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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年10月31日(金) 13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より、坂口厚生労働大臣の「65歳まで雇用継続義務化」提案に対する発言があり、その後記者の質問に答える形で(1)年金支給と定年制度、(2)米国の経済成長率と日本への影響、(3)製造業の安全性への取り組み、(4)日本の競争力について発言があった。また途中、代表幹事から、総選挙の際の裁判官の国民審査の問題についても発言があった。

「65歳まで雇用継続義務化」提案について

北城: 企業の義務として65歳まで定年を延長するという厚生労働省案には、日本経団連の奥田会長と全く同感で、私も反対である。労働法制上不利益変更ができない仕組みなどを考えると、国ではなく各企業が各々の考えで決めるべきだと思う。一度上がった給料が下げられない仕組みのままで定年だけを延長するのは、国際競争力の面からも、国内産業の空洞化の観点からも無理があり、企業経営への影響が大きい。若年層の雇用の場を減らすことにもつながる。定年延長の前に、給与額は本人の能力に応じるという仕組みをつくる必要がある。企業も、能力の高い人には長く働いてもらいたいし、再雇用という可能性もある。いずれにせよ、国の強制でなく企業の選択にするべきだ。

Q: 年金の支給開始年齢を65歳に引き上げるため、空白ができないよう定年も延長する、と考えについてはいかがお考えか。

北城: そもそも、持続可能でない今の年金制度を根本から変えるべきではないか。この年金制度を前提にして対応し続けること自体に無理がある。定年でそのまま退職する人も、働き続ける人もいる。本人に能力があれば、同じ会社でも新しい会社でも雇用の場はある。あるいは、起業したりNPOやNGOで働いたりするという選択肢もある。

Q: 米国には年齢差別禁止法があり、年功序列とは異なる賃金制度がある。定年制度をなくすなど、新たな制度についてどう思われるか。

北城: 年齢や性別、人種によって差別すべきでなく、本人の能力に応じて処遇するのが望ましい。本人の能力による処遇がきちんとできれば、定年が必ずしも60歳である必要もない。しかし現実には、能力の低い人や企業に貢献できない人を解職することが極めて難しく、給与も基本的には下げられない。こうした事実があるのに定年だけは延長するということでは、経済や企業経営の実態にそぐわないし、日本企業の競争力が下がって、逆に雇用を守れなくなる。

渡辺: 年功序列制度が崩れてきているという意見があるが、実際には新入社員と高年齢社員の賃金格差は依然として大きい。現段階でも若年労働者の失業率が10%を超えているため、(今の制度のままで定年を延長すれば)この比率がさらに上がってしまう。市場が時間をかけてうまく解決していくべきだろう。

Q: 米国の7-9月期の実質経済成長率が7.2%と好調だが、米経済の今後の見通しと、日本経済への影響についてお聞かせ願いたい。

北城: 米経済が堅調で、(成長率が)4%を超えるだろうといわれていたが、予想を大きく上回った。減税、低金利下での住宅投資、ITなどの設備投資も増加していて、ドル安による回復だけではない。次の四半期で同レベルを維持するかはわからないが、来年前半までは堅調で、日本やアジア諸国、あるいはヨーロッパなど、世界経済は米国が牽引していくだろう。懸念材料は、財政と国際収支の双子の赤字の問題と、原油価格の高止まり、減税効果の逓減、地政学的リスクなどだ。日本も、米経済が堅調なうちに、内需中心に経済を回復させて軌道に乗せる必要がある。今が構造改革のチャンスだ。

総選挙に関して、代表幹事からのコメント

北城: 総選挙の際に行われる裁判官の国民審査の問題について一言申し上げたい。最高裁判事の国民審査制度があるのに、形骸化しているのは問題だ。国民が裁判官を審査しようにも判断材料が少なく、特に、違憲判決に対する判事の考え方がわかりにくい。例えば経済同友会は、一票の格差について違憲ではないかと考えているが、過去の最高裁判決をみると、違憲と合憲の両方がある。特に、このように判断が別れる問題について各々の裁判官がどのような意見を持っているのか、マスコミの皆様に国民に情報提供をしていただけると非常にありがたい。内閣が任命するにしても、将来的には、各裁判官が国会で意見表明をするなど、国民審査の制度を機能するものにしてもらいたい。マニフェスト報道と並行して、裁判官の国民審査についても、マスコミの活躍に期待したい。

