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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年04月21日(水) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事・広報委員長

冒頭、北城代表幹事から「第17回全国経済同友会セミナー」および全国経済同友会地方行財政改革推進会議提言「早急に三位一体改革の“全体像”と工程表を示すよう求める - 地域主権の確立による個性と活力ある地域づくりを目指して -」について説明があり、その後記者の質問に答える形で1.スペイン軍イラクから撤退、2.貿易収支、3.景気回復と消費、4.G7への期待、5.中東の緊張と日本経済、6.独占禁止法改正、について発言があった。

Q: イラクでの日本人人質事件が無事解決したが、スペイン、ホンジュラスが撤退するなどイラク復興支援の足並みが乱れているが、日本の今後の取り組みについて聞きたい。

北城: スペインはマドリッドのテロ事件もあって国民の選択がイラクからの撤退だったと思うが、イラク国内の治安が回復していない今、外国の軍隊が全て撤退できる状態に無い。米国を始め、治安の維持、復興支援に協力している国々が、混乱無くイラク国民への政権移譲を支援することが必要だ。したがって日本も、国連の参加も含めてより多くの国々が治安の維持と復興支援に参加できるように積極的に働きかけていくべきだし、自衛隊も引き続き活動していくべきだ。

Q: 貿易収支が発表されたが、貿易黒字が4年ぶりに10兆円を超え、中国との輸出入も増加している。これについてのお考えは。

北城: これまで我々が感じていたことが、数字でも示された。今回の景気回復の原動力は輸出の好調と海外市場での好業績であり中国の貢献が大きいということだ。景気回復にとってはいいことだが、持続性を考えると中国や米国を含めた海外市場への依存が高いというのはひとつの危険要因だ。中国の経済は過熱気味だといわれており、今の高い成長率がいつまでも続くかどうかはひとつのリスクだ。国内での需要を拡大する政策を取る必要がある。小泉総理の構造改革は元々、国内の競争力を高めて民間の活力を引き出すという政策だったと思う。この3年間民間企業の努力を促したとは思うが、構造改革が大きく進んだということではない。景気が良くなった今こそ構造改革の実行に努めるべきだ。改革は企業でも業績が厳しく倒産の危機に瀕していたり、あるいは経営トップが交代したり、外部からの圧力があったりして改革が進むということはあるが、景気も良くなって段々危機感がなくなってきている。そうした中で改革を進めるには政治のリーダーシップが必要だ。小泉総理のリーダーシップに期待している。

Q: 景気がかなり良くなっているにもかかわらず消費が伸びないことについてはどのようにお考えか

北城: かつてのように企業業績が良くなった結果、雇用が増え、給与も上がって消費が増えるという単純な連鎖ではない。米国の景気回復局面でも雇用が増えなかったように、日本でもそう簡単に雇用、特に常勤の雇用者は増えないのではないか。一つはITも含めた効率化が進んだということと、二つ目はあまり雇用が固定化してしまうと企業の競争力を抑えてしまう。そのために、派遣社員を含めて外部の人々を利用したりアウトソーシングを活用したりするので、雇用が増えない景気回復だ。なおかつ、ボーナスは増えるかもしれないが、固定的な給与が大幅に上がる状況ではない。したがって、雇用者の収入が増えるから消費が盛り上がるという状況ではない。そういう意味では、消費者のニーズに応じた新しい商品やサービスを作っていかないと消費は伸びない。日本でのサービス産業、生活の質を豊かにする分野で事業を作り、雇用を作り出す政策を推進すべきだ。お金が無いから買わないのではなく、いいものがあれば買うということだと思う。将来不安があって買わないのかといえば高齢者はお金を持っているので本当に必要なものは買うと思うし、レジャーにも行くだろう。供給側の創意工夫が必要だし、それを促す規制緩和も必要だ。 景気も良くなってきたし、イラクの人質事件も解決して小泉総理はひと安心だと思うが、ここで安心せずに本当の改革に努めていただきたい。郵政公社の改革もこれから議論に上るようだし、年金問題以外の医療、介護も含めた社会保障全体の問題についても、これからの基本的な政策をまとめていかなければならない、個別対応では解決できない状況に来ていると思う。

