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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年04月06日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 専務理事・副代表幹事

冒頭、北城代表幹事から「コーポレートガバナンス改革のアンケート調査結果」について説明があり、その後記者の質問に答える形で1.為替相場(円の乱高下)、2.株価(1万2000円台の回復)、3.郵政公社発足1年、4.小泉内閣3年間の評価、5.長期金利の上昇について発言があった。

Q: 為替相場の変動が激しいが、どのようにお考えか。

北城: 基本的には為替は市場で決まるのが原則という考え方は変わっていない。現在の相場(107円<4月6日13:30現在>)であれば、多くの企業にとっては業績を上げていくのに耐えられる水準ではないか。これまで為替の介入というのは急激な変化を抑えるために行われてきたと思う。実体は良く分からないが、多少円を切り下げる方向で為替の介入が続いた、あるいは買い進めていた円をドルに戻したという面はあったかもしれない。しかし、無理やり安くするという介入は本来の姿ではない。急激な変化が無い限りは為替の水準は市場で決まっていくのが適切だ。当然、日本企業が競争力を高めていけば円は強い方向に行くということだ。以前だと円が強くなると大変だという意見が経営者から聞かれたし、105円が限界ではないかという声もあるが、105円を切ったから非常に経営が厳しくなったという声はそう出ていない。製造業を中心として円高に対する抵抗力は高まったのではないか。そういう意味では各企業が効率化の努力をしてきた成果が出てきていると思う。

Q: 円高に対する抵抗力がついてきたということだが、その中で現在は停止しているとはいえ、当局の大規模な介入については、どのようにお考えか。

北城: 為替が急激に動くことは企業経営にとってはマイナスなので、それを抑える介入は理解できる。円が105円位から110円程度に少し弱くなる過程で介入を続けたかどうかは、まだ公表されていないので分からないが、円を安くするための介入は主旨からはずれている。これが海外からの批判も呼んだと思う。基本的には為替は経済の実態に応じて決まるのだということを原則にして、急激な変化を抑える介入に限定するべきだ。企業の側もかつての円高の経験もあるし、最近は最先端の製造業に関して言えば、工場立地を海外で行うだけではなく、工場と研究部門が一体になることによって製品開発のスピードを上げ、競争力を高めるという意味で国内に工場立地を考える会社もたくさん出てきている。自動車産業も、輸出も大きいが現地生産の比率も高まっている。したがって、円高に対する抵抗力は着実についてきていると思う。

Q: (円高に対する)経営者の感覚と金融当局の考え方に乖離があるとお考えか。

北城: 円が105円位から110円程度に少し弱くなる過程で、介入が行われたのか投機筋の買戻しなのかは公表されていないのでよく分からないが、円を安くするための介入だったとすれば、激変を抑える介入であるべきだった。今の水準は特別な介入で固定されているというわけではないので、実態を表してきているのではないか。過去の介入を見ていても、なだらかには円が弱くなる方向だったと思うので、ある水準に抑えたとは思わないが、円安に誘導しようということ自体は無理がある。自国の通貨が強くなること自体は国民にとって悪い事ではない。通貨が下落している国の方が多くの経済問題を抱えている。経済が順調に推移している国の通貨は本来強くなる方向だと思う。

渡辺: 輸出が好調で、海外が株式を買っていれば、円の水準は傾向としては高い方向に動く。その傾向をとめるわけには行かないし、むしろある意味では喜ばしいことでもあるので、限界を承知の上で(介入を)しているのだろう。輸出と海外からの投資が増えれば円高になるのがグローバリゼーションの当たり前の結果だ。

