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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年12月21日(火) 10:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、「2004年12月(第71回)景気定点観測アンケート」の調査結果と、20日に発表したコメント「2005年度予算財務省原案について」の補足説明があり、続いて記者の質問に答える形で(1)小泉内閣の今年一年の評価、(2)NHKの不祥事関連について発言があった。

コメント「2005年度予算財務省原案」について

北城: 今回の予算案については、国債費の削減、一般歳出の削減、防衛費の削減、更に公共事業についても3.6%削減ということで、財政再建に向けて一歩踏み出したという政府の姿勢は評価してもいいと思う。また社会保障関係で、保育園の充実ということに関して、少子化対策も含めて踏み出しているということも評価すべきだ。

一方で、公共事業全体は削減しているが、将来の負担になる投資についての費用対効果に関して十分に国民の理解を得ていないような関西国際空港の第二期工事や新幹線の建設といった大型の公共投資については、財政の厳しさを考慮すれば、もう少し抑え込む必要があったという点で、十分な切込みができていないのではないか。また、費目として一番大きい社会保障の分野で20兆円を超える支出になっており、抜本的な制度設計をしない限り、財政で切り込むのも限度があるということを明確にしたのではないか。年金改革については暫定的な処置は行われたが抜本的な改革が必要だし、制度そのものを変えなければならないということも示している。医療費が金額的には大きいわけだが、医療システムの改革、介護保険についても色々な見直しが行われているが、制度を新たに構築することによって支出を抑えることが必要だ。

(地方への)補助金の削減については、これまでの政権が取り組まなかった地方の税と財政の見直しに一歩踏み込んだということで、一歩前進だが、交付税については抜本的な改革をするという方向だけで現実には十分ではない。三位一体改革について将来どのように取り組むかということを政府として示していただきたい。特に交付税の中で財源保証機能という仕組みは地方自治の規律が働かないし、地方の裁量を生かすという観点からも交付税、補助金の見直しが必要だ。

我々は、財政再建は必要だと思っているし、2013年位にプライマリーバランスの均衡に向けて、どのようなステップで、どんな政策で実現するかについて、年度ごとの道筋を改革と展望で示していただきたい。そうでなければ、一歩踏み出したと言っても、2005年度の予算で本当にプライマリーバランスの均衡に向けた財政建て直しができるのかどうか、方向としては見えたが、現実に達成できるという具体策が見えない。それが課題だと思う。

Q: 予算に関して、部分的に一歩踏み出したという評価をされていると思うが、7月の参議院選挙以降、郵政改革、三位一体改革、税制等、改革のチャンスがあるにもかかわらず、一歩踏み出しただけで、達成感が無いように思う。この一年を振り返って、小泉改革の評価をお聞きしたい。

北城: 財政出動せずに景気回復を実現した点は評価すべきだ。景気の現状は踊り場だが、景気回復を実現し、不良債権処理にも目処をつけた点は評価すべきだ。構造改革についても、これまでの内閣が取り組まなかった政策課題について取り組み、中央官僚の反対もあったが、一歩前進したことは評価すべきだ。

逆に三位一体改革などを見ていると、地方の裁量が生きるような改革が必要だった。地方の知事会を始め、六団体の基本方針に対して、中央省庁の反対があって必ずしも地方が考えているような形の改革ではなかった。しかし、地方側にも一歩前進という意見もあったので、そういう意味では評価するべきだ。

郵政改革については、政府の方針としては妥当だと思うが、経済同友会から見ると不充分な点はある。しかし、これだけ反対の意見がある中で、2007年4月から子会社という形ではあるが4事業を分割した形で民営化に踏み出すという方向性は適切だと思う。郵便事業については具体的な制度設計は分かっていないが、(民間との)イコールフッティングも大事になると思うし、郵便貯金と簡易保険については将来完全な民営化をするという方針の下に進められるのであれば、支持するべきだ。まだ法案ができていない、(法律として)成立もしていないので、評価するのは早い。政府の方針として出されたものについては評価していいということだ。

