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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年03月01日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)フジテレビとライブドアによるニッポン放送株の買収、(2)西武鉄道の東京地検による捜査、(3)政府系金融機関の改革、(4)景気定点観測アンケートの中間集計、について発言があった。

Q:ニッポン放送がフジテレビに対して新株予約権を発行するということについてライブドアが差し止め請求を行い、本日、初審尋が行われるが、一連の事態について現時点での感想を聞かせて欲しい。また、ライブドアの一連の行動について、外資規制や時間外取引等について法的な対策を取るべきだという動きが活発になっているが、規制緩和の流れの中でこうした規制強化の動きをどう考えるか。更に、敵対的なM&Aに対してポイズンピルといった企業防衛策についてはどうお考えか。

北城: 質問にあったとおり、この件は沢山の課題を有した問題である。株式会社は何のために存在するのか、資本市場や取締役会の企業統治の仕組みがどうあるべきか、という多くの問題に対して、今回の件は多くの示唆を与えている。そういう意味で、日本の資本市場もより開かれたものになってきていると思う。その一方で、法律の下で、できることは何でもしていいのか、ということも示唆している。できることと、していいのかどうかという一つの価値観に関連した課題だろう。

いくつか感じることをお話しすると、一つは敵対的買収が起きることの是非については、株式公開するということは、その会社の株を買うことによって企業経営を担うことができる、会社を買うことができるということを示唆している。敵対的買収が嫌であれば公開しなければいい。公開するということは敵対的買収が起こりうるということなので、一概に否定するものではない。ただし、敵対的買収が、何に対する敵対なのか。現経営陣に対する敵対なのか、企業のステークホルダー、特に株主にとって長期的な価値を損なうような買収なのかということで判断すべきだ。

ライブドアが時間外取引の中で大量の株を取得したことについては、法律に違反しなければ、どんな手段でも取っていいのかということについては、やや疑問がある。ルールについて不十分であれば、ルールを整備するということはあっていいのではないか。

外資規制については、放送に関する、直接・間接的な規制の問題で、放送に限らず、通信等にもある。これは、色々な国にある制度なので、日本の中で、どのような制度が良いかを考えればいい。一方で、外資が日本に投資する、M&Aを行うということを一律に批判するということではない。日本は開かれた市場であるし、日本企業も海外企業を買収することもある。日本への海外からの直接投資の額が少ない。小泉総理は対内直接投資の倍増を掲げているが、その多くはM&Aだと思う。実際に、これまで外国から日本への投資はGDPの2%程度だと思う。これに対して、米国は20%程度、フランスで40%程度だから、GDPの2%程度で、海外から資本が入ってくることに対して否定をするのは、余りにも国内の企業経営者だけを考えた意見ではないか。日本国民や消費者といった日本の国で生活する人たちにとって何が良いかを判断するべきではないか。

第三者割り当て増資に関しては、それが既存の株主にとって良いことかどうかで判断するべきだ。ニッポン放送はフジテレビに第三者割り当て増資をした方が、自社の企業価値が高まるかどうか判断をしたわけで、それが適切かどうかは、これから司法の場で決まることだ。このことも含めて、やや問題だと思うのは、株主にとって企業価値を高める戦略の判断は取締役会が行う。取締役は株主、特に長期に株を保有する株主にとっての価値で経営判断を行うべきだ。今回、ライブドア、フジテレビ、ニッポン放送の取締役の構成を見ると、社外取締役は何人かいるが、大半が社内取締役だ。社内の執行役員を兼ねる方が取締役であれば、執行部を守るための判断なのか、株主の意向を反映した判断なのかという点で、株主にとっての価値を判断するという色彩が欠けているようなコーポレート・ガバナンス、取締役会の仕組みだったのではないか。これから、日本の取締役会に、独立した、株主の立場を反映する取締役の登用が必要だということを、今回の件は示唆している。

前回、日本の特殊法人、道路公団の民営化についてお話しした。今後、国が民営化を行う際に、民営化会社の取締役も、株主の立場を重視して、経営の執行幹部と言われる社長や副社長の保身ではなく、株主にとっての価値を判断できる取締役会のあり方、独立した社外取締役を中心とした委員会等設置会社を指向すべきだ。

