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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年9月28日(水) 15:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、代表幹事より、11月7日、12月1日に開催される「『同友会起業フォーラム2005』シンポジウム」の説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)民主党・前原新党首への期待と衆院選での自民党圧勝の影響、(2)小泉総理の続投、(3)原油価格の高騰に関する国土交通大臣と経団連会長との意見交換、(4)景況感、(5)郵政民営化会社の人事、について発言があった。

Q:民主党・前原新党首と今後の民主党に対する期待について、小泉・自民党の圧勝も踏まえて、伺いたい。

北城: 前回の選挙で自民党、政府与党が衆議院の3分の2を上回る議席を占めて圧勝し、民主党が議席を大幅に減らした。新しい党首、若い代表を民主党が選んだということを踏まえて、民主党の改革も進むのではないかという期待を持っている。二大政党、政権交代可能な野党があるということは、与党の政策にも緊張感をもたらすし、より良い政策ができると思う。前原氏は、色々な政策課題について対案を用意していきたい、政権を担うためには自分たちの政策を立案して政府与党に対案を出していきたい、と言われているので、期待したいと思う。単に(与党に)反対するのではなく、自ら具体的な政策を立案して国会に提出することによって、実際の法案の質が高まることを期待したい。そういう意味で、若い前原さんが代表になったことには期待が持てる。一方で、民主党はこれまで代表を務めた有力な議員が、代表と違う意見をしばしば言うことがあって、党内のまとまりを欠いているようにみえた。新しい代表を支援するという形で活動することが重要だ。

Q:自民党圧勝によって、小泉チルドレンと言われる新人議員など、派閥政治が崩壊しつつある。圧勝によって政治が変化するのではないかという点については、どうお考えか。

北城: 大きな政治の変革が起こりつつあると思う。小選挙区制を導入した政治改革の本当の姿が現れてきたのではないか。党主体、政策主体の政治運営になっていくのではないか。これまで、党の中の派閥が政策立案に非常に大きな影響力を持っていたと思う。今後も政策グループとしての集まりはあると思うが、党が候補者を選び、小選挙区制として、党の政策がマニフェストとして提言されていき、従って、党の関与が大きくなり、党首のリーダーシップを発揮しやすい環境になった。今回の結果も、小泉総理の強いリーダーシップがあったと思うが、政策立案の過程でより党首の指導力が発揮できるような環境になったと思う。政策課題は山積みだし、郵政民営化だけではなく、これから取り組むべき課題もたくさんある。是非、改革を信任されたという重みを感じて、早く改革の実現に取り組んでいただきたい。

道路公団の改革を見ても、族議員の反対によって本来の改革が実現できなかった点があると思う。10月1日に道路公団の民営化会社が発足するが、その経営陣は民間から会長一人というのが実態だ。経営効率を上げ、無駄な道路を作らずに大きな借金の返済を行うためには、本来、もっと民間の経営者が参画して、民間経営の経験を活かすべきだ。そういう意味で、道路公団の改革は本来の民営化の主旨からすると問題があったと思う。今回(の選挙で)は、これだけ改革について国民の信を得たのだから、族議員や官僚の抵抗があっても、本来の実行すべき改革を実現して頂きたい。

特に、政府系金融機関、政策金融(の改革に)関しては官庁からの反対も強いようだが、是非、行っていただきたい。公務員制度の改革も難しい課題だが、是非、取り組んでいただきたい。

渡辺: 本日、道路調査会の古賀会長が「特定財源の既得権にこだわる時代ではない」と発言したという報道があった。前原さんが経済同友会に(挨拶に)来られた際にも、正副代表幹事がいる場だったので、色々と注文を出したし、組合の既得権に依存していたら民主党も将来がない、と申し上げた。今度の選挙で、既得権に依存していたら政治家も振り落とされてしまう、という政治改革の衝撃があったのではないか。正副代表幹事の注文の中では特に、財政をどのように再建していくかというロードマップが最大の関心事だった。今回の選挙の結果、是非改革が前進して欲しいと思っている。

