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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年05月24日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、経済同友会ブックス第二弾「郵政民営化こそ日本を変える」の出版について報告があり、その後、記者の質問に答える形で (1)郵政民営化論議、(2)日中関係、(3)中国人民元切上げ、(4)橋梁(鋼橋)工事談合事件、(5)オリエンタルランド右翼関係企業との取引、(6)GM・フォードの格付け引き下げについて発言があった。

Q:出版物の紹介もあったが、郵政民営化論議の今後の方向について、どう見ているか。

北城: 国会での、今後の議論の推移は良く分からないが、重要な政策課題であり、小泉政権が改革の本丸として推進してきた政策なので、色々な意見を戦わせた上で、あるべき姿を求めた法案が成立することを期待している。民主党は特別委員会の設置そのものに反対しているようだが、重要な政策であり、小泉総理もマニフェストに掲げて選挙を行い国民の信任を得たことなので、単に反対ということではなく、内容についての審議を国会で行っていただきたい。審議をしないというのは好ましくない。

民主党は民営化に反対しているようだ。非常に大きな形のままで民営化するのはリスクが大きいので、政府主導の下で郵貯、簡保の事業規模を縮小すべきだという議論であり、それは一つの考え方だ。そこに至る過程で雇用の問題も発生するので、それにどう対処するのか、民営化するのか、という方針を明確にした上で、基本的な民営化の政策は賛成だが、今回の自民党の案には反対だ、ということであれば分かるが、将来の民営化に踏み込まずに反対ということであれば、官から民へ、政策金融を含めた郵貯の入り口と出口の改革について全体の姿が見えずに反対しているように聞こえる。自民党の中にも反対はあり、趣旨は違うかもしれないが、国民からすればいずれも反対に聞こえる。本来、民営化も含めて郵政の改革について民主党がどう考えているかをはっきり出していただかないと、政権を担う準備政党としては不充分ではないか。

渡辺: 先週、次の内閣の財務担当大臣の野田さんとお会いし、郵政改革についての民主党の考え方を出さないと損ではないかと、申し上げてきた。

Q:昨日、中国の呉儀副首相が、小泉総理との会談をキャンセルして急遽帰国したが、日中関係に対する影響も含めて、感想を伺いたい。

北城: 一国の首相との会談を突然キャンセルするというのは、外交上失礼なことだったと思う。一方で、その背景には小泉総理の靖国参拝があるのではないかと言われている。詳しい背景は分からないが、以前から、小泉総理が靖国神社を参拝されるのは、決してA級戦犯に対する尊敬、崇拝ということではない、とおっしゃっている。戦争で亡くなった方への慰霊ということで、靖国神社に行かれているのであって、ご自身の考えで参拝されている。A級戦犯の慰霊のための参拝ではないということを日本国民にはよく伝えられていると思うが、中国にもっと理解してもらう活動が必要ではないか。外交努力もされていると思うが、羽織・ハカマを着て靖国神社に参拝している映像だけが繰り返し流され、しかも、A級戦犯の慰霊のためではないということがあまりはっきり出てこないと、中国から見れば過去の戦争での問題に対して、日本政府が十分に配慮していないという印象が、特に映像で残ってしまう。より中国への理解を求めながら、参拝するかどうかも含めて判断されるべきではないか。

Q:もっとはっきり発言すべきだということか。

北城: 国内向けには発言されている。中国の多くの国民が、中国共産党の歴史教育を受けている中で、あの映像をどう見るかということが問題だ。A級戦犯の崇拝のためではないというメッセージが中国内で伝わるような活動が必要ではないか。それなしで参拝を続ければ、反感を呼ぶのではないか。

Q:小泉首相の発言に「会いたくないなら会う必要ない」など、配慮が欠けているのではという印象をもつようなものがあると思うが、政府に求めることはあるか。

北城: 先程の発言の通り、靖国神社への参拝は、A級戦犯の崇拝のためではないということを、中国にも理解を求める必要があると思う。確かに国内の問題ではあるが、中国や韓国等が日本に対して不快な感情を持っていることも事実なので、これは外交問題でもある。外交問題の場合には、主張をすると共に相手の理解を得る活動も重要だし、長期的には歴史認識に関する共同作業や、資源開発や環境対策等に関する共同の利益を求めた活動も必要ではないか。中国も、日本の環境技術を含めた支援については認めていると思うし、世界的な環境対策にとっても重要なことなので、両国の利益になるところを求めながら、相互理解・相互反映という姿勢で対応していく必要がある。批判だけでは、問題は解決しないと思う。特に中国の場合には共産主義政権なので、政権の意向で国の対応が全て変わるという意識もあるが、一方で経済がこれだけ発展し、多くの人がインターネット等を利用するようになると、国民の視線や理解が重要になるので、国民の理解を得るような活動が日本側にも必要だし、中国側にも要求していく必要があると思う。