ポイズンピルを含めた敵対的買収に対する対策が必要だということについては米国にもそのような制度がある。米国の場合には、社外取締役を中心としたコーポレート・ガバナンスがある中での、敵対的な買収に対する取締役会の判断なので、社内の取締役を中心とする日本のコーポレート・ガバナンス制度のまま、敵対的買収の制度だけを導入するのはバランスに欠ける。

Q:外資規制について、一部にマスメディアだから特別であるという意見がある。その一方で、マスメディアであろうと特別視するべきではないという意見があるが、どうお考えか。

北城: マスメディアの場合には公共的な色彩があるので外資規制があるのだと思う。今のマスメディアの全てが公共性のある報道をしているかといえば、そうでないものもあるような気がするが、放送のあり方を考える際には、外資規制あってしかるべきで、反対するわけではない。おかしな放送をしている放送局であれば視聴者から支持されずに、経営は立ちいかなくなるということであれば、一般的に、買収すること(によって、良い経営を行うこと)自体に反対はしないが、買収された結果、本当にうまくいくのかどうかは疑問もある。一方で、インターネットのようなネットワークと放送をうまく組み合わせることで新しい価値ができる可能性は確かにあるので、それが可能かどうかは最終的には取締役が判断することだし、それを株主がどう判断するかを中心にすればよい。そのためには、取締役会が株主の立場で判断できる仕組みかどうかが重要である。これまでもコーポレート・ガバナンス(強化の必要性)といわれてきたが、今回の件は、もう一度、その重要性を示していると思う。株式会社は何のために存在するのか。株主からお金を得て、委託を受けて経営を取り締まるのが取締役で、その監視の下で実際の経営を行うのが執行役員という経営者である、ということを、我々に示しているのではないか。戦後進めてきた「経営者=取締役」という発想を変える時期ではないか。

Q:新株予約権の発行について、ニッポン放送はフジテレビが買った方が企業価値は高まるという判断をしたようだ。その判断は今、裁判所に委ねられているが、裁判所の判断に当たっても株主にとって何が利益かという尺度が必要というお考えか。

北城: 一般の株主にとっての価値ということで判断すべきだ。一般といっても色々あって、株を買って利益が上がればすぐに売却したいという短期保有の株主と、長期的に株を所有して、経営に参画して行きたい、経営の成果に応じたリターン、収益を得たいという株主にとってどういう価値があるのかという判断だと思う。つまり、取締役会に対して、フジテレビは、「フジテレビの下で、これだけ企業業績が上がる可能性がある」という意見を示し、ライブドアは、「ライブドア・グループに入ることで、放送とネットワークの一体運用に伴って、これだけ成果が出る」ということを示して、取締役は双方の意見を聞いた上で、どちらが株主にとって価値があるかを判断すべきだ。今回、双方ともにそれが十分できていなかったと思う。今後、裁判所の下で、双方の意見が戦わされると思うが、本来であれば、ニッポン放送の取締役会がよく議論した上で、どちらを選ぶかを決めるべきだったと思う。それが十分行われたのかどうかを理解していないし、恐らくニッポン放送の多くの株主にとっても、どのような議論が十分行われたのかについて示されていないと思う。ライブドア、フジテレビの一般株主にとっても、自分たちが判断するだけの情報が十分なかったと思う。特に今回の場合にはフジテレビがTOBをかけているのだから、ライブドアは新たに買収をしようとするのであれば、法律違反ではないが、時間外で大量の株を取得するよりも、より情報が開示されたTOBで対抗した方がよかったのではないか。

Q:法律で違反しなければ、どんな手を打ってもいいのか、TOB制度の主旨にも反するし望ましくないという見方が一般的だが、市場のプレイヤーにとっては法律の主旨で行動を規制されるとやりにくい、ルールの範囲内で行うということにしないと、どこまでやっていいのかという線引きも難しいという意見もあるが。

