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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年03月02日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事

冒頭、北城代表幹事から「2004年3月(第68回)景気定点観測アンケート調査結果<中間集計速報>」について説明があり、その後記者の質問に答える形で(1)新任副代表幹事内定、(2)内需の拡大、(3)企業不祥事、(4)商品市況の高騰、(5)新拠出型年金制度、(6)道路公団民営化、(7)郵政公社民営化、について発言があった。

Q: 先週、新任副代表幹事三名が内定したが、改めて選出の理由を聞きたい。

北城: 今回任期満了に伴って、オリックスの宮内会長とリクルートの河野会長が退任される。内規では二期四年だが、河野さんは二期四年、宮内さんは五期務められて今回退任される。一期二年務められた、リコーの桜井社長、三井不動産の岩沙社長、りそなHDの細谷会長は一期二年なので再任を推薦する。

新任としては、ヤマト運輸の有富会長、IT関係のベンチャーであるフューチャーシステムコンサルティングの金丸社長、新日本製鐵の三村社長を内定した。有富さんは、代表幹事の活動について大きな方向付けをする諮問委員会で積極的に活動していただいていると同時に、諮問委員会の下に作った道路公団の改革についてのプロジェクトチームでもご活躍いただいている。規制のある中で新しい事業の拡大に挑戦されてきた。金丸さんは、ベンチャーがたくさん創出され、発展できるような社会を作ろうという新事業創生委員会の委員長として活躍されており、それ以外にも色々な委員会の副委員長を務めてこられた。三村さんは、諮問委員会の委員として積極的に活動されており、かつて郵貯改革委員会(2001 - 2002年度)の副委員長を務められた。日本の競争力の原点はまさに製造業にあるということで、製造業の経営者にも加わってもらおうという意味もある。ということで、以上の三名を四月の総会に推薦することにした。

自分で言うのも何だが、非常に伝統ある製造業、サービス産業、ベンチャーの若手経営者ということでバランスが取れていると自負している。今回河野さんが退任されるので女性経営者も考えたが、今回は上記三名ということで女性の副代表幹事は一名減る。

Q: これまで外需依存で景気が回復してきたと言われているが、昨日、今日と株価が回復しており、特に外国人投資家が内需関連株を買っているということもあるが、内需の回復についてどのように評価しているか。

北城: 内需が拡大していくということは日本経済の回復にとって重要だと思っている。これまで輸出と現地での活動も含めて外需に依存していたということだが、海外の景気がどう推移するかは常にリスク要因だ。世界第二の経済大国として、内需、特に生活関連の事業が拡大することは望ましい。実際に内需が拡大しているかといえばこれからだが、少なくとも、将来の発展を期待して海外の投資家が投資をしている、ということでは、将来の発展への期待は高まっている。内需拡大のためには、規制緩和と補助金行政を変えていかないと、新しい事業はなかなか出にくいので、改革が必要だ。

Q: 昨日総会屋への利益供与で西武鉄道の専務が逮捕され、また鳥インフルエンザを発病しているにもかかわらず出荷してしまった浅田農産など、一向に企業不祥事が減らない。経済同友会として今年はCSRに積極的に取り組んでいるが、代表幹事としてどのように考えているか。

北城: 個々について事実関係の詳細は知らないし、どこに問題があったかは新聞報道でしか理解していないが、企業の社会的責任という意味では非常に大きな問題だ。実際に、経営者がどこまで意思決定に関与したかは分からないが、トップとして問題が起きないような経営の仕組みを作る、例えば、コンプライアンスの専門部署を作って、問題が起きたときに内部通報も含めて社内で風通しよく経営トップに問題が上がる仕組みを作ることが経営者の使命だ。CSRは企業が持続的に発展するためにも必要だが、官から民へ、また経済の活性化という意味で、株式会社がより公共的な責任を持つ分野へ進出する際にも必要なことだ。(一連の不祥事は)その流れにも逆行するし、社会の信頼を失うような企業経営をすること自体が株式会社の信頼喪失につながる。そういう意味で一層CSRの重要さを今後も訴えていきたいし、自らも努力していきたい。

ただし、鳥インフルエンザについては、問題が起きたときに出荷停止等の措置を取ると、経済的に非常に大きな打撃があるので、出荷停止をすることが大きな不利にならないような国の補償の仕組みを作らないと、問題を起こしかねない。しかし、それで責任を免れることにはならないことは当然である。

Q: 最近の商品市況の高騰を受けて、これがうまく流通価格に転嫁されればデフレが終わるのではないか、という見方については、どうお考えか。

北城: 確かに原材料、素材関係、船賃の高騰がコスト高を招く、それが製品価格に転嫁されてデフレを克服するということについては一定の効果があると思う。一方で、技術革新が最終製品の性能を高めるということもあるので、原材料が上がればインフレになるということではない。中国の経済発展が続けば、原材料の高騰という状況は、一過性のものではなくしばらく継続すると思うし、デフレ克服には良い方向で貢献すると思う。