Q:先月の反日デモからようやく少し落ち着いてきたところで、今回振り出しに戻るというような状況になった。ビジネスへの影響については、どうお考えか。

北城: 短期的な影響としては、観光等を除いてはないと思う。しかし長期的には、日中が良好な関係を構築することは日本経済にとっても重要だ。単に経済界の利益ではなく、日本の国益として考え、日本の国益が何かというコンセンサスを取る必要があると思う。私は「日本の国の安全と繁栄に貢献すること」が国益と考えるべきだと思う。確かに不幸な出来事があったが、国際社会からは中国の反日デモについて問題視する論評も沢山出ており、中国もデモを抑える努力をしている。中国政府もこのような問題が拡大することは好ましくないと見ていると思うので、今こそ、相互理解をするチャンスだと思う。特に、歴史認識については中国も共同研究を進める意思があるし、資源開発についても共同開発という可能性もあるので、できるだけ双方の利益になる可能性を探しながら、相互理解・相互発展という姿勢で活動するなかで、過去の問題も前向きに解決していくべきだ。

日本から中国へ、中国から日本へ、双方の観光客も減っているようだが、これは好ましいことではない。草の根の交流は重要だし、相互に交流することで理解が深まる。万博などは、相互理解を高めるうえで非常に良いチャンスだと思うので、中国から沢山来場してほしい。また、九州の観光地などは、中国、韓国、台湾からの観光客の増加を期待しているので、観光を含めた国民レベルでの相互交流を進めることが重要だ。歴史認識、教科書問題などもあるが、日本に来てみれば、日本国民の多くは決して反中国の感情を持っているわけではない、日本が軍国主義ではない、という理解も得られると思う。さらに、留学生も重要な位置づけだと思う。できるだけ優れた留学生に来ていただき、日本に良い印象を持っていただく、ないしは日本企業で働いていただいたうえで、中国へ帰って活躍していただくというような積み重ねは非常に重要だと思うし、米国ではそのような政策を非常に効果的にやっていると思う。

政治レベルの問題解決も必要だが、民間・国民レベルの相互交流の推進も重要だ。

Q:話し合っても理解してもらえることともらえないことがあると思うが、中国に理解してもらえる小泉首相の靖国参拝はあると思われるか。

北城: あると思う。こちら側だけで対応していても理解してもらえないと思うので、参拝を前提にした外交戦略の構築が必要だと思う。例えば、公式参拝にするのか私的な参拝にするのか、参拝の形式をどうするのか、などについて検討し、中国側に理解を求め、さらに中国政府に中国の国民への理解を広めていただく、ということだ。中国が不安定になることは、日本の国益にもならないので、中国に対する長期的戦略も踏まえて、外交戦略を作っていただくことが重要だ。

Q:(人民)元の切上げが近々行われるのではないかという話があるが、日本への影響、妥当な時期等については、どうお考えか。

北城: 中国政府が、自ら国内での準備状況を踏まえて判断すると言っているので、すぐに行われる状況ではないのではないか。しかし、中国経済が順調に発展するためにも元が非常に低いままで好ましいということではないので、中国の経済発展のためにも、いずれかの段階で元の交換率の幅を広げることは必要だ。一方で、急激な元高ということにはならないのではないか。中国経済が混乱すること自体は日本にとって好ましいことではないし、既に投資をしている日本企業にとっても好ましくない。段階的な移行が望ましいのではないか。

一月のダボス会議でも、この問題は議論されていた。米国の経済学者も、5~10パーセントの(元の)切上げでは米国の経常収支赤字には影響を与えない、中国から輸入しているものは、東南アジアやメキシコからの代替輸入が行われるので、米国の製造業が代替製品を作っていなければ経常収支には影響しないと言っていた。これは米国連銀のグリーンスパン議長も言っていたので、そういう理解だと思う。

Q:日本への影響はそれほど大きくないということか。

北城: 切上げの幅によると思う。中国経済が急速に減速する、混乱するというのは日本経済に好ましくない影響を与える。そういう意味で、今、急激な元の切り上げを、(日本の)経済界が要求しているという状況ではない。かつては、中国からの日本への輸出が脅威であるという意見もあったが、最近は中国市場での活動が、日本企業にとって非常に重要な領域になっている。中国に工場を作って輸出している企業からすれば、元が切り上がれば競争力にも問題を起こす。そういう意味では、日本企業の多くは急激な切上げを望んでいないと思う。

Q:橋梁(鋼橋)工事談合事件について、独禁法の改正も行われたが、相変わらず無くならない。どうすれば無くなるとお考えか。

北城: 談合やカルテル、特に公共事業における談合が多いが、カルテルや談合等が無ければ、受注競争が大変厳しいということが背景にあるにせよ、やはり好ましいことではない。談合を行えば経済的に得になるという仕組みでは談合はなくならない。今回独占禁止法の改正によって、課徴金の引き上げが行われたことは妥当な政策だった。

