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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年09月06日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で 1.衆議院総選挙、2.アメリカ経済の現状、3.金利政策、4.原油価格の高騰、5.民間石油備蓄の協調放出、について発言があった。

Q:(衆議院)選挙戦についてどのような見通しを持っているか。自民党と民主党では勢いの差を感じるが、何が原因かとお考えか。

北城: 選挙の結果は分からないが、今回の選挙は、政策を掲げるマニフェストを中心とした選挙と言われており、郵政民営化の政策論争が行われるなど好ましいことだと思う。郵政民営化については、国会でも議論されたが、選挙戦になって総理自らが必要性を話し、政策中心の選挙という意味でよかった。一方で、それ以外の年金、医療を含む社会保障の問題など財政再建についての政策論争までは、十分に踏み込めていない。今回はマニフェストを中心とした2回目の総選挙で、本格的な政策論争が行われたという意味では、第一歩だと思う。しかし、政策課題は一つだけではない。いくつかの論点について、国民が判断する機会があればよかったと思う。小泉総理が郵政民営化すると掲げて解散したので、それについての政策論争があることは健全なことだ。

世論調査の結果では政府与党が優勢といわれているが、一週間前の結果なので何ともいえないが、少なくとも郵政民営化の必要性については、国民に十分に伝わってきたのではないか。

Q:郵政民営化は必要だと、国民に支持されるとお考えか。

北城: もし与党が勝てばそういうことになるだろう。我々経済同友会は必要だと思って、郵政民営化の必要性を述べてきている。郵政公社になり、生田総裁の下で職員の方が大変努力をされてきたことで、サービスがよくなり、郵便事業も黒字化するなど成果が出ていると思う。一方、これだけ成果が出ているので郵政公社のままでいいのではないかという声があるが、これに対しては、将来の民営化を踏まえての努力であり、民営化がなくなれば、効率化しなくても赤字になれば税金を投入すればいいと思ってしまい、改革のテンポが遅れると思う。今の郵政公社で成果が出ているから今のままではいい、ということにはならない。民営化して、将来競争する環境ができ、良いサービスを効率よく提供しなければならない。民間の経済合理性が働いて初めてここまでの成果がでていると思う。民主党も改革の道筋は違うが、ゆくゆくは民営化か廃止を検討すると言っているが、民営化が見えてこないと、実際改革は難しいのではないかと思う。

Q:民主党は、争点を、郵政民営化から子育て支援など別なところに持っていこうとしているが、その辺りについてはどうお考えか。

北城: 総選挙なので、一つの争点だけで選挙するわけではない。政策課題として、郵政民営化は解散の直接的な課題なので非常に重要であるが、それだけではなく、次の4年間、日本の政治を、どの政党、どのリーダーに任せるか、政権選択の選挙でもあるので、郵政民営化以外の問題点を出すのも適切であると思う。ただ、郵政民営化に対する考え方をはっきり出したうえで他の政策課題を出さないと、郵政民営化の議論を避けていると思われるので、得策ではないのではないか。

Q:現状はまだはっきり出してないということか。

北城: マニフェストに、最終形態についてははっきり書いていない。山登りでも色々な道があるように、途中の政策としては色々な政策手段があるので、政府与党と違う形で民営化を目指すのも一つの考え方であるが、最終形態についてはっきり書かれてないので、本当に改革が進むのかという疑念を国民が持つところではないか。まだ選挙戦終わってないので、これから民主党の考えを出していくかもしれないが。

Q:国民の関心が高く、投票率が高いと言われているが、投票率は上がるとお考えか。

北城: 今までは、自分たちが投票に行ってもなんら政治に影響が出ないと思われていたが、郵政民営化に賛成か反対かという課題がハッキリしているので、それに対する自分の考えを表明するという視点で、投票率が上がる可能性があるのではないかと思う。投票に参加するのは国民の大事な権利であり、義務でもあるかもしれない。大事な権利を行使する機会なので、非常に重要である。また、投票に行く過程でマニフェストをどのように評価するか考えることになるし、投票した結果についてもある程度責任を持つことである。投票しないと、自分がどちらを支持したか実感がわかないので、投票することは非常に重要である。

