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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年06月16日(水) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事

冒頭、北城代表幹事から「 2004年6月(第69回)景気定点観測アンケート調査結果 」について説明および、第18回民間経済団体国際会議・2004年度欧州ミッションについて報告を行った後、記者の質問に答える形で1.通常国会閉会、2.社会保険庁改革、3.参議院選挙(投票率、マニフェスト、政党・候補者支持)、4.出生率、5.三菱自動車再建、6.景気認識、について発言があった。

Q: 今日、通常国会が閉会した。年金に関連するごたごたもあったが、有事関連7法案も含めて多くの法律が成立したが、今国会を振り返って感想を聞きたい。

北城: 有事法制も含めて、いくつかの法案が成立したということは、本来国として取り組むべき課題であるから、それはそれで良かった。ただし、年金問題に関しては、未納議員の問題などは議論されたが、本質的に持続可能な年金制度をどう作るかという議論がなされなかった、情報開示が十分でない中で法案が成立したことは残念だった。民主党もせっかく対案を出したのだから、それを元に政府案、民主党案のどこが良くて、どこに問題があるのか、持続可能な制度をどう作ればいいかが議論されれば良かった。

Q: 長官への民間人起用や組織の見直しも含めて社会保険庁の改革案が出ているが、それによって年金制度改革が進展するとお考えか。

北城: まず年金制度を、どのように構築するかを決めて、その中で今の社会保険庁がどのような位置づけになるかを考えるべきだ。現状の出生率を含めた人口推計や、給付と負担のためにどれだけの財源が必要かといった調査を踏まえて年金制度を設計する人は必要だ。同友会は基礎年金については税負担で、報酬比例部分については民間の運営で良いと思っているが、社会保険庁が民営化されて運営を担うことがあっても良いと思う。トップに民間人を起用すれば問題が解決するということではなく、社会保障制度そのものをどのように設計するか議論した上で、社会保険庁の位置づけを考えたほうが良い。

Q: 参議院選挙が近づいてきたが、投票率をあげるために何が必要とお考えか。

北城: 選挙は国民が政治に対して意見表明をする場であるので、各政党がどのように政治に取り組むかというメッセージをはっきり出すことが必要だ。昨年の衆議院選挙の際にマニフェストを作って選挙が行われたが、今回も各政党がマニフェストを出すことが必要だ。政権与党は既に出したマニフェストによって衆議院選挙に勝ったわけだから、それの評価と必要があれば追加をしていただく必要がある。また、野党は前回のマニフェストが国民から支持されなかったので、今後どういう政治をしていくかを示していただければいいと思う。特に民主党は代表が交代しているので、新しい代表の下でどういう政治を行うのかをマニフェストにして出していただきたい。マニフェストはかなり厚いので国民が全てに目を通して各党の比較を精査するのは難しい。マスコミに限らず色々な機関がマニフェストに対する評価や意見、解説を出すことによって、国民にとってどういう政策を選んだらいいのかはっきりする。もう一度マニフェストに対する関心を高めることが投票率を高めることにつながると思う。

Q: 昨年の衆議院選挙や今回の参議院選挙のマニフェストはいずれも、重要な課題については曖昧な記述であり、有権者から見ると判断しづらい状況だと思うが、どうお考えか。

北城: マニフェストの中に全く書いていないこともあるが、かなりのことは書かれている。一方、書いている中身が抽象的で具体的な政策がどのように実行されるかが見えない。例えば医療については抜本的な改革を実行すると書いてあるが、それでは何をするか分からない。マニフェストを作るときには、どのような目的でいつまでにどのような手段で実行するか、期限と財源も含めてはっきり出してほしい。努力されている政党もあるし、政策によっては具体的なものが出ているが、多くの政策課題が抽象的な表現になっている。もっと具体的な表現で国民にどのような政策を取るのか分かる形で提示して頂きたい。これから自民党、野党がマニフェストを修正する、あるいは新たに作成して出してくると思うが、より具体的なものを期待している。具体的なものがでれば実行度についてもよく分かる。具体的なものを書いて国民の支持を受ければ、それを実行するための力が働く。

