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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年07月25日(月) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で1.人民元切り上げ、2.天下りの受け入れ、3.官製談合、4.アスベスト被害、5.千葉県北西部の地震を受けて企業の危機管理、5.郵政民営化、6.経営者に占める女性のポジション、について発言があった。

Q:先週の木曜に人民元の切り上げが行われたが、今回の切り上げについての評価や今後の切り上げの見通し、日本や世界経済に与える影響について、どうお考えか。

北城: 今回の切り上げそのものは大変歓迎すべきである。これまで実質ドルにペッグしていたものを、バスケット方式とはいえ変動相場制に移行したことは大きなステップだと思う。中国政府がこれからの運用の中で、どのように活かしていくかが課題である。急激な元高そのものは中国経済に大きな影響を与えてしまうし、何もしないことは市場の過熱化を含めて大きな問題になる。貿易摩擦の観点から、米国との摩擦があることを考えると、いいステップだった。今後どう活かしていくのか推移を見守りたい。日本経済へは、切り上げ幅が少なかったことや、多くの経営者が元の切り上げを予測しながら戦略決定をしてきたことから、今回は直接的には限定的な影響であろう。これからさらに元高への圧力がかかるかもしれないが、中国政府が運用の中で色々考えながら適切に判断するであろうし、世界経済に悪い影響が出るとは思わない。歓迎すべき第一歩であったと思う。

Q:日本はデフレ後、例えば100円ショップなど中国製品を上手く活用した消費社会が成り立ってきたが、こうしたところへの影響や懸念はないか。

北城: 多少の影響はあるだろうが、今は2%なので、そう大きな影響はないだろう。100円ショップを含めて色々なところが対応を考えている。ただ安いだけではなくて、付加価値のあるものと組み合わせるなど、色々な動きがある。急激な変化には、経済界としても対応は難しいが、少しずつ変化するものに対しては、それぞれの企業が戦略を作って対応すると思う。

Q:先週末の幹事会で承認された「我々は、利益誘導を目的とした天下りを受け入れない」ということについて、経済同友会としてどのように実効性を高めていくか。また、今後の独禁法改正の中で、官製談合をどのように防止していくのか、またどのように取り組んでいくか。

北城: 経済同友会は、経営者個人で参加しており、業界や企業の代表として参加しているのではない。「利益誘導を目的とした天下りを受け入れない」という意見を出したが、判断は個々の企業でされると思う。経済同友会は、企業の社会的責任経営(CSR)を推進しており、経営者は社会からみて好ましい経営をしなければ、持続的に発展できないと考えている。談合が直接的に天下りによって起きているわけではないが、今回の橋梁談合を見ると、天下りも問題になっている。天下り全てがいけないと言っているのではなく、受注のために天下りを求めるとか、補助金をもらうために天下りを受け入れることは止めるべきだ。幹事会で議論したところ、多くの経営者が、CSRを重視する経営者の立場として、こうした天下りを受け入れるべきではないと考えていた。

幹事会では、この天下りの問題だけでなく、軽井沢アピール全体について議論した。郵政民営化については、今の政府案についていくつか反対意見が出た。反対意見の多くは、もっと積極的な民営化をすべきだというもので、郵貯や簡保が拡大するのではないかという懸念があった。しかし、多くの幹事は、一歩前進であると考えている。この時点で改革をしなければ、また5年、10年と改革が先送りになり、郵政民営化が実現しないと日本の構造改革そのものに否定的な見方をせざるを得なくなるので、是非推進すべきという意見だった。幹事会でも民営化賛成について挙手を求めたところ、圧倒的多数が賛成だった。経営者個人の立場で日本社会のあり方を議論している団体としては、民営化が構造改革の重要な柱であり、進めるべきであると考えている。軽井沢の夏季セミナーでは、挙手を求めた場にいた27名全員が民営化を進めるべきという意見だった。幹事会では、もっと人数が多かったが圧倒的な人数で進めるべきという意見だった。その他、財政再建等についても、特に反論の意見はなかった。

官製談合については、官が関係した談合が非常に多いことからも、談合を行った民間企業だけでなく、官に対する処罰も必要であると思う。これについては、日本経団連や日本商工会議所も同意している。起きたときには、官の関与をはっきりさせた上で、処分等も必要である。実際、官製談合については、法律上の処分は決まっているが、あまり活用されてない。これからは、厳しく官の関与について責任を追及すべきである。

