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郵政民営化関連法案否決・解散 緊急記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年08月08日(月) 15:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

参議院での郵政民営化関連法案否決および衆議院解散の決定を受けて、緊急記者会見を開き、記者の質問に答える形で発言があった。

Q:郵政民営化関連法案について、経済同友会では構造改革を進める立場で強く支持してきたと思うが、今日の事態についてどう思われるか。

北城: 経済同友会は、郵政民営化を構造改革の主要な柱として支持しており、今回の否決は大変残念に思う。解散して国民の信を問うことになったので、国民の支持を得て郵政民営化法案が実現することを期待したい。

Q:衆議院の採決より票差が拡大したことについてどう思うか。

北城: 大変厳しいとは思っていた。郵政民営化は、(自民党の)マニフェストに掲げられてはいたものの、具体的にどういう形で民営化を実現するかが書かれていなかったので、反対票を投じる議員が増えたのだと思う。そういう意味で、自民党に限らず、各政党とも、マニフェストでどういう改革をするのかを具体的に掲げて、これからの選挙戦を戦っていただきたい。それによって国民の支持を得た政策が実現することを期待したい。

Q:解散・総選挙という総理の決断について、どう思うか。

北城: 小泉総理は、郵政民営化を構造改革の本丸と位置づけ、官主導から民間主導の社会に変えていく重要な政策として、マニフェストにも掲げて、選挙を戦ってきた。その改革が実現しないということは、小泉政権のこれまでの改革路線に対する反対表明と考えてよいのではないか。そういう意味で、国民の信を問うということで解散が行われるのは妥当だと思うし、結果として、総選挙で国民の支持を受けて、郵政民営化や構造改革、官から民への流れを加速していただきたい。

政治空白が生まれるので解散すべきでないという意見もあるが、官から民へというのは非常に大きな流れであり、政治空白を恐れて改革を先延ばしするのは、その方が問題は大きい。本格的な改革に踏み込むための重要な決断であり、私は支持したいと思う。

Q:自民党内で分裂選挙になるという見方が強いが、そのことについてどう思うか。

北城: マニフェストに反対する人が公認されること自体、おかしいことだ。小選挙区制で各党1人の候補者しか立てないわけで、総裁が掲げる政策を実現するための選挙と考えれば、小泉総理の政策に反対する人が公認されるべきではない。そういう意味で、マニフェストを曖昧さが残らない形ではっきりと掲げて、その政策を支持する人が公認候補になるのが本来の小選挙区制のあり方だと思う。

Q:そういう意味では、造反議員は公認されるべきでないとお考えか。

北城: 党として政策を掲げるので、小選挙区制のもとでは、党の政策を支持する人が候補者にならないとおかしな選挙になる。

Q:自民党を壊すことを恐れてはいけないということか。

北城: 反対の人を公認するのはおかしいということだ。

Q:政治空白が生まれることや、今回の否決による構造改革自体の懸念について、どう思うか。

北城: たしかに政治空白は問題があるが、これからは民間主導の社会をつくるということであって、短期的に政策で景気刺激策を求めるというようなことではない。日本が少子高齢化に向かう中で、いかに財政再建を果たすかが大きな政策課題であり、短期の政治空白よりも、長期的な課題をどう解決していくかの方が大事だ。短期的な影響は心配するが、長期的に構造改革ができなくなるというメッセージの方が影響は大きい。そういう意味では、選挙の結果がどう出るかも大事ではないか。

Q:景気の踊り場脱却が発表される微妙な時期に政治空白ができることについて、長期的にはという考えもあるが、短期で足元が沈んでしまうと国民生活にもいろんな影響が出てくる。その辺りについてはいかがお考えか。

北城: 基本的に民間主導の社会をつくるということだから、政治が1ヶ月、2ヶ月、選挙等で政策を新たに打ち出しにくいということがあっても、大きな影響が出ることはないと思う。逆に構造改革が進まないというのは非常に大きなメッセージだ。総選挙で一層改革が進むということであれば、決して日本に対する信頼が失われるということでもない。今の経済は、政府による財政出動を求める、したがって政治が1ヶ月混乱したことで景気が後退する、というようなことではない。政治空白を恐れるがゆえに解散をしないということよりも、構造改革を推進するために国民の信を問うことの方が重要だ。

Q:予算編成のスケジュールにも影響があると思うが。

北城: スケジュールが多少遅れることはあっても、予算編成で今の景気が影響を受けるということ自体、官からの支出に依存する体質ということを言っているわけで、民間は官に依存しないで、民間の経営によって、それぞれの企業が健全に経営することの方が大事だと思う。そういう意味で、景気、特に株価の低下等を恐れるべきでない。