一方で、企業経営者の立場としては、企業の社会的責任をよく自覚して経営せざるを得ない。トップ自らが指示して談合していたのではないと思うが、こういうことが行われる社内の仕組みや風土(の改善)、不正が起きているときにトップに知らせるための内部通報を含めて、健全に経営が行われていることを保証する仕組みの整備も必要だ。トップ自ら指示していなければ良かったということではない。

こういうことが起きると民間企業の経営について、社会的に非常に厳しい批判にさらされる。談合に参加した企業だけではなくて、民間企業は不正を行うのではないかという認識を国民の多くに持たれるのは、非常に残念だ。経済活動は官よりも民が担うべきだと思うが、(今回の事件は)民間企業の経営者として不正が起きないような経営に取り組む、企業の社会的責任は単なるPR活動ではなく、本来、企業活動が社会から見て好ましいものでなければならない、ということについての非常に大きな警鐘だったと思う。

渡辺: 民間での競争取引で、あのような談合が行われるはずがない。独禁法の改正と合わせて、相手先が官だということについての改革を本格的に行わなければならない。

北城: 独禁法の改正、特に課徴金の引き上げについては、経済同友会は一貫して賛成してきた。経済界では色々な意見があったが、こうした事件を見ると、談合等、法律に反することをして経済的に得になるという制度を残しておくこと自体が問題だ。しかし、制度だけ変えても民間企業側の取り組み姿勢が変わらなければ、問題が続くので、企業経営者にとって、こうした問題を起こさない社内システムの整備は必要だと思う。

Q:オリエンタルランドが右翼団体幹部の関連会社との取引を認めた。加賀見社長は副代表幹事でもあるが、経済同友会としてオリエンタルランドに何かを求めるなどの対応はあるか。

北城: 経済同友会は、企業経営者個人の立場で参加している団体なので、企業に対する処分は考えていない。加賀見社長からは、昨日事情を伺った。現実に右翼に関係する企業と取引があったとのことだったが、このような取引があることは非常に遺憾なことで、企業経営者としては、このような問題が起きないための体制を取ることが非常に重要だと思う。経済同友会では、企業の社会的責任経営として、経営者が配慮すべき110項目をまとめているが、その中に「購買プロセスの透明性の確保」の重要性を掲げている。今回の右翼関連会社とは、かなり前から取引があったようだ。オリエンタルランドさんは、これまで暴力団関係等の企業との取引は絶つということで対応されてきたようだが、今回の会社に関しては、問題ある企業だという認識なしに続いてきた。途中で経営者の入れ替えなどがあって、暴力団関係の方が一時経営者として参加していたようだが、オリエンタルランドさんはその認識がなかったとのことで、反省をされていた。企業の取引においては、購買取引の透明性の確保と、取引先選定の際には問題ある企業でないかという確認が必要だが、その確認が不十分だったと私も理解した。ただ、取引をしている過程でこのような問題が判明することもあるが、常時確認するかというと現実的に難しい問題もあると思うが、オリエンタルランドさんには、購買取引の透明性確保に対応していただくよう、申し上げた。

企業に対しても加賀見社長個人に対しても、今のところ処分は考えていない。例えば、意識的に右翼系企業に利益を与えるために購買を進めていたということであれば、同友会に限らず経営者としての経営責任を問われると思う。取引価格が経済的に妥当な範囲である取引先について、ある過程で右翼系や暴力団系の関係者が経営に参加してきた場合で、企業側が充分な注意を行っていても分からなかった場合は、経営責任を追及することにはならないと思う。われわれの会社でも、新たな購買を開始する場合にはその取引先について充分な調査をするが、取引が始まった後は、経済的合理性については精査するが、その後の経営者の入れ替えについては、興信所等で調査はしていない。

基本的には、今後問題があれば、捜査当局が解明されると思うし、株主総会などで経営責任が追及されると思うので、その結果を待ちたい。

これも含め、企業の社会的責任が非常に重要だということを、再認識した。

Q:米自動車大手のGMとフォード・モーターの格付けが引き下げられたが、米国経済の競争力が落ちたとお考えか。

北城: 米国の一般的な競争力の問題というより、GMとフォード(・モーター)の経営の問題ではないか。新製品等の開発の問題や、石油価格高騰に対しての戦略が適切に実行されていなかったこと、また、従業員、特に過去の勤務に対する医療費・年金の負担が非常に大きいという問題があると思う。これについてはいずれも各々の会社が企業努力で経営の再建に努めるのが原則だと思う。それぞれの企業は、自社の経営について努力するということだと思うので、日本政府が何かをできるという問題ではないと思う。

Q:米国の企業経営者のマインドが弱くなっているということはないか。

北城: そういうことではなく、個別企業の問題だと思う。自動車産業は非常に大きいので、影響は大きいと思うが、これによって米国の経済に停滞感が出ているということではないと思う。今後米国社会においては、医療費改革の必要性が出てくるだろう。

以上

文責:経済同友会事務局


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