Q:今回の選挙におけるマニフェストが果たした役割について、どうお考えか。

北城: マニフェストによって、政策で選択を行うことができる。その政策の一番大きな焦点になったのが郵政民営化である。郵政民営化に賛成か反対か、その手段をどう選択するかについて議論されたことは、マニフェスト型の選挙といえる。しかし、課題が一つだけでは、マニフェスト選挙として十分ではない。もう少し争点があってもよかった。今までは国民に「安心、安全、明るい社会を作る」という政策を掲げても何が実行されたか分からなかった。そういう意味で、今回は政策が選挙の争点になった。それが国民の関心を呼んだのではないか。一方で、民営化に反対した議員の選挙区に対立候補を立てたこともあるが、マニフェスト型選挙をするということになれば、当然民営化を賛成する議員を立てなければ、その選挙区では郵政民営化に賛成の意見を表明できないので、反対候補を立てるのは当然である。対立候補を立てるのはおかしいという意見もあるが、マニフェスト型の選挙であれば、対立候補を立てるのは当然だ。

渡辺: メディアの力でマニフェスト選挙という言葉が浸透したが、あまりにも項目が細かいので、あれだけの選択軸で政権を選ぶのは難しい。細かく書くのはいいことであるが、3つくらいに重点を絞って、どちらの政権を選択するかというようにしないといけない。都会の人は郵政民営化をやるべきだというのが趨勢のようであり、小泉さん支持の投票率が上がるのではないか。今後のマニフェストの改良については、一般の人たちに違いが分かるように3点くらいに絞らなければならない。同友会でも主張してきたが、現実には少し進化してきていると評価している。

北城: 争点は通常は複数あるので、そういう意味では重点策を3-5項目くらい掲げて、それ以外のことについては、具体的な項目を書くのが良いのではないか。民主党のマニフェストは8項目と重点項目が多いが、それ以外のものについては細かく書いている。自民党は120項目書いてあるので、民主党や公明党のマニフェストの方が分かり易い。ただ、内容が政策として、良いか、悪いか、表現が適切か、主張したことが実現できるのかなど、リーダーの能力や資質も含めて選挙なので、政策の実行力という意味では政府与党の方がより確実に実行できるのではないかと評価している。経済同友会全員の経営者の意見ではなく、私と諮問委員を中心として評価したものである。

Q:今回の選挙で、仮に小泉さんが目標としている与党過半数を取れれば、郵政法案が国民の信任を得たと考えられるが、もう一度提出しても参議院の自民党反対している人たちは潰すと言っている人がいるように衆議院と参議院のネジレ現象についてどうお考えか。

北城: 衆議院と参議院のネジレ現象は、それは今回の選挙の論点の中の一つである。民主党が勝っても郵政民営化以外の問題を含めてネジレ現象は起こる。根本的には衆議院と参議院のあり方を考えていかなければならない。短期的には、郵政民営化について、小泉総理は国民の支持を受ければ、議員の方々の考えも変わるのではないかということで選挙に臨まれている。これを国民がどう判断するかであるが、私は政府与党が過半数を獲得できれば、国民が選択した政策ということで参議院の方々の判断にも影響がでるのではないかと思う。その上で、長期的には役割分担も考えなければならないと思う。本来マニフェスト選挙は、衆議院の任期の4年間に何をするかを約束することになる。マニフェストに書いてあることは党としての約束である。しかし、小泉総理は来年の9月で退任すると言っている。政策の内容も重要であるが、政策を誰がどのように実行するかも重要であり、評価の対象である。来年の9月にかけて小泉総理が続投されるのかが今後の課題として残る。選挙に勝ったならば、小泉総理は続投すべきである。4年勤めることを前提に総選挙を行うべきであり、次の人が決まっていなければ、誰が政策をどのように実行していくか、マニフェストに書いている内容の実現可能性の判断をしにくい。圧倒的に勝てば続投という声もでてくるかもしれないが。

Q:参議院選まで小泉さんが続投すれば、参議院議員は郵政法案に反対できなくなるのではないか。

北城: それよりも民意が郵政民営化に賛成したということが、参議院の方の次の法案の賛否に影響するのではないか。多くの国民が反対すると思って反対された議員の方も多いかもしれないが、結果として民意が賛成であれば、民意を尊重するということになるのではないか。

Q:今回は政策選択の選挙となっているが、これは今後もずっと続くとお考えか。

北城: 国民の意識の問題も大きいし、マニフェストなどを国民に分かり易く伝えるマスコミの役割も非常に大きい。マニフェストそのものは、詳細に書くとかなりの文量になり、多くの国民が内容を精査するのは非常に難しい。出されたマニフェストについて、いろいろな団体が評価や意見を出し、それが報道されることによって、国民の政策に対する理解度が高まるのではないか。

