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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年11月24日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事

記者の質問に答える形で(1)円高の進行、(2)日中首脳会談の結果、(3)フィリピンとのFTA合意、(4)中国の人民元改革、について発言があった。

Q: 円高が105円を割り込むペースで進んでいるが、ご見解を伺いたい。

北城: 円高というよりドル安の問題だ。米国の双子の赤字が急速に改善するようには見えないので、ドルが安くなる傾向は今後も続くのではないかと懸念している。ドルが安くなることによって円表示の企業業績が低く出る、つまり増収増益に対する下方圧力が高まって場合によっては減益になりかねない。輸出への影響だけではなく、特に米国で活動している企業の業績に対する影響が懸念される。

ただし、介入によって為替水準を決めるのは本来の姿ではないので、乱高下を抑えるための為替介入はあるにせよ、基本は市場で決まるということではないか。

景気が踊り場に来ているだけに、来年以降の景気回復に関して悪い影響がでるのではないか、という心配はある。年金負担が増え、配偶者特別控除が無くなる上に、定率減税(の縮小、廃止)ということも言われているので個人消費への不安があることに加えて、円が強くなる(ドルが弱くなる)ことで企業業績に翳りが出るということは、これまで景気を支えてきた輸出と設備投資を慎重にさせる要因になる。

経済同友会の景気定点観測アンケートでも、経営者の業績(経営の現状)に関する評価、いわゆる景気が回復しているかどうかの判断について、6月は約93%の回答者が景気は拡大、ゆるやかに拡大していると答えているのが、9月では約88%に低下しているので、踊り場として懸念していたところに、円高という材料が一つ増えたということだ。

Q: 政府、日銀がまだ為替介入を考える事態には至っていない、というお考えか。

北城: 現状の水準では、(ドルが円に対して)急降下したという状況ではないので、為替介入を考える時期ではないと思う。中国の人民元もドルに連動しているので、円だけが強くなっているというよりもドルが弱くなっているということだ。従って、為替介入による円/ドルの為替レートだけに介入しても、中国から米国への輸出が減るわけではないし、米国の経常収支が改善するということでもない。またユーロとの関係もあるので、円だけ上昇を抑えるというのは難しいと思うので、各国が協調介入して異常な動き(ドルの低下)を抑えるというのであれば別だが、今はそういう状況ではない。米国でもグリーンスパンFRB議長も米国への資金流入に将来翳りが出るリスクがあると言っている状況において、日本だけが介入してもドルが弱くなるという動きは抑えられないと思う。米国の現在の産業構造を考えると、経常収支の黒字化は非常に難しいので、具体的には来年の年頭教書で出てくると思うが、ブッシュ政権の財政再建に関する政策が無い限りは、ドルが弱くなることは当面抑えられないと思う。従って、企業は今後もドルが弱くなることを想定して、それに対して円換算での減収減益を抑える努力をするべきだ。

Q: 日中首脳会談が行われ、久し振りに両国の首脳が話し合ったが、はかばかしい進展が見られなかったようだ。どうご覧になっているか。

北城: 話し合いが行われたということは、色々な背景があったにせよ良かったのではないか。できれば、相互に訪問できて、それぞれの国で会談ができれば更に好ましいと思う。

今回の会談の中で、日中の協力が重要であること、経済を含めて日中の協力関係が進展することの重要性は認識されたと思う。その一方で、靖国問題に関して中国側から批判が出たということだが、(靖国問題は)日本の国内問題であると同時に、中国には、日本の首相がA級戦犯を合祀している靖国神社に参拝することを快く思っていないという国民感情がある。最近のインターネットの普及もあって、中国政府が一方的に国民の意識を制御できる状況でもない。小泉総理が靖国神社に参拝することで、日本に対する否定的な見方、ひいては日系企業の活動にも悪い影響が出るということが懸念される。経済界の意見の大勢だと思うが、総理に今のような形で靖国神社に参拝することは控えて頂いた方がいいと思う。

Q: 日本とフィリピンの間のFTAの合意が一応成立したが、これについてのご見解を伺いたい。

北城: FTAの推進は重要な課題だと思っている。先ほども、経済が踊り場に来た、と申し上げたが、これから大幅な公共投資や減税といった景気刺激策は取れないので、FTAの締結によって貿易が拡大し、日本企業にとっての市場が拡大することは好ましい。また、日本の消費者にとっても優れた製品、サービスが提供されることは良いことだ。そういう意味でFTAの交渉が進展したことは大変喜ばしいことだ。

ただし、内容的にはやや不充分な点があるのではないかという懸念がある。FTAは今後もタイ、マレーシアと進めていくと思うが、ただ(締結国の)数を増やすのではなく、できるだけ市場を開放し貿易、サービスが拡大する、それによって双方にメリットがあるFTAにして頂きたい。

ASEANの経営者と会談していても、東南アジア各国は中国とのFTAは推進しているが、中国だけに依存するということには懸念を持っている。中国とのバランス上も、日本とのFTAの推進を求めているので、日本は先進国なのだから、できるだけ市場を開放して、東南アジアの発展が日本にとって、日本企業の経済活動を拡大する意味でもメリットがある、という視点が必要だと思う。日本が保護主義に走ってはいけないと思う。先進国は農産物やサービスを含めて、できるだけ市場を開放していく必要がある。

Q: 不充分な点というのは、具体的には労働市場の開放が限定的だった、とういことか。

北城: それに加えて、農業関係での市場開放がまだ少ないのではないか。国内(農業)を保護することは必要だし、急に一年で全てを開放するということは難しいと思うが、時間的な移行期間、移行のための支援は必要にせよ、基本的にはできるだけ市場を開放して、東南アジア諸国の農業も発展し、発展した国々に対して日本の工業製品の輸出等が増えることが重要である。人の移動の問題もあると思うが、それ以外の貿易関係の障壁についても、もっと制約を無くす方向でFTAを推進していくべきだ。

Q: 胡錦濤・中国国家主席が人民元改革を表明したが、改革に対する要望があれば伺いたい。

北城: 基本的には人民元のドルに対する交換レートの幅を広げて、市場でレートが決まるということだと思うが、外国為替市場での資金の移動の自由化を先に行わないと単に交換レートだけでは改革できない。そういう意味では、中国の外国為替市場の自由化と、それによって資本が入ってくることになれば、現在の中国金融機関の不良債権問題、いわゆる金融機関の健全性も問題になる。外為市場の自由化、不良債権処理ともに、時間がかかり、急にはできないと思うので、順次市場の整備を進めながら、交換レートの幅を広げる形で対応していくのだろう。

日本企業も、今すぐに人民元切り上げ、という意見だけではないと思う。中国に進出した工場の輸出基地としての競争力は弱くなる。日本企業の中で中国を輸出基地と考えていたところもあるので、人民元の切り上げはそれらの企業の競争力には逆に悪い影響を及ぼす。また人民元の切り上げにともなって中国市場が急激に冷え込むことになれば、市場としても中国への依存度が高い日本にとっては好ましくないので、必ずしも今、人民元の切り上げだけを経済界が要求している状況ではないと思う。中国経済が国際市場の一員として参加し、将来、為替相場が変動性に移行することは、いずれ必要になると思う。

以上


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