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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2004年01月16日(金) 14:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事からコメント「参議院選挙無効訴訟最高裁大法廷判決」について説明があり、その後記者の質問に答える形で(1)春闘(労使交渉)、(2)西友の希望退職募集開始、(3)65歳定年延長について発言があった。

Q: 春闘の時期だが、昔の春闘のような賃金交渉は影を潜め、労使ともに競争力の強化や雇用の確保をいかに両立させるかについて交渉している。労使交渉のあり方、春闘全般についての感想、春季労使交渉のあり方への提言等を伺いたい。

北城: 給与に対する考え方が、以前のように年功序列で毎年給料が上がっていく仕組みを前提として、それぞれの企業の給与水準をどう変えるか、ということであれば春闘の意味があったと思うが、いまや基本的に賃金は個別企業の労使が考えるべき問題であって、産業界全体として決めるというのはふさわしくない。多くの企業で成果型の処遇の仕組みに変わっているということもあるので、一律にベースアップを議論しても意味が無いのではないか。これからは、個別企業で業績の非常に良い会社は給料やボーナスを上げるべきだし、競争力に問題のある企業は昇給も難しいということもあると思う。毎年給料が上がるというのではなく、それぞれの人の仕事の成果に応じて給料が決まる、上がる人もいるし下がる人もいるという方が、国際競争力のある賃金体系に持っていけると思う。ある時まで非常にいい成果を上げている人は給料もあがるだろうが、ある程度の年齢になってもう少し仕事の量を減らしたいという人がいれば途中から給料が下がるということがあってもいい。多様な働き方を認める賃金体系にしないと柔軟性も出ないし、国際競争力も出ない。

Q: 日本IBMは賃金交渉をどういう形でおこなっているか。

北城: 基本的に成果に応じて処遇するという形をとっている。以前は、年齢による昇給と業績評価に基づく昇給を組み合わせていたが、私が社長になった頃から、年齢による昇給は無くして成果による処遇に一本化している。従って一律に何パーセント昇給ということを議論しても意味はない。そうは言っても新入社員の頃は一年たてば前の年よりは仕事ができるようになるので、若い頃は毎年昇給する人が多いというのが実態だ。

Q: 個々人に応じて賃金を決めていくべきだということだが、その場合、組合との話し合いはどういう形にすべきとお考えか。

北城: 例えば評価の仕組みはどのようにするか、評価した結果をどう社員に公表していくか、昇給の原資をどう配分するか等について話し合っていくべきだ。一人一人の給与については個別に対応していくべきだ。組合で全員の昇給率をある数字で上げるということにはならない。評価の客観性と透明性と言われるが、私の経験からいくと科学的に客観というのは無い。人が人を判断するわけだから、できるだけ納得性のある仕組みをとるということであって、客観という言葉にとらわれるべきではない。客観性というと、色々な項目を出して点数を付けてという意見が出るが、それでは現実的な運用はできない。評価は総合的なもので、点数を付けて評価できるというものではないし、目標値を低く設定してそれを上回れば給料が上がるようなことになれば、目標の設定自体が問題になる。より納得性のある仕組みを作ればいいと思う。

Q: 一昨日、日本経団連の労使フォーラムで、奥田会長が生命保険を見直してある程度家計を切り詰めて、身の丈にあった生活を行ったらどうかという講演(家計リストラのすすめ)を行った。これについて生保業界からクレームが来たりしているようだが、感想を伺いたい。

北城: 個々人の生活に関する価値観はそれぞれ違う。保険を増やすという考えも、減らすという考えもあるし、資金運用でも預金を増やすという考えもあれば、もっとリスクをとって証券や投資信託に投資する、これもそれぞれの家庭が考えることではないか。

一般的に言うと、日本の個人金融資産の中で証券(株式)が占める比重は少ないと思う。そういう意味では、国の資金の再配分の仕組みとしては、最も効率の良い証券市場がうまく機能していないと思う。預金は間接金融で銀行経由での資源配分になってしまうので、もっと直接市場が活性化するような、個人の金融資産が株式に向う仕組みが必要ではないか。税制等を含めて直接金融(株式市場)にお金が回る制度にして、後は個々人の価値観だと思う。日本では個人の金融資産の5パーセント程度しか株式に回っていない。一方でほとんど金利がゼロに近い預貯金に5割を超える金融資産が回っているのは異常だ。米国の場合は20年、30年という長期で見てみれば、株式のほうが金融資産よりも良いリターンがある。企業経営者が預金よりも良い成果を出すように経営をしているからであり、預金よりも経営の成果が出なければ経営者は交代を要求される。個々の銘柄をとれば別だが、長期的に見てみれば株式市場の方が銀行の利子よりも良いリターンが出るのが、本来のあるべき姿だ。日本がそうなっていないとすれば経営の問題もあるわけで、経営者は銀行預金を上回るような成果を出すのが原則だ。その成果は株主への配当や自社株の買戻しで還元していくべきだ。