かつてのように、「あれもこれもやるが、税金も上げない」ことは不可能だと国民も解っており、「社会保障の分野にどう踏み込み、その代わり税負担をどうするのか」というのは非常に大きな課題だ。政府与党も、歳出・歳入や税については、2007年度に抜本的な見直しをするということなので、税制や財政に対する基本的な考え方は、本来選挙の際に掲げる課題だろう。「こちらに痛みが出るが、一方こういう利点もある」ということを国民に判断してもらうのが本来の政策選択の選挙であり、税は非常に大きな課題なので、当然次回の選挙の際には、政策課題がはっきり出てくると思う。

今後も、マスコミも含めて、「政策選択が非常に重要である」「総選挙というのは、政策の選択を含めて、政権を選ぶ選挙なのだ」ということが、より明確に出ると思う。それが、小選挙区にした利点だ。

今回は郵政民営化について賛成か反対かと、はっきり政策課題が出たと思うので、次回の総選挙では、選挙後4年間の少なくとも3-4つの政策課題を掲げて議論が行われるのが望ましい。今後はそのような方向で、日本の選挙制度が進化していくのではないか。かつてのような、既得権益を守る人たちを中心とした中選挙区での選挙制度は、基本的に今回で終わった。選挙制度に対する考え方を変え、選挙制度の改革が本格化した選挙だと思う。

渡辺: 各社世論調査の結果は自民党勝利と出ているようだが、大勝の結果、自民党が改革の手を緩めることになったら、それは不幸だ。選挙の結果が出た後、今回挙げたマニフェストをどう具現化するかなどを監視することが重要になるだろう。

北城: これまでは世論調査の結果を受けて、結果と逆の投票行動が出ることがあったが、今回はどうなるか分からず、これまでと違う結果が出るかもしれない。少なくとも、今回これだけ政策を中心に議論したことについては、意味のあった選挙だと思う。

Q:金利の問題についてどうお考えか。

北城: 日本の金利政策もあるが、アメリカの経済がどのように推移するか、日本やアジア各国の経済へ大きな影響もある。FRBの金融政策は、特に金利についてこれまで通り利上げを続けるのかは世界経済に影響がある。アメリカの金利政策がどうなるかは大きな関心事である。日本独自で金利を上げ下げして景気が大きく変わるほど簡単ではない。景気は着実に回復しており、今のような金融緩和の政策を何時までも続けるのは異常であり、正常な状況へ動き出すべきである。

Q:グリーンスパン議長の来日目的は何か。

北城: グリーンスパン議長が来日する機会に、我々経済人との対話をしたいというご希望があってこのような運びとなった。今アメリカでは、ハリケーンの問題と併せて、住宅と石油のバブル、イラク問題など様々な課題がある中で、グリーンスパン議長がどのような発言をされるかは注目されるところだ。

Q:アメリカ経済の現状について、どのようにご覧になっているか。

北城: 住宅など一部バブル的な要素もあるが、基本は堅調だと思う。年率3-4%成長できる基盤があるので、ハリケーンやイラクの戦費などいくつかの財政上の課題もあるが、基本的には経済は堅調だと思うし、経済が堅調である限り、財政赤字の問題は解決の方向に動くと思う。今回のハリケーンのように一時的な出費はあるにしても、2009年に向けて財政赤字の半減という政策は実現可能な水準にあるだろう。根本的には、アメリカは人口増加の社会で、人口は1%、生産性は2%伸びる社会であり、デフレではないので、インフレが1%でも出ると、3-4%は成長の可能性のある経済構造になっている。それが急に崩れるような状況ではないので、引き続き堅調だろうと考えている。

双子の赤字のうち、財政赤字はある程度目処をつけられる環境にある。経常収支の赤字については、原油高に伴い資金が中東などに出るということはあるが、アメリカ、ヨーロッパ、アジア(日本を含む)を見ると、一番資金需要が多いのがアメリカで、結局投資の機会はアメリカにあり、資金はアメリカに還流する格好になっているので、そう簡単にドルが暴落する環境ではない。そのため、今のところアメリカ経済は堅調に推移すると考えている。アメリカの経済が堅調に推移すれば、結果として中国や日本などアジアの経済もある程度堅調に推移できると思っている。

Q:原油高の影響についてはいかがか。

北城: 影響は出ると思う。日本以上にアメリカは、ガソリンへの依存度が高い。しかし、かつてに比較すれば経済に対する影響も少ないし、多少の影響が出ても今のところ乗り越えていけるのではないか。

