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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年09月02日(火)13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

冒頭、北城代表幹事から2003年9月(第66回)景気定点観測アンケート調査結果の中間集計速報について説明があり、その後、記者の質問に答える形で(1)景気、(2)自民党総裁選、(3)中国通貨「人民元」の切り上げ、(4)構造改革、(5)長期金利の上昇について発言があった。

Q: 景気定点観測アンケートの速報値からも株価の上昇からも、景気回復が伺えるが、「回復の力強さ」についてはどのようにお考えか。

北城: 国際競争力を持った製造業、例えばデジタル家電、携帯電話、液晶テレビや、事務用機器、自動車、構造調整を終えた素材産業については、景気回復の力強さを感じる。中堅企業でも業績の良いところは出ているようだ。

株価については、8月半ばの統計を見ると、買い越しは海外からの投資であり、国内の金融機関を含めた事業会社の株式売却や個人投資については、合計では売り越しである。株価の回復には力強さを感じるが、国内の投資家、特に個人投資家が参入し、日本経済の将来を期待した株式投資が増えているわけではないので、まだまだ安心はできないと思う。

ただし、企業業績の回復や、不良債権処理・規制改革など小泉政権の構造改革が、不十分な点はあるものの一定の進展を見せたことから、海外投資家が将来への期待から日本の市場に投資をしている。これが継続するような改革を続けていくことが重要である。

Q: 景気定点観測アンケートでは、北城代表幹事はどのように答えたか。

北城: 「緩やかに拡大する」と答えた。(1)GDPが(実質とはいえ)6期連続でプラス、(2)株価の上昇、(3)企業業績の回復から、前向きに進んでいると考えて良いと思う。今年の下期や来年の上期にかけて米国経済は堅調に推移すると思うので、日本の経済にも良い影響を与えると思う。その先に向けて、日本経済を確実に回復軌道に乗せるような施策を打ち出せるかどうかが重要な課題。アメリカ経済は、第3・第4四半期については、年率3-4%のGDP成長が見込まれるようだが、(1)今の減税を中心とした景気刺激策が来年の大統領選挙に向けてどこまで続くか、(2)石油価格の高止まり、(3)イラクやパレスチナ問題の消費者心理への影響などを考えると、来年以降の米国経済については懸念がある。あまりにも外需依存の景気回復は、問題を起こすのではないか。外需も重要ではあるが、国内市場の活性化を目指すことが重要ではないか。

Q: 自民党総裁選が近づいているが、どのような点に着目しているか。

北城: マニフェスト(政権公約)を掲げて、「政策」で総裁選を戦っていただきたい。総裁選に勝った方のマニフェストを中心として、自民党としてのマニフェストがまとめられることを望む。さらに、他の各政党もマニフェストをまとめて総選挙に臨んでいただきたい。これによって、選挙が終わったときに、掲げたマニフェストが実際の政策として実行しやすい政治的環境を作ると考えている。構造改革の実行には、政治のリーダーシップを発揮できる環境が整備されないと難しいと考えている。現在の自民党のように、総裁(総理)の意向と反する意見が党内にあると、党内の調整や国会審議の段階で時間がかかってしまう。党としての方針が選挙民に支持され、選挙に勝って政権を取ったときは掲げた政策を実行する、という仕組みを作ることが重要と考えている。10年前、小選挙区制を導入した政治改革の本格的な運用が始まるのはこれからだと思っている。今回のマニフェストが政治に大きな影響を与えることを期待している。

Q: マニフェストが重要な意味を持つとのことだが、自民党の現状を見てどのように感じられるか。

北城: 21世紀臨調の影響もあり、ここ1-2ヶ月でマニフェストの重要性がかなり認識されたのではないか。各派閥/政党の間でも、政策を掲げて総裁選/総選挙を戦うという認識が高まり、国民もそれを期待していると思う。誰が立候補するかが各派閥の中で議論されているようだが、立候補した際には、それぞれがマニフェストを掲げることを期待しているし、国民にも分かりやすく、選択の基準がはっきりすると思う。先日埼玉県知事選に当選した上田氏の公約も、他の候補者に比べ、マニフェストに近い形で政策手段や時期を明確に示していた。自民党の総裁選でも、具体的に何をするかを明確にせざるを得ないのではないか。マニフェストは、政党として実行しなければならない基本的な考え方を明確にするもので、すべて実行できるような易しい内容を書くものではない。次の選挙の時に評価されるが、実行できなかった項目があったとしても、その理由が明確であれば有権者の理解は得られるのではないか。我々はそういう視点で評価したい。

