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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年10月07日(火) 13:30~
出席者 北城恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)道路公団総裁人事、(2)民主党マニフェスト、(3)来年度の税制改革、(4)環境税、(5)日本ASEAN経営者会議およびWEF東アジア経済サミット、(6)為替について発言があった。

Q: 道路公団の総裁人事についての混乱をどう思われるか。また、後任の総裁としては民間人起用の方向にあるが、どのような人材がふさわしいと考えるか。道路に関係している業界からの採用についてはどうお考えか。

北城: まず、特殊法人や官僚機構のトップ人事については、政治的任用がふさわしいと思う。時の政権がふさわしいと思われる人物を任命・更迭できる仕組みが望ましく、政治的任用の仕組みができていれば今回のような混乱はなかったのではないかと感じている。

人材については、民営化を推進するのであれば民間人の起用が好ましいと思う。総裁となる人材には、(1)改革の志がある方(非常に大きな改革なので情熱をもって改革実行を目指す人物)、(2)実行力(構想だけではなく実行に移せる人物)、(3)コミュニケーション能力(国民や職員に対する情報開示・説明責任を果たせる人物)という資質が必要であると思う。業界よりも、基本的には人物中心で選んでいただけば良いと思う。

Q: 過去、主要な役職(郵政公社、日銀、りそななど)には経済同友会の人材が選任されているが、今回は相談や協力依頼を受けているか。

北城: 経済同友会は経営者個人の集まり。これまで選任された方々は、個々の経営者がふさわしいという判断を受けて選ばれたのであって、経済同友会から推薦したわけではないし、推薦する団体でもない。見識ある経営者を選んだら経済同友会の会員だったということで、嬉しいことではあるが、推薦しているわけではない。

Q: 先日発表された民主党マニフェストをどう評価されるか。また、年金については経済同友会と同様、基礎年金部分に消費税を充てる、と明記されているが、それについてはどうお考えか。先日民主党幹部と意見交換をされたようだが、その際の意見は反映されているか。

北城: 今回の総選挙は、初めてマニフェスト(政権公約)を中心に行われるということで、非常に好ましいと思う。選挙制度の変革により小選挙区制が導入されて以来、本格的に政策を中心として政権を争う選挙は初めてではないか。「マニフェスト(政権公約)」という馴染みのない言葉が、特にここ半年から2-3ヶ月で国民に広く浸透したことは、その必要性が理解されたと同時にマスコミの果たした役割が非常に大きいと思う。各政党が政策を中心として選挙を戦うのは非常に好ましい。

年金改革については、現行の年金制度は持続可能な制度ではないと考えている。経済同友会では、基礎年金部分については税の負担を提言してきたこともあり、民主党の政策は近い方向にあると思う。消費税を活用するという点でも同じ考え方である。

基礎年金の上の部分(二階建て部分)については、私的年金が好ましいと考えているので、民主党の政策と全く同じではないが、少なくとも消費税の活用に踏み込んだことにおいては、一歩前進の提案ではないか。

民主党幹部とはマニフェストの第1次素案段階で懇談した。経済同友会からは、(1)郵政事業の改革は非常に大きな問題であるので、民主党の意見を述べるべき、(2)基本的な国のあり方を考える憲法について意見を述べる必要がある、と提案した。これらについては、経済同友会の意見が反映されたのか、もともと準備があったのは定かではないが、触れていただいていたので良かったと思う。

我々は「党」を支持するという考えではなく、個々の政策について好ましいと思うかどうか、政策を支持していきたいと思う。そういう意味で、年金改革については一歩前進と考える。

マニフェストは、一度作ったらそれで完璧ということではなく、最終的な選挙までにいろいろな意見を聞きながら必要があれば手を加えながら、最もふさわしい政策を述べていただきたい。

併せてマスコミの方へのお願いであるが、マニフェストができた段階で一覧表を作って報道が終わりということではなく、実行可能性や具体的期日等、政策の中身について引き続き精査していただきたい。政局の取材ではなく政策の中身を精査するような取材をしていただき、マスコミやシンクタンク等の意見も報道して、中身を国民に良く知らせていただきたい。政策中心の選挙を実行するためにも、そのような役割を果たしていただきたいと思う。

Q: 高速道路について、民主党では無料化、自民党では民営化を打ち出しているが、それについてはどのようにお考えか。

北城: 無料化といっても、都市部や首都圏は有料のまま残すとのこと。アメリカのフリーウェイと同じ考え方なので理解はできる。しかし、今でも渋滞が激しい都市部有料部分の料金設定をどうするのか、などこれから議論やシミュレーションを通じての仕組みづくりが重要な課題であろう。

Q: 来年度税制改革に関連して、財界は住宅ローン減税の延長拡充を主張している。財務省は、縮小を目指すようだが、それについてどうお考えか。

北城: 住宅ローン減税は継続すべきだ。日本の経済発展には内需主導の経済運営が必要だし、住宅の質の向上やニーズは今も高い。特に今は円高で、輸出主体の企業は経営が厳しいし、アメリカや中国での事業が好調で業績を伸ばしている企業も、為替の影響を強く受ける。そのため、内需拡大の経済運営が欠かせないし、住宅への投資は国民生活を豊かにする上でも必要だ。

