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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年09月07日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から意見書「第二次小泉改造内閣に望む」についての説明があり、その後、記者の質問に答える形でa.郵政民営化、b.プロ野球選手会のストライキ、について発言があった。

Q: 意見書「第二次小泉改造内閣に望む」に政調会長など党三役が揃って入閣という意見があるが、閣僚を兼任するということか。与党といった場合、自民党と公明党か。

北城: 兼任するということだ。基本的には自民党を想定しているが、公明党のどなたかが入っても構わないと思う。これによって、政府と与党の政策の統一性が保たれるのではないか。小泉首相は同時に党の総裁でもある。にもかかわらず、党の意向のとりまとめが別の格好で進んでいるのでは、二元化してしまう。党を中心とした政権なのだから、一体化した方が意思決定のスピードも早まるし、議論も深まる。

Q: 内閣と党の一元化、一体性という点で言えば、郵政民営化の議論も党内で調整をして10日の閣議決定に向いたいということで、ここ数日動きがあるようだ。経済同友会は先週、意見書「郵政民営化基本方針への意見」をまとめたが、改めて現状認識とご意見を伺いたい。

北城: 郵政公社の民営化は構造改革の本丸ということで、小泉首相自らの意思も出されて検討が進んでいると思う。その中で、2007年4月の民営化の時点で持ち株会社の下に4つの事業会社を作るかどうかが一つの論点になっている。私としては、小泉首相がこれだけ力を入れてきた案件だけに、在任中に民営化の具体論がはっきりした方がいいと思う。2007年4月の時点で分社せずに、一体運営のまま今の公社が100%国有の株式会社になれば、次の首相の下でそれが残ってしまう。小泉首相が掲げた政策を確実に実行するためにも、まず2007年の4月に分社することが重要だ。そうしないと、各事業の採算性や費用分担、リスク遮断の点で問題である。各社が個別の事業体として競争力を持つためには分社化が必要だ。また、郵貯と簡保の金融事業については、できるだけ早い時点で独立会社にして銀行業、保険業として管理、運営、発展していくべきだ。都銀を複数集めたよりも大きい銀行、日本の大手保険会社を全て集めたよりも大きい保険業、その上に、ヤマト運輸よりも大きい郵便事業が一体で事業を行えば、他の会社との平等な競争環境を作る上でも問題がある。2007年後5年以内に独立した完全な民間会社として競争していくことが望ましい。経営者については4つの事業会社と持ち株会社にそれぞれ経営者を選任しなければならない。社長以下の執行役員とそれを監視する取締役会の形を早く作ることがスムーズな民営化のために重要であり、来年末までに人選も含めて決めるべきだ。また、民営化事業会社は委員会等設置会社のように独立した取締役が経営の監視をする仕組みを作らないと経営の透明性も高まらない。ユニバーサルサービスについては、郵便事業において全国に信書が届くことは重要だが郵便会社だけしかできない、ということではない。ヤマト運輸でも小包は全国に配達しているし、他にも全国サービスを行っている宅配会社もある。どの業者もユニバーサルサービスを提供できない場合は、郵便会社に支援があってもいいと思うが、最初から優遇策を提供しないとユニバーサルサービスができないという議論はおかしい。どの業者も信書のユニバーサルサービスができないということが明確になった時点で、どれだけの公的支援が必要かを決めればいいと思う。

Q: 10日に閣議決定しても、それを下に法案が作成され審議する過程で、自民党の中でも様々な抵抗が予想されるが、これについてはどうお考えか。

北城: 民営化に当たって、地方の郵便局がなくなるのではないか、過疎地のサービスが低下するのではないかという意見があるが、過疎地の郵便局がなくなると決まったわけではないし、それだけを理由に反対すること自体もおかしい。過疎地の場合には逆に他の金融機関が無いケースもあり、事業採算が合う場合もある。反対のための反対はおかしい。最近の世論調査を見ても郵政公社の民営化に賛成の意見が多いようだ。ある新聞社の経営者に対するアンケートでも6割を超える、意見をはっきり表明した中では8割を超える経営者が民営化を支持している。これまで国民の多くが支持する政策を実現するというのが小泉内閣の後ろ盾になっていたわけだから、政府と与党の中で色々議論もあるだろうが政策は実現されるのではないかと思う。

