ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨

日時 2004年03月16日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)政治の将来ビジョンを考える委員会意見書およびアンケート調査、(2)日銀・福井総裁就任1年、(3)金融政策、(4)消費税総額表示、(5)小泉政権3年、について発言があった。最後に、北城代表幹事から、独占禁止法の改正案についてコメントがあった。

Q:昨日、政治改革に関する意見書を発表されたが、その中で、政治献金についての調査結果とそれを踏まえた考え方を示された。節度ある献金については社会コストとして認めるべきである、という考え方が出されたが、軌道修正という見方もある。代表幹事としてどうお考えか。

北城: 提言の内容をご覧いただければわかると思うが、基本的に政治にかかる資金をどう負担するかについては、個人献金を中心にした方が良い、というのが経済同友会の基本的な考え方だ。会員にアンケートをした結果、約95%の会員は個人献金が好ましいという意見だし、政党助成金については約82%の会員が必要な手段として見ている。従って、党費と個人献金と政党助成金を中心とするのが望ましい。一方で、残念ながら個人献金をしている会員は約37%位と少ないのも現実だ。そのために企業による政党への献金については、行ってもいいという会員が約58%、行うべきではないという会員は39%と、容認派の方が多かった。しかし、積極的にこれを推進すべきということではないと思うし、私の考えも個人献金と政党助成金と党費を中心にするのが好ましいと思っている。

昨日の提言の本来の主旨は3つある。ひとつはマニフェストを中心とした選挙を行うべきであるということだ。参議院選挙に関しても、政権をとるという衆議院選挙とは違うにしても、政治の大きな意思表示をする場であるので、参議院選挙の前にマニフェストを出して頂き、それを評価する中で選挙を行うべきである。その方が、どの政党がどういう政治を行うかはっきりするので、個人献金が増えるのではないか。例えば郵政事業の民営化についても、参議院選挙の前に、どういう形が好ましいかを示して国民の真意を問うという意味でもマニフェストが必要だろう。二点目は、一票の格差の問題、衆議院選挙の完全小選挙区制の実施といった選挙制度の見直しのために第九次の選挙制度審議会を作るべきだということ。三点目は、世界の約140カ国で18歳から選挙権を認めているのだから、国民の関心を高めるために18歳から選挙権を認めてもいいのではないか、ということだ。以上の3つが提言の主旨なのだが、企業の政治献金に対する関心が高まっているということで、会員企業ならびに会員の意見をアンケートの形で調査して添付として提示した結果、関心がそちらに向いてしまい、提言の主旨が伝わらなかったように思う。

Q:マニフェストのPDCA(プラン・ドゥー・チェック・アクション)サイクルの中で、チェックについて経済同友会として行うことも考えているのか。

北城: 参議院選挙の前に、我々なりに小泉政権が掲げたマニフェストの実施状況については確認、評価をしていきたいと思っている。一方で、どのようなマニフェストを作ればいいかということも議論しなければならない。例えば道路公団の民営化についても、「民営化を行う」というマニフェストは出ていたので、一応、実行したという評価をすべきなのだろうが、内容から見れば、国の保証を付けて資金調達をするというのは本来の民営化の姿ではない。したがって、内容についてもう少し具体的な記述がないと、マニフェストの評価自体も適切に行えない。参議院選挙前には、こういう点は具体的なマニフェストで提示して頂きたいということもまとめられればと思っている。そして各党のマニフェストつくりの参考にしていただきたいと考えている。

Q:福井俊彦氏が日銀総裁に就任して今週末で一年になるが、この一年の金融政策についての評価を伺いたい。

北城: 大変積極的に日銀の政策を発表していただいて、マーケットとの良好なコミュニケーションができたと思うし、そういう意味ではすばらしい活動をされたと評価している。日銀の金融緩和政策をいつまで続けるべきかについて色々と議論もあるが、この一年間の経済の回復に日銀が果たした役割は大きかったと思う。実行した政策ならびにそのコミュニケーションについては非常に良かったと思う。今後は景気が回復していく中で、今の低金利政策をどのような形で軌道修正していくか、それをどうマーケットに伝えていくかが重要になる。