北城: ルールに不備があれば、ルールは正すべきだ。しかし、ルールの中であれば何をやってもいいかということ(の是非)について誰が判断するかということ(が重要)だと思う。私は、株主が判断する、それが市場の規律だと思う。そういう意味で、株主に対して十分な情報が開示されていたかということについて疑問がある。特に、少数株主にとって必要な情報が開示されているかを考えない限り、株式市場に一般の人たちにも参加して欲しいと言いながら、個人株主に十分な情報が開示されずに、大株主の間だけで色々なことが決まってしまう市場に、投資してくれと言っても、個人投資家は参入しにくい。買収される経営者から見れば、企業の業績を上げて株価が十分高ければ買収されないわけだから、業績を上げて株主に還元するということを考えない経営者に対して、企業買収は起きるということを否定するべきものでもない。(今回の件は)経営者には、規律が求められている、それだけ厳しい責任があるということも示している。

Q:先週のニッポン放送の記者会見の中で、ニッポン放送の価値が落ちる根拠の一つとして、ライブドアに支配権がわたった場合にはフジサンケイグループから取引を中止すると通告されているということを挙げていたが、それについては、どうお考えか。

北城: フジサンケイグループとしても、取引を停止することによる影響もあるので、フジサンケイグループの株主に対しても、どのような説明をするのか。ニッポン放送としてもフジサンケイグループとの取引が無いことの影響、ライブドアのネットワークとの協業による利点の両方を判断しなければならない。ニッポン放送の経営者が言っていることと、ライブドアの経営者が言っていることの内容について、株主に分かる形で公開していく中で、投資家に判断を求めるべきだと思う。ただし、株主にとって、どちらの提案が良いのかを判断するのが取締役会の一番重要な責務だと思う。フジテレビ側、ライブドア側の提案、それとニッポン放送の執行側がどう判断するかを受けて、取締役側がニッポン放送の株主の立場を考えて、どちらを選ぶべきかを判断して、それを外に開示していくべきだ。ニッポン放送にも社外取締役が何人かいらっしゃるので、どういう判断をされたかは分からないが、社外取締役が過半数を占めていれば、その判断はよりオープンに出てきたのではないか。今回の件で、社外取締役、独立取締役、委員会等設置会社ということの意味づけが、より国民や投資家に分かりやすく提示されたのではないか。もう一度、コーポレート・ガバナンスについて、よく考えるべきだ。取締役会の役割は何なのか。株主にとっての価値を判断する集まりであり、「取り締まる役」である。ディレクターという英語を取締役と訳した方は立派だと思う。取り締まる役であって経営者ではない。ところがこれまで、我々は「取締役=経営者」だと思っていたので、そうではない、ということを示している。役人や国会議員も、あまり関心が無いのでよく分かっていない。今回の件によって、日本のコーポレート・ガバナンスに対する理解が(今後)進めば、意味があったことだと思う。

渡辺: 第一に、立会い外取引というのは、ルールに違反していないがTOBを行っている際のルールとしては見直すべきだ。第二に、敵対的買収に無防備で良いはずはないので、今回の件が提示した問題をよく考えるべきだ。第三に、巨大なCBや新株予約権の発行というのは、株主の損得に関係する問題であり、株主に対する説明責任がある。その説明責任を担保するには、社外取締役を入れたコーポレート・ガバナンスが一番良い制度だ。そのうえで、当事者だけではなく、不特定多数の一般株主に対して責任ある説明をした上で行動するべきだ。りそな銀行は今、委員会等設置会社の形態をとっているが、花王、伊勢丹、りそな銀行の経営に携わってきて、道路公団や郵政公社、再生する会社が将来、民主的な市場で支持されるには、委員会等設置会社によるコーポレート・ガバナンスが最適だと信じている。この点においては、代表幹事と全く同じ見解だ。

Q:株主の判断と言われるが、それを表明するのは、例えば長期保有株を株主が売るということなのか、総会の際に、取締役の首のすげ替えがあるということなのか。株主の行動の起こし方についてはどうお考えか。

