ページの先頭です

ページ内を移動するためのリンク
本文(c)へ
グローバルナビゲーション(g)へ
ローカルナビ(l)へ
サイトのご利用案内(i)へ

ここからグローバルナビです。

グローバルメニューここまでです。

ここから本文です。

記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年12月16日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)フセイン元大統領の拘束、(2)日銀短観(景況感)と政府に求める政策、(3)年金改革、(4)トヨタ自動車の整備士試験漏洩問題について発言があった。その後、意見書「道路四公団改革は『民営化推進委員会意見書』に基づき決定を<道路四公団民営化案に関する考え方>を発表した。

Q: フセイン元大統領の拘束は、イラクの安定・復興にどのようにプラスになっていくとお考えか

北城: フセイン元大統領の拘束によってイラクの治安が安定することを期待している。フセイン政権の残党がテロを行っている面もあるので、象徴的な意味での中心人物の不在が治安の安定に寄与すれば良いと思っている。ただし、他の面でのテロもあるのでこれからどう推移するかについては危惧しているが、長期的な方向としては治安の安定化に進むという期待を持っている。

Q: 自衛隊のイラク派遣はやりやすくなるという認識か。

北城: 治安が安定した上で民生が安定する、生活環境が確実に回復していくことがイラクの安定に重要なので、そういう意味での人道的支援は重要だ。したがって治安が安定すれば自衛隊の活動はより行いやすくなると思う。

Q: 先週日銀の短観が発表され、大企業製造業について結構よい数字が出ている。景気は本格回復に向けた正念場という認識だと思うが、こうした芽をつぶさずに、税制や金融といった分野でどのような政策を政府に求めていくのか。

北城: 日銀の短観において、製造業大手は景気が改善していると判断しているし、中小の企業や非製造業などの全てのカテゴリーで前回より上昇傾向を示している。一方、先行きについては製造業を中心に厳しい見方となっている。輸出と海外市場の好調が日本の景気の回復に貢献しており、特に製造業大手の分野では米国、中国、東南アジアの景気がどのように推移するかが日本の景気動向に大きな影響を与える。当面米国の景気は良いようだが、来年の後半を考えるとリスク要因にもなりうる。日本の内需拡大を通した景気回復に政策の舵を切っていくべきだ。そういう意味では小泉首相が掲げる構造改革、官から民へ、特に規制等を無くして民間活力を大きくするということは非常に重要だ。また、地方への権限委譲、三位一体の改革も大胆に進めるべきだ。

しかし、現実の政策を見てみると今回の年金改革などは改革と言えるほどのものになっていない。この例などを見ると、官から民へという民間の活動の場を広げるという名の下に政策を進めているにもかかわらず、官による年金のシステムの肥大化、より大きな年金制度を作っている。こういう政策を実行していては構造改革が進展しない。年金改革については、我々は失望している。

Q: 年金について先日、自民党の額賀政調会長と会談された際に、経済界が協議会の設置を求めたようだが、その後、どのように進展しているか

北城: 協議会は、経済団体が年金問題を引き続き検討していこうということで出てきたもので、額賀政調会長と一緒に協議会を設置するということではない。経済界の主張は年金の改革だけではなく、大きな政府によってではなく、できるだけ民間主体の経済運営を進め、社会保障と医療と税を含めた国民負担率を国民所得の50%以内に抑えるべきではないかということだ。全体の国民負担率がはっきりしない中で、年金の分野だけを今決めるのは問題だ。(協議会では)全体の姿を決めた上で年金の改革をどう進めるべきかを議論したい。(政府には)国民負担率の観点で一年程度かけて抜本的な見直しをお願いしたい。