北城: 政策課題としては、郵政事業の資金の出口としての政府系金融機関の改革、独立法人の見直し・改革、公務員制度改革などがある。三位一体改革でも、補助金・税源委譲の一部だけではなく、交付税の改革の道筋も作っていただきたい。社会保障に関しては年金が注目を浴びているが、当面、医療制度の改革が今年の課題だ。財政支出としては医療の金額の方が大きいので、医療制度を持続可能な仕組みに変えていく、医療のために多大な財政負担が起きないような制度を作ることも重要だ。

小泉首相は来年の9月にお辞めになるということなので、一年で財政再建に向けての方針を作り上げるのは難しいが、少なくとも、「どのような規模で歳出を削減し、税収を確保する」という道筋を作っていただきたい。

Q:前回の会見で、(小泉首相が衆議院選挙で)信任を得たら4年間続投するべきではないかと言われた。その後、総理は繰り返し9月の辞任を明言しているが、改めて続投に関するお考えを伺いたい。

北城: 小選挙区の下で政党と政策を中心に選挙を戦う、選挙に勝った政党の党首が総理になるという、実質的には首相を選ぶという制度の主旨からすれば、政権与党の総裁の任期は次の選挙までの4年間というのが本来のあり方で、英国でもそのような制度を採っている。野党側は選挙の間に党首交代があったとしても、政権を取った党の党首は4年間務めると言う制度で運用すべきではないか、ということを、前回申し上げた。

今回は、自民党総裁の任期が来年9月で切れる、なおかつ総理ご自身がお辞めになるとおっしゃっているので、恐らくその通りになると思うが、本来の主旨からすれば4年務めるのが筋だと思う。「改革を止めるな」というのが小泉総理の選挙の標語だったのだから、9月にお辞めになるとすれば、あと一年で、是非、改革の道筋を作って、後戻りできない改革を実現していただきたい。

Q:自民党の大勝の結果、本来当選できないはずの政治家が当選したことで、政治家の質の低下を招いていることについては、どうお考えか。

北城: 個々の政治家については色々な批判があるとは思うが、基本は小選挙区制なので、政党と政策と党首を選ぶというのが基本だ。しかし、実際に掲げた政策が実現できるかについては、政策立案の過程で国会議員が果たす役割も大きい。それを含めて有権者が判断しているのだと思う。そういう意味で、今回の自民党の大勝というのは小泉総理のリーダーシップもあったと思うが、小選挙区等の候補者も含めた判断だと思う。著名な方が候補者になったりもしたが、実際に選ばれた方が、今後(国会議員として)どういう活動をするかと言うことが評価の分かれ目になると思う。4年後の選挙の際に、そのときの党首や政策にもよるが、今回当選された国会議員の活動に対する本当の評価が決まるのではないか。

派閥の意味合いも随分変わってきた。資金(集め)と、大臣のポジションを推薦するという機能が、小泉政権になってから非常に弱まった。派閥は政策を議論する集団としては残ると思うが、今までのような派閥中心から、党の機関中心の運営になっていくということは、本来の政治のあり方からすれば望ましいことだと思う。小泉総理が小選挙区制をうまく活かして本当の政治改革を実現したという意味で、今回の選挙は今後の政治に大きな影響を与えると思う。

渡辺: 頑迷に地元の利益だけを主張している人が「いい政治家」かというと、そうではない。自民党が大勝した結果、色々な人が当選したが、若い人は真剣に勉強して、どれだけ成長するかが重要だ。昔の政治家で、残って欲しくない人は一杯いる。新陳代謝が起きて、その中で研鑽を積む。国会で個々の議員が競争しなければいけない。派閥があると競争が起きない。

北城: 政治家はもちろん地元の選挙民の声を政治に生かすことは必要だ。しかし、地元の利益誘導のために、地元との関係が深い人だけが国会議員になるわけではない、ということを今回の選挙は示したと思う。全く地元に関係ない候補者が推薦されて勝っている例が沢山ある。地域の意見を国政に反映することはあっても、地元利益誘導だけの選挙ではなくなりつつある。政府にもお金がなくなって、かつてのように利益誘導型の選挙はうまく機能しないということが現実に起きてきた。「金の切れ目が、縁の切れ目」ではないが、地元利益誘導の政治家を選ぶ選挙ではなくなってきた。それはそれで好ましいことだ。国会議員というのは、地元の有権者の声を反映するとともに、国全体を考えるのが本来の使命だ。

