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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年07月27日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から7月23日に開催した起業フォーラム・キックオフシンポジウムの結果報告と次回開催(8月26日)の案内があり、その後、記者の質問に答える形で1.経済団体夏季セミナー総括、2.社会保険庁の改革、3.郵政事業民営化、4.住友信託のMTFG・UFJGの統合差し止め請求、5.小泉改革下の景気認識格差、6.各種経済指標と猛暑の景気への影響、7.日本経団連の独占禁止法改正案、について発言があった。

Q: 経済団体の夏季セミナーが先週末に終了した。今までは景気対策の要望が相次いでいたのに比べて、各団体とも趣が違っていたと思うが、振り返っての感想は。

北城: 景気対策の要望が相次いでいたというが、経済同友会は昨年も景気対策の要望は出していない。そういう意味では、より本質的な問題に取り組むべきというのが我々の主張だ。特に将来のリスク要因としての財政破綻、現状の財政赤字の元で景気回復に伴って金利が上昇していくリスクに対して、ここで財政再建に向けて歩みだす必要があるのではないか、というのが我々の主張だ。それ以外にも年金問題、三位一体改革、郵政民営化に対して我々の考えを出しているが、景気が回復してきたけれども、これを持続させるために何が必要かという観点で今回議論をした。日本経団連は、憲法問題も含めて「国のかたち」を議論されたということで、経済界が単に自社の収益向上のために意見を発するだけではなく、日本社会に対する問題提起をされたということで、時宜を得たことだと思う。日本商工会議所のアピールも読ませていただいたが、少子化問題を含めて経済を持続的に発展させるために何が必要かという主張をされたと思う。中小企業対策を重視してほしいという発言は、景気対策にさらに配慮してほしいとも読めるが、財政出動ではなく、構造改革を進めて日本経済の発展を図るべきという基調は三団体とも共通していたと思う。

Q: 今回のセミナーの結果、例えば一般歳出の三兆円削減や消費税(増税)などを、小泉政権にどのように反映させていくのか。

北城: 消費税についてはこれから議論するけれども2006年まで増税しないというのが小泉総理の意向なので、すぐには難しいと思うが、財政再建、社会保障の負担のためには消費税は必要な税収なので、これからも意見を出していきたい。来年度予算に向けて実質的な歳出削減をしようという財務省の意向は出されているようだし、経済財政諮問会議でもその方向の議論が出ると思う。我々が実質的に三兆円削減と言ったのは、実質という中に地方への補助金を三兆円削減して税源移譲すれば、それだけで歳出を減らしたことになってしまう。社会保障の費用なども一兆円規模で増える。地方交付税も一兆円程度の削減といった具体案がこれから出てくると思うが、それも含めて三兆円程度削減しないと財政再建に歩みだしたことにならない、という意味で申し上げた。我々の意見やいくつかの新聞の論調も含めて、財政再建への舵を切る必要があるという意見が出てきているので、引き続き財政再建に取り組む必要性、特に金利の上昇に伴うリスクについては具体的なシミュレーションの結果も踏まえて意見を出そうと思っている。それによって、例え景気に対して厳しい影響が出るにしても、財政再建に取り組まなければ将来のリスクが大きいということを、多くの国民に理解して頂くことで政治にも動いてもらうように努力したい。

Q: 社会保険庁の長官に村瀬さんが就任されて本格的な改革が進んでいくと思われるが、経済同友会として、(改革に)どのように関与していくのか。

北城: 年金に関しては社会保険庁だけではなく制度そのものに問題があると考えている。年金について民主党が一元化も含めた改革案を出しているので、政府・与党に年金制度の一元化も含めた改革の具体案を出していただいた上で、民主党との議論に入っていけばいいのではないか。議論の席に着いた段階で具体案を出したいということだが、政府・与党は具体的なデータも持っており、(それに基づいて)厚生労働省の中に(具体案を)企画できる人たちもいるのだから、具体案をまず考えた上で改革に取り組むべきだ。改革の検討が進む中で、今の社会保険庁の運営にも色々な問題が出てくるので、これについてはコスト、サービス、セキュリティを含めて改善されることを期待している。当然長官一人ではできないので、何人か必要な人材が民間に要求されるかもしれないが、民間人が大量に入るのは難しいのではないか。官民交流の制度そのものが簡単ではなく、民間から官庁に入るには一度退職しなければならない。再就職は可能ということだが、若い方や中堅管理職の方が民間企業を辞めて官庁に入ることは簡単ではない。公務員制度の中でも官民交流をより容易にする制度を充実しなければ、経営層については可能かと思うが、民間人が大量に官庁に動くことは難しい。

渡辺: 経済同友会の案から言えば、年金に関しては社会保険庁はいらない。むしろ制度の改革が先であり、(新長官に)お願いすることがあるとすれば、社会保険庁の情報開示を徹底的に行うことだ。そうでなければ国民の信頼はいつまでも回復しない。

