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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年10月21日(火) 13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事より経済同友会会員に向けた「第43回衆議院議員選挙における投票率の向上を」について説明があり、その後記者の質問に答える形で(1)FTA、(2)マニフェスト、(3)総選挙、(4)環境税、(5)イラク復興支援、(6)道路公団総裁人事、(7)独占禁止法改正について発言があった。

Q: メキシコとのFTA(自由貿易協定)が合意に至らなかったことを受けて代表幹事コメントが発表されたが、今後、韓国などとのFTAに対する考え方を改めて伺いたい。

北城: 日本とメキシコのFTAが合意に至らなかったことは、経済界として非常に残念だ。メキシコの大統領も来日され、FTA締結が期待されていた。シンガポールとの場合はあまり難しい問題がなかったので、農業問題など繊細な分野を含めた本格的なFTA交渉としてはメキシコが最初だった。

日本の経済効果を考えれば産業界が受ける恩典の方が大きい。日本全体の国益を考えて今回決断されると期待していたので、実現できなかったことを非常に残念に思う。逆にこれを通して、日本のセンシティブ・エリア、主として農業分野を、保護することから競争力の高い産業に変革していくことが必要と思われる。そのための支援や移行処置は考えるとしても、自由貿易協定が締結され、市場が拡大することは重要だと思う。

併せて貿易比率を見ると、日本のGDPに対する貿易比率は約20%であり、日本は貿易立国と言われている割に非常に低い。アメリカは20%程度だが、欧米諸国は40%程度である。もっと輸出入を増やす政策をとり、市場を拡大することが、日本を活性化させるために必要と思われる。その意味でも、FTA締結が重要である。先般進まなかったWTOのような包括的な貿易協定も重要だが、並行して2国間および地域との協定を是非推進していただきたい。韓国とのFTAについても、進展することを期待する。

Q: 総選挙に向けて各党のマニフェストが出揃った。各党のマニフェスト、特に自民党と民主党について、どのように見ているか。

北城: まず、今回マニフェストを中心として総選挙が行われることを非常に好ましく思う。選挙制度が変わって小選挙区制が導入されたが、本格的に党で政策を議論する選挙は初めてのことで、大きな進展と思っている。国民はよくマニフェストを理解して、選挙に臨む必要がある。

自民党もマニフェストをまとめられたことを評価している。郵政事業と道路公団の問題については、国民にその重要性が理解されにくいが、行財政改革に大きく結びつくことから非常に重要なテーマである。これらをマニフェストに入れたことを高く評価したい。郵政公社の民営化などの具体的方針についてはやや玉虫色の感もあるが、創業支援の項目など、前向きな構造改革にも触れられているので、評価している。ベンチャー支援などの具体策については、これから選挙に向け、討論などを通して見えるようになれば良いと思う。自民党は政権政党であるから、これまでの政策の評価と実績・実行力についても評価できる。民主党はチャレンジャーとして大胆なマニフェストを掲げたことを評価している。今後、各論で具体策が見えないものについては、党首討論などを通して明確にしていただければ、投票に当たって判断しやすいと思う。

Q: 前回の定例会見で、環境税について前向きな評価という発言があったが、経団連と意見が分かれているのではないか。

北城: 前回は、温暖化対策としていろいろな手段がある中で、税を使うのは好ましいのではないか、という一般論を個人的見解として述べた。非常に多くの人が影響を受ける分野で対策を取るとすれば、CO2対策のための炭素税のような形を取ることが、政策手段として好ましいのではないかと考えている。しかしそれは、(1)ガソリン税など、既存のエネルギー税制との調整をとること、(2)増税では困る、税制中立、(3)目的税では好ましくない、という前提のうえでの話である。

したがって、環境省の審議会で出された税制案を好ましいと述べた発言ではない。地球の温暖化は非常に大きな問題であるし、京都議定書に参加していない国もある中で日本だけ対応して良いのかという問題もあるが、欧州諸国もいろいろな対策をとっており、日本も環境先進国として取り組むことが必要だと思う。過去の排気ガスの問題等を見ても、困難な障害があれば技術革新が進み、日本の競争力強化に結びついた点もあるので、環境対策そのものについては取り組んでいくべきだと思う。

Q: どの段階で環境税を取り入れるべきか。

北城: 京都議定書で定められた目標の達成を目的とするか、長期的に地球環境を守るための政策か、という2つの課題がある。京都議定書で定められたCO2の排出を6%削減するという目標を達成するために、産業界は大いに努力をしている。むしろ民生や運輸に関する分野の削減をするための手段を取ることが必要であるし、またこれまでの対策の評価も必要である。そうした評価をした上で次の対策をどうするかを決めるべき。

一方、長期的な地球環境を守るための政策としては、多くの人が関係するだけに、税という手段を取らなくては、補助金や予算の範囲では対応できないと思う。長期的には、環境対策のための税が必要だと思っている。