Q: 日本経団連と日商は環境税について反対しているが、北城代表幹事はどうお考えか。

北城: 地球環境・エネルギー委員会で議論しており、経済同友会としての見解はまだ出ていないが、個人的には環境税は好ましい手段だと思う。しかし環境税を導入する場合、他のエネルギーに関する税等とのバランスを考える必要がある。全体として増税では困るし、環境税を環境対策への目的税とすべきでもない。

環境問題というのは非常に大きな問題で、温暖化や水資源、人口の問題など、現在の仕組みを維持し続ければ経済は持続的に発展できない。グローバルな課題に対して税はひとつの手段である。例えば、特定地域の汚染といった公害は個別対応も可能だが、経済全体としてCO2の排出問題などを考えると、政策だけで対応できない場合も多い。この状況では様々な対策が考慮され、民間の創意工夫ある対策を生かすためのひとつの手段が税なのだろう。

Q: 環境税は目的税とすべきでないとおっしゃるが、同友会は、年金に関して消費税の目的税化を提唱している。両者の違いは何か。

北城: 年金には、消費税の一部を運用するということで、すべてではない。また、基礎年金のために必要な額は明確にできるし、国民の側も理解しやすいと思う。一方、環境対策の場合、技術革新などにより、どれだけの税額が必要になるかがはっきりしないため、目的税にしても国民の理解を得るのは難しい。また、環境対策は範囲が広いので、それぞれの対策に必要な額を、すべて環境税を充ててまかなうことにすると、枠にはめてしまうことになる。

Q: ASEANを訪問されるようだが、テーマは何か。

北城: フィリピン・マニラでの日本ASEAN経営者会議とシンガポールでのWEF東アジア経済サミットの会議に出席する。

日本ASEAN経営者会議では、ASEAN諸国の経営者と3日間、主として経済交流の問題について議論をする。その中でも特に、ASEANが発展するためには、政治的にも治安の観点からも安定化が必要であり、それなしでは日本企業が投資することは難しいということ、そしてFTA(自由貿易協定)(二国間・地域間)について議論したい。WEF東アジア経済サミットの会議では、日本の経済回復と課題についてアジアの経営者も含めた様々な方と議論をしてきたいと考えている。

ASEAN諸国には日本からの投資を拡大してほしいというニーズが常にあるが、日本企業から見れば、投資先はASEANに限らず中国も含めて多くの可能性がある。したがって、投資先として魅力があるということをアピールしないと日本企業もなかなか投資を拡大できない、ということを主張しようと思っている。

Q: 為替の水準が111円前後で一応落ち着いているが、大方の企業は115円に設定している中で4円ほどの円高である。今の水準が続くことについてどのようにお考えか。

北城: 日本の景気回復の中で輸出が占める比重は非常に大きい。日本企業の一割程度が国際競争力のある製造業だが、こうした企業の業績回復が日本の景気回復を牽引しているので、輸出への影響はある。もうひとつは、多くの企業の増益が米国市場と中国市場での増益に結びついているので、円に変換したときの利益が縮小されて見える。この2点が大手製造業の業績には悪い方向で働くので、日本の景気回復には足かせになる。

しかし、その一方で、為替は市場で決まるものなので、円が強くなれば、それに対応した個々企業努力は必要だが急激な変化は好ましくない。企業は事業計画を作る中で大幅な変化には対応できないし、どこに工場を作るかといった意思決定にも為替の急激な変動は影響を与えるので、激変は好ましくない。政府には急激な変化が起きないような対策は是非打って頂きたい。本来、もう少し円安の方が好ましいが、これが良いという水準は為替介入では持続できない。110円を切るようでは悪い影響があると思うし、119円程度から急激に上がっていたので、為替介入したのは適切な処置だと思う。

Q: 110円は切ってほしくないということか。

北城: 切ってほしくはないが、いやだといえば切らないものではない。また、米国の政策も非常に影響する。米国の経済が回復して米国への信認が高まればドルが強くなるということもあるだろうが、米国の将来の景気回復については短期的にはそうかもしれないが、長期的に米国経済が安定して持続的に拡大するかについては多少心配があると思う。今のところ日本に投資した海外の投資家は成功している。株は上がっているし円は強くなっているので、二重にメリットを享受している。

Q: イラクの復興開発について、合計550億ドルでその一割くらいを日本が負担するようだが、どのように見ているか。

北城: イラクの復興のためにどの程度の援助が必要かということは明確に規定されていないし、日本の比重も明確に議論されていないと思うが、中東の安定は日本のみならず、多くの国にとって重要なので、支援はすべきだと思う。日本にとっては石油資源の確保、特に安定したエネルギーを確保するためには必要なことだ。大量破壊兵器が見つからないではないかという議論もあるが、(イラク攻撃が)正しかったかどうかという議論よりも、イラクが安定した国になることが日本の国益に適うことだと思うので、イラクの復興支援については国連でも決議していることでもあり、日本は応分の負担をすべきだ。

以上

(文責:事務局)


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