郵政事業の民営化について

北城: 質問が出なかったが、郵政事業の民営化については、これから経済財政諮問会議等で具体策が出てくると思うが、我々の考えは基本的には三事業は独立する形が必要ではないかということだ。三事業を別会社にしたうえで、持ち株会社を置くという考え方もあるようだが、ひとつの事業で赤字が発生した場合に他の事業で補填することが起こりうる。特に郵便事業のネットワークの運営経費をどう負担するかについては、持ち株会社の中では、それぞれの事業の経済合理性ではなくて、三事業一体の効率化という観点から費用の負担方法についても、ある事業に有利になる事態が起きかねないので、事業リスクの遮断という観点が必要だ。もうひとつはいずれも非常に巨大な事業であり、仮に東京三菱銀行とUFJ銀行が統合したとして、その預金量を上回る銀行が持ち株会社の元で、日本生命を上回る生保事業を行い、かつヤマト運輸を上回る郵便・宅配事業を行うというのは、民間との競争条件を同じにするという考え方にもそぐわない。三事業あるいは窓口ネットワークを加えて四事業とするかは今後の検討課題として、少なくとも三事業については別会社にするべきだ。民営化が動き出した当初は全部の株式が民間に開放されるわけではないので、政府保有の持ち株会社という形態はあると思うが、民営化が走り出した時点、2007年の4月からは新たな金融商品については政府保証をつけないという原則の下に、民営化を検討するべきだ。

Q: 三事業の地域分割という意見があることについては、どうお考えか。

北城: 経済同友会では郵政事業の民営化について委員会を作って議論をしているので、結論はまだ出ていない。会員の中には貯金事業だけとっても民間の金融機関に比較して預金量が非常に大きいので地域分割が必要だという意見もある。個人的な意見としては、最初に分割ありできはなく、2007年に向けて政府保証が無い運営をすれば定額貯金の資金が規模は分からないが流出していく、今の預金量はかなり削減されるだろう。その状況を見て全国一体のネットワークの方がいいということであれば、その弊害も含めて議論をしたうえで結論を出すべきだ。最初から、規模が大きいから分割すべきだとは思っていない。

Q: 三事業が分割されると、総合的なサービスが受けられなくなる地域も出てくると思うが。

北城: 地方における郵便事業、特に郵貯、簡保に対するサービスについての意見だと思うが、どの地方・地域で何が問題になるかを具体的に議論した方がいい。ユニバーサルサービスという一般論で言えば、漠然と地方の郵便局がなくなった場合に、郵便事業はともかく郵貯、簡保等の金融商品の取り扱いが不便になるのではないかという心配が出てくる。それがどの地方の問題で、極端な例なのか、多く発生する問題なのかという具体論で考えれば十分対策は取れる。ヤマト運輸でも全国への郵便の配達はできるといっているので、ユニバーサルサービスが無ければ全国津々浦々に信書を届けることができない、ということではないと思う。

渡辺: 新聞の購読料や公共料金などの支払いなどもインターネットも含めてサービスが発達している。ユニバーサルサービスについての問題は、携帯電話等を駆使できる仕組みにすればかなりの部分が解消される。

北城: 事業は経営者がどのような経営をするかにかかっている。必ずしも(拠点の)数が多い、地方を全てカバーしているから採算が合わないということではない。いかに創意工夫して、良いサービスを安いコストで提供できるかが問題だ。今の郵政公社でも、生田総裁がかなり改革を進めて、赤字が出ている事業が黒字化している例もある。今までの郵便事業が赤字だから駄目だということではない。ユニバーサルサービスの問題についても、地方にとって厳しくなる、サービスが低下すると一義的に決め付けるべきではない。

Q: 住友信託のMFTGとUFJの統合に対する差し止め請求に対する判決が明日にも出るが、仮に差止請求が認められた場合、金融システムや日本経済に対する影響についてどうお考えか。

北城: 住友信託とUFJとの基本合意について中身を詳細に知らないので、判決も含めて意見を述べるのは差し控えたい。結論がどのような方にせよ、UFJ信託の問題なのでUFJの銀行業務とMFTGとの交渉は、例え差し止めになっても行われるだろう。その場合に、UFJ信託の事業価値については、当初住友信託が考えていたのとは状況が違ってくるだろう。しかし、それで金融システムそのものが大きく変わるとは思えない。その一方で、UFJグループとしては基本合意をしながら方針を変更した。投資家等は、UFJグループの信託業務は住友信託と統合すると判断していたと思うので、(方針変更の)背景について理由を説明する必要がある。

