けるのであれば、本来の主旨ではない。優越的な地位や独占的な力を発揮して、競争を歪めているような状況があれば、それは好ましくないので、そういうことに関して意見を交換したり、業界として厳しい状況を知ってもらうことを、反対しているわけではない。しかし、最終的には価格は市場で決まるもので、価格について政府が関与するのは好ましくない。

渡辺: 値上げしてはいけない、ということではない。原料がこれだけ上がれば、それ相応に、競争のなかで対応していくのが民間だ。ガソリン価格の130円/リットル が正しいかどうか、値上げは仕方がないという総意はできている。値上げは市場に即応して対応すべきで、そこに政府が介入するのはいかがなものか、という主旨だ。

北城: 値上げがおかしいと言っているのではなく、値上げをするように政府が主導することがおかしい、という発言だ。そういう主旨でないのであれば、特に反対する話ではない。要は、公的なものが関与して価格を決める仕組みは、市場経済には馴染まないということだ。みんなが創意工夫し、努力をし、競争に勝つ、というのが、もっとも効率の良い経営ができるということだ。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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