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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年05月28日(金) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から「基本方針2004に向けての意見」、「法科大学院設置を踏まえた司法試験制度の見直しに関する意見」について説明があり、その後記者の質問に答える形で1.亀井農林水産大臣との懇談会、2.イラクでの邦人襲撃事件、3.消費者物価の現状と見通し、4.憲法改正、5.UFJ銀行の経営陣交代、について発言があった。

Q: 本日、亀井農林水産大臣との懇談会が行われたと思うが、内容についてお話いただきたい。

北城:農林水産省として、特に農業の改革についてどのような方針で取り組むかについてご説明があった。経済同友会としては農業の競争力強化について提言しているので、その説明をさせていただいた。基本的には同じ方向を示している。農業については保護から競争力強化という視点が必要であり、消費者の立場に立って農業をひとつの産業として見ていくべきであろう、ということについては意見が一致した。そういう意味では農林水産省もこれまでの保護行政から競争力のある農業を作ろうという方針については、かなり方向転換をされていると理解している。一方で、具体論の細部については双方で意見をよく交換しなければならない点があった。例えば食料の自給率について、経済同友会としては具体的な数値目標を設定すべきではないと主張しているが、農林水産省は目標値が必要だと言っている。我々が懸念しているのは、食料については安全保障の観点から備蓄の確保は必要だと思っているし、食の安全ということも重要だが、目標値を作ると保護に結びつきかねず、競争力を高めることによって国内の自給が高まることが望ましいと思っている。数値を設けるとそれを下回ったときに、輸入を抑えようという保護行政に進むのではないかという懸念を持っている。また、輸入関税、特に米は非常に高いが、国際水準に比較して高い税金をかけて輸入を抑えるよりも、消費者に好まれる米、農産物を作ることによって、国内の消費が進むということを考えた方が良い。あるいは農業への株式会社の参入についても、生産性を高め、より効率の良い農業を行うという方向性は一致しているが、農林水産省は、最初から株式会社ではなく、とりあえず農業生産法人という形態を通じて、いずれは株式会社へということで、導入のスピードの違いを感じている。しかし、競争力強化という大きな方向性には賛同しているので、今後、具体論については議論したい。

渡辺:いわゆる「業(生産者)」から「消費者」へと、意識は変わってきたと思うが、代表幹事が言われたように、それが本格的に実践に移されるためには、色々と超えなければいけない問題がある。消費者から見て、日本の農業には「価格が高い」「保護されすぎている」というイメージが強い。農産物の流通の合理化も必要なのではないか。色々な改革について経済人のアイディアや考え方を入れていけば、もっと良い産業に変わっていくのではないかといった、忌憚の無い意見交換が行われたと思う。

北城:亀井大臣は改革に対する意欲を持たれているように感じた。後は、改革の方針が現実の政策に結びつくことを期待している。実際の政策にしようとしたときに、国会議員等の反対があって大きな方針通りに、必ずしもすぐ進まない、という印象を受けた。省としては改革しようという意欲が感じられて心強かった。

Q: イラクでジャーナリスト二人が襲撃された。まだ詳細ははっきりしないが、ご感想を伺いたい。

北城:今回の事件が日本人を狙ったものなのか、無差別に外国人を狙ったものなのか、背景が良く分からないので、これをもって日本が自衛隊を派遣していることのリスクと見るべきか定かではない。戦闘状態にあるという言われ方もされているが、イラクは危険がある、現実にテロ等が起こる地域であるということを示している。これから主権の移譲に向けていかに治安を回復するかが非常に重要な課題だと思う。治安を回復しない限り、経済の発展もないし、経済が発展しないと、貧困の問題がまたテロを生むという悪循環に入るので、いかに早く治安の回復ができるか、特に主権の移譲に伴って治安の回復が実現できれば、復興に向けてよい歩みができる。それまでは、非常にリスクが高いということを感じさせた。

Q: 先日の邦人の人質事件では「自己責任論」が大きく取り上げられた。今回の事件は性質が異なるが、「自己責任」についてどうお考えか。

北城:前回はNGOの方々が、外務省が「危険なのでイラクに入国しないように」という方針を出している中で、イラクの人々を支援するために行かれたので、それは個人としての判断だったと思う。危険があっても地域の人々に貢献したいという考え方自体は尊いが、最終的には自己責任だったと思う。今回のジャーナリストの皆さんも、危険は理解しながらも、ジャーナリストとしてイラクにとどまることが必要だと考えて、自らの判断で行かれたと思うので、個人としての判断、自己責任だと思う。