Q: 自民党は既にあるマニフェストを相当大幅に修正しなければならないと思うが。

北城: 自民党の前回のマニフェストについては、表現に関しては抽象的なものが多いので、より具体的に出して頂きたいというのが我々の評価だ。したがって記述については5段階評価で2と評価している。額賀政調会長のお話では、与党としての責任があるだけになかなか具体的なことが書きにくい、しかし中身は実行しているとのことだが、それであれば何をするかを書いていただいて国民の審判を受けるのが本筋ではないか。マスコミもよく分析していただいて、各政党が具体的なマニフェストを出すように、意見を表明していただきたい。そのほうが国民にとって選択しやすいと思う。

Q: 日本経団連、日本商工会議所はともに自民党現職の加納時男氏を支援しているが、同友会のスタンスを教えてほしい。

北城: 同友会は政策を中心に議論して行きたいと考えているので、特定の政党や候補者を支持することはしない。年金や税制、社会保障等について各政党の政策が、我々の提言に照らして好ましいか好ましくないかは提示するが、(同友会が)候補者を直接支持することはない。ただし、同友会の会員の中に、個人として支持している人は多いと思う。

Q: 各政党の政策が好ましいか否かを評価することが、(候補者の)選挙支援に対して影響を与えることになるのではいか。

北城: 多くの政策があるので、個々の政策に対する是非を我々の意見として出すことはするが、経営者個人が有権者として、どの政策を重視して投票するかについては会員各位の判断に任せている。

Q: 今年から日本経団連は、政策評価を基準として会員企業が個々に判断して政治献金を行うことにしたが、その一方で財界候補を擁立していることについて、どうお考えか。

北城: 日本経団連の考えでやっていることであり、その方が立派だと思うのであれば、経営者個人として支持をする人もいると思うが、同友会として特定の候補、政党を推薦することはしない。

Q: 1.29という出生率が年金法案成立後に発表された。少子化を克服するための対策についてどうお考えか。また、発表のタイミングについてはどうお考えか。

北城: この数値が年金法案成立前に分かっていたかどうかは知らないが、出生率は年金制度の持続可能性を考える際の前提の一であり、法案成立前に発表されていれば、どのような制度が良いかという議論が高まったと思う。少子化についての対策だが、人口が減少することが国民にどのような問題を及ぼすのか、あるいは良い点もあると思うので、それをこれから議論し、問題を洗い出した上で、少子化に対する解決策を考えた方が良い。特に人口が減っていけば、一人当たりのGDPは増えても国全体のGDPは増えにくくなるので、財政再建が非常に困難になる。解決策は簡単ではないが基本的には子どもを生んで育てやすい環境を作っていくことだと思う。そのために制約になっている、例えば保育所や幼稚園といった育児施設の不足などに対する支援の仕組みが必要だ。育児休暇を取る、長くするだけではうまくいかない。財政的な支援についても、例えばフランス等で行われているように、家族の人数で収入を割って税率を決めていくという制度であれば、今のように定額で控除を決めるよりも大きな税金の優遇になる。あるいは、オーストラリアでは子どもがひとり生まれれば3000ドルの支援金を出す、フィンランドでは子ども一人に対して毎月、定額の支援金を出している。経済的にも子育てが有利になるような制度を税制も含めて導入していく必要がある。同友会でも、今年度、人口減少社会を考える委員会を作っているが、子どもを生まなくなった世代が議論するよりも、これから子育てをするような若い世代に意見を出してもらおうと考えている。