Q:天下りの受け入れに関する経済同友会のコメントについて、経団連の奥田会長から「短絡的ではないか」という発言があったが、これについてはどのようにお考えか。

北城: 天下りと談合が直接的に結びついているかというと、全てのケースが結びついているというわけではなく、天下りと関係なく談合が行われている例もある。橋梁談合と天下りをすぐに結びつけるというのは短絡的だと思うし、天下りの問題にはいろいろな要素があるので、それを考えたうえで対策が必要だと思う。

経済同友会としては、利益を直接的に求めるような天下りは止めるべきではないかと発言したわけで、天下りそのものを止めるべきだと言ったわけではない。官庁出身で、いろいろな経験やノウハウを持っている優秀な方が民間でそれを活用されることは必要なので、そういう方が活躍できる場はあっても良いと思っている。そういう意味では、奥田会長のお考えと違っているわけではないと思う。

Q:奥田会長が、経済同友会の考えやスタンスをあまり理解しないまま発言されたとお考えか。

北城: そうではなく、経済同友会の発表を見た記者の方の理解が短絡的だったのではないか。

渡辺: 天下りを受け入れるか受け入れないかの判断は、官の姿勢と受け入れる側の経営者の動機による。経営者は、ガバナンスの一環として、CSR的に判断すべきだ。道路公団のようなことが起きれば、株主も大きな損害を受けるので、ガバナンスの面からも本来許されるべきではないし、取締役会がチェックすべきだ。

Q:経済同友会の意見表明を、今後どのようにトレースしていくのか。

北城: トレースというのは、企業としての方針決定だと思うが、経済同友会は経営者個人の立場で参加しており、全ての会員が企業の意思決定に責任を持っているわけでもないので、実行した結果の数字などを企業単位で追いかける考えはない。最終的には、CSRの観点から、企業が社会の一員として社会から見て批判されない経営をしているかどうかについて、企業経営者の判断がある。その判断の結果が適切でなければ、企業業績に問題が出るかもしれないし、コーポレート・ガバナンスの面から経営者の判断に疑問があれば、取締役会で軌道修正が行われるかもしれない。

Q:アスベスト被害について、今後どのように展開していくかは分からないが、企業が賠償を迫られるケースが増えてくると思われる。保険の支払いが行われない可能性が指摘されているが、このような場合には、産業界が纏まって基金を作るなど色々な対応が求められる。今後どのような対策をとるべきだと思うか。

北城: この問題は、既に存在している問題として個々の企業が労働災害的に把握していたが、多くの企業から情報が出されることで、非常に大きな問題であることが分かってきた。保険で補償する体制ができていなくても、個々の企業は責任に応じて適切な方針をとると思う。ただ、企業の対策だけでは済まないかもしれないので、国としてもどのような対策をとるか検討すべきであると思うが、今のところ経済同友会ではこの問題に対して結論は出していない。

Q:アスベスト被害については、関連企業がさらに広がってきてくるのではないかと思われるが、その辺りの見通しについてはいかがお考えか。

北城: アスベストを作っていた企業や直接利用していた企業での被害は、はっきりと分かるが、建設材料として利用していた先で被害が出ている可能性がある。しかし、そうなると、どこの企業の責任かがはっきりしない。そういう意味では、企業で対応しきれない部分が出てくるので、国としての対策が必要な大きな問題である。

Q:土曜日に起きた大きな地震について、週末のためあまり大きな影響はなかったが、平日の夕方であれば帰宅難民などの影響も想定される。改めて、企業の危機管理として点検すべき項目やいま対応すべき点はあるか。

北城: 神戸の地震以来、多くの企業は災害対策をとっている。コンピュータ・システムのバックアップ、工場や本社が機能しなくなった際の対応、帰宅できなかった社員の食料の調達などについて、企業は対策をとっている。問題は、その対策が実行可能な状況にあるかどうかである。問題が起きてから時間が経つと、実際の運用体制がずれてくる。日本の場合には、制度を作ってもその通り運用できるかの確認が十分でないことが多いので、今回の地震を通じて、作った対策が実際に実行可能かどうかの確認が必要である。

Q:先日の地震で、首都圏の交通で不安を感じる面があったが、それについてはどのようにお考えか。

北城: 企業側の災害対策としては、交通遮断もあるが本社機能の停止が想定される。特に全国網で経営をしているような会社では、東京が機能停止してもそれ以外の地域では動かさなくてはならない。本社の機能が停止しても動かせるような対策を取っているはずなので、今回の場合はそれを発動する程ではなかったと思うが、もっと大きな被害が出るかもしれないという確認作業をしなくてはいけない。日本の場合は、対策は作るが確認をしていない場合が多く、問題が起きて初めて問題点の大きさが見つかることがある。企業が持続して経営できることも経営者の責任なので、そのような確認がもう一度必要だ。