日本では、アメリカよりも更に影響が少ないだろう。省エネが進んだことや、かつての石油危機に比べて円が強くなっているので、日本経済に与える影響は、かつてに比較すれば非常に少なくなってきている。個別業種では、運輸などエネルギー多消費型の産業で、利益に対して厳しい状況が多少出ていると思う。原油高を最終価格に転嫁できない業界があるので、そういう意味で利益に対しては厳しい状況に陥る業界がいくつかあるが、日本経済全体として、原油高で大きく景気が後退するという状況ではなく、アメリカの経済が堅調であれば、ある程度堅調に推移できるだろう。

渡辺: 2004年度経済政策委員会(氏家委員長)が、報告書「今後10年間の日本経済のシミュレーション」をまとめたが、そこでは「原油が50ドルの時には0.2%程度GDPに影響する」としている。その程度であれば、経済がそう大きく崩れることはないだろう。石油の供給が減って価格が上がっているのではなく、供給量はある程度維持されている。所得の移転は起きるだろう。

北城: 当面日本では、量の確保は問題になっていないので、経済が混乱する状況ではないだろう。アメリカでハリケーンの影響などにより、量の確保が問題になれば、更に影響が大きくなるかもしれない。先進国にとっては、量が確保できているうえでは、壊滅的な影響は出ないだろう。発展途上国には厳しいところが出るかもしれない。

黒海やロシアの油田で思ったように増産が進まないなかで、BRICs諸国での石油消費が増えれば、どうしても原油価格は高止まりの方向に動く。一方、継続して原油高の動きが見えれば増産にも動けるし、代替燃料や原子力、風力など、代替エネルギー手段が出てくる。これまでは、投機だと考えて簡単に設備投資できなかったが、ある程度持続できるという目処が立てば投資が始まるので、かつてのように下がることはないと思うが、投機がいつまでも続くことはないだろう。

渡辺: アメリカ社会では一般大衆の反発があるだろうから、ブッシュ政権にとっては多少痛い問題かもしれない。

北城: ハイブリッド・カーなどが売れるかもしれない。また、一般的に日本の自動車は燃費が良いと言われているので、そういう意味では日本の自動車メーカーにとって、長い間石油価格が高いなかで経営してきたことが、逆に利点になっているのではないか。

Q:アメリカのハリケーン被害を受け、IEA(国際エネルギー機関)が各国に民間石油備蓄の協調取り崩しを求めた。日本はガソリン製品の輸入を抑えることで、間接的にアメリカを支援することになった。IEAの協調放出の要請と、日本の間接的支援について、いかがお考えか。

北城: 今回、原油価格が高騰しているというだけではなく、アメリカの場合には量的な不安もある。その投機筋が原油価格を上げる方向に動いているので、製油所と原油生産設備に一時的な被害が出て、量の確保に心配があるという段階で、IEAが備蓄放出という政策をとったことは、適切な判断だと思う。これによって価格も少し下がったようだし、少なくとも量の確保を実現することが、大きな混乱を起こさず、投機の資金があまり入ってこないために必要なことなので、適切だと思う。

日本がこれに賛成することも当然の責務だと思う。経済産業省もIEAの判断を尊重するということで、備蓄の放出やガソリンの確保に走らないことによって、アメリカの量の確保を支援したというのは、適切な判断だと思う。

ハリケーン被害などによる原油生産量の低下、あるいはガソリン等の不安がなくなれば、投機的な資金がさらに入ってくることはなくなり、好ましいことだ。投機で上がると、後で落ちるので、結局生産や設備投資、代替エネルギーの開発に悪い影響が出る。かつて原油価格が上がったときに、いろいろな代替エネルギーの投資に走り、その後原油価格が下がったことで、投資が不採算になったという経験があり、それが次の開発を遅らせている。本来(原油価格が)40ドルを越えたら代替エネルギーの開発が進むはずだ。投機資金があまり入ってこない状況まで価格が安定する方が大事だ。

渡辺: 先週北京で、言論NPO・人民日報共催のシンポジウムに参加してきた。中国では、重化学工業化しており、資源や石油の問題への関心が高まっている。北京大学の先生や政策関係者は、今のように発展途上国なのでいくらでも買って使えば良いという態度ではなく、日中で購買者として資源問題や開発など、共同でできることがあるのではないかと言っていた。日中の政治関係も含め、そういう問題についても意識に入れなくてはいけない自覚は、中国筋に大きく出てきたように感じた。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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