Q: 日産自動車が大量にリコールを発表し、その要因としてリストラの煽りで同じ部品を使っていたという見方があるようだ。出光やブリヂストンの火災などもあり、日本企業の安全性への取り組みが疎かになっているのではないか。

北城: 日産自動車のリコールの要因は、部品の集中化によって多くの車種に影響が出たことがあると言われているようだが、リストラとは無関係だと思う。企業としては、取引企業の集中化によるメリットとリスクの兼ね合いがある。取引先を複数から一社に集中することによって、大量生産によるコスト削減が見込まれ、競争力の面からはメリットがある。一方、事故が起きた時のリスクを考えると、取引先を複数に分散することも考えるべきである。そのメリット/デメリットのバランスは経営判断によるところだ。

今回のリコールの原因が、部品の集中化によるものかどうかは定かではないが、少なくともリストラとは無関係だと思うし、また安全性を軽視したことが要因でもないと思う。

火災などの事故が続いていることについては、全てがひとつの要因によるとは思わない。ひとつ言えることは、設備更新の期間が長くなり、古い設備が稼動していることが、製造業の課題であるかもしれない。バブル崩壊後、設備投資を抑えてきたために、設備の寿命が延び、そのためのリスクもあるかもしれない。

また、技術の継承という問題もある。団塊の世代が定年に向かい、高い技術力と経験を持った人たちが退職してしまう。これを引き継ぐ若い世代に、生産現場の保守や運用に価値観を見出す人が少ないと、ベテランのノウハウが引き継がれないこともある。

事故などの要因はひとつではなく、いくつかの複合ではないか。

若い人たちは、企画やマーケティングという仕事に就きたがる傾向にあるが、現場の重要性を理解していない人が増えているのかもしれない。日本の製造業の強さは、製造現場と開発部門の連携にあるので、現場の重要性を大事にしていく必要があると思う。実際、最先端の製造業企業は現場重視で、現場改善活動の積み重ねと、設計部門との協業の強さが日本の製造業の強さだと思う。

Q: スイスの世界経済フォーラムが「2003年世界競争力報告」を公表し、日本は11位にランキングされたが、個別項目では「銀行の健全性」が最下位の102位だった。日本の競争力について、どのようにお考えか。

北城: 日本の製造業の中で、国際競争にさらされている分野は非常に競争力があると思う。ただしこれは、自動車やエレクトロニクス、鉄鋼など、全就業者の約1割が従事している分野で、このような最先端産業に関しては労働生産性も高い。海外にはその強さの印象が強く、評価されているのではないか。しかし日本の問題は、残りの9割が従事する、即ち国内を対象とした製造業とサービス業に競争力のない分野があり、そこが国全体としての生産性を阻害している、あるいは経済の活性化をもたらさないのではないか。この部分にもっとメスを入れていく、あるいは新しい事業の創生に力をいれなくては雇用拡大に結びつかない。1割の人たちが働いている強い部分だけが強調され、確かにそれが日本の景気回復を主導し、貿易収支にも貢献しているのだが、その1割に国が依存することは問題だと思う。

渡辺: 「銀行の健全性」が最下位の102位とのことだが、バブルの崩壊が影響しているが、大きな問題として莫大な郵貯・簡保があるため、郵貯改革が重要である。銀行の努力も十分ではないとは思うが、郵貯の改革が今後のキーになるのではないか。

北城: 最下位の102位というのは誤解だと思う。日本の大手金融機関については、不良債権処理をかなり進め、目処をつけつつある。不良債権比率も2005年3月末には半減の目処をたて、今年9月の決算でも上方修正しているので、決して東南アジア諸国の金融機関と比較して劣ることはないと思う。海外の報道やシンクタンク、機関投資家が、日本の銀行の決算内容を信用していないのではないか。1ヶ月前のフィナンシャル・タイムズなども、全くの誤解で、海外が理解していないのではないかと思う。また、「貸し渋り、貸し剥がし」の部分だけの議論は間違っていると思う。

小泉首相や竹中大臣が進めてきた不良債権処理については、十分な進展があったと思うので、このランキングは誤解に基づいていると思っている。

以上

(文責:事務局)


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