Q: 株価が年初来高値を更新して、1万2000円を伺う勢いだが、これについてはどうお考えか。

北城: 株式市場が日本企業の経営の将来について明るい見通しを持っているということだと思う。日銀短観でも景気の回復が大企業・製造業だけではなく非製造業、中小企業にも及んできたという結果が出ている。大企業だけではなく中堅企業や小規模企業の利益もあがる方向だと思う。日銀短観で来年度(2004年度)の業績予測を見てみると経常利益が10.5%の増加に対して税引き利益は24%伸びるという結果が出ているし、経常利益では大企業が7%、中小企業が18.7%ということで、大企業・製造業よりも中小企業の増益率が大きいという結果も出ている。今まで大企業・製造業のみの業績回復と言われていたものが、中小企業、非製造業にも及んできたということでは良い方向だ。 株価は企業の業績に反映する。現状、実際に買っているのは引き続き海外勢で、国内は個人も含めて売り越しの傾向だが、企業の将来について確信が持てるようになれば国内の株式投資も進むのではないかと期待している。 景気の回復の足取りが確実になってきたと思っており、今後も持続できるかということについては短期的には楽観している。米国経済も、テロのリスクを除けば急に問題が起きるとは思わない。週末に上海に行ったが、相変わらず中国経済は強いという印象を持った。行くたびにビルが建設されているし、高速道路も急速に拡充されているしリニアモーターカーも動き出した。あれだけビルや道路を作れば、世界の4割のセメントを使っているという実感もしたし、鉄も必要だろう。現地の人たちもマンションの値段はまだまだ上がる、今買わないともっと上がってしまうだろうから買わざるを得ないといっている。ある意味では日本のバブルのような感じもあるが、景気は好調だ。米国、中国など海外の好景気と企業努力によって日本企業の業績は引き続き良いと思うし、株価は堅調に推移するだろう。 一方、株を買っているのが海外中心なので、長期的には、海外が売りに回るとかつてのように株が下がるというリスクは高い。本来であれば、もっと日本の内需を拡大し、国内の個人投資家が株式市場に参入するような形にもっていくべきだ。

Q: 昨日で郵政公社発足後一年になったが、この一年間の評価と今後の民営化の見通しについて、どのようにお考えか。

北城: 経営の取り組みで言えば色々な成果が出ていると評価している。例えば、お客様サービスの向上、職員の対応、郵便事業での新商品の提供といった点で改革の成果は出ていると思う。これまで赤字だった郵便事業に黒字化のめどをつけたということも進展だ。郵政公社の改革の第一歩は順調に滑り出したのではないか。小泉総理は、公社化を民営化の第一歩と位置づけられているし、マニフェストでも民営化は実行するとおっしゃっている。これからはどのような形で民営化するかが大事な課題になってくると思う。同友会でも民営化に際して、特に郵貯と簡保については国の保証を付けない形で運営する必要があると提言している。今の定額貯金や簡易保険は民間との競争条件の観点で問題があると思うので、国の保証の無い形で民営化を進めていくべきだ。全国のサービスの水準を落とさないサービスや、28万人の雇用を配慮しながら改革を進めていく一方で、大きな金融機関が誕生して経営に失敗をすれば国民に非常に大きな影響も出るので、健全な経営をしながら資金が民間にも回るような形での民営化を実現していくべきだ。小泉総理が一番の目玉にしていた分野なので、創意工夫して改革が進むような、国の保証の無い本格的な民営化が進むことを期待している。参議院選挙前に民営化の大きな枠組みを示して信を問うということが行われれば、国民にとっても政策を判断できるチャンスになる。経済同友会としても引き続き我々の考えをまとめて提言していきたい。

Q: 今月末に小泉内閣が発足して3年が経過するが、これまでの小泉内閣をどう評価しているか。

北城: 昨年経済同友会の代表幹事に就任したときに、小泉総理の政策に点数を付けてほしいと言われて、内政・外交を平均して60点という採点をしたが今は70点くらい差し上げたい。その理由は、小泉総理が「構造改革なくして景気回復なし」という信念をずっと貫かれたからだ。昨年景気が厳しい中で行われた自民党の総裁選の中で、「財政出動すべき、公共事業を拡大すべき」という対立候補がいる中で、大幅な財政出動をしないと言い続けた。現在でもこれだけ赤字国債を発行しているという意味では景気を支える政策かもしれないが、補正予算を組んで大型の公共投資をしないというメッセージを出し続けた。企業経営者が「景気が悪い、国に何とかしてほしい」という発言をする背景には、大型の公共投資による景気回復を期待するという気持ちもあったと思う。しかし、小泉総理が明確に「(財政出動を)しない」ということを言い続けたことで、企業経営者も政府に依存して、景気が良くなる、自社の業績が改善するということは期待できない、たとえ痛みがあっても企業自らが、構造改革、設備や雇用のリストラクチャリング、財務健全化に踏み切らなければならないと決断し、自らの改革を進めたのだと思う。事業を縮小・撤退し、雇用を減らしても企業の経営を健全化し、売り上げが伸びなくても利益が上げられる体質つくりに取り組み業績回復を達成した。その結果、海外の投資家からの信頼も得て株も上がったということだと思う。大きな政策の流れとしては、例えば不良債権処理、三位一体改革、規制改革・特区の導入についても一定の進歩があったと思う。ただし、ここのところ景気が回復してきている中で、抜本的な改革をすると痛みが出るからということで、先延ばしが起きることを逆に心配している。道路公団の改革について、民営化はされたが日本高速道路保有・債務返済機構も含めた全体の姿としては本来の民営化の目的とは異なっていると思う。年金改革も抜本改革と言われながら持続可能な制度としては疑問もある。非常に難しいと思うが小泉総理のリーダーシップで改革を継続していただきたい。