Q: 三菱自動車が今日、再建策の見直しを発表するが、企業人としてどのような感想をお持ちか。

北城: リコールの問題が適切に開示をされていなかったことが、企業イメージを非常に悪くしている。我々が推進しているCSR(企業の社会的責任)という非常に大きな課題を突きつけていると思う。例えば文化事業に対する寄付のような社会貢献も重要だが、企業の活動そのものが社会にとって好ましい、法律に違反しないだけではなく、倫理や環境の観点で社会にとって好ましい経営をしなければならないということを明確に示している。そういう意味ではCSRの重要性を再認識させる出来事だったと思う。現実に販売が落ちているということであれば、新しい経営陣が解決策を作ると思うが、その原点は消費者に信頼される企業経営をするということの重要性だと思う。不祥事が次々と出てくると信頼を失う。経営者にリコールの情報が上がっていたとすれば、その責任は大きい。また経営者に適切な情報が上がらずに問題が起きたとすれば、より透明性の高い仕組み、企業文化を作ることも経営者の使命だ。知らなかったから仕方ないということではなく、内部通報制度も含めて悪い情報が入ってくるような風通しの良い企業文化や仕組みを作るのも経営者の責任だということを示していると思う。

Q: 現在の三菱自動車や三菱ふそうはルールに則って被害が分かった段階で発表しリコールを行っているが、今も危険性のある車が走っている状況であり、ルールがしっかりしていても現実は非常に危ないという意識が信頼の喪失に繋がっていると思うが、どうお考えか。

北城: 今になるまで(リコールについて)開示されてこなかったことが問題であって不信を呼んでいると思う。新しい経営陣は過去の問題点を洗い出して情報を開示していると思うので、今後は問題に対して適切な対応をしていただけると思う。しかしリコールなので、既に出ているものに対しては、情報開示をしても修理されるまでは安全性が確保できない。そういう意味では、しばらくの間は非常に厳しい経営になるが、少なくとも新しい経営陣は過去の反省を踏まえて、全ての情報を開示して必要なリコールの処置を取っていると思う。そうでなければ、再建などとてもできない。再建という点では、新しい経営者が過去にとらわれずに過去の問題点を洗い出して対策が取れるので、経営者が代わることもいいことだ。

Q: 新経営陣が来る前に、既に見直しという事態に追い込まれている。

北城: 経営トップに全ての情報が上がっていてトップが不適切な判断をしたものもあるだろうし、悪い話を上に上げないという体質のもとで情報が上がっていなかったこともあると思うが、それも経営者の責任だ。悪い情報が経営者に上がる体質や仕組みを作ることも経営者の責任である。

Q: 昨日、日本銀行が発表した金融経済月報の中で、景気回復についてバブル崩壊後はじめて「緩やか」という表現が削除されたが、代表幹事自身の景気認識はどうか。

北城: 先ほど紹介した定点観測アンケートでも意見が出ているが、今年の1-3月のGDPを見ても日本経済は堅調に推移している。年率6.1%は、主要国では中国に次いで、米国を上回る成長率だ。これが持続可能かどうかについては、短期的には楽観している。急に米国や中国経済が停滞するとは思えないので、今年、来年はほぼ堅調に推移するだろう。韓国でダボス会議のアジア版であるワールドエコノミックフォーラムの会議が行われ、私もパネリストとして意見を求められたが、短期的には楽観、中長期的には「cautiously optimistic」と申し上げた。日本は、財政、少子化、高齢化、教育の競争力、年金等の持続可能性、新規事業創出の力が弱い等、色々な課題を抱えているが、問題が明確化すれば実行するだけの力はある。不良債権処理も実行してきたし、年金の持続性に問題があるとすれば消費税の引き上げについても多くの国民の理解が得られるようになってきた。そういう意味では短期的には楽観しているが、長期的には乗り越えなければならない課題がたくさんある。改革というのは、実行するだけの体力がついたときこそやるべきだ。構造改革をやろうとしても問題が多すぎると、体力が無くてできないということもあるし、好景気が長く続くと国民に改革をしなければならないという危機感がなくなる。危機感が継続して、体力がついてきている今こそ改革の時期だ。これは民間企業でも同じだ。改革の断行を期待したい。先送りされることが心配だ。

以上


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