規制緩和等についてはまだまだ不充分な点があったと思う。混合診療の問題、市場化テストの導入についても、まだまだ踏み込みが足りない。

一番の課題は税の分野に関する見直しが問題先送りだったことではないか。小泉総理は自身の政権の間は、消費税の引き上げはしないとおっしゃっているが、それは基本的に財政規律を確立することが重要で、まず歳出削減に取り組む、その上で、財政の健全化のために消費税の引き上げを考えるということだったと思う。そういう意味で、財政再建に当たっての優先順位の第一は歳出削減、第二は経済拡大による税収増、第三が増税だと思う。歳出削減への踏み込みが不充分であったこと、経済活性化のための施策、例えば規制緩和、新事業、特にサービス産業が発展するような施策、ベンチャー等の新事業創造の分野での新施策が出ていない、過去の政策の延長だったと思う。三番目の優先順位である増税、特に定率減税の廃止、二年間で行うので2005年への影響は少ないが方向性としては増税感が出る。特に働く世代にとっては、配偶者特別控除の廃止、年金の負担増、定率減税の廃止などは、負担を大きくしている。そういう意味で、税の改革について問題があった。

総合的に評価すれば、多くの点では一歩前進だし、財政再建の方向性を打ち出したことは評価すべきだが、税の問題、公共事業、規制緩和について、もう一歩踏み込んで欲しかった。

渡辺: 年金や三位一体、混合診療等のシステム改革に対する官僚の異常ともいえる抵抗に対して、政治がリーダーシップを持って抑えながら、(新しいシステムを)創造していくことが無ければ、道はかなり厳しいという感じがする。

重点的に(歳出を)増やした点もあるが、一律な歳出削減の感もある。お金が無くなればある程度の節約や節減は当たり前であるが、もっと、イノベーションを起こさないと、新しい日本は生まれない。

北城: 2013年までにプライマリーバランスの均衡を達成する、そのためにどのような政策手段を取り、毎年、これだけ赤字国債の発行を減らしていくという方向が出て、それに対して現状では不充分だということがあって初めて、政治のリーダーシップが発揮される。方向と毎年の行程、財政再建への道筋が見えないと、個別議論になってしまって、政治のリーダーシップは発揮しにくい。

我々は2013年のプライマリーバランス均衡に向けての道筋を、年度毎に出していただきたいと思っている。非常に大胆な提言になるし、実際の政策としては難しいかもしれないし、景気についても必ずしも将来が分かるわけではないので、ある前提があっても構わないが、是非、政府には提示して頂きたい。

Q: もう少しスピード感が必要で、そのためには道筋をきちんと示して欲しいということか。

北城: 道筋があって初めて、どこまで達成できたかどうかの評価ができるのであって、それが無くて、良かったかどうかは分からない。

Q: 12月19日(日)に放送されたNHKの番組「NHKに言いたい」に出演されていたが、感想をお伺いしたい。

北城: 今回起きたNHKの不祥事、特に経費の使い込みの問題に対して、事実を明らかにしようという態度は見えていたのではないか。一方的に偏ることなく事実をまず報道した姿勢は評価すべきだと思う。ホームページ等で、今回の不正に対する調査の状況も拝見したが、過去に遡って経費の見直し等を行っているなど、問題に真摯に取り組んだことは評価するべきだ。

一方で、今回の不正が何故起きたかという追及と、事後の報道姿勢に対する批判、公共放送への期待については議論されたが、再発防止の観点でNHKがどういう手段を取っているか。現実に色々と行っている手段そのものはホームページで公開されているが、例えば経理システムの見直し、内部監査の仕組みの充実、内部通報システムの整備、倫理観、特にコンプライアンスに関する行動基準の設定といった、色々な施策を取っていることが、十分、視聴者に伝わったかどうか。その部分の時間が十分取れていなかった。NHKがこうした問題の発生について、どう防止し、企業風土を変えようとしているかという取り組みを十分理解されたかというと、そこまで行かなかったのではないか。これから更に、視聴者に分かりやすく説明していただく必要があると思う。

企業経営者の立場からすると、NHKのガバナンスの仕組みがどのように機能していたのか。番組の中でも、経営委員会が最高意思決定機関である、会長の任命・罷免権もあるということだったので、今後、経営委員会が、この問題の評価とともに、再発防止策の仕組みが十分構築されて機能しているかを評価し、また公共放送であり受信料を頂いた上で放送しているわけだから視聴者はお客様なので、お客様の満足、公共放送に対する評価を定期的に調べて、経営方針の設定の上で利用していくことが必要だ。NHKは、視聴率(のデータ)は集めているようだし番組に対する批判等の意見は集めているようだが、総合的に今のNHKの活動に満足しているかどうかの評価が良く見えていないという印象を持った。

Q: 海老沢会長の責任問題について、出演者や視聴者から厳しい意見が出ていたが、これについてのお考えを聞かせてほしい。

北城: 会長としてやるべきことに関して、何が行われていなかったか、という指摘が無いまま、「視聴者が大変怒っているから退任すべきである」「料金の徴収に当たっている人たちが大変つらい思いをしているから退任すべきである」という意見があるが、今回に限らず企業不祥事が起きたときには、経営者の交代を求める声がマスコミを通じて報道される。

