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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年12月02日(火)13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事

冒頭、北城代表幹事から「2003年12月(第67回)景気定点観測アンケート調査結果<中間集計速報>」について説明があり、その後記者の質問に答える形で(1)足利銀行の破綻処理、(2)イラクへの自衛隊派遣、(3)独占禁止法研究会報告書についての意見、(4)FTA、(5)景気の認識、(6)円高について発言があった。

Q: 金融庁は、りそな銀行は救済、一方足利銀行は破綻処理・一時国有化という形を採ったが、これについていかがお考えか。

北城: 今回の決定は、監査法人の監査の結果に基づき、債務超過に陥っているかどうかの判断を受けて実行された。法律に規定された制度に応じた対処ということで適切だったと思う。結果としては株式市場も安定して推移している。不良債権処理についてさらに進展が見込まれ、かつ破綻処理については法律に基づいた透明性のある行動がとられることを、市場が前向きに評価したのだと思う。りそなについても、当時は適切な判断だったと思う。

Q: 一時国有化という形を採ることで、株券の価値がゼロになる。足利銀行の場合は増資をしたこともあり、善意の株主・投資家もいると思うが、そのような株主・投資家にも一律に株主責任を負わせることについてはどのようにお考えか。

北城: 債務超過に陥った場合の処理については制度として規定されていることなので、株主としてのリスクは前提だと思う。株式投資にはリスクとリターンがあり、今回はリスクが現実化したということだろう。投資家に十分な情報が公開されていたかについては、その時点その時点での監査法人の意見に基づく判断だと思うし、監査法人もその時点で得られた情報に基づく監査を行ったと思う。3月期時点での監査に問題があったかどうかについてはこれから検証するとしても、株式投資にはリスクがあるという前提で判断をするべきだと思うし、結果として価値がゼロになることは、株主責任としてのリスクだと思う。かえってリスク・損失を無くすこと自体がモラルハザードだと思う。

Q: 足利銀行の新しい経営陣の選出が行われるが、トップとしてはどのような人物が相応しいと思われるか。

北城: 銀行経営についての見識は必要だが、それ以上に、行員の方々の不安もあるので、組織運営が適切にできる人物、かつ経営者として情報開示に努める人物を期待したい。厳しい状況のもとで経営再建ができるような、実行力のある経営者が相応しいだろう。

Q: 経済同友会に適切な人物はいるか。

北城: 経済同友会には見識のある経営者が大勢いらっしゃるが、人材派遣団体ではない。金融機関の経験があった方が良いとは思うが、それ以上に行員の方のモラルを高めながら健全な経営、企業再建ができる人物が望ましいと思う。

Q: りそなのような大銀行と足利銀行のような地方銀行とでは、再建の仕方が異なると思うが、この辺りはどのようにお考えか。

北城: 引き継がれる経営者の経営判断だろう。各々の銀行がどこを得意分野にし、どこで収益を上げるかを考えながら、それに見合った構造を作って事業を展開すると思う。足利銀行はその立場を考えた上で、都市型の銀行とは違うビジネスの仕組みを模索するだろう。ただし、地方銀行の経営の仕組みがすべて同じというわけではない。地元との良好な関係を維持するリレーションシップ・バンキングと言われるが、どの業界においても各々の企業が各自の強みを見つけ出すことが、経営者の最も重要な使命である。

Q: 週末、イラクで日本人の外交官2人が殺害されるという事件が起こった。小泉政権は自衛隊派遣方針を変えていないが、その点についていかがお考えか。

北城: イラクの復興に携わっていたお二人が亡くなられたことと、ご家族の方の大きな痛みを考えると非常に残念な事件だと思う。テロの脅威の大きさを、現実の問題として我々に示した事件でもある。小泉総理がおっしゃるように、テロに遭遇したという理由でテロリストに屈してはならないと思う。テロは国際的な問題であり、各国が努力して取り組むテーマだ。貧富の差の問題やパレスチナ問題など、テロが起きる背景についても十分議論したうえで、テロの起きない社会環境を作ることが大切だ。

中東へのエネルギー依存度の高い日本にとって、アラブ諸国との良好な関係やアラブ諸国の安定した発展のための施策を考えることも重要な課題だ。パレスチナ問題についても、日本は貢献を検討すべきだと思う。