Q: 消費者物価の下落が続いているが、物価の現状と今後の物価水準の見通しについてどうお考えか。

北城:景気が良くなってくれば、自ずと物価水準は回復してくると思う。ただし、デフレの中には技術革新によるものもあるので、価格が下がることが全て悪いことかと言えばそうではないと思う。しかし、基本的な流れとしては景気の回復に伴って物価の水準もデフレ傾向から回復できるのでないか。後は景気回復が持続できるかどうかだが、当面、景気は良い方向で動くと思う。株価も一時的に下落しているが、基本的に株価は企業経営の実態を反映すると思うし、業績が良くなれば、傾向として株価は上がるので短期的には堅調に推移すると思う。ただし、2005年以降ではどうかといえば、米国の経済が持続するか。利上げの観測も出ているし、大統領選挙までは景気刺激策が有効に機能するが、2005年に向けて少しスローダウンする、成長率が鈍ると思う。先週末から今週火曜日まで中国に行ってきた。中国経済はやや過熱気味だと思うが、中国政府は景気過熱について問題点を認識して金融引き締めを含めた手を打っている。さらに日本のバブルの経験もよく学んでいるので、バブル崩壊に至らない策を取るだろう。9%を超える成長は高すぎるという考え方だと思うが、7~8%に向けて景気を抑えながら、失速することのないような政策を取ると思うので、今年は堅調に推移すると思う。原油の価格の上昇も米国景気にマイナスに働く。今のところ大きな影響は出ていないがリスク要因だ。もちろん、テロの問題や原油の更なる高騰があれば現実の問題になる。今お話したことはすべて海外のことだ。本来は日本国内で需要を拡大して、海外の景気に依存せずに経済成長を持続する仕組みをとるべきだ。小泉総理は「構造改革なくして成長なし」とおっしゃったが、われわれは「構造改革なくして成長の持続なし」といいたい。持続しようと思えば、構造改革を今こそやるべきだ。景気の悪いときに構造改革を行えば痛みが大きいので非常に難しいということは理解しているが、今、良くなってきているのだから、今やらなくて、いつやるのかということだ。是非、大胆な構造改革の推進をしていただきたい。それによって持続可能な景気の回復が実現できると思う。

Q: 日本経団連が憲法改正について委員会を立ち上げた。経済同友会も提言をされているが、経済界で憲法改正について議論が高まることについてどうお考えか。

北城:非常に結構なことだと思う。経済同友会は早くから、憲法問題について国民の中で議論を深めて、必要であれば改正すべきだと提言してきた。同友会の会員を対象としたアンケート調査では、経営者の多くが、9条も含めて今の憲法を改正すべきだという意見が多い。日本経団連や日本商工会議所も含めて色々な議論が行われることはいいことだ。憲法は多様な国民の意見を反映して必要があれば改正すべきだ。憲法制定過程の問題等にかかわらず、社会の実態が変わったときに、憲法がそれに合わなければ改正するということは自然なことだ。経済界だけではなく、社会の色々な所から意見が出てくることが好ましい。経済同友会は既に改正の方向を出しているが、他の経済団体からも改正の方向で意見が出てくることを期待している。憲法を解釈で運用することは好ましくない。それが続けば、本来の国の基本方針がはっきり見えなくなる。特に9条に定められている「戦力」の拡大解釈や、集団的自衛権について、(独自の)解釈を続けることは好ましくない。方針を変えるのであれば、よく議論した上で改正した方が健全だ。

Q: UFJグループ三首脳が交代して、信託部門を売却するということで、金融再生の一歩だという見方がある一方で、取引先企業の中には不安感も出てきているが、どうお考えか。

北城:非常に印象的には感じたのは、今回のUFJ銀行の決算下方修正に伴って金融不安という意見が出なかったということだ。これが一年前、二年前に下方修正が行われれば、銀行の決算内容は信用できない、金融システムのリスクが表面化したという、金融制度そのものへの不安感が出たと思う。大手銀行については、不良債権処理が着実に進んでいる。UFJ銀行の問題は個別の問題として起きたが、これによって銀行の決算が信頼できないという意見が出なかったというのは象徴的な動きだった。不良債権処理に対する市場の理解が深まった、金融システムに対する信頼感が高まっているということだと思う。UFJ銀行としては決算の下方修正に伴って経営陣の交代ということになったが、これを受けて新しい体制で健全化に向けて改革のスピードが高まることを期待している。その過程では、取引先企業の再生をいかに実現するか、支援を行うか。一方で問題がある企業の再建について一年の間に判断をして、場合によっては引き当てを上回る処理が必要になる。その結果UFJ銀行の決算に悪い影響が出る。来年も赤字決算をしながら、不良債権比率を当初の予定の4%台にうまく持っていけるかどうかは、経営としては難しい課題に直面する。新しい経営陣が、その難しい問題に取り組んで成果を出すことを期待している。

渡辺:代表幹事がおっしゃったように、全体の問題ではない、ということが非常に重要だ。来年4月のペイオフの解禁も約束どおり実行するなど、前向きな健全化を早急に行うべきだ。

渡辺:そういう意味では、地方銀行等でも更に健全化の対策が必要なところもあると思うが、今回のUFJ銀行の業績下方修正が金融システム不安を起こさなかったというのは非常に大きなことなので、地方銀行についても健全化が必要であれば粛々と実行して、来年のペイオフは延期せずに実行することが改革を遅らせない、ということでも必要だ。

Q: 巷間、UFJに対して金融庁が非常に厳しい対応を迫ったと言われている。金融庁の最近の行政のあり方については、どうお考えか。

北城:厳しい、というのか、適正な監査をしたのか、に関しては具体的な中身が分からないが、引き当てが必要なものは引き当てる。業績を先に考えて、例えば今回の決算で赤字にならないために引き当て不足が発生したとすれば本来の主旨ではない。本来は、必要な引き当てをしたうえで、いかに健全経営に進むかということが重要だ。(金融庁は)適切な判断をしたと思う。公認会計士事務所の意見も、金融庁の検査のような詳細な中身、個別案件の健全化についての評価はできないので、金融庁の評価を元に公認会計士事務所が判断をしたのも妥当ではないか。

渡辺:りそなを通して見ていると、細かい規制は色々あるが、きちんとやることをやっていれば、金融庁が無理やり横槍を入れてくることは、なくなってきているという感じは受ける。

以上


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