Q:代表幹事としては、軌道修正を(検討)する水準として、どの程度の株価あるいは為替を想定しているか。

北城: 具体的に株価がいくらになったら軌道修正する、あるいは経済成長率が何%になったら軌道修正するというのは、数値的には言いにくい。しかし、持続的に経済が成長し、デフレを克服する、つまり名目成長率でプラスが連続する、デフレーターがプラスに転じるということがあれば、景気回復が本格的だと判断してもいいと思う。それ以降なら、経済運営を本来の姿、つまり長期金利についてはある程度の負担があるという正常な状態に戻していく必要がある。

Q:金融政策を転換すべき状況に来ているという認識か。あるいは条件が揃いつつあるという認識か。

北城: 基本的には条件が揃いつつあるということで、今すぐ政策を転換するほど日本の経済は堅調だということでもないと思う。海外に依存した経済運営なので国内を中心とした経済運営に軌道修正しながら金利の問題にも対処すべきだ。従って、景気がよくなったからといって安心せずに、小泉総理が掲げる構造改革を実行しながら金利の正常化も行うべきだ。金利だけ先に手を付けて、構造改革の導入を遅らせるということでは問題だ。本来の構造改革の中には、景気に悪い方向で働く分野もあるが、今実行すべきだ。プライマリーバランスの達成にも痛みはあるが、今からやるべきだと思う。

Q:日銀は現在、金利を誘導目標にしていないので、量的緩和を縮小することによって結果的に金利をある程度戻すという理解でいいか。

北城: そうだ。当座預金の積み上げが20兆円、30兆円と増えている中で、短期金利、長期金利の動向にどう影響を与えているか、その効果については疑問の点もあるが、日銀が長期的に金利を低めに誘導しているというメッセージを伝える意味では良かったのではないか。今後の政策手段としては量的緩和政策を変えながら金利が正常化に向って動いていくと思う。しかし、それは長期的に経済が安定して成長し、なおかつデフレ脱却が明確になってからだと思う。また明確になったからと言っても、すぐにやるということではなく、量的緩和を軌道修正しても経済に大きなインパクトが出ないことを確認してから実行すると思う。画一的にある数値を超えたらすぐ実行するということではないと思う。

Q:日銀の大規模な為替介入については、どうお考えか。

北城: 為替の介入というのは、基本的には急激な変化を抑える、マーケットの思惑によって円高・円安に急激に振れることに対して介入をして変化を緩やかなものにする、というのが本来の主旨だと思う。そういう意味では、今回の為替介入は、額は巨大だったがある水準で円が安定するということでは効果があったと思う。しかしある水準を維持するために介入を続けるのは本来の姿ではない。為替は国力と金利の動向を踏まえてマーケットが決めるということを原則にしていくべきだ。日本は固定相場制ではないのだから、巨大な介入によってある水準を達成するというのは、為替政策、金融政策としては好ましくない。長期的には、健全な経済運営をして国力が強くなって産業の競争力が高まって、その結果自国通貨が高く評価されるというのは本来悪い事ではないと思う。通貨が下落していくような経済運営のほうが問題だ。

Q:為替介入については、そろそろ抑制していった方がいいということか。

北城: 基本的には市場で決まるということを原則にするべきで、ある特定の相場に向けて為替介入するというのは本来の姿ではないと思う。今のところ110円くらいで相場は安定しているが、為替の介入が無ければ105円から100円を切るような形で動いたかもしれない。そういう急激な変化を抑えて、ある程度安定した為替の推移に持っていったという成果はあったと思う。

Q:4月1日から消費税の総額表示が始まるが、消費動向に与える影響についてどうお考えか。表示の変更によってコンピュータ業界の受注が増えるのではないか、という意見もあるが。