渡辺: 来年度の予算というのは、大きな政府か小さな政府かを選ぶ重要な予算になる。選挙でその方向性を決めて予算編成をしたほうが、むしろグッド・タイミングではないか。

Q:以前、法案が成立しなければ日本売りが起こるのではないか、とおっしゃっていたが、解散決定後、株価は戻している。マーケットは必ずしも失望売りには向かっていないと思うが、この状況をどう見ているか。

北城: 法案が通らなかったからといって、短期的な影響が出るとは思わない。構造改革が進展できるかどうかの方が大きい。小泉総理が改革の重要な柱と掲げてきた郵政民営化が実現できなかったことで、今の政権のあり方では他の改革も実現できないのではないか、ということなので、逆に総選挙で改革路線が支持されれば、日本経済に対する信任も高まる。大きな政府か小さな政府かという政策選択が行われることが重要だと思う。

渡辺: 日本売りが起こるのは、小泉総理が選挙で負けたときではないか。解散は、むしろ前向きにとらえれば、構造改革を推進するチャンスを神が与えたというふうに、悲観しないで捉えたい。七転び八起きで国民が改革路線を支持することを願っている。勝てばむしろ日本買いになるのではないか。そういう意味で、選挙の結果は非常に重要だと思う。

北城: 既得権益を残すのか、官主導の社会を残すのか、ということだ。官主導で行われてきた政策では、たとえば道路公団の談合の問題や社会保険庁のいろんな問題をみても、官だから安心できるということはない。これからはもっと民間主導の社会に変えていかなければならない中で、政策がずっと実現できないのであれば問題だが、今回は選挙が行われ、国民の支持を受けて改革が一層進むということであれば、日本に対する信任も高まる。逆に実現しないということになれば、日本の将来の改革に対する不信感が高まるのではないか。短期的には企業業績は堅調に推移すると思うので、長期にわたって日本がどういう方向に進むかに対して、海外投資家等の判断が分かれるのではないかと思う。

渡辺: 経済同友会も、小泉総理は改革の方向性は良いけどスピードが遅いと言ってきたが、考えてみれば、これだけの抵抗勢力がいたのではやっぱりスピードは出ない。この機会にそれを振り切れば、改革はむしろ良い方向にいくかもしれないので、それに賭けざるを得ない。

Q:民主党は法案に反対しているが、選挙の結果、民主党が第一党になった場合、民意は改革を選ばなかったという判断になるのか。

北城: 選挙にあたって、自民党も民主党も、マニフェストでどういう改革をするのかをはっきり出していただいて、そのうえで判断したいと思う。郵政民営化に関して言えば、民主党の中も、少なくとも今の改革では不十分だという意見、民営化そのものをしたくないという意見がいろいろあって、いずれも(法案には)反対である。郵政民営化についてどういう具体的なマニフェストを書かれるかによって判断したいが、私は、基本的には民営化を推進すべきだと思っている。

Q:国民の信を問うた結果、必ずしも改革は進めるべきだと判断できない結果が出た場合、どうお考えか。

北城: それは残念なことである。これまでの法案審議の中でも、郵政民営化の必要性について議論されてきたが、選挙戦を通して、より国民に分かりやすい形で、なぜ民営化しなければいけないのか、特に既得権益を守ろうとしていることのどこに問題があるのか、というようなことをはっきりさせていただきたい。国会では主として国会議員の間の論戦だったが、選挙になれば、郵政民営化の必要性、官主導から民間主導の社会に変えていかなければならない必要性について、国民に分かりやすく語りかけることになると思う。

また、郵政公社になっていろんな改革が行われたが、これは民間企業との競争を行うことを前提に、生田総裁はじめ職員の方々が努力してきた成果であって、民営化しなくていい、ずっと国家公務員のままだということになると、かつての郵政省のように赤字が出たら値上げをするという体質に逆戻りしかねず、将来の改革のためにも、ここで民意を問うことは重要だと思う。生田総裁も、公社のままでは経営の自由度に縛りがあって将来の発展は望めないので、公社のままなら公社法のあり方を変えてほしい、あるいは民営化の方向に進んでほしいとおっしゃったと思う。ただ公社法を改正して公社の自由度をさらに高めることになってしまうと、民業の補完としての公社の位置づけは崩れてしまうので、民営化せざるを得ないということは公社の中からも出てくると思う。それを国民により分かるような形で議論していただきたい。