しかし経営者のどこに責任があったのか、そうした問題にどういう対策を取っているのかという評価がなされずに、ただ責任者の交代を求める声が高まって、交代するというのでは、日本の組織のガバナンスにおいて、例えば株式会社であれば、そのトップの選任、評価の仕組みがどのように機能しているかということに焦点が当たらない。株式会社であれば、取締役が会長や社長を評価し、任命するのであって、ただマスコミの批判だけでトップが替わる、一義的にトップの自らの判断で行うのではなく、トップに問題があれば、更迭をする仕組みがあって、第三者、株式会社であれば独立取締役の判断でトップの交代ができないと、日本のようにマスコミの批判を受けて辞める、そうでなければ辞めないという仕組みでは、問題が起きないようなシステムの構築が適切にされたかどうかの評価ができない。従って「ただ辞めろ」という意見には賛成できない。

Q: 個人的にはテレビの画面からは、海老沢会長の改革に対する熱意やスタジオの雰囲気が今ひとつ伝わらなかったが、現場にいて感じた点は何か。海老沢会長の印象はどうだったか。

北城: 海老沢会長は、真摯にこの問題について「非常に大きな問題であり、自分で、こういうことが起きないような解決策を作らなければならない」という決意は表していたし、画面でもそれは出ていたと思う。しかし、抜本的な改革を行う、色々な政策を取っているという説明だったので、NHKのホームページを見て中身を知っている人にとっては理解できても、多くの人は、NHKが今、どのような改革に取り組んでいるか、経営委員会でどんな議論がされているかを知らないと思う。あの場では、ホームページで公開していることは皆が知っているという前提ではなく、全くそういうことを知らない人にも理解していただくような説明が必要だったのではないか。何も施策をやっていないのに、「やります」と言っているわけではなく、施策を打っているが、視聴者、お客様への説明が十分できていなかった。

一方で、視聴者、お客様が公共放送に対してどれだけ満足しているかということに対する把握は、NHK本体、あるいは経営委員会としても不充分という印象を受けた。

海老沢会長は、多少、涙ぐんでいたし、NHKの職員は高い倫理観で良い仕事をしてくれているという期待に対して、このような不祥事が起きて非常に残念である、と。私は目の前にいたが、深刻に事態を捉えていたと思う。しかし、その説明が十分できていなかったと思う。

Q: これから改革を行っていくうえで、こういった組織を生み出した頂点にいる人物が、自ら改革案を作っていくということは望ましいとお考えか。

北城: その判断をするのは経営委員会だ。経営委員会は、NHKの色々な施策の方針を承認している最高意思決定機関であるが、一番重要な機能は会長の任命と、会長の活動が不充分であるという判断をすれば、交代を決めることだ。経営委員会は月に二回会合があると聞いているが、NHKの活動について色々な情報が提供されているわけで、判断の責任を持っている。全くの部外者が断片的な情報の下に、交代するしないを議論するよりも、その責任がある人たちが、これからどのように判断していくか、ということが重要だ。

株式会社であれば、取締役会がどのような判断をするかが重要だ。取締役は企業を取り巻く多様なステークホルダー、色々な利害関係者の考えを良く聞いたうえで、適切な判断をすると思うので、NHKの場合は、それは経営委員会だ。

渡辺: この場には民放の方もいるが、民放は企業の広告費で運営している。NHKは、全国民の受信料で運営されており、その重みは大きく違う。それをどう考えるか。もう一つはガバナンスの問題だ。NHKの経営委員会は、ガバナンスの機能を果たしてきたのかが問われており、会長人事もその一環だ。そういう意味では、日本の組織の真価を試されていると思う。

北城: NHKだけではなく、日本のマスコミの取締役会も同じような課題を突き付けられていると思う。本来、商法は株主総会で株主の意向を代表して取締役が選ばれ、取締役が会長、社長を任命するのが本来の仕組みだが、多くの日本の株式会社では、会長、社長が誰を取締役にするかを決めて、それを株主総会にかけているのが実態なので、本来の人事権がどちらにあるかに関して、逆転している。本来の商法の主旨と違う形で多くの組織が運営されているという意味で、今回の問題はNHKに限らず日本の株式会社のガバナンス、特にトップの権限や評価について、だれが責任をもっているかということを、我々に突きつけていると思う。

以上

(文責: 事務局)


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