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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2005年02月01日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事がダボス会議出席の感想を述べた後、記者の質問に答える形で(1)イラク国民議会選挙、(2)雇用と賃金、(3)原油価格、(4)通常国会、(5)NHKの改革、(6)為替相場、について発言があった。

ダボス会議出席の感想

北城: ダボス会議は、スイスのダボスに政治家、経営者、学者等、約二千名が集まって、世界で起きている課題について議論する場だ。今回のテーマは、テロとの戦いはもちろんあるが、一つは貧困の問題で、特にアフリカの貧困と疾病についてはマラリアで毎日三千名が死んでいる。インドネシア沖の津波について国際社会があれだけ支援金を出したにもかかわらず、貧困と疾病に対する先進国社会の支援が不充分だということ。もう一つは、気候変動という言葉を使っていたが、地球温暖化の問題である。このまま地球温暖化が進めば海面が350年間で6~7メートル上昇するという科学的な報告も出されており、100年で2メートル上昇すれば海面下に沈む国も出て来るということで、こうした長期的な課題に国際社会として取り組むべきだという議論だった。そのほかにも中国や中近東の議論も出たが、英国のブレア首相がG8でアフリカの貧困問題と地球の気候変動の問題を取り上げると言っていた。今のところ米国が地球温暖化の対策に取り組んでいない中で、G8、特にイギリスが取り上げるということで、今後は地球温暖化に大きな焦点が当たるのではないか。ブレア首相の他にも、ドイツのシュローダー首相、フランスのシラク大統領(雪のためにテレビ出演)、米国もクリントン元大統領やマケイン上院議員等、各国から政府首脳が出席していたが、残念ながら日本は国会があるということで、閣僚が誰も出席されなかった。昨年までは竹中大臣を含め何人か閣僚や国会議員が出席されていたが、竹中大臣や岡田民主党代表もキャンセルされていた。これから、日本が国連の常任理事国になって国際社会で責任を果たしたいというのであれば、国際社会で色々な問題が議論される場に参加していないと世界で起きている大きな問題についての認識が十分できない。日本もアフリカをODA等で支援しているが、中々存在感は見えない。中国の存在感の方が大きく見えてしまう。日本の政治家、閣僚が参加すればいいと思う。

また、ウクライナのユーシェンコ大統領が出席されて、新しい政治体制と、今後の経済発展のために国際社会から投資を受け入れたいというスピーチをしたが、今回の選挙に至るまでのプロセスをビデオで流した後で、大統領が登場すると会場が総立ちで拍手をした。民主的な選挙によって政権が選ばれたということについての評価だと思うが、デモクラシーがあるところに国際紛争を無くすような政治の力が働くということが議論されていたこともあり、他の首脳の場合には総立ちの拍手は無いこともあって、感動的だった。日本の政治家が誰も見ていないのが残念だった。

Q: イラクで国民議会選挙が行われて、スンニ派がボイコットしたり自爆テロが起きたりする中で、6割の投票率と報道されている。選挙を主宰した暫定政権、米国や英国も成功と評価している。混乱の中で、何とか成功したということについて、どう評価しているか。

北城: 民主的な選挙が行われたということは大きな意義があった。イラクの人たちが自分たちの政権を作っていくという意思表示をした。自爆テロをはじめ、選挙に行くことに対する脅迫行為というリスクもあった中で、6割の国民が選挙に行ったことは非常に大きなことだ。これまで政権選択の可能性が無く、また米軍の駐留も自分たちで選んだものではないという状況だった。そうした中で今回の選挙は自分たちで選んだということで、内部の宗教や民族の対立があるにせよ、イラクの将来を自分たちで決めるということの第一歩になると期待している。急にテロが無くなるとは思わないが、テロが起きても対米国というよりも国内問題、イラクの将来に対する問題に変わってくるのではないか。イラクの安定化に動くきっかけになるのではないか、と期待している。アフガニスタンについては最近議論にならないが、選挙によって政権が選ばれたということが安定への第一歩だった。イラクも良い方向に進めばいいと思う。

今回の選挙に対して米国だけではなく、欧州も評価しているということで、米欧間のこれまでの溝を埋める方向に繋がるのではないか。これからブッシュ大統領が欧州を訪問するので、欧州と米国の関係回復に動き出す一つのきっかけになるのではないか。

Q: 先週12月の完全失業率が発表になり、ここ6年間で一番低い水準で、年平均もかなり低い水準になった。直近の有効求人倍率も高い水準になっており雇用が回復してきているようだ。一方で、地域には格差があり、若年層の失業率が高く、パートや派遣といった非正規雇用の比率が大きくなっているなど処遇の格差も広がっている。そうした中での雇用の改善をどう見ているか。

