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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年02月15日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より同日発表した意見書「道路関係四公団の民営化会社に関する意見」の説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)京都議定書の発効、(2)春闘、(3)ライブドアによるニッポン放送株買収、(4)三井住友FGと大和証券の経営統合報道、について発言があった。

Q: 日本時間の明日午後に京都議定書が発効となる。産業界は自主目標を定めるなど改善も見られるが、民生・運輸の部門では目標に近づくどころか逆に遠のいている。今後の課題についてどうお考えか。

北城: 京都議定書の位置づけについては、五十年、百年の将来を見据えた地球環境の維持という観点で温暖化に対処すべきだということだと思う。従って、先進国の責務として日本も温暖化対策を取るべきだ。当初、京都議定書が策定されたとき、米国が参加していない、中国を含めた発展途上国に対して制限が無い、ということから、発効するかどうか、効果があるかどうかという点について議論もあったが、最終的には発効したので、長期的な環境の維持は人類にとって重要な課題だという認識の下に対処すべきだ。経済界も環境に配慮しなければいけない、自分の企業の経営がうまくいくかどうかという問題ではない、という認識が必要だ。日本の地名が入った国際条約なので、日本としてこれを守ることが重要だという立場で、企業も、国民も、政府も積極的に対策を講じるべきだ。発効するかどうか分からない時点では対策にやや後ろ向きの見方もあったが、国民の意識改革も含めて京都議定書の主旨を徹底する必要がある。多くの人が関係する民生と運輸について、意識改革はもちろん、経済合理性が働いて温暖化に関係する排出ガスの削減が進むような政策が必要だろう。さらに環境を維持することは企業活動にとって重要だという認識の下に、企業の社会的責任(CSR)の観点からも温暖化対策に積極的に取り組む。これが無ければ企業経営も持続できないという発想で取り組むべきだ。

一月末にスイスで行われたダボス会議でも京都議定書の話は何度も出て、「京都」と「津波」という日本語は盛んに使われた。国際会議でこれほど多く日本語が使われたという経験は余り無い。それほどの国際条約であるのだから、日本がそれを履行できないというのは問題なので、官民挙げた取り組みとともに、京都議定書で認められたクリーン・ディベロップメント・メカニズム、排出権取引も含めて最終的に議定書の目標を達成するという対策が必要だ。排出量の全てを国内だけで削減できるかどうか、できない場合には、開発援助等を通じて排出量を確保するという施策も現実的な対策として検討するべきだ。

Q: 国が取り組むべき具体的な施策として開発援助を挙げられたが、経済合理性で排出削減が進むような政策というのは、例えば環境税のことか。

北城: 環境対策に取り組むことは一人一人の国民の重要な責務であるという意識改革が必要だ。さらに最近はビル等の建設に当たってペアガラスのような省エネ対策を行っているが、こうしたことも制度として取り入れるべきだ。ただし、特に個人の家庭での電気やガスの使用、車の利用については全てを規制することは難しいので、節約した方が有利であるという制度を導入した方がいいのではないか。例えば省エネ機器を購入するときも、節電できる電気の使用量を考えれば新しく買い替えた方が有利だということであれば、買い替えも進むだろう。車でも燃費の良い、例えばハイブリッド車のようなものが広く普及するかどうかは、意識改革と同時に、ハイブリッド車を利用して燃費が少ない方が良いわけだから、(乗り換えが進むように)燃費にかける環境税というのも一つの考え方だと思う。一方で、財源確保は別に考えるべきだ。経済同友会も増税ではない、特定目的税とすべきではないという意見を出している。この二つの原則の上で、環境税を環境対策の手段として取れるかどうかを検討しており、4月か5月に委員会の提言としてまとめて発表したい。しかし、環境税を導入すれば問題が全て解決するということではない。意識改革や企業としての取り組みの推進、排出権取引、クリーン・ディベロップメント・メカニズム、開発援助、色々な手段を含めて取り組むべきだ。排出権取引は非常に難しいので、どのように制度設計するかについては議論が必要だ。

Q: 企業が環境に取り組むときに、企業経営が存続することと両立するために必要なことは何か。また経団連は企業が自主的に取り組むべきだと言っているが、これについてはどうお考えか。

北城: 企業活動そのものが社会にとって好ましいものでない限り、社会あるいは消費者から批判されて企業の業績が立ち行かなくなることがある。食品や自動車の安全など、社会から批判されて、企業経営に大きな影響が出るという具体的な事例もある。環境に配慮しないで経営をすることは許されなくなってくると思う。そういう意味で、企業の社会的責任としても環境対策に取り組むことは重要だと思う。どう取り組むかはそれぞれの企業の努力で行うべきだと思うが、その結果、日本として京都議定書を守れない、今、そういうリスクがあるのだから、それに対して国がどう取り組むかは別の課題として考えるべきだと思う。企業もそうだが、個人や小規模の事業所、家庭といった民生の部分が大きいので、これらについて省エネをどう推進するかは企業の個別の努力では済まないので制度設計も必要だ。それは、規制で行う分野もあれば、経済合理性が働くような補助金や価格統制もある。そうした色々な手段を動員すべきだ。ただし、環境税だけ導入すれば排出量が減るといった簡単なことではない。価格と排出量の相関関係も明確に規定されているわけではないし、特にわずかな値上げでは大きな効果は出ないと思うので、それも含めてどういう制度設計をするかはなかなか難しい。我々も鋭意検討しているところだ。

