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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年04月20日(火) 14:00~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事が、本日の独禁法改正案の成立について意見を述べた後、記者の質問に答える形で(1)中国における反日デモ、(2)ライブドアとフジテレビの和解、(3)三洋電機と関西電力のコーポレートガバナンス、(4)郵政民営化、(5)代表幹事一期二年目の回顧、に就いて発言があった。

独禁法改正案の成立について

北城: 法案の中身については、公正取引委員会が当初、提示していたものより、多少修正されているが、独禁法の改正が行われたことは、経済がより透明になって、個々の企業が創意工夫して努力することに繋がり、非常に良いことだと思う。カルテルや談合が継続して行われるということは、主に政府部門の公共事業等の費用が高くなるだけではなく、企業の活動に対する社会批判に繋がる。あるいは、経済をより活性化し、効率の良い仕事をして、余剰人員が出れば他の仕事で活躍する機会を提供するという意味で、良かったと思う。

課徴金も今までの額では少なかったと思うし、今回、不正が発見されたときに申告をすれば減免されるという措置が導入されたことも適切ではないかと思う。

自民党のマニフェストの中に、課徴金の大幅な引き上げを含む独禁法の改正案を2004年度中の国会に提出すると書かれていたが、それが今回の法案成立の大きな推進力になった。そういう意味で、マニフェスト、政策を中心とした選挙を行うということの良い実例だった。今後もマニフェストを作る際には明確な目標を掲げて選挙をして頂きたい。郵政民営化については具体的なことが書かれていない。選挙が終わって、どのような民営化を実現するかを議論しているがゆえに、なかなか法案がまとまらない。独禁法の法案審議の中でも反対という意見はたくさんあったが、自民党の執行部がマニフェストで選挙に訴えたのだから、選挙で勝った以上は実現するのは党の責務であるということで、成立に向けて努力をされた。そういう意味で高く評価したい。

Q:中国における反日デモについて、現時点で企業やビジネスの現場にどのような影響を与えると考えているか。

北城: 被害を受けた日本料理店等の被害、あるいは工場の操業を一日止めたなどの具体例はいくつかあるが、直接的な影響は今のところそう大きくは無いと思う。一方で、こうした事態が長期化すれば、日本企業の経営に悪い影響を与える。中国を工場として利用している、輸出基地として利用している企業にとっても工場の運営が円滑に行われなければ影響がある。更に、最近、中国市場で物を販売する、中国市場の成長が業績向上に大きく貢献している日本企業がたくさんあるわけで、日本製品の不買運動、日本に対する反日感情によって中国市場でビジネスを行いにくくなれば、日本経済にも影響してくる。その上に、こうした混乱が中国経済の発展を停滞させることになれば、日本経済、アジア経済に悪い影響も出てくるので経済界として、現状を憂慮している。

一方で中国政府もこうしたデモが続くことを問題視しているようだし、昨日の外相の日中関係の報告会、党の幹部等を集めた会議の席上で、こうしたデモや法律に反する行動が行われること、特に破壊行為については好ましくないと明言しているようだ。こうした政府の方針に基づいて、これまでのような暴力的なデモが終わることを期待している。

Q:日本政府に期待したいこと、要望はあるか。

北城: 日中関係は、アジアの繁栄や安定にとって重要な外交課題なので、双方の政府の相互理解を深めて、お互いが納得できる解決策を探していただきたい。歴史認識に関しては、日本政府が共同作業を行おうと提言しているが、中国がこれを受けて、双方の学者等が一緒になって共通の歴史認識を作り出していくことが重要だ。事実についての評価は立場によって異なるにせよ、認識を共通化することが大事だ。日中で共同の利益を求めるような案件を積極的に探していくことも重要だ。共通の利益があればお互いの立場を超えて共通の活動ができる。例えば、アジアの国々に対するODAや経済援助、資源開発など、共同の利益を見出せるものについて両国が一緒に取り組むことが必要だ。今回の日本領事館や日本料理店の破壊行為は非常に問題だし、本来、それを阻止するのは中国政府の責任だと思うが、これに対して、公式な謝罪は今のところ無いようだが被害の補償は行われ始めているようだ。非難合戦をするのではなく、現実の解決策を見つけていくことのほうが重要だと思う。