北城: 雇用が拡大しているということは、国民に与えるメッセージとしては前向きだと思う。雇用が安定しない、失業率が高いということは将来への雇用不安に繋がるので、収入の中で消費するか、貯蓄するかについて大きな影響を与える。そういう意味では失業率が下がったというのは良いメッセージだと思う。しかし、それによって給料が急に上昇するということにはならない。ボーナス等の支給はするにせよ、経営者としては企業経営の健全性を考えるので、急激に個人所得、給与所得が上がるということにはならない。企業の業績が回復するにつれて、ボーナス等を含めて企業の給与支払額は少しずつ増えていく方向に動くと思う。そういう意味では良い方向だと思うが、急に給料が上がって、個人消費を大きく刺激することにはならない。個人消費が腰折れしない下支えにはなるが、景気回復に繋がるというほど簡単ではない。

Q: 春闘の時期に入りつつあるが、雇用か賃金かという二者択一の中で、雇用を優先して給料を抑えるというのがこれまでの方向だったと思うが、雇用が改善したということで、「今度は賃金」と労働界は考えると思うが、そうはならない、ということか。

北城: それは個別企業の問題だと思う。業界で一律ということもないし、一つの業界でも非常に業績の良い会社と厳しい会社があり、地域にも差がある。賃金は業界全体で何パーセント上がるという時代ではない。個別企業の業績に応じて、それぞれが決めることだと思う。成果主義になってきているので、会社全体としての原資が増えたからといって、個人の給料が上がるかどうかは、それでは決まらない。個別企業の問題であるし、企業の中での個人の業績に応じて給料が決まってくると思う。

Q: 先週末行われたOPEC総会で当面の生産枠を維持するということになった。一時は生産を削減して価格を維持するという動きもあったようだが、これについては、どうお考えか。

北城: 中国やインドをはじめとして発展途上国が石油の消費を拡大しているので、そう簡単に石油価格が下がるということではない。一方で、石油価格が急上昇するということは経済への不安要因だし、あまり急激に高くなると別のエネルギー資源の価値が高まるということもあるので、OPECとしても急に上昇することを期待してはいないと思う。恐らく40ドル台で安定する方向で動くのではないか。そうすれば、石油開発は進むと思うし、代替エネルギーの採算性も向上する。そういう意味で、40ドル台で推移し、下がることも無いと思う。

Q: 通常国会が始まった。郵政民営化や社会保障改革など重要な案件が多いと思うが、何を期待しているか。

北城: 国会の場で、政策課題について政府がどのような方針で進むのかを明らかにしていただいて、どこに問題があって、何を解決しなければならないのかを明確にしていただきたい。ダボス会議にも関連するが、国会を見ていると細かい問題に対する内向きの議論が多いのではないか。日本経済をどう活性化するか。例えば欧州では最近、起業家精神、新しいものに挑戦する意欲を作り出さないと経済は発展しない。そういう意味で米国に遅れを取っており、対外的にどのように競争力を高めようかということが議論されている。今回のダボス会議の議論の中心は、貧困、生産性の向上、地球環境、教育といったことである一方で、日本では内向きで政治の中の力関係に寄った議論が多い。日本の将来の発展のためにどうしていくかということが見えない。郵政民営化等についても、早く具体的な論点を提示して、方針を決めるとともに、社会保障を含めて、日本の経済発展、財政再建をどうすべき、という先への展望が開ける議論をして頂きたい。

Q: NHKの改革に関して、海老沢会長が辞任後、顧問に就任して直後に辞退されるといったごたごたがあったが、NHKの今後の改革をどう進めるべきか。また、NHKと政治とのかかわりについてどうご覧になっているか。

北城: 海老沢会長の辞任については、特に視聴料の不払い問題も踏まえると妥当な判断だったと思う。ただし、企業のトップ人事について、「不祥事があったからけしからん、だから辞めろ」ということで辞任するということではないと思う。不祥事について経営者にどういう責任があったのか、自分自身が不正を行ったというのは論外だが、組織の中に問題があった、何千人、何万人という組織の中で、全社員が不正をしないということではなく、どういう管理の仕組みがあったのか、不正が起きたときに見つけ出す仕組みがあったのか、組織風土をどう構築していたか、そこに経営責任があれば追及するということはある。そういう意味で、今回は、ただ「退任すべきだ」という議論が強かったという印象がある。後任の橋本会長は個人的に存じ上げないので適任かどうかの判断はできない。しばしばトップが代われば良いという意見があるが、確かにトップが代われば健全な組織運営の仕組みづくりができるかもしれないが、ただ代わればいいということではない。NHKの問題でテレビ出演する前後にホームページを見たが、色々な解決策は実行されている。内部監査の仕組みの強化、経費承認のプロセスを変える、内部通報の仕組みを変えるという具体策が書いてあり、適切な方向だと思うが、具体的な制度が作られて、それが現実に機能して健全に運営されるまでの活動そのものも重要だ。代わるということだけではなく、実際の改革を現実に実行されるかどうかを見ていくべきだ。今回の人事については経営委員会が決められたということなので、その後もうまく機能するかどうかも含めて会長以下、NHK幹部の責任であると同時に、選任した経営員会にも健全な運営に関する責任がある。健全な運営と同時に具体策を実行していただくことが重要だ。