Q: 小泉内閣が構造改革を進める中で、景気回復等の認識について中央と地方、大企業と中小企業の間で格差があると思うが、それについてどうお考えか。

北城: 景気回復について地方や中小企業にも、まだ厳しいところがあり、構造改革の成果が十分出ていないのではないかということだと思うが、一般論で地方、中小企業というのは適切ではないと思う。たとえ地域全体としては厳しくても、その中で成果を出している市町村もあれば中小企業もあると思う。これからは、一般論ではなく、それぞれの地域、それぞれの企業が特色をどのように出して、自分の地域、自社を活性化していくかという議論が必要だ。自分の属する地域が厳しいからといって、そこに中央からのお金が来るという考え方でいる限りはその地域や企業は発展しない。それぞれが特徴を出して地域、企業を発展させるという発想に転換する方が良い成果が出ると思う。小泉総理の「官から民へ、中央から地方へ」というのは、それぞれが努力、創意工夫することを奨励していると思う。

渡辺: 今回の景気回復は民が主導したといわれているが、民であっても構造改革、企業改革をやっていないところはいまだに立ち直っていない。デジタル家電等、努力をしている民間企業がデフレ経済に立ち向かって改革が成果を生んでいる。地方も努力しているところは改革の成果が出ている。今まで通りでは追い風は吹かない。

Q: 6月の鉱工業生産指数がマイナスに転じたようだが、米国や中国の好況が一段落した状況も含めて、景気回復の牽引役だった製造業が息切れしているのではないか。

北城: 簡単に息切れするとは思っていない。中国はバブル的な経済成長は抑えると思うし、米国も金利の上昇に伴って住宅産業等、いくつかの分野で厳しいところは出てくるかもしれないが、景気の実体そのものが海外の減速で急に悪くなる状況ではないと思う。日本の製造業は引き続き強いと思う。ただし、持続可能かと言えば、景気が回復すればいずれ長期金利の上昇が起きてくるので、そのときに一番リスクがあるのが公的セクターだ。国と地方の借金が大きいということが金利の上昇を急激にするリスクをはらんでいるので、その対処策を考えるべきだ。製造業が急に減速するとは思っていない。

Q: 失業率は改善しているが、個人消費に良い影響を与えるとお考えか。

北城: 失業率は二つの問題を含んでいる。一つは、日本では職を探すのをやめた人は失業者に入ってこない。実際に働いている人の人数が増えたかどうかというより、職探しをやめたことに伴う失業率の低下という側面もあり、単純に喜べない。もう一つは、正規に働いている人が増えずに、パートやアルバイトといった非正規の雇用が増えているという面もあるので、これもそう簡単には喜べない。従って、失業率が低下したことで、雇用者の収入が増えたとは簡単には言えない。総賃金は下げ止まってきているので悪いことではない。

Q: 猛暑で小売が好調だが、景気、日本経済に対する影響については、どうお考えか。

北城: 個別事業で見ると、大変好調な業界があるようで、クーラーの増産に走っているとか、半袖が売り切れて、長袖の袖を半分に切って販売している小売業もあるようで、景気には良い状況だと思う。しかし、本来は内需を拡大して、日本経済を持続的に発展させるためには、もっと規制をなくすことが必要だ。例えば医療サービスについては、保険行政としては皆保険の下で医療費の総額が下がる方が良いという考え方だが、より良い医療サービスを求めたい、リスクはあって保険適用外でも最先端の医療を求めたいという人が、日本では受けられないので米国に行ってしまう。混合医療を含めて医療サービスで内需を拡大するべきだ。育児や介護でも民間の参入を認め、補助金行政をやめることにより延長保育や24時間保育によって育児のサービスを拡大する。株式会社の参入を含めた教育分野でのサービスを拡大する。サービス事業を拡大することによって景気が持続する対策を考えるべきだ。たまたま猛暑で景気が良くなって良かった、ということでは持続可能な仕組み作りにはかえって問題だ。本来やるべき改革をいまこそやるべきだ。

Q: 独占禁止法の改正について、日本経団連が対案を出したが、それについてどうお考えか。

北城: 措置減免について、以前は導入そのものに反対されていたと思うが、今回はある条件が満たされれば導入してもいいという意向を出されたようだし、課徴金についても繰り返し問題が起きた場合には、これまでの6%を倍にするということも認められているようなので、公取委の出した意見と歩み寄っている部分もある。一方で、課徴金水準そのものを、6%を中心にして増減させるということだが、6%という数字は国際的に見ても低い水準だ。違反しなければ課徴金の負担は無いのだから、カルテルや談合を抑制するという位置づけから見れば、課徴金の水準が低いと効果を十分発揮しないのではないか。経済同友会は課徴金の引き上げそのものについては賛成している。

Q: 公取委案の課徴金の二倍程度への引き上げは妥当というお考えか。

北城: 抑制効果を出すためには妥当だと思っている。ただし、個別事案の内容に応じて課徴金の額を算定すべきだという日本経団連の意見も、ひとつの考え方だ。一方で、個別事案、特にカルテルについては、行ったことによってどの程度超過利潤が出たかを、すぐに算定するのは難しい。海外のように、制裁的な課徴金をかけるのと違って、個別案件で課徴金の額を決めるのではなく、大企業については現行を2倍にするというのは妥当だと思う。

以上


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