Q: 先週、新拠出型の年金制度の提言があったと思うが、これについて日本版401kがなかなか普及しない状況で、具体的にどのようなことをすれば普及するとお考えか。

北城: 基本的には基礎年金の部分は消費税で対応するというのが新しい発想で、こういう提言は他にも出てきている。これを行ったうえで、年金制度の二階部分に当たる所得比例部分は私的年金にすべきではないかというのが我々の提言だ。401kも私的年金の一つの形だが、まずは厚生年金の企業負担相当部分は継続拠出をするかたちで私的年金に移行すべきだというのが我々の提言なので、そういう意味では新しい制度をつくろうということだ。現在の401kは、税制優遇金枠が少ないので定年まで運用しても退職後の生活の大きな支えにはならない。税制の見直しにより401kの拠出限度額を拡大しないと大きな制度には発展しない。

また401kを導入しても、そのお金を預貯金で運用する人が多い。そういう意味では株式投資へのインセンティブ、一つは株式投資の魅力を社会的に伝える。もう一つは税制でも、株式投資が優遇されるような制度にしていった方がいい。昨年の5月、6月以降の株価の回復を見ていると、ほとんどの週は海外投資家が買い越して、国内の機関投資家、金融機関、事業会社、個人はほとんどの週で売り越している。株式市場が回復して株価の上昇による資産の形成は海外の人たちがメリットを受けて、国内の特に個人の資産形成には貢献していないということは残念なことだ。株に投資して、株価が上がる、配当が得られることで個人の資産が豊かになる、それが資産効果として消費に結びついていくという意味では本来はいい循環が起きるところだ。401kも含めて個人が株式市場に参入するような制度を作っていく必要がある。株の値上がり益に対する税金はかなり優遇されているが、損失を他の所得と通算する総合課税の仕組みにした方が株式への投資が進むと思う。配当の利回りだけを見れば既に預貯金よりも有利になっている銘柄はたくさんあるが、下がるリスクが心配だということで株へ投資しない人も多いので、他の所得との通算ができればそのリスクは軽減できると思う。

Q: 今朝、石原国土交通相が道路公団民営化法案の概要を発表したが、新会社の資金調達コストを下げるということで、政府の関与を強める内容になっている。この点について、どうお考えか。

北城: 新たに作られる民営化会社の資金調達に政府保証をつけるということについては、それによって金利を下げることができ、元本の返済が容易になるということで一見よさそうに思える。しかし、本来、民間会社は借り入れをする際に、その金利を優遇してもらうためには健全な経営をしなければならない。そういう意味で資金調達の規律が働く。また、万が一、借入金が返済できなくなったときに、国の保証がないということで経営者としての責任が強まる。そういう意味で資本市場から調達することによって企業経営の規律が働くということに悪い影響を与えるということで、(今回の法案は)仕組みとしては好ましくない。もちろん、それぞれの会社の社長が規律を持って運営するということは大前提だが、規律を持たせるような仕組みを構築することがあるべき姿だ。本来の民営化の目的のひとつは、必要の無い道路を作らないことによって40兆円の借金を返済するということだ。少なくとも今までの仕組みは借入金を拡大する方向に動いていた、不採算の道路を作ってしまったということだ。であれば、まず不採算の道路を作らない、そのための規律が働くということが今回の仕組みでうまく機能するのか。もう一つは民営化による創意工夫によってコストを下げ、道路料金を引き下げる。そのためには民営化会社が利益を出せる、その中で料金を引き下げるという効率経営をしなければならない。効率経営に関するインセンティブが働く仕組みを作らないと料金値下げにも至らない。そういう意味で、利益を出せる仕組み、特にコストを下げた成果はまずは利益として還元される仕組みがないと効率化はできない。この二つが実現できる民営化であってほしい。

Q: これから本格化する郵政の民営化について、どんな議論を期待しているか。

北城: これから具体策が決まると思うが、郵便は民間との競争ができる分野だと思う。郵貯と簡保に関しては、国の保証がない運営に変えていく必要がある。郵貯の運営は元本を含めて国に保証されている。簡保も国家保証の下で運営されている。基本的には国の保証が無い経営にするというのが大前提だ。その上で、民営化の形態をこれから議論すべきだ。

できれば参議院選挙の前に、ある程度の骨格を示して国民の信を問うという形が好ましい。選挙前には論点整理だけで具体的な姿が見えないということでは、選挙で国民が意思表示する機会を失う。マニフェストの中で具体的な方向を出して選挙に臨んだほうが国民の支持を得て改革が進められる。ややこしい問題は選挙の前には言わないで、選挙が終わった後で、場合によっては国民が反対すると思われる政策を実行するというのは政治の仕組みとして好ましくない。また、民営化するというだけのマニフェストではマニフェストにならない。

以上

(文責:事務局)


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