Q: 企業活動に限っていえば、環境に配慮していなければ社会的批判にされるような制度が今どこまで整っていて、今後、どのような制度が必要と考えているか。

北城: 公害物質排出のような問題についてはかなり局所的で因果関係もはっきりしているので、過去に公害問題を起こした企業に対する批判は大きかった。地球環境については、局所だけで問題が起きているわけではない分野に対する批判は難しいと思うが、最近は環境報告書やCSRに関する報告書の中で二酸化炭素の排出を含めて色々な報告がなされている。そこで省エネに対する取り組みが不充分という開示がされれば、社会から良い会社だとは思われないだろう。SRI(社会的責任投資)などもあるが、消費者が、(企業の社会的責任に対する)努力が少ない会社に対して良い印象を持たないということが、企業のブランドイメージも含めて業績に悪い影響を与えると思う。環境問題ではないが、ナイキというスポーツ用品の会社が発展途上国に置いて若年労働者を雇用していたということが米国の市場に知れ渡ったことで、ナイキの業績が落ち込んだ。消費者が反社会的と見れば、企業の業績にも悪い影響があるという事例だと思う。

Q: 春闘の時期だが、連合が大企業と中小企業の労働者の賃金格差が広がる一方なので是正をテーマに掲げたいと言っている一方で、経団連等は企業ごとに格差があって当然だという考えを示している。これについてはどうお考えか。

北城: 給与は、業界や規模にかかわらず企業によって違う。どのような人事制度を導入するかは重要な経営戦略だと思う。業界全体、あるいは大企業、中小企業といった規模によって賃金政策を決めるべきではなく、個々の企業が判断するべきだ。優れた処遇をすれば優秀な人材を集めやすいという考えもあるが、一方、給与水準が高くて競争力が無くなれば経営が成り立たない。国の政策や業界団体の動きで、給与水準を一律に上げる、下げるという問題ではなく、個々の企業の経営戦略の中で決めていくことだと思う。給料の低い会社に優秀な人が集まるということではないので、経済合理性の中で解決していく問題だ。

Q: ライブドアによるニッポン放送の株式買取を巡って、市場内ではあるが時間外取引ということで、多くの投資家の参加が限られていたのは問題だと指摘する声もある。伊藤金融担当大臣も現行法に照らせば違法性は無いが、時間外であれだけ多くの取引が行われることはシステムとして問題であり検討するという考えを示しているが、どうお考えか。

北城: 基本的には法律で許された範囲の中で、経済合理性に基づいて経営判断をするというのは、それぞれの経営者の自由裁量だ。しかし、今回の件については、少数の株を持っている株主、あるいはフジテレビ、ニッポン放送、ライブドアの株主にとって十分な情報が開示されて自分のリスクで、自己責任の下に投資ができる環境が整備されていたかどうかについて疑問がある。情報開示については、更に進めていく必要がある。今回、フジテレビがTOB、公開買い付けを行っているのだから、その中で大量の株式が市場の通常売買の外で行われるというのは、必ずしも好ましいとはいえない。TOBが行われているときに、別途一定以上の株式を買い付けるのであれば公開買い付けを義務付けるといったような制度面での再整備が必要になるかもしれない。その基本は株主が自己責任を取れるだけの十分な情報が開示されているということではないか。

Q: どのように帰結していくと考えているか。

北城: ライブドアがニッポン放送の株を長期に保有して、経営に参画して成果を上げるか、どこかで売却されるのかという戦略が分からないので、どうなるかは分からない。それも含めて株式を保有している人たちの自己責任に基づく判断だ。情報が開示された上での自己責任なので、情報が十分開示されない中で自己責任を問うというのは無理がある。そういう意味で情報開示に関する制度設計は必要になるかもしれない。しかし、ライブドアの経営者としての経営判断で行われたことで、成果が出るかどうかはこれからであり、どうなるかは分からない。

Q: フジテレビがTOB(による買い付け)の目標シェアを25%まで引き下げることで、ニッポン放送のフジテレビに対する議決権を消滅させる。これに対して、(ライブドアの)堀江社長がニッポン放送に増資をさせて再度議決権を発生させると言っているが、大株主の意向だけで通常株式会社は増資を行えるのか。