Q: 米国スノー財務長官が中国の「元」について言及されていたが、元について、変動相場制が良いのか、切り上げが良いのか、どのようにお考えか。

北城: 中国に製造拠点を持つ日本企業は多く、元の切り上げは製造拠点の競争力の面で問題がある。中国からの輸入品が高くなることで、利益を得る企業と損失を被る企業があり、簡単な問題ではない。基本的には為替は、市場にゆだねられて適切な水準が決まることが望ましい。しかし中国の場合、為替市場が完全に整備されておらず、政府の介入を含めた取引なので、現在の取引で中心レートにある程度変動可能な幅(バンド)を作ったうえで、貿易政策や海外への投資政策など市場を整備していくことが望ましい。単に切り上げを要求するよりも、通貨の実態に合わせて変動できる仕組みづくりを進めていくべきではないか。

Q: 「元」のバンドを広げたほうが良い、ということか。

北城: 現在は非常に幅の狭い変動なので、広げたほうが良いと思う。中国政府が経済政策上広げるというよりは、中国と貿易をしている国々の意見の表明があってはじめて動くことではないか。元の現水準は、安定した中国の経済成長に必要であり、急な切り上げは難しいだろう。日本や米国から中国政府に、変動相場の必要性を主張していく中で、為替管理や資本輸出の問題についても中国国内の市場整備がまず必要になるし、一方的な切り上げというより、市場の評価に応じて為替が変動するようにすることが望ましい。2008年のオリンピックや2010年の上海万博に向けて、年率7~8%のGDP成長が前提となっているだろう。それゆえ、中国政府が経済成長に影響のある元の切り上げに、主体的に踏み切ることは難しいと考える。

Q: 「構造改革の大胆な実行」のために可及的速やかに具体的に何をすべきか。

北城: まず、新しい雇用を作り出すような規制改革を実行していただきたい。具体的には、育児・介護・(混合を含めた)医療・農業・観光・レジャーなど、生活の回りで新たなサービス・ビジネスが誕生しやすくするため、規制と補助金の問題を見直し、不要なものを撤廃すること。こうしたビジネスのニーズはすでに存在しており、これを顕在化することが雇用の場を作り、個人の収入も、企業としての事業機会も増えることになると思う。第二には、中央から地方への三位一体の改革による補助金と交付税、税源移譲の見直しがある。中央ですべてのことを決めるのではなく、地方のニーズに合わせた公共事業や地域の施策を実行する、これによりコストを抑えながら良いサービスを提供する。特に交付税の見直しについては具体的な施策が見えていないので、これから来年度の予算に向け、交付税、中でも財源保証機能については見直さない限り地方財政の規律も働かないと思う。第三には、長期的に影響すると思うが、生活者の将来不安を払拭するための年金改革と医療改革による、持続可能な制度構築が必要である。また、郵政公社や道路公団、政府系金融機関の民営化を実行するべきだ。また長期的には、企業の国際競争力を高めるための法人税率の引下げや、年金が持続可能な仕組みを作るための消費税の引上げも考えるべきだろう。いずれの問題も、政治的に非常に困難なテーマであるが、これを実行するためには、政府のリーダーシップが発揮できる仕組みが必要であり、そのためにマニフェストが果たす役割は大きいだろう。小泉首相は「構造改革なくして経済成長なし」とおっしゃっているが、その前に「政治改革なくして構造改革なし」と申し上げたい。自民党総裁選や近く行われる総選挙で、マニフェストを通した政治改革が、実現の力を発揮するよう期待している。

Q: 長期金利の上昇についてはどのようにお考えか。

北城: 個別企業で実情は違うと思うが、多くの製造業の経営者は、年金の運営や経営者心理から、株価の回復は好ましいと見ていると思う。長期と短期の金利差がない、という現在の水準は望ましくないと思う。急激な長期金利の上昇による将来の国債発行、また設備投資資金への影響は心配ではあるが、今の水準であれば妥当な範囲であると思う。

以上

(文責:事務局)


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