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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年10月05日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)武器輸出三原則の緩和、(2)京都議定書発効、(3)独禁法改正、(4)ヤマト運輸の郵政公社提訴、(5)内閣改造と自民党三役人事、(6)郵政民営化、について発言があった。

Q: 昨日、安全保障と防衛力に関する懇談会が提言をまとめ、武器輸出三原則について緩和を求める方向になった。今後、政府で具体的な検討が進むと思うが、産業界に対しても影響力の大きいこの問題について、お考えを聞かせてほしい。

北城: 基本的な方向としては適切だと思う。10年前に比較して脅威のあり方が変わってきた。冷戦構造から北朝鮮のミサイルや核問題、国際的なテロ対策の必要性等、防衛に関する考え方を変えようというのは適切な考え方だと思う。武器輸出三原則については、日本は日米安全保障条約の下で、米国と同盟関係にあるので、日本の安全のために米国と協力することは妥当だ。そのために、必要な技術開発、部品の輸出も米国に限って行うことは妥当だと思う。「少なくとも米国」という表現なので、米国以外も認めるような感じもあるが、基本的には日本は武器輸出をしないという、平和国家を指向している立場をはっきりさせるためにも、防衛的な意味で、安全保障について同盟関係にある米国のみを例外視することが当面妥当だと思う。

Q: 環境税について、先日ロシアが批准の方向を決定し、京都議定書が発効することになった。コメントは頂いているが、改めて評価をお聞きしたい。また、今後環境省を中心に環境税の導入論議が高まることが予想されるが、これについての見解をお聞きしたい。

北城: 京都議定書が発効したことについては、地球環境の維持の観点でも意義のあることだし、日本の地名を冠した、日本が主導して作り上げた国際条約でもあるので、ここで決めた目標値を日本が達成することは重要だ。国際的な公約なので、官民挙げて全力で取り組むべき課題だと思う。一方で残念ながら(二酸化炭素の)排出量は大幅に増えているので、1990年比6%減らさなければならないところを(2002年時点で)7.6%増えているので、(目標を達成するためには)実質13.6%削減しなければならないということでも大きな課題だ。産業界も努力するが、事務所、家庭、運輸の分野での取り組みも重要だ。前回環境省から出された、いわゆる温暖化対策税の導入という提言については、上がった税収を環境対策に使う目的税ということだった。景気の回復局面で、できるだけ歳出を削減することが財政規律を作る上で重要なので、増税は景気後退を招くという意味で反対だ。また、政府として、どれだけ政策的支出をすれば環境対策が十分かという検証なしに、目的税化することも反対だ。そういう意味では、環境省が前回提示した環境税(温暖化対策税)には同友会としては反対をしている。一方で、税そのものは、広く多くの人たちが関係する所に適用する意義もある。これについては、経済同友会でも、税体系の中での位置づけができるかどうかを別途検討している。私個人としては環境対策に税という手段を検討することは必要だと思う。

Q: 将来的には二酸化炭素などの温暖化ガスの排出量に応じて課税することを選択肢としては排除しないという認識か。

北城: エネルギーは、産業界だけではなく家庭でも、個人が利用する自動車でも使われるので、それに対する規制を効果的に行うためには税は有効な手段だと思う。一方で増税すべきではないし、欧州の例を見ると消費税の引き上げの代わりに環境税を引き上げたとか、特定の産業に過大な影響を与えないような対策を講じているなど、色々な体系がある。政策手段として全く否定するものではないと思う。基本的には税体系の中で位置づけるべきであって、特定目的税としての環境税にはわれわれとしても反対している。

渡辺: この前から色々と勉強会も行っているが、排出権取引とその結果を価格に転嫁するというのも一つの抑制手段としてはありうる。それも含めて、全体の中でどのような考え方がいいかを模索している。最初から増税ありきという議論にはなっていない。

北城: 発展途上国が排出を削減するクリーン・ディベロップメント・メカニズムなど色々な政策手段を取りながら、必要があれば税も検討の手段になる。ただし、税体系の中で位置づけるべきなので、環境省と財務省が一緒に検討しなければならない課題だ。

Q: 議定書の発効が遅れた分だけ達成の年次まで時間が少ないので、このままでは目標達成について厳しい状況にあると思うが、排出権取引などを駆使しても達成できないことも想定される。今後の努力のポイントについては、どうお考えか。