Q:仮に民意が改革に反対する結論を出したとしても、より国民に分かりやすく説明するチャンスができたということで、いいことだと評価するのか。

北城: 国民に多くの情報が提示されれば、今のような既得権益を守る形、大きな財政出動を求める形が持続できないことは理解されると思う。特に、これだけ大きな財政赤字を抱えながら、さらに官からの費用負担に依存するような政策は続かない、子供や孫の世代に大きな赤字を残すべきでないということは十分に国民に理解されるだろう。

渡辺: 経済同友会は、国民の理解を少しでも進めようということでシンポジウムなどもやってきたが、ここ2日くらいをみると、メディアも民営化が必要だという方向に急激に変わったように思う。残念ながら遅すぎたと思うが、メディアは選挙においても正しい情報を国民に流してほしいと思う。

北城: 今回の解散は郵政改革解散であって、なおかつ構造改革の信を問う解散だと思う。郵政民営化は国民の関心が少ない、他にも大事な政策があると言われるが、郵政民営化法案は、官主導の社会でいいのか、そうでないのかを問う大事な法案であり、この法案が改革の実現にいかに必要かを国民に示すいい機会だと思う。

渡辺: 新聞情報によると、郵政民営化をマニフェストに書くとか書かないとか言われているが、今回の解散は郵政解散であり、民主党、公明党をはじめ各政党は、これに対するはっきりした将来の考え方を書くべきだ。

Q:国民は郵政民営化だけで小泉政権を支持しているわけではなく、たしかに重要な問題かもしれないが、この問題だけで解散するという判断については批判がある。これについてどうお考えか。また、衆議院の構成が変わったとしても、参議院は変わらないので、同じことが参議院段階で起こる可能性があるが、それについてどのようにお考えか。

北城: 郵政民営化法案は構造改革にとって重要な法案だし、郵政民営化を含めて、特殊法人改革や政府系金融機関改革、官主導から民主導の社会へ変えていくことは重要な課題だ。この法案こそ構造改革を進める重要な法案だということを、国民によく伝えていく必要がある。もっと大事なことがある、と言うが、この法案を先延ばしして改革はできない。

そういう意味で、解散して、なぜ民営化が必要かを十分に説明し、国民の信任を得ることが重要だと思う。その結果として、衆議院に民営化賛成の構成ができたとして、参議院がまた法案を否決するということになると、参議院の位置づけがどこにあるのか、という問題にもなると思う。国民の信を問うということは大きな政治決断なので、そこで信任されたものについては、参議院も尊重する必要がある。

渡辺: 先日、経済同友会も二院制の改革について提言を出したが、これは二院制の必要があるのかという議論を踏まえて出したものだ。まさに今回の件は、参議院のあり方を考えさせる一件だ。これでは政治が動かなくなってしまう。

Q:代表幹事の事前の票読みがどうだったか、また結果を見てどんな感想だったかを伺いたい。

北城: 票読みはやっていないので分からないが、法案の成立を期待していたので、非常に残念だった。一方で、こういう法案が成立しないということは、これからの構造改革でいろんな課題が出てくることに対し、小泉総理のリーダーシップが発揮できない、ということを示している。この問題は、改革を実現する政策を選択するのか、これまでどおり大きな政府にして将来に禍根を残す政策を選択するのか、の岐路である。解散は、国民が痛みは伴っても将来に持続可能な政府を選択するいい機会だと思う。

Q:同友会として今回の選挙で支持政党は決めるのか。

北城: 我々は、基本的に政党支持ということはしないので、マニフェストで政策を出していただいたうえで、個々の政策についてどう考えるかという意見は出したいと思う。

Q:ということは、小泉総理を応援するということはしないのか。

北城: 我々は、小泉総理を応援しているわけではなくて、構造改革を応援している。郵政民営化について言えば、我々はさらに踏み込んだ民営化を提言してきたわけだが、現在の政治情勢からして法案が通ることが重要だと思うので、現政権が出している民営化法案を支持している。小泉政権の政策を支持しているのであって、小泉政権、自民党政権を支持しているということではない。

Q:国民に分かりやすくと何度もおっしゃっているが、どういう論点を国民に訴えていくべきだとお考えか。

北城: 特に金融事業、郵貯・簡保のお金の流れの問題で、郵貯・簡保にお金を預けている人には直接見えない問題であるが、そこから流れたお金が、特殊法人や、政府系金融機関を通して使われた先で、非効率な分野があるのではないか。こういうところへ流れる仕組みで、こういうところに非効率があったという例は政府が持っているわけで、郵貯・簡保から入ってきたお金の出口でこういう問題があったということを、具体的に示してほしい。また、地方の郵便局がなくなるという声に対して、実際にどういう政策をとってなくならないようにするのか、あるいは特定郵便局長や組合が反対する理由は公務員でなければ信頼できないということであるが、なぜ公務員でなければならないのか、逆になぜ公務員がお金をいただいてサービスを提供する民間活動に参加する必要があるのか、はっきり伝えていただければよい。公務員であることによって非効率を生んでいる、あるいは経済的な規律が働かなかった例もたくさんあると思うので、その辺の改革の必要性をはっきり言っていただきたい。