渡辺: 土曜日で、点検の人員が少なかったなどがあったようだが、点検の方はみなさん歩いてひとつずつ確認をされたようだ。西日本の問題などもあるので、慎重に安全を点検した結果、運転再開が遅れたとも受け取れるだろう。

Q:郵政民営化の関連で、幹事会で賛成の方に挙手をしてもらったというお話だったが、何人中賛成/反対は何人くらいだったか。

北城: 当日は、80名くらいの幹事が出席しており、2-3人手を挙げなかった方がいらっしゃったので、95%は賛成だったと思う。「今回の法案に賛成か」という質問での挙手だったが、反対意見としては、一般的な「地方の郵便局がなくなるのではないか」という不安によるものではなく、「もっと厳しく民営化をするべきではないか」という意味での反対だった。例えば、「巨大な郵貯のままではなく分割した上で民営化すべき」、「大規模な縮小をすべき」というような、政府案では不十分だからもっと理想を追うべきだという意味での反対だ。よって、「民営化すべき」という意味ではほぼ全員が賛成と見てよいと思う。

渡辺: 経済同友会では「郵政民営化こそ日本を変える」という本を出したが、それについて「けしからん」という意見は、会員からは一件も届いていない。今の政治情勢をみて、今回の郵政民営化も通らないようでは、この国の将来の改革は打開できないのではないか、という経営者の心情を表していると思う。先日も、21世紀政策研究所主催のシンポジウムが開催されたが、経済界は、将来の日本を心配しているのだと思う。

北城: 今の郵政公社で改革が進み、黒字化したしサービスも良くなったので、今のままで良いのではないか、と言う意見があるが、郵政公社の改革が進んだのは、生田総裁をはじめ経営陣の努力もあるが、いずれ民営化され、民間企業と競争できるような企業体質に変わらなくてはならないという市場での圧力と危機感があったから、職員のみなさんも改革を受け入れたのだと思う。民営化をやらないということは、身分が公務員のままということで、赤字が出たら郵便料金を値上げするという元の体質に戻りかねない。ここで民営化が進まないと、せっかく郵政公社で進んだ改革が後戻りしかねないと思う。

Q:「郵政民営化こそ日本を変える」について、会員からは反対がないという発言があったが、それ以外からはあったのか。

北城: 郵政民営化に反対されている国会議員の方から、「経済同友会にも民営化反対の会員がいるはずだ」というご意見をいただいた。1400名の会員がいるので、全員が賛成かどうかは分からないが、幹事会で意見を伺ったところでは、約270名の幹事のうち81名が出席で、国会議員の方が言われるような意味での反対の幹事は一人もいなかった。

Q:郵政民営化について、「官から民へ」という主旨もあると思うが、財投との関係で、非効率な運用を是正するためには、出口である貸出先についてもっと厳しくすべきであって、郵政民営化とは関係ないのではないかという意見もある。それについては、どうお考えか。

北城: 入口と出口なので出口改革も必要だ。財投債・財投機関債の導入で、かつてのような郵政事業で入ってきたお金が財政投融資に自動的に流れる仕組みではないことは事実だが、一方で、財投機関債についても国の機関であり、暗黙の政府保証と言われているように資金の調達が有利になっていることもある。財投債は国債なので、結果として国の信用で資金を動かすことは変わっていない。その結果、国の資金を利用して、安い金利で金融業務を行う、あるいは非効率なところにお金が流れる仕組みが無くなっていないことも事実だ。完全に、郵政事業と資金の流れが切り離されたということではない。かつての財政投融資から特殊法人にお金が流れた例で、非効率なところも出てきている。例えば、工業団地の開発のために多くの土地を手当てしたが実際には分譲できなくて大きな借金が出ていたり、小笠原に高速船を出航する予定で船を作ったが実際の運営は赤字で船が出せない、など民間資金であれば実行されないような例がある。そういう意味でも、特殊法人など出口改革も必要だ。ただし、出口改革が先で郵政民営化が後でよい、ということではなく、両方やるべきだ。郵政民営化を行ったうえで、出口改革も必要だ。