Q: 京都議定書の目標達成のために環境税を導入するのは好ましくないということか。

北城: 多くの人が関わる環境対策というのは、補助金や予算を組んでの対策では対応できないという意味で、税を利用するのは好ましく、かつ重要な手段だと思う。一般的に税は非常に重要な手段で、様々な政策を考える際にも税を考えることが必要だ。政府が補助金や予算を組むということは、いったん資金が政府に集まり、大きな政府をつくることになる。税をインセンティブにもっと投資の進む仕組みをつくったり、環境対策を進めたりすることが重要だ。そうした仕組み全体の見通しの中で、京都議定書の目標を達成するために、今どこまで進んでいて今後どう実行するのか評価をしなければ、税を導入するか否かの結論を出すのは時期尚早だろう。

環境省審議会の報告書を見ると、炭素への課税で得た税収を補助金や技術開発費に回せば、京都議定書の目標が達成できると言っている。しかしこれでは増税のように見えるし、目的税を作っているようにも見え、好ましくない。あくまで税は中立であるべきである。

渡辺: 前回の会見では、代表幹事の発言がずいぶん誤解されてしまった。環境委員会でも様々な議論をしているし、早急に環境税を導入して増税のようなニュアンスで対応することには反対だ。社会が変化すれば、税制全体のあり方も考えなくてはならない。エネルギー諸税を含めて、今後の社会にどういう税制がもっとも適切かを深く掘り下げ、そのなかから環境対策が生み出されていくのが望ましい。産業界にペナルティを課すような形で増税になるのでは、アンバランスだと思う。

Q: 徴収は、どこからか。

北城: (長期的に地球環境を守る政策としての税は、)個人から徴収するのは、徴収のコストがかかるので、上流で課税する仕組みの方が税の体系としては適切ではないか。

Q: 環境税は上流に課税するのが望ましいということか。

北城: 本来なら税は下流に課するほうが良いだろうが、徴税のコストを考えると、環境税は上流に課したほうが良い。価格競争の中で、企業は日々コスト削減努力を進めている。何らかの形で価格に転嫁することもある。税の導入に関わらず企業は努力している。産業界からの反発のひとつは、国際競争力(の低下)に関する懸念だろう。京都議定書に参加しない国との競争が不利になるのでは、というのは正当な議論だと思う。ただ長期的には、米国も含めて、温暖化対策はとるべき、とらざるを得ないということだ。経済界も含めて、日本は米国などに要求し、温暖化対策のリーダーシップをとるべきだと思う。

Q: 産業界としては、自主行動で努力しているのだから、増税はおかしいというのが日本経団連の主張だと思うが、基本的な認識は同じということか。

北城: 増税は好ましくない。増税が必要なら、すべての税を含めて政府の規模をどうするかという議論の中で考えるべきだと思う。また、環境対策に税を使うことが好ましいと申し上げたが、増税した分を全て環境対策に使ってしまうのでは目的税化してしまうのでそのことは好ましいとは言っていない。個別の業界でも、努力してCO2を削減している業界は多いから評価すべきだし、エネルギー税との調整も必要だ。単なる税収確保のための環境税には賛成していない。前回の会見でも同じことを申し上げたのだが、「環境税は好ましい」という部分だけ書いた記事もあったので誤解を招いたのではないか。

Q: イラク復興支援について、日本は15億ドルを承認した一方、ビン・ラディンがテロの対象として日本を名指しした。改めて、イラク復興支援について伺いたい。

北城: イラクの安定は、石油資源などエネルギー確保の面でも中東の安定化という面でも、日本にとっても世界にとっても重要なことだと思う。国連が基本的な方針を決めたこともあり、日本も応分の負担をして、イラクの復興を支援すべきだと思う。

テロのリスクもあるが、本来、テロに屈することが解決策ではなく、国際的連携を通してテロ対策を実行しなくてはならない。また、なぜテロが起きるかという背景には、貧困の問題とパレスチナ問題がある。特に、パレスチナ問題は、アラブ諸国が改革を実行する際の障害にもなっている。ロードマップ含めて、解決策が実行されることを期待している。テロに対してすべてを戦争で解決することは難しい。

Q: 道路公団の総裁人事について、藤井総裁の態度を含めてどう思われるか。

北城: 特殊法人や官僚のトップの人事は、政権が任命できる制度が望ましいと思う。トップ交代については、大きな問題や失敗がなければ解任できない、という制度では、機動性がない。政権や大臣が変わり、方針が変わった場合、その方針を実現するにふさわしい人が任命されることが良いと思う。

民間企業であれば、トップが替わった場合、その下の人事は、悪いからという理由だけではなく、他の人が行った方がより良い、という判断でも変えられる。官僚組織のトップについては、政治的任用で決められる制度が必要だと思う。今回の問題をきっかけに今の制度そのものの見直しが必要になると思われる。

Q: 独占禁止法に関連して、公正取引委員会が来年頃から、課徴金を上げ、通報した人は減刑するとの手法の導入を考えているようだ。日本経団連はこれに強く反対しているが、北城代表幹事はいかがお考えか。

北城: 極力自由な競争、つまり、官ではなく民主体の経済運営が望ましいし、官による事前規制はなくしていく必要があると思う。問題が生じたときの公取委の事後規制が重要になるのであり、公取委の活動がより適切に運営される改正が必要であれば実行したほうが良いと思う。ただ、報道で公取委の意向を見聞きしてはいるが、正式で具体的な内容を聞いていない。公取委から、今後経済界にも意見を求めてくると思われるので、正式なコメントはそれまで控えたい。

以上

(文責:事務局)


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