あのような映像が海外に流れるということは、中国のイメージにとっても良くない。デモを行っている人たちは、単に反日行動と思っているかもしれないが、法に反することを行っている、それを警察が制止しない、警備はしているが投石等を止めていないという映像が海外に流れること自体、中国が国際社会の中で尊敬される存在になるかどうかという点で悪い影響を与える。国際社会の一員として今後、WTOの参加も含めて活動していこうという政府や国民の意思に反する行動だと思う。

Q:小泉政権の外交について、韓国、中国、北朝鮮も含めてアジア全体でうまくいっていないように思えるが、その原因と、それを変えるために、小泉総理に求められるものは何か。

北城: 外交の行き詰まりという見方もあるが、外交というのは相手があってのことであり、こちらが思っている通りに全てが進むということではない。小泉総理以前に、北朝鮮による拉致問題が十分な進展を見せたかといえば、そうではないと思う。全てが解決したわけではないが、何人かの家族が日本に戻ってきたのは一つの進歩だ。我々にとって、全てが好ましい結論にはなっていないし、韓国や中国の反日的な活動については確かに問題もあるし、相互の理解を高めるように行動していくべきだと思う。しかし、こちらが思っている通りに全てが行かないから行き詰っているというわけではない。イラク問題等、日本の国際社会への貢献は認められてきている。

課題とすれば、韓国や中国の反日感情に対する歴史認識の問題について、双方に事実関係の調査をする活動を推進するべきだ。韓国とは行われているが時間もかかっているようだし、中国とも行いながら、双方に立場の違いはあれ、理解を含めて、それぞれの繁栄に資する政策を取ることが国益にもかなう。国益とは、一つは国の安全を守る、一つは国の繁栄を実現するということだ。今おきている摩擦が国益にかなっているかといえば、そうではないので、政府、民間特に文化交流、旅行者や留学生の交流も含めて、韓国、中国いずれとももっと密に交流しながら、相互理解と、双方にとってメリットのある政策課題を見つけながら、一致できない問題を解決するように努力するべきだ。領土問題などは急に解決できない。こうした問題で対立するのではなく、すぐに解決はできないにしても、漁業問題、資源開発については共同で取り組めると思う。双方の利益追求を優先すべきだ。

渡辺: 日米関係はここ3~4年、政治も経済も安定していることが、アジアとの政治の問題を際立たせている。

北城: 日韓も首脳レベルでは交流もあるが、中国とは首脳レベルの交流がやや難しくなっているので、解決策を探していくべきだ。

Q:ライブドアとフジテレビの和解が行われたが、改めてこれまでの経緯について感想を伺いたい。

北城: これまで対立した関係の中で、新しい事業展開が行いにくかったと思う。そういう意味ではお互いに了解点を見出して決着したということで、今後それぞれがどう事業を発展させていくか、それによって企業価値の向上を実現する段階に入ったと思う。

これまでの過程を振り返って見ると、資本市場の制度の不備の問題、敵対的買収への対策、新株予約権を含めた企業防衛のあり方、さらに社外取締役のような独立取締役による買収等の提案に対する判断の必要性(企業統治)を認識させられた。M&A.、特に敵対的M&Aも企業再編の手段として、現実に利用されるということを示した。そういう意味では、企業経営者に、新たな取り組み、緊張感、企業業績を上げて株主の期待に応えることの必要性を十分認識させたということだと思う。

ただし、ライブドア、フジテレビ、ニッポン放送いずれも、社内取締役が大半を占め、社外取締役が少数だった。株主の目から見て一連の行動の評価が十分されずに現執行部の意見だけで全てが進んでいったということについては、株主の中に釈然としないものが残ったと思う。今後は、より株主の立場で経営者の行動を評価することができる社外取締役の登用が重要ではないか。最近、証券市場の見直しに関連して、社外取締役の登用を進めるべきだという意見が出ているが、全く同感だ。

結果として、ライブドアには千数百億円のお金が入ったわけだから、これを今後の投資等にどのように活用して、ライブドアの業績を上げるかということが、ライブドアの株主からすれば期待するところではないか。企業としては現金が増えたが、株主にとっては株価が下がったということだから、今後は業績を上げるために得られた資金がどう活用されるかが見えないと、株主から見れば納得できない結果になるのではないか。