北城: 堀江社長が今後どれだけの株を買われるのか分からないが、過半数の株を持つことによって取締役をどのように選任していくかということが進んで初めてできることだ。そういうことも含めて、情報が十分開示されないと株主はどのような判断をしていいか分からない。増資が本当に行われるかどうか、ライブドアがニッポン放送の経営にどのように貢献して、長期的に企業価値をどう高めようとしているかが分からないと判断ができない。できるだけ情報を開示した方がいい。例えば、ニッポン放送の経営に貢献する、フジテレビも含めてグループの価値を高めるのでライブドアにとっても買収は良いことだ、ということを説明しないと、ライブドアの株主も含めて、他の株主がどう判断していいか分かりづらい。そういう意味で、経営方針も含めて情報を開示していく必要がある。

Q: 昨日のテレビ放送で、「産経新聞に興味がある。日本経済新聞に対抗できる経済新聞にする」と発言されていたが、こうしたことも一つの情報開示であるとお考えか。

北城: インターネットの会社については色々と買収もされて実績もあるようだが、それ以外の分野で、どのような方針で企業価値を高められるかという話をしないと株主も分かりづらい。このまま持続して株を保有して成果を求めるのか、どこかの時点で株の売却によって利益を得ようとしているのか。戦略だから、全ては開示できないにしても、今回35%ほど株を所有されたことは公開されているが、どこから買ったのか、投資は個人としてなのか、会社としてなのか。株主も5%以上所有している人は、株を売却すれば届け出なければならない。実際に買われたのは30%弱にしても、相当な株主が売却しないと集められないので、それが適法に行われたのか。10名を超える人から株を買えば公開買い付けの制限に抵触する。我々も事実が良く分からないので、開示していただいたほうが良い。

Q: M&Aの関係でポイズンピルのような対策を作るべきではないか、という議論があった。今回の件を受けて、商法そのもので規制をするべきではないかという意見もあるが、どうお考えか。

北城: 企業買収が良いか悪いかといえば、市場主義に基づいて株式を公開して企業経営をする限り、市場で企業買収が行われるということは制度として許されている。その買収が株主やお客様、社員にとって、結果的に企業価値を高めることになるかどうかが判断だ。従って企業価値を損なうような敵対的な買収は防ぎたいという気持ちもあるが、一方で、現経営者が不充分な経営をしながら、それを守るためにポイズンピルのようなものを整備すべきかについては異論がある。どういう制度を作るかはこれからの議論だが、守るべきは企業価値だと思う。経営者の保身のためのポイズンピルでは、本来の主旨ではない。株主、お客様、社員にとって価値があるかどうかだ。米国の株主総会では、経営者が株主に向って「Your Company」という。日本の株主総会では経営者が「我が社は」という。経営者が会社を所有しているような意識で経営をすることは問題だ。会社は資本を出した株主のものであり、株主にとっての長期的な価値を作り出すために、従業員も大事だし、お客様も大事だし、地域社会といったステークホルダーとの関係も重要だということを前提に、企業にとって好ましい買収かどうかを判断するべきだ。敵対的買収が全てけしからんということではない。買われる側の経営者にとってはそうかもしれないが、それによって、買う側も買われる側も良かったということはありうる。

Q: 先週、三井住友銀行と大和証券が経営統合を視野に入れて、提携強化するという報道があったが、金融機関のユーザーから見て銀行と証券が一つになるというのはメリットがあるのか。

北城: メリットはあると思う。例えば、一つの支店で金融商品が買える、株の売買ができる、投資信託が買えるといった利便性はある。しかし、企業は大きくなればなるほど、沢山の商品を提供できる利便性がある一方、一つの分野での専門性が弱くなりかねない。一人の経営者が判断できる範囲が広くなればなるほど、一つの分野で十分な意思決定ができるかという問題もある。米国を見ていても、コングロマリットとして事業を多角化する例もあれば、事業を売却して専門化する例もあるので、大きくなったり小さくなったり、どちらが良いかは一概にはいえない。経営者の判断で統合した方が企業としての競争力が出る、業績が上げられるという判断と、それに対して株主がどう判断するかという問題だ。経済合理性があるという判断であれば、統合を進めることは問題ないと思う。しかし成果は挙げなければいけない。

渡辺: 統合する企業の経営者が消費者に不便で迷惑をかけるような経営をするとは思えない。合併して企業価値を拡大するためには、消費者の満足度の向上なくしては、それだけの大きな投資に見合わない。合併の戦略意図は、消費者に便益を提供しながら企業価値を高めていく。ライブドアの問題についても、お金はどこから調達するのか、堀江社長なのか、ライブドアなのか。それによってライブドアの企業価値と株主は影響を受ける。ライブドアの株価が下がっているのは、株主の見方には色々あるということだ。「産経を支配する」というのは堀江社長の意思なのか、お金を出すライブドアという会社の意思なのかについては、説明されていない。提携は力を合わせて企業価値を高めるということだし、経営権を支配するというのであれば違うやり方がある。そういうことも含めて情報開示を含めて市場に丁寧に説明しないと、むしろ利害関係者も含めて市場に影響を与える。

以上


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