Q: 週末にG7が行われるが、どのような議論を期待しているか

北城: 経済運営については、ほとんどの国々が景気回復基調なので、急激な政策の変更によって景気の腰折れ、後退を及ぼさないような活動、政策が出されることを期待している。米国の金利が急に上がって、それに引きずられて長期金利が上がりだすと中国経済にとってもリスクだ。中国経済はやや加熱気味だが急ブレーキは踏めないと思う。米国と中国の景気が停滞すると日本経済にも大きな影響を与える。したがって、経済政策としては急激な変化を起こさない形で安定的な成長軌道に乗せることを期待している。大きな議題はイラク問題とその背景にあるパレスチナ問題だと思う。パレスチナ問題が解決しないと反米的な感情はなくならない。日本ではあまり表面に出てこないが、これをどのように解決するかが重要だ。

Q: 中東の緊張が日本経済に及ぼす影響については、どのようにお考えか。

北城: 短期的には国内あるいは米国内でのテロが起きなければ経済への影響は無いと思うが、長期的には中東は我々のエネルギー資源の中心的な位置づけでもあるし、テロは国際的にも景気回復の不安要因だ。そういう意味でも、パレスチナ問題の解決に国際的な協力が必要ではないか。貧しい人たちがいて、なおかつ彼らが生活の水準を改善できるという展望がないとテロが起きる。経済復興と教育の質を高める支援が必要だ。日本の国際協力もインフラの整備は必要だが、教育や医療関係の支援が必要だと思う。教育の水準が高まれば人口問題の解決にもなるし、生活水準の向上にも結びつく。そういう意味では小泉総理も過去十年のバブルの清算については成果を出しつつあるし、これから構造改革を一層推進していただくとして、次の10年を考えれば教育問題にも取り組んでいただきたい。教育基本法の改正には私も賛成だが、それ以上に国の将来の活力を導くためにどのように教育を変えていくかという長期展望の施策が必要だ。フィンランドの教育改革は国の将来の競争力を念頭に置いた改革だったと思うし、学力も世界的に見てトップクラスだ。起業家や創意工夫する人たちを作り出すことと、教育の現場に権限委譲する、学校の校長や先生が創意工夫することを改革の柱にしたことが大きい。日本のこれまでの政策は、指導要領を国が作って、その通りやりなさいという上から現場への指導が中心だった。教育はテロをなくすということでも重要だと思う。

Q: 独占禁止法の改正案について、経済同友会の見解を改めて聞きたい。

北城: 経済同友会としては、官から民へということで民間の活力を作り出すような政策をとってほしい。できるだけ経済的な規制を無くして民間が自由に競争できる環境を作っていただきたい。ただし、その中で不公正な競争が行われた場合にはそれを是正する公正取引委員会の役割は非常に大きい。規制をなくした上で公正取引委員会の機能を強化すべきだと思っている。不当廉売や優越的な地位の濫用による不公正な取引については公正取引委員会の強化は必要だ。改正について問題になっているいくつかのテーマについては昨年の12月に経済同友会の意見をパブリックコメントとして出した。課徴金の引き上げについては、現実にカルテルや談合が続いていることを考えれば、現在の額が少ないということであれば、根拠を示した上で適正な水準に設定すべきだと意見を出した。その後、公正取引委員会も過去のカルテルや談合の事例を調べて超過利潤の想定値を出したが、それを見る限り、現在の大企業で6%という水準は低いかなという印象を受けている。課徴金の引き上げについては妥当な水準であれば訂正すべきではないか。措置減免については賛成している。海外でも導入されているし、欧州では「司法取引であり馴染まない」ということも言われているが、カルテルや談合を発見することが難しければ、問題を見つけた会社が自己申告してくることを奨励することは必要ではないか。公正取引委員会の調査権の機能強化についても賛成している。不可欠施設については今回の法案には入れないということだが、我々も反対した。日本経団連の意見を聞いていると「拙速であり、十分議論されていない」ということを指摘しているようなので、我々としては最終的な法案の形をもう一度パブリックコメントに付すような形で、広く国民の声を聞いた方がいいと考えている。パブリックコメントを元にいくつかの修正が行われたようだが、最終的な形は良く見えない。個別の修正についてはホームページ等で公表しているようだが、最終的な形がまとまれば法案の形でパブリックコメントを求めてもらえれば、経済同友会の意見を出せると思う。

Q: 二重処罰など他の法体系との調整をせずに、改正を議論することについての非難もあるようだが、これについてはどうお考えか。

北城: 司法取引の問題や、官製談合が多いということで発注者側としての官庁の責任を追及する制度の強化が必要だということについては私も賛成だ。ただし、現実にカルテルや談合がなくならない中で、できるだけ自由な競争をしながら公正なルールを導入するということに関して言えば、他の法律とのまとまりがないから改正をしないということではなく、改正が必要であればすべきである。改正が拙速であるという批判もあるので、最終的な法案の内容を公表してほしい。

以上

(文責:事務局)


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