渡辺: 結果は、古典的な取引だったという感じだ。ニッポン放送の株を50%取得した意味は何だったのか。放送とITを融合する意図で株を買い集めたはずが、何故途中からあのような展開になったのか。外から見れば経営保身のためにあのような解決になったと取られかねない。そういう意味でも社外取締役がいれば、説明責任を持って説明される。密室の中で両者が解決した後で説明を受ける。不透明性のある取引が、一応メディアの環視の中で行われたということだ。本当の意味でのM&Aのあり方がもっと問われるべきだ。

Q:公共性が高いと言われる放送局が買収の対象になる、今後もなるかもしれない、ということについてはどうお考えか。

北城: 上場している会社であれば、当然買収の対象になるわけで、現経営者より、(新経営者の方が)放送の質も含めて優れた経営をするかもしれない。従って、上場していれば、公共(性の高い)放送であれ、メディアであれ、買収の対象になることは起こり得る。

Q:現在の放送局が、「放送の公共性」と堂々と胸を張れる番組を提供しているとお考えか。

北城: 放送局にも色々あるが、それ(公共性)も含めた経営判断だと思う。視聴者が番組を選ぶという判断もあれば、株主も、どのような経営をしているかについて業績だけではなく、放送の質も含めて判断している。従って最終的な結果は業績に出てくると見て良いと思う。

渡辺: 新聞社も再販制度で保護されている。テレビ局も放送法で保護されている。それだけより高いガバナンスが要求される。そういう規制の中にいるということは、一般の企業より高いガバナンス、説明責任が必要だ。そういう体制にマスメディアの企業体がなっているのかというのが、我々の長い間の問いかけだ。

北城: 経営陣における独立取締役の位置づけが非常に大きいと思うが、現実には外部の目が十分機能していないのではないか、という懸念はある。

Q:放送局に視聴率至上主義がある、それによって番組の質が低下しているという批判もあるが、それについては、どうお考えか。

北城: それぞれの放送局の見識だと思う。視聴率だけ求めて公共の福祉、倫理観に反するような番組だけを流している放送局が長く成功するとは思えない。視聴率の高低もあるが、質の高い番組を作っているかということもスポンサーや投資家の判断基準になると思う。

Q:ライブドアの堀江社長が比較的若い世代や60代の人にも支持を得た、期待されていたというのは、現状を変えてくれる、閉塞感を突き破るということだったと思う。そういう面も含めて感想を聞きたい。

北城: それ(支持、期待)も含めて経営だと思う。現金が入ったわけだから、今後ライブドア、堀江社長がどのような経営をするか、M&Aもあるかもしれないし、新たな投資かもしれないが、その結果、優れた業績を上げれば、その手段として資本市場が利用されたということだ。ライブドアの株主には、今のところ株価が下がったことによって損失を受けている人が沢山いると思う。そういう人たちから見れば、次の経営行動こそ注目していると思う。

売上げや利益で業績を伸ばしていくという考えからすれば、おかしいではないかという見方もあるかもしれないが、一部ルールに反していたと思うが、それを除けば資本市場を活用して資金を調達し、次の経営に生かすということは手段としてある。それをうまく利用したということではないか。期待したことと違うではないかというのは、今回の件を劇場的に見ていた人たち(の意見であり)、ニッポン放送を子会社化して経営を成功させて、事業が発展するというのも一つの成果だが、今回のように売却を通じて得た資金で、もっと大きなことをするかもしれないので、それが実現したかどうかで評価すべきだ。経営者は結果で評価したほうが良い。

渡辺: 論争するつもりはないが、買収をした意図が、巨額な現金を得るために最初から言っていれば、それも理屈だ。一方で、高いお金を払った人もいるわけだから、半年、一年経ったときに、はじめて、この取引の評価が決まる。

北城: 現金を手に入れた一方で、ライブドアの投資行動について、色々な企業が警戒感を持って見るということもあると思うので、それも含めて、今後の展開がどのような結果を生むかを見て評価すべきだ。