北城: 基本的には変わらないと思う。端数処理の仕方によっては、若干の値上げになったり、値下げになったりすることはあっても、支払額が根本的に変わるわけではないので景気にそう大きな影響は出ないのではないか。システムの更改に伴う費用もそう大きくはないようなので、景気に大きな影響は無いと思う。これまでは消費税を外に提示する形なので、実際の支払い金額が良く見えなかった。今後は、消費税の値上げが行われた際にも、いちいち消費者が(消費税額を)計算しなくてもいいので、提示している価格の中に、消費税が入っていればそのまま支払えばいい。そういう意味でも総額が見えることはいいことだ。消費税率上げの準備ではないかという議論もあるが、実際に消費税率が変わった際にも混乱は逆に少ないのではないか。ヨーロッパでも総額表示であり、国によって消費税の税率が違っても、提示されている値段を払えばいいという制度の方が、実際の運用にとってもいいと思う。

コンピュータ業界にとって特需になるというような大きなシステムの変更ではない。ソフトウェアの変更で対応できる範囲だと思う。

Q:来月で小泉総理が政権について3年が経過するが、これまでの評価と、今後やるべきこと、今の改革が十分かについて、お聞きしたい。

北城: 小泉総理の構造改革のメッセージは効果があったと思うし、この3年間の取り組みを評価している。自民党の総裁選の中でも、対立候補から「財政出動すべきだ」という意見があった中で、公共投資の拡大を含む財政出動をしない、構造改革によって景気を回復させるというメッセージを言い続けたのは、政治的に大きな判断だったと思う。特に株価が下がって景気回復が見えない中で、構造改革の姿勢をとり続けたというのは総理の決断だったと思うし、非常に大きな政治的成果だったと思う。また、総理が構造改革を3年間言い続けて、公共投資の拡大による景気回復策をとらないというメッセージが明確だったために、民間企業が財政出動による景気回復への期待感を持たずに、自らリストラを含めて厳しい施策をとらざるを得ないという決断を迫ったという意味では効果があったと思う。ただし、不良債権の処理や特区の導入に代表される規制改革、三位一体の改革等、政権運営での成果もあったと思うが、景気の回復については主として民間企業の努力だったと思う。

これから総理に期待しているのは、本格的な構造改革の実行だ。道路公団の改革については、新しい道路を作るための資金調達に政府保証をつけるということは、道路公団、民営化会社の経営が健全に行われているかどうかマーケットの評価なしに資金調達が行われるという意味で、本来の民営化ではない。今の政治情勢では第一段階としてここまでしかできなかったとすれば、今後の活動の中ではよりディスクロージャーを高めて頂いて、今の民営化でいいかどうかを議論してもらいたい。これから大事なのは郵政公社の民営化を国の保証の無い形でどのように達成するか。三位一体の改革についても補助金を削減して税源移譲を行い、地方の経済運営のスリム化も含めて本格的に実行する。規制改革についても一部の特区の導入ではなく全国的に規制をなくす。特に医療、介護、教育、農業等の分野で規制を無くして経済を活性化することに積極的に取り組んでいただきたい。FTAについては前向きに取り組んでいるようだ。官から民へ、中央から地方へ、痛みはあるが構造改革に大胆に取り組んでいただきたい。長期的にはプライマリーバランスの達成が無ければいずれ財政の破綻が長期的な金利の上昇をもたらす。今の段階で構造改革に踏み切っていただきたい。当然、年金も抜本的な改革を進めていただき、そのために、総理は自らの政権では実行しないということだが、消費税の導入を少なくとも決めていただきたい。

独占禁止法の改正案について

北城: 特に質問は出なかったが、経済同友会では、昨年公正取引委員会から提示された独占禁止法の改正案に対して、パブリックコメントを発表したが、そのスタンスは今も変わっていない。独占禁止法の改正に賛成・反対ということではなくて、具体的にどういう改正をするかの最終案を早く提示して頂きたいということだ。我々は個別の問題、例えば課徴金については社会的な損失という計算根拠は明確ではないので、明確にした上で課徴金を上げる必要があるかどうかを議論して頂きたい。措置減免については賛成している。不可欠施設については各業界を規定する法律との関係が明確ではないので反対である。その上で、我々の意見を踏まえて最終法案を早く提示してほしいという意見だった。それ以降、公正取引委員会においても色々な動きがあるようだが、法改正の具体案が見えないので賛成・反対を言うのは難しい。公正取引委員会として最終法案を早く提示してほしい。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。