北城: 両方あると思う。行動するために、十分な情報が開示されているかどうか。今、この会社の株を売った方がいいのか、持続的に保有して将来の配当や株の値上がりで利益を得た方がいいのか、このままでは経営はうまくいかないだろうから今の価格で売ろうとか、株主は判断をする。その判断に足りるだけの情報が事前に開示されていたのかどうか。少数の人たちは情報を持っているかもしれないが、わずかしか保有していない個人株主に対して、それだけの情報が提示されていたのかといえば、そうではなかった。取締役会が、そうした株主の立場、利益を考えて意思決定をしたのかといえば、そうとも見えない。そういう意味で問題だ。会社は経営者の物では無い。株主が会社の持ち主である。もちろん、株主にとって成果を出すためには、社員、お客様、地域社会といった様々なステークホルダーとの関係を考えなければいけないが、基本的には株主がお金を出して経営を任せているのが経営者だ。経営者にとって良いということと、株主にとって良いということは必ずしも一致しないことがある。今回の件は株主という視点が抜けている決定が多かったのではないか。個人株主はできる限り情報が開示されていなければ判断できない。それが不充分だったということだ。

渡辺: 買収というのは株主を変える行為だ。会社はそれほどすぐには変わらない。

Q:東京地検が西武鉄道について捜査を進めているが、今回問題になったのは株主名簿の虚偽記載と、インサイダー取引について、売り抜けて利益を得るというよりも、重要な情報を開示しなかった、ということで、これまでのインサイダー取引や商法違反に比較して余り例が無かったケースである。こうした形の商法違反や証券取引法違反について、どうお考えか。

北城: 今回の場合には、株主を意識したというよりも経営者にとっての都合の良い判断であり、会社の株を買った株主が、今回の件でどのような影響を受けるかというと、情報を開示されずに株を買った人にとっては大きな不利益になるということだ。従って、今一度、株式会社とは何か、株主がお金を出すとういことはどういう意味なのか、上場することの社会的責任はどこにあるのか、ということを考えるべきだ。今回の事件を見ると、コーポレート・ガバナンスがあったのか、取締役会は経営者を取り締まっていたのか。どちらかといえば、会長、社長が誰を取締役にするかを決めて、それが株主総会の(決議)にかかっただけで、コーポレート・ガバナンスが全く機能していなかったのではないか。その株式を売り出すことについて、少数(一般)株主に対する保護という観点が全く無かった。そういう意味では非常に大きな問題だったと思う。

Q:経済財政諮問会議が昨日開かれて、政府系金融機関の統廃合について2年ぶりに議論を進めていこうということになった。その一方で、財務省を中心として、それに抵抗を示している。いわゆる財投については入り口が郵政改革であり、出口が政府系金融機関の改革であり、双方があって初めて改革が進むと思うが、諮問会議の議論、それに対抗する動きについて、どうお考えか。

北城: 経済同友会も以前に提言をしているが、政府系金融機関は、何のために存在するのか、その存在理由は今の時点であるのかを議論した上で、決めていくべきだ。ご指摘の通り、郵貯が資金調達の手段だとすれば、その資金の出口としては特殊法人が沢山あり、その中に政府系金融機関もある。従って、政府系金融機関は国の信用によって非常に低い金利で資金調達が可能で、それが一般の金融機関と競争する領域で業務を行えば、民間金融機関の圧迫要因になる。そういう意味では、もう一度政府系金融機関のあり方を見直すべきであり。郵貯改革で入り口の改革が行われるのに合わせて、出口改革も行うべきだ。これから、2009年に向けて制度設計できるということなので、是非、推進していただきたい。本来推進する方向だったと思うが、金融危機のために一時中断したということだと思う。不良債権の処理も進んで金融システム自体は安定してきていると思うので、是非、政府系金融機関の改革も行うべきだ。

渡辺: 一部報道されているが、省益や総裁の就職先といったことで、こうした問題が議論されるのであれば、大きな問題だ。

(景気定点観測アンケートの中間集計結果について)

北城: 最終的な集計結果は次回報告するが、中間集計を見る限り、景気の拡大に対する見方がかなり弱気になっている。前回は拡大している・緩やかに拡大しているという経営者が49%いたのに、25%に落ちている。経営者は景気の現状についてやや弱気な見方をしている。

以上


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