Q:三洋電機の会長に、野中ともよ氏が選任されたが、これについてどう評価されているか。

北城: 野中さんの経営能力についてはよくわからない。三洋電機の社外取締役を務めていたわけだから、三洋電機の経営陣も、野中さんの経営者としての資質を判断した上で決めたと思う。これが良かったかどうかは結果で判断すべきだ。野中さんが他の会社の経営者を務めたか、大きな組織を運営したかといえば、そういう経験はないと思うが、無いからうまくいかないと、決め付けることはできない。初めて挑戦して成果を出すかもしれない。野中さんが選ばれるプロセスについては、三洋電機の取締役構成を十分理解していないが、多くの株主の立場で意見を言う取締役がいて選任されたのか、あるいは創業者の意向で決められたのかについては良く分からない。三洋電機に限らず日本の多くの会社の後継者選任の仕組みは、やや密室というか、前任者が後任を指名するということだけに依存していたのではないか。それが悪いかどうかは、これも結果なので、社外取締役が複数参加した指名委員会で議論すれば良い結果が出るとは必ずしもいえない。しかし、一人が自分の価値観で決めた、自分にとって心地よい後継者を選ぶということに比較して、何人かの外部の目が入って議論した上で決めた人の方が成功する確率は高いだろうということは言えるかもしれない。成果は今後評価すべきであり、選任のプロセスとしては、社外取締役の意見が十分反映されたようには見えない。

Q:原子力の推進において安全性の確保は重要だが、関西電力の一連の不祥事に対する経営責任の取り方につてどう評価されているか。

北城: 安全確保が十分行われていなかったことは非常に重大な問題だ。企業の社会的責任の中には、法律に違反しないことは当然だが、環境や、従業員も含めた安全への配慮は経営者の重要な責務だ。今回、経営者が十分その責務を果たしていたかといえば、問題はいくつかあった。経営者が自ら指示して安全性を損なうような運転をさせていたといえば論外だが、色々な安全上の問題がトップに報告されない仕組みで運営されていた。ないしは、安全点検が十分に監査されていなかった、適切に運営されているかどうか保証されていなかったという、仕組みづくりという観点からは経営責任はあった。

経営責任の取り方については、取締役会が決めるべきだ。取締役会は株主の意向、社会の色々な批判も踏まえて、その会社の継続的な発展のために誰を経営者にするかを決めるべきだ。この件も、関西電力に多くの社外取締役がいたとは理解していないので、執行幹部の意向で、役員構成決まったのではないか。ライブドア、三洋電機、関西電力いずれの件も、コーポレートガバナンスの観点で、独立した社外取締役の役割の重要性を再認識させたのではないか。不祥事が起きるたびにマスコミが「社長は辞めるべきだ」と書くのはおかしい。経営者はマスコミが決めるのではなく、社会の批判も踏まえながら取締役会が誰を次の経営者にするかを決めるべきだ。

Q:郵政民営化について、ここに来て自民党がガタガタしているが、どうお考えか。

北城: そもそも小泉さんが自民党党首になるときに、郵政民営化を掲げて選ばれた。それが衆議院議員選挙のマニフェストに書かれた。マニフェストにもっと具体的に、どのようなことを政策として実行するかを掲げて選挙が行われていれば、より提言したことの実践が容易だったと思う。漠然と書かれていたために、選挙が行われた後に議論が行われている。基本的には政府が示した基本方針に基づいて民営化することが望ましい。その方が日本経済の活性化に役に立つ、サービスの向上も実現できると思う。

2007年の4月からのシステムの稼動について、間に合わなければ6ヶ月伸ばすといったことは本筋とは関係ないので、それについて異論は無い。しかし、4社に分社する、郵貯と簡保は独立した会社にするということについては基本方針通り実行するべきで、相互に株を持ち合うとか、持ち株会社が全ての会社を持続的に保有するということであれば、独立した銀行、保険会社としての運営が出来ない、民営会社ではないということになってしまう。

Q:通常総会で代表幹事として一期二年が終わるが、一期目を振り返って感想を聞きたい。

北城: 正式な選任はこれからなので、簡単に振り返ると、小泉政権の構造改革とともに歩んできたという感じはしている。これまで取り組まなかった改革を小泉政権が進めたと評価しているが、そうした政策を実現する中で、同友会が提言し、意見表明してきたことが、いくつかは活かされていると思っている。我々の提言の質をますます高めると同時に、その実現のフォローアップを更に強化すべきだと考えている。

以上


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