Q: 「家計リストラのすすめ」は、言ってみれば個々人の価値観なり考え方で異なるから一概には言えないということか。

北城: そういうことだ。ただし、もう少し直接市場(株式市場)に金融資産が回っていった方が国の資源配分の仕組みとしては効果的だと思う。

Q: 西友が正社員の25%(約1600人)の希望退職を募集するという報道があったが、希望退職が予定通り集まらなかった場合、退職勧告を行うとのことだ。これまで日本では退職勧告まで踏み切る企業は多くなかったと思うが、今回の西友が取ろうとしている思い切ったリストラ策について、どうお考えか。

北城: それぞれの業界や企業の経営判断だと思う。それだけ厳しい手段をとらなければ企業として十分な経営ができない、企業の存続ができない、という判断であれば、それを実行するというのも経営判断だと思う。日本に限らず海外の経営者も雇用を維持することについては好ましい、望ましいと感じていると思う。しかし、厳しいリストラをしなければ企業が存続できないということであれば残った社員全員が路頭に迷ってしまう。西友がどういう環境に置かれているかは分からないが、個々の経営者が厳しい判断をすることはある。

Q: 日本の場合、労働基準法では解雇ができることになっているが、事実上は整理解雇では合理的理由などの四要件が必要だし、解雇を乱用してはいけないという最高裁の判決も出ている。昨年、解雇の自由を労働基準法で明記するべきだという議論があったし、最近も在日米国商工会議所が何度も解雇の自由を日本でも実施するべき、それが雇用を増やすという主張をしている。解雇の自由、解雇権を実質的な意味で経営に与えるべきだという議論もあるが、どうお考えか。

北城: 解雇する権利が非常に制約されるということになると、企業は採用、特に正社員の採用について慎重にならざるを得ない。採用にも解雇にもある程度の自由度がある方が、企業の採用も増える。そういう意味では、雇用の形態が正社員だけを前提としたものから、多様な雇用形態を提供する社会の仕組みにしていったほうが良い。社員の側も、正社員として全勤務時間を仕事の場で使いたいという人もいれば、ある時期には子育てに使いたいといった多様な価値観があると思う。そうした多様な価値観で働ける環境を作っていくほうが、より柔軟で労使ともにお互いのニーズにあった雇用形態が取れる。正社員だけを前提とした雇用システムは、これからは適さないのではないか。

Q: 65歳定年延長の議論が進んでいるが、代表幹事のお考えは。

北城: 長期的には、定年というある年を区切って退職してもらうということよりも、良い仕事ができる人はずっと仕事を続けられるという仕組みの方がよい。その代わり、本人が成果を上げられなければ処遇が厳しくなる、あるいは退職してもらうこともある仕組みの方が柔軟で良い。ただし、今そのような仕組みで運用されていない段階でも、企業としてはいい仕事をできる人は当然65歳を越えても働いていただきたい。我々の会社でもプロジェクトマネジメントを行っているような、年齢にかかわらずに働いてもらいたい社員はたくさんいる。そういう意味ではいい仕事をしてくれる社員は65歳を越えても働いてもらいたい。逆に言えば仕事の成果に見合わない処遇の社員を今の仕組みのまま給料を下げずに定年延長することは難しい。企業の競争力がなくなってしまう。原則は成果に応じて処遇をするという仕組みが入れられれば、長期間にわたって勤務する、65歳まで働いてもらうことも可能だと思う。

渡辺: りそなも三割の賃金を削った。一つの企業が払える総人件費には限界があって、それを雇用数で考えるか、平均賃金で考えるか、年齢で考えるか、ということだ。限りのある総人件費を、働く人たちが生産性を上げてどのように配分するかという工夫を、個々の企業が業態や置かれている状況に応じて模索する段階に入ったのではないか。

北城: 一般的に言うと、給料は仕事の成果が上がれば上がる。ところが日本の場合には、その給料を仕事に見合う成果が出なくなっても下げることができない。(社員の同意があればできるが)不利益変更が認められていない。ある段階になって仕事の成果が出ない、あるいは本人の考え方でもう少し仕事に使う時間を減らしたい、というニーズがあっても給料が下げられなければ、企業としてはそのまま定年を延長するのは難しい。日本の会社でも成果に応じて給料を変えられる仕組みを取っているところは、レイオフや希望退職等をせずに雇用政策を柔軟にやっているところもある。成果に応じて処遇を決められれば、先ほどの定年の問題も解決していくと思う。

Q: 給料を下げられるのであれば65歳に延長しても、経営者として痛痒は感じないということか。

北城: 仕事の成果に応じて給料を変えられるのであれば65歳でもいいと思う。多くの会社は正社員以外に外部の派遣社員、パート社員を採用しているわけで、それに見合う処遇をするのであれば定年を延ばしていくことも可能だと思う。当面は60歳で再雇用という形になるのではないか。その際には仕事に見合った処遇をするということになると思う。

以上

(文責:事務局)


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