Q: なぜ、年金の抜本改革はできなかったのか。議論のどこに問題があったとお考えか。

北城: 今回の年金改革の際に、いろいろな前提のもとに給付と負担の計算が行われていると思うが、その前提が明確に開示されていない。人口の推計については開示されているが、例えば国民年金の未納者37%の比率が今後どのように推移することを前提にしているのかなど、いくつかはっきりしない点がある。国民に判り易く、どのような前提をおいて今回の計算が成り立っているかを示していただきたかった。また、給付について、在職者の給与の50%が適切な水準であろうという前提になっているが、この50%という水準が適切であるかどうかという根拠について国民的議論をすべきだったのではないか。世代間の負担について、数が減っていく働く世代から厚生年金は強制的にお金を集めて退職する人に給付する、という構図そのものが成り立たないのではないか、という議論も十分されなかったのではないか。

若い世代と話していると、将来給付が増えることより今の負担が増えることの方が重要(問題)だ、という意見が多い。厚生年金は、法律で定められた保険料を給与天引きで強制的に支払わなくてはならない。しかし、厚生年金を脱退して国民年金に入りたいという若者もいる。将来年金制度がどうなるか不明なのに、大きな金額の厚生年金を納めており、また国民年金の未納分の補填に充てられているのではないか、ということを考えると、選択の自由を与えて欲しい、という意見だ。厚生年金は強制的にすべて払わされてしまうということへの反発もあるようなので、厚生年金と国民年金の給付と負担のバランスもよく議論することが必要だ。

最低限の生活は国が保障するとしても、老後の生活の水準について関与するのではなく、個人の生活については各々の判断で決めるべきではないか。

渡辺: 根本は、現在の年金制度が破綻していると考えるか、あるいはこの程度の弥縫策でもつと考えるかという問題だ。経済同友会は破綻していると考えている。いくら辻褄合わせをしても数年経てばまた見直しになる。改革ではなく改悪ではないか。抜本策を検討した方が将来のためになる。

国民年金と厚生年金の選択の自由は、「法のもとでの平等」という観点から見てもあって良いと思う。事業主やフリーターは選べて、サラリーマンは強制的に負担を強いられるのは、税の平等性という観点から見ても問題ではないか。

Q: 今後、経済同友会では「選択の自由」を求める主張をするのか。

北城: 経済同友会は、現在の仕組みの抜本改革を求めている。年金、医療、税などトータルの国民負担を考えたうえでの年金制度を提言しているので、基本的主張は変わらない。今回改革案がまとまるとしても、引き続き抜本改革を求めて議論をしていきたいと思う。

Q: トヨタ自動車社員による整備士試験問題の漏洩について、副社長と担当役員の減給、会長、社長の給与一部自主返納という形の処分をしたが、それについての妥当性はどのようにお考えか。

北城: どのような処分が妥当かは、それぞれの企業の判断だ。この件も含めて企業の不祥事や事故が発生しているが、これは経済同友会が掲げているCSR(企業の社会的責任経営)の中の重要な一項目だと思う。企業は社会から見て好ましい経営を行うべきで、その中には環境への配慮、法律に違反しないという遵法精神(コンプライアンス)、高い倫理観を備えた経営や社会貢献も含まれる。富士ゼロックス会長の小林陽太郎前代表幹事が纏められた社会的責任経営に関する白書の中で、110のチェック項目を作った。現在そのチェック項目について、同友会の会員に試行的に、CSRの取り組みの進展について評価を求めている。今回のような不祥事も含め、我々の定めたチェックリストで十分に対応できるかどうかを検証している。来年以降のCSRの推進の中に活かしていきたい。

Q: トヨタ自動車の不祥事が発覚した翌日に、社長が国土交通省に謝罪し、奥田会長が経団連の会長としてトヨタ自動車に厳重注意処分を行った。トヨタ自動車の危機への対応の速さが話題になっている。これについての感想は。

北城: 非常に速い対策を取られたと思う。企業のトップとしては、問題が起きたときに、その詳細や背景、再発防止策を検討したうえで外部に意見を表明したいところだが、調査に時間がかかれば、逆に情報開示が遅れてしまう。まずは迅速に情報を開示して行動をとるということは、危機管理としては適切な対応だったのではないか、と思っている。

以上

(文責:事務局)


ローカルナビここまでです。

ここからサイトのご利用案内です。

スマートフォン版サイトに戻る

サイトのご利用案内ここまでです。