北城: 例えばエネルギーの構成要素について、原子力(発電)は二酸化炭素を排出しない重要な手段だったと思うが、原子力発電所の新しい立地が進んでいないという現実もある。もう一度、原子力を含めたエネルギー政策を考える必要がある。さらに、風力発電をはじめとした温暖化ガスを排出しないエネルギー源の開発にも努力すべきだ。その上で、個人、家庭、事務所、交通手段等において排出を削減するような施策を強力に推進する必要がある。これは日本だけではなく米国も含めて重要な課題だ。幸い、日本ではハイブリッド車の開発は海外に比較して非常に進んでいる。ハイブリッド車は、一般的に市街地走行において倍以上の燃料効率があるということなので、こうした運輸手段の導入が進めば大幅な削減も可能だと思う。税も含めて色々な対策を今後、強力に推進するべき時期だ。従って、経済界としても単に環境税に反対するだけではなくて、いかにして国としてこの目標を達成するかということで議論をしていくべきだ。

Q: 原子力をもっと活用すべきということか。

北城: 日本のように、石油、石炭資源の無い国にとっては、原子力は重要なエネルギー政策手段だと思うし、特に温暖化対策を考える際には原子力の推進は必要だ。最近の原油価格上昇を見れば原子力の有利性は一層高まったのではないかと思うし、原油価格の高い水準が継続するかについては議論もあるが、以前の水準には戻らないと考えれば、原子力は重要なエネルギー資源だと思う。もちろん、安全上の色々な問題が起きており、産業界として反省すべき点はあるが、温暖化、地球環境の維持は、産業界だけではなく人類全体にとっての大きな課題であり、原子力の推進は日本にとっても、世界の温暖化対策という観点で重要な手段だと思う。風力エネルギーの利用に関しては欧州で非常に進んでおり、技術革新も早い。これまで日本は力を入れてこなかったが、今後は注力していくべきだ。

Q: 独禁法の改正案の提出に向けた動きが最終局面に来ているが、同友会に対して公正取引委員会から修正案の提示があったのか。望ましい独禁法改正のあり方についても改めてお聞きしたい。

北城: 自民党の独禁調で公正取引委員会から色々な検討を踏まえた提言が出されており、我々はそれを受け取っている。同友会としても独禁調に参加しているので公取委の意見は伺っている。課徴金の引き上げについては、公取委は当初二倍程度としていたし、措置減免については二社までだったのが、三社に修正するということだ。措置減免の導入があれば二社か三社かは大きな問題ではない。従って課徴金の大幅な引き上げと措置減免制度の導入、適切な審判のプロセスが確保されればいいのではないかと思っている。独禁法の問題に関しては、経済同友会は基本的には市場を中心とした経済活動の必要性を主張しているので、できるだけ官の規制を無くして自由な競争を行う、しかしルール違反には厳しい罰則が必要だと考えている。そういう意味で、談合やカルテルを利用して価格のつり上げを行うという行為についてペナルティが低いということは、違反行為に対する制裁が働かないので(課徴金の)大幅な引き上げは必要だと思っている。一方で、不当廉売や経済活動に関する問題についての取り組みが必要なので、公取委の体制強化も含めて、今後取り組まれると思っている。そういう意味で、基本的に公取委の方向性に賛成している。例えば公取委は、課徴金について現在、大企業で6%を二倍、12%という提示をしているが、私は二桁程度の引き上げであれば、12%という数字そのものにこだわっているわけではない。不公正の活動に対しての制裁力が働くような改正であれば前進ではないかと思う。

渡辺: 先ほど、(大企業で)10%という情報が入った。

北城: 大企業で10%、中小企業で4%程度という数字が検討されていると聞いている。我々は二桁が必要だと思っている。米国等を見ても売り上げの20~30%課されており、その程度であれば制裁力はある。少なくとも6%は、超過利潤という観点でも低い。一般の営業利益で現在6%の課徴金が導入されているが、カルテルや談合を行えば超過利潤は高くなる。課徴金の引き上げによって経営がなりたたくなる企業が出るので反対という意見があるが、談合、カルテルが無ければ経営が成り立たないとうのであれば、非効率なものを温存することになる。法律に違反しない経営をすることが必要だ。一方で官製談合のように官の関与でやむを得ずカルテルを形成しなければならないとも言われているが、当然改善すべきだ。

Q: コンビニエンスストアにおける、郵政公社の「ゆうパック」の取り扱いについて、ヤマト運輸が不正取引差し止めの訴訟を起こしたが、これについて、同一の競争条件という観点から改めてお考えを伺いたい。