政治とのかかわりについては、NHKは公共放送であるし、国会での予算の承認も行われるため、常に政治との関係がある。政治家も個別の番組について、色々とご意見があるだろう。今回の(番組改変)問題を通して、NHKの報道の中身に政治が関与することは逆に難しくなった、NHKの独立性が維持しやすい環境になったと思う。会長の任命は経営委員会が行うということが、はっきり認識されたと思うので、政治が会長人事をしているわけではないということからいえば、より中立な報道が今回の事件を契機に行われればいいのではないか。雨降って地固まるという方向に進めばいいと思う。

Q: 顧問に就いて、すぐに辞退されたということについては、どうお考えか。

北城: 顧問という役割をどう規定しているのか。単に引継ぎの期間だけ顧問ということだったのかもしれないが、これだけ批判がある中で、顧問に就いて、どのような仕事をするのかという説明が無かった。これだけ注目されている人事なのだから、顧問に就任するのであれば、何をするかについて説明があってしかるべきだった。それが無いために、かなり大きな批判を受けて、結果、急に撤回したというのは、ややみっともなかった。

渡辺: 視聴者が料金をどれだけ払っているか分からないが、企業からすれば売上げと同じである。そういう意味で、視聴者から理解を得られる改革、説明ということについて、今NHKは緊張感を持って取り組んでいただきたい。

北城: この問題をもって、新しい会長の経営手腕を云々すべきでもない。経営改革を現実にどのように実行するか、いつまでに、どのような体制で実行するのか。制度改革を行っても、本当に組織の中で実行されるように、実際に機能するようにすることが大事だ。今後、実行可能な形で展開していくかどうかが課題だ。不祥事があるために、「トップが辞めろ」という記事が出るのは好まない。トップの交代をするガバナンスの仕組みがあれば、それが機能するようにするべきだ。会社であれば、取締役会が、トップに問題があれば更迭する。現実には日本の取締役会の場合は、それが機能しないということが問題だと思う。

Q: 今週末G7が予定されている。ダボス会議でも通貨についての議論があったかもしれないが、何を期待するか。

北城: ダボスでの問題の一つとしてドルについても議論された。米国の双子の赤字で今後もドル安が進むのかどうかについては、米国は割合楽観的だった。財政赤字については、ブッシュが年頭教書でどのような形で提示するかは分からないが、解決の方向に進むだろう。2009年くらいまでに財政赤字を半減する、社会保障、医療改革、イラクの軍事予算等、課題はあるが基本的には財政再建の方向に動く。経常収支の赤字はあっても、資本収支で米国に資金が流入するということは簡単には止まらないだろう。オイルマネーも含めて海外資金の運用先としてドルを除外できないし、米国の経済成長率は中国を除いて最も高いので米国への資金流入は続くだろう。従って、少しずつ弱くなることはあっても、急激にドルが弱くなるという意見は無かった。

中国の人民元の切り上げについて、中国首脳に対して繰り返し質問が出ていたが、中国は為替の自由化の前に国内の金融取引を整備しなければならない。銀行が扱う外国為替の管理の仕組みを変えざるをえない。人民元の切り上げだけを行うことは難しい。中国は国内の金融市場を整備し、不良債権を処理し、為替管理を整備した上で、よりフレキシブルな交換レートに持っていきたい、という意見だった。では、人民元が10%切り上がったら、米国の経常収支は改善するのかということについて、(議論をしている)全員が全く関係ないと答えていた。米国から見れば、中国から輸入しなくても、メキシコ等の輸入が代替するだけで、米国の中で製造業が強くならない限り経常収支には影響しない。人民元の切り上げについては、一年前のダボス会議でも、一年以内に人民元が切りあがるかということについて出席者の意見を聞いたら、3分の2が切り上がらないと答えた。結果、一年きりあがらなかった。今回、後一年はどうかと聞いたら、やはり3分の2が切り上がらないと答えた。その延長線で言えば、為替については安定的な変動は望ましいが、急激な変化は好ましくない、ということだ。それぞれの国の通貨の強さに応じて、緩やかに為替が調整していくことについては問題ないという方向になるのではないか。そのメッセージが適切に伝われば大きな変動は起きないと思う。

Q: ダボス会議では、欧州の出席者からユーロ高に対する苛立ちは無かったか。

北城: あったが、ではドルを切り上げる、ということでもなかった。公式な質問に対しては、米国の出席者は「我々は強いドルを支持する」と答えて、出席者が笑う。公式にはそうだが、実際は経済の実情に応じて、ドルは弱くなっていくだろう。しかし、資金は必ず米国に流入するから急激なドル下落は無い、というのが多くの人たちの印象だと思うので、そういうメッセージがG7で伝われば急激な変化にはならないと思う。

以上


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