Q: 国民が民営化支持に傾いている中で、ご指摘のいくつかの理由を元に反対している自民党の現状は国民の認識とかけ離れているということか。

北城: 自民党の全ての議員が反対しているわけではない。反対している議員の意見表明がされているが、最終的な結論が出て党が否定したわけではない。10日に閣議決定が行われるとすれば、それに向けて、あるいはそれ以降に、色々な意見調整を行ったうえで、これだけ多くの国民が支持している政策は実現されるのではないか。形ばかりの民営化にならないようにしてほしい。

渡辺: 民営化が国民に分かりづらいという声が多いが、その本来的主旨は何かということについて、皆さんの書かれる記事は非常に重要だ。年金の例を見ても今後は筆の力は非常に大きい。

Q: 本来的な意味という点について同友会の考えを改めて聞かせてほしい。

北城: 一つは郵貯と簡保という金融事業によって集まった資金が、これまでは主として財政投融資、国債等で運用されてきた。つまり、民間から集めた資金で官の事業を行うために利用されてきたということだが、これでは事業の採算性等について規律が働かず、それによって無駄な事業が行われることにも繋がった。資金が官業から民間に流れる、民間の経営判断で資金の流れが決まるようにする、仮に国債を買うにしても、その決定、運用について民間の視点で判断していくことが重要だ。今回、郵貯と簡保をできるだけ独立会社にするべきだと主張しているのは、持ち株会社に国の資本が入っている以上、官の制約の下で経営判断が行われるので、できるだけこれを断ち切るべきだ。そして、これだけ巨大な事業体を効率良く経営していくこと自体が日本の国の経済効率、事業の効率性を高めるのに繋がるので、そのためにも事業会社それぞれの採算性をはっきりさせた方が、創意工夫、効率化に寄与する。それによって少ない人員で仕事ができれば、余剰人員を他の事業で活躍させることもできる。公社でも効率化が進んできたようなので、民営化されればより厳しい採算を考慮しながら経営をすると思う。またそれらと競争する民間企業も公平な土壌で効率性、サービスの向上に努めることにもなる。競争力のある郵貯、簡保が出てきて、民間と同じ環境で競争すれば民間企業も創意工夫して効率をあげていくと思うし、国全体の効率化に役立つと思う。

渡辺: 政府自身の口から集められたお金が安易に、無駄に使われているとはいえない。郵貯を集金マシンとして集めてきたという機構が、安易な国のお金の使い方と無駄に繋がっている。これはメディアだから言えることだ。市場を通して、適正なお金の流れに正すのだということは是非伝えてほしい。

Q: 郵政民営化が分かりづらいと言っている政府が、その説明をできないから分かりづらいと。

渡辺: 無駄な金を使っているとは政府としては言えない。

北城: 非効率な事業にお金を回すための入り口の仕組みとして今まで機能してきた。そうした無駄な事業にお金を回すと資金回収ができなくなるわけで、厳しい経営の目でどこにお金を回すかという判断が行われる、規律が働く。小泉首相の言われる「官から民へ」、経済活動については官ではなく、民間主体の経営体にすべきだということであれば、郵貯も簡保も郵便事業も経済活動なので、これを官が占めていては効率的な経営はできない。

Q: 5年以内に完全な民間会社というのは、民間が100%株式を持つということか

北城: 2007年4月から数えて5年ということだ。郵貯と簡保については持ち株会社から独立して民間100%資本の完全な民営、民有会社になるということだ。事業会社としては2007年4月から独立会社になって1年から2年で経営の実体、採算、資産状況が分かってくると思う。資本市場の動きもあるので一度100%株の放出は難しい。段階的な放出になると思うので2~3年はかかるということで5年、できれば5年以内のできるだけ早い段階でとういことだ。

Q: 郵貯、簡保という巨大な事業と民間企業とは、平等な競争環境にあるとは言えない。たとえ民間の資本を入れたとしても、国債管理政策が変更されないままでは資金の流れを変えることにはならない。経済財政諮問会議でも、そういった大事なことが議論されず、組織形態の議論に終始している感があるが、そのあたりについてどう思うか。