北城: 官と民のイコール・フッティングの問題は今後も色々と起きてくると思うので、民営化を早く実行することが必要だ。民間同士であれば民間同士の問題として解決できる。ヤマト運輸は、官としての有利な条件がある中での競争はおかしいということで裁判に訴えている。民営化については2007年から10年かけてということだが、郵貯、簡保だけではなく郵便事業も含めて、できるだけ早く民営化するべきだ。民営化された後では民間企業の自由な競争の中で、どのような行動が適切かを判断していけばいい。民営化に向って2007年4月までの公社としての経営と、それ以降の民営化移行過程で、民間と競争条件を同じにするということは、民営化の深度に合わせて経営の自由度を高めるということだと思う。監視委員会を作って民営化の推進を評価するということだが、民営化に向けての経済活動の拡大についてどの程度の水準が妥当かを判断する組織をできるだけ早く作る必要がある。郵政公社が官のままで競争すれば官業による民業圧迫であるのは当然だが、民間企業であれば、郵政公社の方が小包、宅配便の取扱量は低いわけで、シェアの低いところが色々努力するのは当然だ。官業の民業圧迫、民間同士の競争、移行過程という3つの観点があり、そのバランスの上で監視をする評価委員会を早く立ち上げるべきだ。実際の裁判については独禁法、公正取引に反するかどうかは採算性含めて裁判の過程で明らかにされると思うので、その判断を待ちたい。

Q: UFJHとMTFGの合併についても司法の場に判断を委ねることになったが、ビジネス社会での問題についての判断を司法に委ねることについては、どのようにお考えか。

北城: 透明で論点もはっきりするので、いいのではないか。これまでは規制や行政指導とうい形で、どういう意思決定が行われたかがはっきりしないままで決着するということから、できるだけ規制を無くして自由な市場競争を行う、しかしルールに違反した企業には厳しい制裁がある、競争環境の中で色々な問題点が出てくれば、裁判でどちらの主張が適切であるかという決着をつけることは望ましい方向だと思う。UFJHの件については、最近、ポイズンピルなど、敵対的な買収を防ぐ手段の導入ということも言われている。外国企業が企業買収を行う際に株式交換を認める方向で進んでいるので、そういう制度が導入された中で、どの水準で企業防衛を行うことが適切かについては、あまり日本では注目されてこなかった。株式持合い等があって、現実として敵対的な買収が行われなかったが、今後は起きるだろうし、そういう意味で日本でも(企業買収対策についての)制度設計が必要になってきたのではないか。政府でも取り組んでいるようだが、どの水準までは法的に認められる企業買収対策であるかを考えていくべきだ。

自民党役員人事と内閣改造について

北城: 小泉総理は郵政改革を実現する内閣だとおっしゃっているが、構造改革の中で郵政民営化は重要な課題だという方針を出されているのだから、その実現のための内閣と党三役として適切な配置をされたと思う。是非、この内閣で郵政民営化を含めた構造改革を前進させていただきたい。反対意見を持つ人が閣内にいないではないかという議論もあるが、政策を実行するために作った内閣であれば、小泉総理の方針を具現化する体制ができたという意味で評価している。是非、形ばかりの改革にならないような郵政民営化を行っていただきたい。独禁法の改正もそうだが、自民党のマニフェストに明確に書かれている。マニフェストを作る段階で色々議論をして反対があれば、そこで調整をして選挙に臨むべきで、マニフェストに掲げて選挙を戦って国民の支持を得たあとで、それに反対するというのはマニフェストの意味を無くす。マニフェストに書いたことは着実に実行することが政権のなすべきことだ。

渡辺: 各紙の調査で、郵政問題に対する国民の関心度が低いという結果が出ている。政府の説明も足りないし、経済同友会も本の出版を検討している。郵政民営化ではなく郵政問題というべきで、選択肢としては廃止も含めて色々な考えが出されて、最終的に民営化になったが、メディアにも分かりやすく報じてほしい。その結果、郵政問題の関心度が30%くらいに上がれば、いい解決策が出てくるだろう。

北城: 長期的、持続的に経済が発展するために、国が破綻しないために財政規律を確立することが必要であるということが(構造改革の)前提だ。そのための手段として、郵政民営化、三位一体改革、社会保障改革がある。郵政民営化は結局経済問題であり、政府がそういう説明を十分していない。コンビニのように郵便局で色々なものが扱われるようになって便利になるという説明では必要性が理解されない。国民は年金改革、景気対策が重要だと言うが、郵政民営化は景気対策であり、経済発展のために必要な改革なので、政府はもっと国民に分かりやすく話していただいた上で、サービスの拡充という話しをして頂きたい。サービスの向上を前面に出して「だから民営化すべき」ということは、国民の理解を曲げている。