自衛隊の派遣は、国連決議に基づく人道復興支援が目的であり、日本を含む各々の国の判断で人道支援を行っている。日本と欧州諸国との違いは、ひとつはエネルギーの観点で、中東に多くを依存している以上この地域の治安の安定はわが国にとって重要な課題であり、国益を考える際にイラクの復興支援は重要な問題であることだ。もうひとつは、米国との関係も貿易を含めた関係という観点で、欧州諸国よりも米国との関係が強固であり、日米の相互依存関係がある。エネルギーの観点で、また、安全保障にとどまらず貿易を含む日米関係を考えても、自衛隊の派遣は必要な処置ではないかと思う。隊員の安全を十分考慮したうえで、派遣の時期と地域については政府の判断を待ちたい。

小泉首相は、なぜ今自衛隊派遣が必要であるかを国民に語りかけ、世論が自衛隊派遣を後押しするような気運が出た上で、派遣を決定することが望ましい。

Q: アルカイダから日本へのテロ予告も出ている中、国内・海外で企業活動に従事する人がテロの対象になることも考えられるが、ビジネスへの影響などについていかがお考えか。

北城: 海外でのテロや誘拐のリスクは(国内におけるよりも)大きいが、企業は社員の安全を守るために、リスク管理をさらに重視すべきだろう。国も同様に、大使館等のリスク管理の強化が不可欠だ。テロがあったから経済活動を抑制してしまうと、テロリストの思惑通りになってしまう。国際社会がテロに屈せず対処していくことが必要で、発展途上国の経済運営を考えると、外国との連携の下でテロ対策に取り組むことが不可欠だ。同時に、そうした国の人々の生活水準を高め、汚職をなくして特権階級に資金が集中する仕組みを断ち切ることも必要だろう。

Q: 独禁法研究会報告書についてのパブリックコメントの中で、(不正に対する)自主申告の際の課徴金の減免措置について、昨年の提言に沿って賛成という意見があったが、改めて同友会の考えを聞かせてほしい。

北城: 減免措置については、本来、公正取引委員会が不正な行為が行われたということを摘発するという使命を持っているわけだが、密室で行われた取引について的確に調査することが難しいということからすれば、自ら問題があったということを申告してきた企業に対する処分を軽くするという仕組みは本来望ましくないかもしれないが、現実的な仕組みとしては必要ではないか。昨年も、措置減免については望ましいという提言を出しているので、基本的には賛成だ。

経済同友会の基本的な考えは、まず経済運営については基本的なルールを作ったうえでできるだけ規制緩和をすべきである、補助金や裁量行政というのはできるだけ無くして透明な市場で自由な競争を行うことが経済を活性化する、ということだ。しかし、自由な競争を行った結果不正が起きた場合には、これを処分するという意味で独占禁止法、あるいは公正取引委員会の機能強化は必要だと思うし、その一環として措置減免の制度も必要だと思う。

課徴金の問題については、同友会として比率を上げることに反対という意見ではなく、課徴金の算定の仕組みの中に社会的損失という計量化が難しい概念を導入することには反対ということだ。もし超過利潤が発生しているのであれば、過去に公正取引委員会が調査した情報があるわけだから、それに基づいて適切な課徴金の額を算定すべきではないか。現在の課徴金の額では、公正取引に反する談合やカルテルのような問題を防ぐという観点で不十分だという公正取引委員会の考え方も理解できるが、本来適切である、という水準を探すべきで新たな概念を導入することには反対した。また、発注者が地方公共団体あるいは国という官製談合が多いということも事実であり、発注者側での問題発生を抑える仕組みが無いと民間だけの課徴金の拡大ではすべての問題の解決はできない。

Q: 今度ASEANの首脳が来日してFTAについて会議を行うが、非常に広い対象分野の中で、日本にとって一番効果、効用が大きいのはどの分野とお考えか。

北城: 一つは関税が撤廃される、あるいは減額されることによって双方の貿易が拡大することが、各国経済を活性化させるために好ましいことではないか。もう一つはFTAを導入するための過程として、国内で抱えている色々な構造上の問題を解決しないとFTAの締結はできないということなので、FTAそのものが国内の構造改革を進める一つの力として働くのではないか。特に日本では農業問題や雇用関係でいくつか課題があるので、これらを解決する施策をとるきっかけになるのではないかということで、FTAの締結は推進すべきだ。