渡辺: 小さな政府といっても、国債が十分発行できる、つまり買う人がいる、郵便貯金も多少減ったとはいえ巨大な資金を集められる、という状態だ。このようなお金があるうちは、使う人たちに本当の意味で危機意識が出てこない。出口論も当然やらなくてはいけないが、お金を集めることは民との競争で大変なことだ、という緊張感が必要だ。

北城: 郵貯も簡保も、本来は民業の補完で作ったものだが、いまや補完する側が圧倒的に大きくなっている。そのような大きいところが、固定資産税など税金等で優遇を受けていたり、銀行であれば預金保険機構にお金を払わなくてはならないところを、政府の信用があるために払わずに預金集めができる、そういう条件で民間と競争ができるような、補完する側が優遇されているという環境であり、バブル崩壊以降、民間が不良債権処理等の対応に追われている間に、国の保証や信用をもとにして非常に大きく資金が増加した。しかし、最近では郵貯や簡保の資金が減少している。民間の金融機関が健全化するにしたがって、これからも郵貯・簡保の資金は減少すると思う。さらに、郵便事業も減少傾向にある。よって、今の事業規模を維持しようとすれば、他の事業に進出しない限り今のような体制を維持できないので、結局、民間が行っている事業に参入せざるを得ないだろう。郵政事業は赤字を出していないという意見があるが、税金が優遇されているということは、税金を補填しているのと同じことだ。

Q:郵政民営化法案が参議院を通らなければ解散といわれているが、解散になったときに景気に与える影響についてはどのようにお考えか。

北城: 政局が混乱することは、経済にとっても悪い影響が出るが、郵政民営化が通らないということは、構造改革が進まないという非常に大きなメッセージになると思う。小泉政権は、構造改革ということで、不良債権処理や規制改革、三位一体の改革、財政再建など、不十分な点はあるが、これまでの内閣ができなかったようなことを進めてきた。郵政民営化が進まないということは、結局既得権益を守る力が強くて、日本は改革ができない社会だという非常に大きなメッセージになると思う。将来に、財政再建もなかなか進まないだろう、というメッセージに繋がるので、日本の長期的な発展には非常に悪い影響がでると思う。外国人が日本に投資するということに関しても、いずれ構造改革が進んで、日本経済が順調に発展することを前提にしていると思うので、改革が進まないということは、長期的にはリスクが高くなるということになり、海外からの投資に対しても悪い影響がでかねない。経済界からみても、より小さな政府にして、税負担の少ない政府を作らなければ、これからの少子化・高齢化で働く人が減り、なおかつ今の大きな借金を返さなくてはならないときに、さらに大きな借金を作るという政策を取り続けるというメッセージは、将来の改革に対して否定的なメッセージだと思う。構造改革の非常に大きな一歩、ひとつの試金石だと思う。これをやらないということは、日本は既得権益を守る社会を残すのだ、ということを宣言しているようなものだ。だからといって、1ヶ月、2ヶ月で日本経済が破たんするということではないが、長期的には財政再建は非常に難しいというメッセージを社会に出すことになる。

Q:日本の経営者の中での女性のポジションについて伺いたい。帝国データバンク(昨年7月現在)によると、日本企業の社長に女性が占める割合は5%、というデータがあるが、これについてどのようにお考えか。

北城: 日本企業の社長のうち女性が5%ということだが、大手企業の経営者に占める女性の比率からみると、5%という数字は高いと思う。起業された女性経営者や、旦那様が社長を務めていた会社を奥様が引き継がれたというような小規模な会社なども入っていると思う。一般の大手企業の社内で昇進して役員になり、社長になった、という女性はもっと少ないだろう。もっと女性が活躍できる場をつくることは、企業経営にとっても重要なことで、特にこれから労働力が減少するような社会では、優秀な女性が活躍できない企業は事業として成功しないのではないか。そういう意味で、これから女性の登用がもっと進むと思うし、最近は多くの会社が女性管理職の登用に努力されていると思う。

Q:日本IBMでも女性の登用に努力されていると思うが、女性の登用によって付加価値が生じるようなことはあるか。

北城: 業界や個々の企業によっても違うと思うが、日本IBMではあまりそういう視点では見ていない。本人の能力が十分に発揮されるよう、実力を重視したい。30数名の執行役員の中で女性は3名なので、まだまだ少ないが、少ないからもう少し登用に力を入れたいという努力はしているが、だからといって、女性の感性でなければ仕事ができないという観点で登用しているわけではない。しかし、そういう観点で女性を登用している会社も、業界によってはあるかもしれない。

(文責: 経済同友会事務局)

以上


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