北城: 本来の民間とのイコール・フッティングとは、完全な独立会社として100%民営になったときのことを言うが、政府資本が入っている間は、暗黙の政府の関与、政府保証があるとも見られるので、移行期間における民間とのイコール・フッティングをどうするかということを考えるべきだ。金融界が問題視している、政府が資本を持っている移行期間には限度額1000万円を廃止すべきでないということについては、妥当な議論だと思う。では、完全な民営・民有会社になったときに、巨大だから問題だという議論もあるが、政府保証をなくし、今の定額貯金がなくなったときに、どれだけの規模の資金が郵貯に残るかははっきりしない。通常貯金だけの決済銀行として50兆円位の規模にすべきだという意見もあるし、今の230兆円位の規模が民営化して何割減るかも分からない。また、そもそもどの程度の額を巨大と言うのかもはっきりしない。完全に民営化され、独立取締役を中心とした民間の経営ガバナンスが働いてきちんと経営されるのであれば、たとえ巨大であって他の金融機関と比較しても非常に競争力があるということであっても、効率よく経営されているのであればそれは国民にとっていいことではないかという考え方もある。ただ、巨大すぎて他の会社が競争できないというような独占の弊害が出てくる、あるいは巨大すぎて破綻した場合の負担が非常に大きい等、巨大なことゆえの問題が出れば、その時点で考えればいい。単に巨大だということだけで不公正ということにはならないと思う。郵貯の資金運用の仕組みからすれば、どちらかといえば、安全な国債や社債で運用されており、融資業務に乗り出すとか、再生ファンドのような高度な金融知識を必要とする分野に進出することにはならないのではないか。多くの大手都市銀行は、巨大なゆえに反対しているのではなく、移行過程で政府保証がある間に民間との競争条件を変えるのは困ると言っているのであって、完全に民営化した暁には民間会社として競争すること自体には反対していないと思う。今の段階で、諮問会議で全て決めることは難しいし、ビジネスモデルを決めれば経営がうまくいくということでもない。経営者とそこで働く人たちの努力が重要であって、形態議論を長々とすることが必要だとは思わない。

国債管理については、民営化した後であれば、たとえ巨大な額の国債を保有したとしても、それも経営判断である。融資等で一度に資金運用ができるわけではないから、国債、社債、地方債といった、ある程度安全な資産も運用の中に入ってくるであろう。それを国債をいくらに抑えるべきだ、ここまで買うべきだと規定すること自体おかしな話だ。

Q: 財投機関債のように特定の公的機関が発行する債券は当然のこと、引き続き一種の国債である財投債を買うような状況になれば、本来変えなければいけない入口、出口の改革にはならないのではないか。

北城: 民間企業の経営者としてリスクやリターンを踏まえた判断をするなかで、自社でリスク運用ができない、融資でリスク査定が十分できないというようなことで、財投債や国債を買うということはその経営者の判断としてはあり得るだろう。ただ、国債中心の運用ではリターンに限界があり、金融商品として魅力の無いものになってしまうので、逆に郵貯に資金が集まらないということになるのではないか。

Q:国債や財投債(で運用する)の問題に制度的に手をつけなければ、本来的な民営化の目的は達成できないのではないか。

北城: 新しくできた民間会社が国債や財投債を買わないという経営判断をすれば金利は上がっていく。要は民間として経営していけば、入口に対する規律は働くはずだということ。今のように政府の指示で買えと言われれば規律は働かないが、民間の規律さえ働くようにすれば、結果として手をつけたということになるのではないか。

Q: 5年以内のなるべく早くというような時期に郵貯、簡保が完全に民営、民有化された場合、国債市場に金利の急激な上昇や暴落といった影響が起きる可能性があるのではないか。

北城: そのようなことはないと思う。新旧勘定に分離すれば、旧勘定はいずれ満期が来れば保有している国債を市場で売却しなければならないが、満期が来た貯金が全て郵便貯金会社から外に出て行くということではないし、そうすれば新勘定で新たな運用の必要性が出てくるので、両方を足せば国債市場に急激に大きな影響が出ることにはならない。反対のための議論ではないかと思っている。