特に日本の農業問題に関しては、保護行政からより競争力のある農業へ転換していくために必要な施策を実行していくきっかけになればと思っている。長期的には国際的に食糧危機ということも言われており、国内の農業保護よりも、どのように競争力のあるものに発展させて、国内の食糧需給の問題だけではなく海外にも輸出できるような農業を考えていくきっかけになればと思っている。製造業も保護行政をとった製造業はあまり発展していない。国際競争の中で努力をした製造業が発展している。農業についても同じ色彩があるのではないか。

Q: 景気の現状認識について、冒頭の定点観測アンケートと代表幹事の景況感を総合して、足腰が強くなったという認識はあるか。

北城: 製造業を中心として大手企業の決算を見てみると足腰が強くなったという印象は受ける。それぞれの企業経営についてはかなりの自信を持っているのではないか。これは小泉内閣の構造改革路線の副産物ではないか。かつては経済同友会の中でも、補正予算を組んで景気回復をすることが必要だという議論が数年前にはかなりあった。公共事業の拡大ではなく、構造改革で景気回復を実現するという小泉内閣の方針と、10年間財政出動によって景気回復に努めたが持続しなかったということもあって、経営者は国の景気回復策に依存する形ではなく、自分の会社の業績を立て直すために必要な処置を取る、つまり設備や雇用のリストラクチャリングあるいは財務のバランスシートの調整等を行ったのだと思う。そういう意味で、個々の経営者は自分の会社の業績については、少なくとも来期(来年3月)の決算にかけて十分な業績を上げると見ているのではないか。では、全体の景気が大幅に拡大していくかといえば、それほど楽観的ではないと思う。したがって日本の景気がそう大きく回復しない中で自社の業績をどう高めるかという観点で経営をしていると思う。業界によって判断は異なると思うが、デジタル家電等の国際競争力のある業界を除くと、設備投資をどんどん拡大するほど強気の経営ではないと感じている。したがって経営者は景気の先行きについては慎重な見方をしながら、自分の会社の業績を何とか立て直そうという意向ではないかと感じている。

4月に経済同友会の代表幹事に就任した際に、「日本経済は夜明け前ではないか。夜明け前は一番暗い」といって、経済構造改革で夜が明けるような努力をすべきと言った。なんとなく夜は明けかけてきたが、来年本当に夜が明けるかというと、まだ安心はできない。政府も民間企業も方針は出した。来年は実行の年にすべきだ。

Q: 夜は明けかけたが、太陽はまだ見えないということか。

北城: まだ見えていないのではないか。真っ暗闇だったのが、ほのかに明るさは見えてきた。小泉改革の中でも、官から民へ、規制の撤廃・緩和、中央から地方へ、三位一体改革、不良債権処理等、色々な対策が出されて一歩前進はしているが、景気回復の目が出てきたかというと、経済界では改革そのものの成果とは思っていない。公共投資による景気回復策は無いということで、経営者が覚悟して自分の会社の経営に取り組んだことで、景気回復、株価回復に成果を出した。政策が大きな効果を挙げたというふうには実感していない。小泉内閣には掲げている政策を大胆に迅速に実行していただきたい。道路公団でも郵政事業の民営化でも適切な方向を出されていると思うので早く実行していただきたい。来年は実行が重要だ。

Q: 来週日銀短観も発表される予定だが、円高についてはどのようにお考えか。

北城: そう大きな問題にはならないと思う。円高の影響はあるが、多くの企業が輸出依存だけで企業経営をしているわけではない。特に国際競争力のある製造業は、海外での工場立地をかなり進めている。現地生産の場合、利益の円換算では確かに減るが、輸出の場合の競争力喪失とは影響の大きさがかなり違う。中国などに工場進出をしている企業では、円が強い方が工場進出のコストが少ないということもある。円高は日本経済に影響を及ぼすが、かつてのような大きな影響ではないだろう。

将来の景気回復を考えると、内需拡大にこそ努力すべきで、円高に伴う輸出などの停滞によって景気回復が進まないということを懸念するよりは、内需拡大、特に生活者産業・サービス産業の拡大・活性化にもっと取り組むべきだと思う。

以上

(文責:事務局)


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