渡辺: 国会審議の大部分が地方から郵便局がなくなるかどうかであったが、同じ自民党の中で、ほとんどの人がなくならないと言っているのに、20%の人がなくなるから反対だ、これでは政党にならない。現在の自民党では、同じ党の中で一方は心配ないと言う人と、片方で心配だから反対だという人がいて、我々は何を信じたらいいのか、こんな馬鹿な話はない。

北城: 今のような運営形態から、もっと効率のいい郵便局に変わるということはあるだろうが、地方の郵便局がなくなるということはないと思う。国家公務員であるがゆえに、経済合理性を考えた創意工夫が行われなかった郵便局を、もっと効率的にするための変革は必要だ。現実に宅配業者は全国に届けているし、金融サービスも基金のような対応策まで考えているのに、郵便局がなくなる、なくならないということで、国民を不安に陥れるような言い方をして、改革したくない人の声が大きく伝わったことは残念だ。国会でいくら議論していても、なかなか国民は全部国会中継をみているわけではないので、選挙の方がより国民に具体的な問題点、郵政民営化の必要性を理解してもらえるのではないかと思う。

渡辺: 政治家は、野党も含めて、こんな巨大な財政赤字と借金を作り出した一つの原因が郵貯・簡保だという分かりやすい議論をあえてやらず、そこのところはあいまいにして、郵便局がなくなる、なくならないというのは、これでは本質的な議論ではない。

Q:解散を機に政界再編された方がスッキリすると思うが、今の自民党・民主党の構図より、別の形の方が国民は選択しやすい、というような考えはお持ちか。

北城: どういうマニフェストになるかで判断したいと思うが、より改革を進める政策と、既得権益を守る政策で、はっきり対立軸が出てくれば、我々は改革を推進する方を選ぶ。選挙によって再編が起こるかどうかは分からないが、我々は、構造改革をやる政権を支持したい。たしかに今すぐ財政が破綻して国債の償還ができない状況ではないが、これだけ多くの借金を抱えながら、こういった状況をずっと続けていいということではない。問題が起きてからあわてて処理をするということでは、国民が蓄えてきた1400兆円の金融資産がインフレ等によって価値をなくす事態に直面する。特に、これから退職する世代が蓄えてきた金融資産を守りつつ、改革を実現しようというのであれば、今こそ改革に踏み出すべきだと思う。

渡辺: 再編というよりも、その方がはっきりするのであれば、個人的には2回くらい選挙をやっても、日本を変えるべきだと思うし、国民はこの選挙でだいぶ日本の将来を考えるようになるのではないか。郵政法案が通らなかったことは残念だが、むしろその結果、日本の政治レベルを上げることになるという期待感を持っている。

Q:マニフェストを見て判断する、改革を推進するところと既得権益を守るところが分かれれば、改革を推進する方を支持するという話であったが、現在の政党の構造がそういうふうになっているのかどうかについては、いかがお考えか。

北城: 経済同友会は、ある政党を支持する団体ではないので、政策を支持していきたい。前回の衆議院選挙でも、郵政民営化は支持するし、逆に年金改革では消費税導入を行うとした民主党の政策の方が我々の考えに近いということで、意見を出している。したがって、これからできるマニフェストに対して、それぞれの政策について我々がどう考えるか、意見を出していきたいと思う。

Q:政党で判断するということに、必ずしもとらわれないということか。

北城: 一方が構造改革を推進すべき、一方が既得権益を守るべきと出てくればはっきりするが、たぶん個々の政策は違ってくると思うので、より構造改革を進める政策を支持していきたいと思う。

Q:今回のように、ひとつの政党の中で政策について意見が割れた場合、同じ政策を持つ者どうしが集まる再編は望ましいと思うか。

北城: 小選挙区は政党単位で選挙を行っているので、それぞれのマニフェストは政党の政権公約である。今回の問題は、政権公約を掲げながら、それに反対する人が公認候補になっていたということが、自民党内での反対を生んだ。そういう意味では、マニフェストを掲げ、それを支持する人を公認候補として選んでいけば、党内で割れることはないと思う。マニフェストをつくる前の段階でいろいろ議論をして、その結果、それぞれの政党が決めたマニフェストのもとで選挙を行うべきだと思う。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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