渡辺: 民主党も、前回の選挙で若い人が沢山当選して、今回の選挙は気の毒だったが、4年たって成長しないと、選挙民は結構厳しい。そういう意味では、小選挙区制の下では、議員を育てるのは選挙民の役割だ。

北城: 同じ党内に政策に反対する議員が沢山いるというのは現実的に難しくなるのではないか。マニフェストに具体的に政策が書かれてしまえば、それに反する意見を主張しても、党で決めたことで選挙民に判断されてしまう。郵政民営化でも、国民の支持が強ければ、今回、参議院で(法案に)反対した議員が皆、(賛成に)変わってしまう。前の衆議院選挙で、明確にマニフェストで郵政民営化について書かれていれば、民営化に反対する候補者が公認されなければ、今回の混乱は無かったと思う。そういう意味で、これまではマニフェストや小選挙区制の重要性に対する認識が国会議員や選挙民になかったのが、今回は、その重みがはっきりしたということではないか。

Q:原油価格の高騰をうけ、国土交通大臣が経団連会長に、トラック業界が厳しくなっているため荷主に価格転嫁を認めるよう求める主旨の要請をしたが、大臣が民民の話に口を出すことと、トラック業界の規制緩和を進めたのは旧運輸省だったことを踏まえて、いかがお考えか。

北城: 市場経済において、価格は売り手と買い手で決まる問題であり、政府が関与して価格が変わるような経済運営体制ではない。大臣や奥田会長の主旨も、相互の理解が深まるように意見交換の場を作ろうということだろう。基本的に、価格について政府が関与したという問題ではない。規制の撤廃も、市場で価格が決定できるようなメカニズムを導入したということだ。相互理解のための意見交換の場で、荷主の業界の方にもトラック業界の厳しさを理解いただき、そのうえで価格交渉に臨むということは、あっても構わないと思う。

Q:価格転嫁をしてほしいという国土交通大臣の要請は、転嫁が進めば消費者の負担を増やせという風によめる。そこを言わずに、業界内、民民の取引で転嫁してほしいと言っていることについてはいかがか。

北城: そもそも政府が関与して価格が上がること自体がおかしい話で、民間の取引は市場で決まる。業界としての厳しさはあるとしても、それぞれが創意工夫をして自社の経営をするのが、本来の市場経済だ。非効率なものを残すことは、最終的には消費者の利益にならない。原料価格が上がっても価格の値上げができないという市場競争の厳しさのなかで、いかに企業経営をするかという努力をすべきだと思う。

渡辺: 個人的には、価格転嫁が安易にできない競争社会が出来上がったから、経済は持続していると思う。厳しいなかでどう努力するかが持続性に繋がる。最近の日本の株式市場をみると、このような厳しい環境でも乗り越えられるのではないかという予測がある。資源はなくてもエネルギーに対する競争力があるので、先の見通しはそれほど悲観していない。各々の市場で正しい競争が行われていれば、みんなが一層努力し、それが経済を強くする、という見方に変わってきた。アメリカ経済でも、安易に価格転嫁した時代は、景気にすぐに左右されていた。企業が、デフレにいかに打ち勝つための努力をするかが、強くなるかどうかのキーだろう。価格を決めるのは、企業がその環境のなかで独自に判断するものだ。

北城: コストが上がったらすぐに価格を上げるというのは、官の発想だ。民間の発想では、コストが上がっても、市場での競争に勝つために、どうやって創意工夫をして努力をして、値上げができなくても利益を上げるような効率化ができるかを考える。原油価格、燃料価格が上がったから値上げをしてくれ、という発想そのものが官のものだろう。民間は、市場の競争のなかで切磋琢磨していく。道路工事でコストが上がったら発注の値段を上げてくれ、という談合の発想ではないか。

Q:昨日の国土交通大臣の交渉は、価格転嫁ができない状況でトラック業界が厳しいことの理解を進める場が設定できないか、ということだが、それについてはいかがか。

北城: そもそも、そういうことに政府がいちいち意見を言う必要があるのか、と思う。価格は市場で決まるし、厳しい業界がお客様に状況をお話するのは当然だ。理解を進めるための活動を政府主導でやるというのも、本来の市場経済のあり方ではないと思う。ただし、奥田会長が値上げを容認するというお話ではないと理解しているので、情報交換の場を作ることに反対するものではない。