Q: 4事業の分社化について、システム対応が間に合わないという理由が上がっているが、これについてはどうお考えか。

北城: 2007年4月時点で実現すべき機能と水準でシステムを作ることが決まれば大体の開発期間は決まってくる。4事業を民間企業として優れた経営管理ができるシステムを完全に用意しようとすればかなりの時間がかかる。どういう目的で使うシステムが間に合う、間に合わないという議論をするべきで、優れた経営ができる財務管理のシステムや新商品開発やサービスを提供するための競争力のあるシステムを作ろうとすれば時間がかかる。民間のどの経営者に「システムは完璧か」と聞いても、問題はあり、新しいシステムを構築するために努力されている。民営化に相応しい完璧なシステムを今から全く新たに整備したいということであれば時間はかかる。郵政民営化は構造改革の一環として重要な政策であり、2007年4月に分社化して民営化するという政治の基本方針が決まれば、それに合わせたシステム構築の方法はあると思う。今の郵政公社が考えている理想的なシステムとは違うかもしれないが、既存のシステムを利用しながら手直しをする、いくつかの業務は持ち株会社が共通機能として引き受けて各社に費用配分する仕組みもあると思う。個々のシステムを精緻に検討して何年とは言えないが、民間企業の経営者としての経験からすれば、まず経営者がいつまでに何をしたい、ということを決め、それに合わせたシステムを作るというのが重要だ。銀行の合併のように、オンラインシステムを新たに作るというのは大変だが、郵貯や簡保、郵便事業のシステムは既に動いているのだから、新旧勘定の分離や預金保険機構への加入、税金等、いくつか追加の業務はあるが、民営会社として必要な対応も含めて、その水準を前提にどう機能を拡張するかを考えるべきだ。

渡辺: 一般企業は事業戦略が先行する。それにITシステムをいかに間に合わせるかということだ。ITシステムができなければ事業戦略が進められないというのでは完全に競争に負けてしまう。2年半あるのだから、できるだけ早く組織形態を決めてスタートすれば間に合わせることは可能だと思う。

北城: 今までのシステム構築のあり方を見直さなければならいかもしれない。官業として、あるいは郵政公社としてのシステム構築のスピード感、信頼性、入札等の透明性の確保等、色々な制約があったと思う。今回一番重要なのは期間、スピードなので、それを前提としてどういうやり方でシステムを構築できるかという検討に進んだ方がいいと思う。

Q: プロ野球の合併が、経営問題、労働問題と色々な方向に動いており、選手会がストを決定する事態になっている。ストも含めてプロ野球を巡る動きを、どう見ているか。

北城: 端的に言えばストは反対だ。ファンを重視した議論が必要だ。プロ野球が発展していくためにはファンに支持される行動が必要だ。土日に野球の試合が無くなれば、ファンが残念に思うだけではなく、ファンの数を少なくするし、ファン離れに繋がる。そういう意味ではストは好ましくない。また今の2リーグの下で各チームにファンがいるのだから、球団の数を減らせば球界全体としてのファンの数も減らしてしまうと思う。合併は経営者の判断だと思うが、各球団の経営者はいかにファンを増やして、事業として採算が合うような形にするという経営努力が必要だし、それが十分ではなかったのではないか。選手の給料が高いことも含めて、これだけ赤字の球団が多いということは事業としておかしい。経営努力をした上で合併によって球団が減るのであれば、球団運営に参加したい人がいたら参加しやすい制度に変えていって、常に創意工夫や競争が活力を生み出すようにした方がいいのではないか。参入障壁が余りにも高い。過去に色々問題があって、参加する会社に十分な資本があるという前提の下での制約だと思うが、余り高いと参入できないということでは活力が生まれない。競争者が参入してこないところ創意工夫は生まれない。合併して一球団減れば、一球団運営したい人を探してもいいと思う。球団の数を縮小していくだけでプロ野球が発展していくようには思えない。

Q: 選手会の要求の一つに加盟料の引き下げが上がっているが、これ自体には賛成ということか。

北城: 賛成だ。参加しやすくすることはいいことだ。一方で年間30億も40億も赤字が出るということでは、球団職員のリストラ等では対応できない。これだけお金のかかる経営のあり方を考えていく必要がある。サッカーがある程度採算に乗るのは、選手の給料の水準がプロ野球に比較して採算が上がる妥当な水準なのだと思う。

以上


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