Q: 政府は何もやらない、民間が頑張らなければいけない、ということではないのか。

北城: 小泉総理は、何もやらないのではなくて「無駄なことは何もやらない」と言われている。民間企業経営者に、自己責任で自社の業績を上げるというメッセージは明確に伝わったと思う。ただし、官から民へ、中央から地方へという動きが大幅に進展して企業業績が良くなったかというとそこまでの成果ではない。民間経営者に自助努力を厳しく突きつけたという点、昨年の4、5月にあれだけ株価が下がって総裁選の際に「財政出動すべき」と対立候補が言う中で「大幅な公共投資をしない」と言い続けた点は総理の見識だと思う。あわせて手前味噌かもしれないが、経済同友会も財政出動を要求しなかった。構造改革を進めるべきだ、企業は厳しい中でも自己改革をして企業業績を上げるべきだという発言をしてきたので、総理の政策と同じだと思う。日銀短観でも、2004年度で売り上げは1%程度しか増加しないと見ているにもかかわらず、経常利益は10.5%増、税引き後利益は24.4%増と見ている。特別損失や、設備の除却、不良債権処理で赤字を出すということがなくなりつつあると思うし、企業に改革を実現させたという意味では小泉改革の成果だと思う。ただし、2006年までの3年間で抜本的な改革をして財政再建のめどを付けていただきたい。景気が良くなってきて長期金利が少し上がり始めて1.5%程度になっている。今のところ急にこれが2%に上がるという状況ではないし、景気の回復に合わせてなだらかに長期金利が上がっていくというのは自然な姿だと思うが、企業の資金需要が起きたときに財政再建についての信頼が失われると長期金利が先に上がってしまうリスクがあるので、そういう意味では景気回復を実現しながら財政再建のめどを付けるのは非常に重要だ。この分野で急な対策は取れないにしても、プライマリーバランスの均衡に向けての施策は痛みがあっても実行すべきだ。

渡辺: 代表幹事は70点という非常に前向きな評価をされた。私も、3年前に小泉政権が誕生したときに、改革をやる人がでてきたということに対して大きな期待を持った。代表幹事が言われたように、政府が余計なことをしないことが民を活性化させた。悪い言葉で言えば結果オーライだったということだ。改革については歩みだしたが、もっと進めてくれないと我々の期待は裏切られる。

北城: 政治は結果も重要だ。なおかつ、財政出動をせずにここまで景気回復を実現したということは総理の見識ということで、10点高くして70点と申し上げた。しかし道路公団の改革を見ているとやや問題先送りが出てきている中で、郵政公社の改革が本格的に進まないとまた後ろに戻ってしまうかもしれないと危惧している。民間企業でも業績が悪いときはリストラも受け入れる。景気が良くなってくると、「何故、水を差すのか」という意見が出てきて改革が先延ばしになる。そうなると長期的にプライマリーバランスの均衡という問題への対策が遅れるのではないか、という懸念は持っている。

渡辺: 景気か改革か、二兎を追うのかとメディアでも書かれたが、ここまで景気が回復してきたということは改革を進めるチャンスが来たということを示している、ということを同友会としては強調したい。

北城: 私は時々、「道路公団の改革など形ばかり」などと批判も申し上げるが、小泉改革を全く否定しているわけではなく、もっとやっていただきたいという主旨で言っている。

Q: 長期金利の上昇は、借りる側の企業にとってはどのような影響があるとお考えか。

北城: 今のところ、長期金利が1.5%程度なので非常に高いという状況ではない。企業が財務のリストラ、借入金の返済を行っているので資金需要が無いという状況だと思う。そういう意味で、今、企業業績に大きな影響が出るとは思っていない。しかし先ほど申し上げたとおり、2%を超えて急激に上がり出すと景気の回復に水を差しかねない。企業部門ではなくて、政府部門の赤字がリスク要因だ。急に赤字国債をなくすことはできないが、財政規律が働いているということが市場に分かるようなメッセージが出し続ければ急には上がらないと思う。逆に無駄なお金が使われ続けて赤字が拡大すると見れば金利は上がると思う。思惑で動くので動き出すと早いし、なかなか止まらないので先に手を打つべきだ。

以上

(文責:事務局)


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