Q:10月3日に日銀短観が発表されるが、民間調査機関の調査では、大企業製造業の業況判断指数(DI)が前回のプラス18からプラス20へと改善し、同様に非製造業も中小企業も改善している。一方、原油価格高騰の影響や、来年には税制改正による家計への負担増などが予想されるが、景気についてどうお考えか。

北城: 原油価格の高騰で、企業業績に影響が出ているところもあるが、総じて、大企業だけでなく中小企業も良くなっている。経済同友会の景気定点調査アンケートの結果でも、景気は持続的に発展しているという見方であった。

個人消費については、税負担は来年からなので、当面の足元も強いと思う。将来不安としては、来年の税負担とアメリカ経済の推移がある。アメリカ経済は、原油価格の影響が日本よりも大きいうえ、金利の上昇やドル高、さらに住宅バブルなどが懸念材料となっている。日本の国内経済は、設備投資も堅調であるし、キャッシュ・フローあるので不況に対する体力もある。年内は堅調に推移するだろうし、来年も後退はしないだろう。ただし、アメリカが後退をすれば、日本経済も後退するリスクはある。

Q:郵政民営化の新会社を設立するにあたって人事が問題となるが、 道路公団民営化の時におっしゃっていたように、経営者は全て民間から出すべきだとお考えか。

北城: 全てを民間からと言っているわけではない。民営化会社の経営者については、民間から登用してもよいし、今の郵政公社の中に優秀な経営者がいれば登用してよいと思う。道路公団の際に言ったのは、取締役会に社外取締役を入れるべきだ、ということである。民間から一人入るだけでは、政策決定に対する影響力が弱い。民間からの複数の独立した取締役を入れることで、効率の良い、政治からの圧力を排除できる形態を取ることができる。

恐らく郵政民営化会社はそのような形になるだろうが、道路公団の取締役会のあり方を見ていると、道路公団と国交省出身の方がほとんどなので、たとえ会長一人が民間経営者であっても、官の影響や政治家からの圧力を排除するのは難しい。そういう意味で、独立取締役を含めて、複数の民間からの社外取締役が参加することが望ましい。

経営は、9割が社長で決まる。残りの1割は環境や社員やお客様で決まる。ビジネスモデルが上手くいっているか、経営が上手く行っているか、ではなく、誰が経営者になるかが非常に重要である。郵政公社では、生田総裁はじめ取締役の方が立派に努力しているから、現在の経営改善ができている。次の民営化会社のトップが誰になるかは重要な課題である。トップには民間経験者が参加することが望ましい。

Q:全ての会社のトップが民間からの登用である必要があるのか。

北城: 全ての会社のトップが民間からである必要はない。今の経営者の中に立派な方がいればその方が社長になってもいいが、取締役会には、独立した取締役を複数入れるべきである。今の副総裁にはトヨタ自動車の高橋さんもおられるし、もともと郵政公社の方でも適任がいれば構わない。しかし、取締役会全員を今の公社の方で占めてしまうのはよくない。

渡辺: 社長としての執行責任者が民間からであれば好ましいが、現公社でのなかでも最適者がいればその方でもよい。しかし、民間から入れられるのであれば多い方がよい。例えば、官からの干渉を跳ね除けたり、改革の推進具合を社長に突きつけたり、ということは社外取締役の役割である。つまり、ガバナンスの監視体制だ。このような立場には、民間の人を活用すべきで、こうした監視体制を受け入れて初めて順調な民営化に移行していける。民の知恵と監視ということだ。執行役の体制と、執行役をサポートしながら監視する役割が合わさってうまくいく、ということである。

北城: 実際に執行する人には、郵政公社の人がいてもよい。しかし、支援・監視・情報開示には、政治家や官から本来の運営に反するような圧力がかかったとき、それに対する防波堤としての役割を果たす社外取締役が複数いた方がいい。民間の会社でも独立取締役の果たす役割は大きい。特に、官の民営化においては、独立取締役を民間から登用するのは重要なことである。今の道路公団の改革では、公団やお役所が中心になっており、官や政治からの圧力で不採算道路の構築が起きかねない。道路公団の民営化にあたっては、民間からの独立取締役の登用が好ましい。一人では経営の防波堤にはならない。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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