Q: 武部幹事長の言い方は、「サービス向上」だが。

北城: サービス向上のために民営化というのは、本質ではない。財政規律を守るために、郵貯・簡保にお金がたくさん集まる仕組みを変えるべき、資金が民間に流れるような制度にすべき、政府や特殊法人で非効率なお金の使い方を防ぐというのが大前提だ。そのために民間の規律を導入する、市場での評価が必要であるというのが発端であり、それが分かりにくいから便利になるということを前面に出せば、「地方で郵便局が無くなったら、どうなるのか」という議論になってしまう。本来、財政規律を守る、構造改革をすることが景気回復のために必要だ、そのために郵政改革が必要だという、そもそも論を国民に分かりやすくして頂きたい。小泉総理も国民に分かりやすく伝えるとおっしゃっているようなので、今後の国会審議等で伝えていただきたい。

渡辺: 昨日も総理が「郵貯を通じてお金が集まるから政府は無駄遣いをする」という発言をされたという報道もあったので、メディアも分かりやすく説明していただきたい。

Q: 郵便事業の赤字を補填するために、郵政公社が今のうちに業務を拡大しているという批判もあるが、それについてはどうお考えか。

北城: 郵便事業に関して言えば、債務超過の状況はその通りだが、これは現在の経営者が悪いという問題ではなく、民営化までに郵貯、簡保との資金配分で解決すればいい。本質は郵便事業の競争力強化だと思う。郵政公社は「ゆうパック」を拡大しなければ郵便事業が成り立たないということで、民間経営として競争力強化が必要だと判断したわけで、純粋な民間会社であれば経営者の判断で済む。現在のような国の機関で、固定資産税等の優遇を受けている中で競争することがいいのかどうか。あるいは事業法として、郵政公社は郵便事業法で規定され、ヤマト運輸は運送業に関する規制があり、異なる規制の中で競争するのがいいのかどうかという問題であって、債務超過を克服するという問題ではなく、郵便事業の競争力として郵政公社がどこまで実行するかという問題だと思う。

渡辺: 昨日も正副代表幹事会で、色々議論もしたが、信書便法という独占保護の法律があり、道路交通法の恩恵も公社は受けている。その一方で、民間は郵便局を利用できない中で、集荷等においてコンビニ等を活用したネットワークを長年かけて作り上げてきた。そうした状況を理解すれば、同じ条件で独占的な環境を減らしていけば市場を通した対等な競争になる。独占的な環境が残っている中であまり事業を拡大しすぎると色々な問題が起きる。

北城: 監視委員会等でイコール・フッティングのために規制をされることからのがれるためには、早く民営化する方がいいのではないか。郵政公社も早く民営化に向けて舵取りをすることを期待している。

渡辺: 公社が払うべきものは払う、道路交通法や事業法の特権も無くすことを早く進めることだ。

北城: 長期的には、国が3分の1を保有すること自体が必要かどうかという議論になると思うが、国民の側にユニバーサル・サービスの提供に対する不安が多くあるようなので、とりあえず3分の1を国の保有で窓口ネットワークと郵便事業が行われることは第一歩としては、あっていいと思うが、現実に問題が無いということになれば、基本的には全て民営化するべきだ。郵貯と簡保は基本的には民間資本ということになっているが、現実の民営化が進んでいく中で国の保有が必要ないということが明らかになれば、全部民営化した方が、より競争条件がはっきりしていいと思う。

渡辺: ヤマト運輸はユニバーサル・サービスについてコスト補填は必要ないという立場をとっているが、一応、郵便には必要だという議論もある。これについても、民営化が進化してくれば、市場を通して議論した上で、本来の目的にたどり着くのではないか。早く民営化に踏み出すべきだ。

Q: 閣僚と三役について、よく考えられた配置だということについて具体的に聞かせてほしい。

北城: 小泉総理は郵政民営化を推進するために必要な布陣をされたということだ。武部氏が幹事長になるという事前の観測は無かったが、マニフェストを作り上げるために党内調整に努力された、小泉総理の考え方を具現化するために努力された点を評価されたのだろう。主要な経済閣僚が残られた、郵政民営化に関して閣僚になられた方は全て「推進」という姿勢なので、小泉総理の基本的な政策を実行できる内閣ができたのではないか。

以上


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