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記者会見発言要旨(未定稿)

日時 2003年06月03日(火) 13:30~
出席者 北城 恪太郎 代表幹事
渡辺 正太郎 副代表幹事・専務理事

記者の質問に答える形で(1)りそなホールディングス、(2)政治献金、(3)消費税、(4)サミットでの為替議論、(5)渡辺副代表幹事へのりそな社外取締役就任についての抱負等について出席者から発言があった。

Q: 第一に、りそな銀行の処理について、どのようにお考えか。

北城: 二つあると思う。ひとつは、公的資金を注入したことに対してどういう評価をするかということだが、資本が棄損している中で、例えば自己資本率が2%しかないとすれば、りそなに対する不安やそれが引き金となる他行への資本構成に対する不安、これらが金融不安を起こしかねなかったといえる。週末に決定して方針を出されたのは適切だったのではないかと思う。資本注入については、あの時点では予防的処置か危機かという議論はあったが、注入しなければ金融の危機が起きる可能性があったことからすれば、適切な処置だったと思う。

もうひとつは、取締役会のあり方、コーポレート・ガバナンスだが、銀行のガバナンスに問題があるという議論をされていたが、今回独立取締役を過半数まで入れた。日本の大企業では今までなかった仕組みではないか。社外取締役や委員会を設置する会社はできているが、独立した取締役が過半数で委員会など設置会社という形態は、金融機関としてのガバナンスだけでなく、日本企業の取締役会のあり方としても新しい方向を示しているのではないか。これが成果としてどう出るかというのは、執行幹部としての経営者と、新たに社外取締役になる人たちとのどのような経営活動をするかに依存するが、大きな変革だと思う。特に今回の場合は、国が株主になるわけで、国が細かい経営に口出しするとなると民間企業の経営をうまくできるとは思わない。その意味では、いかに国の意向を経営陣との間に立って反映・調整するかという点で、独立取締役の役割は非常に大きいと思う。ただし、独立取締役を主体とすれば経営が必ずうまくいくかといえば、それは保障されているわけではない。今回のりそな銀行の件に関して、資本注入に対する評価、そして健全な銀行が作られるということのほかに、日本のコーポレート・ガバナンスの将来に大きな影響を持っているという点で、成功することを期待している。

Q: 社外取締役で、会長に細谷副代表幹事、渡辺副代表幹事・専務理事も取締役として入られるが、このところ、政府系の人事は同友会の幹部の方が多い理由をどうお考えか。

北城: 今回の人事に関しては、経済界に立派な経営者がいらっしゃると思うが、現在行っている仕事や、仕事が評価されるタイミング、経験や見識を踏まえて、細谷さんというのは最適な方を選ばれたと思う。経済同友会の副代表幹事からということではなく、最適な人事の結果が細谷さんということだと思っている。ほかの人事についても、それぞれの経営者の経験や見識で選ばれたのではないか。ただし同友会としては、副代表幹事や主要な活動をしていた方々が、活動や経営者としての見識を評価されていろいろな場で活躍していることは喜ばしいことだと思っている。

Q: 株価については、ずいぶん持ち直しているようだが、現状をどのように見ていて、今後はどうなっていくとお考えか。

北城: 現状は8500円前後だと思うが、回復していることは大変よいと思う。株価自体が回復していることが実体経済によい影響を与える。特に企業の年金運用に関していえば、年金の運用が業績向上に対して実態の決算にも影響するだけに、実体経済にも心理的にもいい影響を与えると思う。さらに、金融機関、銀行、生保等の財務状況にもいい影響があり、大変好ましいことだと思う。ただ、(株の)大きな買い手が海外からの投資ということを考えると、確かに海外から見ると円高の状況で日本に投資するのは有利な投資行動であり、資産のバランス上も日本の株式を投入しようということもあると思うので、海外から資金が入ること自体は好ましい。しかし逆に、資金が入ってこなくなると株価が支えられないことからすれば、国内で、特に個人の投資家が株式市場に参入することが望ましい。既往の基本的な業績そのものも回復基調にあり、株価が上がると株式市場に参入する人も増えると思うので、その意味では今、いい方向に動いていると思う。将来に関して言えば、いい方向に動き出したときこそ、次々に施策を打って良い循環を続けることが望ましいと思っている。先々どうなるかはわからないが、企業業績を上げていくことが株価回復の一番の理由だと思う。もちろん市場の活性化のための策は必要だが、基本は企業経営そのもので、個々の企業が経営をよくすることが大事だと思う。自社株買戻しに取り組む会社も出ているようで、需給の上で大変好ましい。株主への利益還元の方策としては、配当を増やすこともあるが、自社の株価がその企業の持っている本質的成長性・収益性を考えて、低ければ、経営者は配当ではなく自社株買いで株主に還元するのもひとつの方策だと思う。

Q: 政治献金の件で、日本経団連が総会でも政治との関係の強化を強調しているが、政治献金について代表幹事はどうお考えか。また、経済界と政界の認識のギャップが表れてきていると思うが、ギャップを埋める手立てとして、どのようなコミュニケーションをとるべきとお考えか。

北城: コミュニケーション面では、いろいろな形で交流して意見交換をするのが基本だと思う。われわれも政府、政治、官庁との意見交換の場を設けており、日本経団連も実行されていると思うが、できるだけ頻繁にフォーマル/インフォーマルな意見交換をすることが好ましい。以前、官庁との会食自体を禁止する動きもあったと思うが、最近では常識的な範囲での昼食会など、意見交換の場を設けていこうということで、意見交換が行われている。認識が十分伝わっていたかといえばまだまだ不十分なので、通常定期的に行われる意見交換だけでなく、問題が生じたときにも積極的な意見交換の場を作っていく必要がある。同友会の意見をまとめ、提言あるいは意見として出していきたいと思っている。

政治献金に関しては、日本経団連は日本経団連の方針として政治献金を検討しているようで、好ましい政治についての評価を行ったうえで、個々の企業が判断して献金するとのことで、それはつまり、個々の経営者の判断ということではないか。同友会の中でも、政治献金についてはさまざまな意見があり、経営者全員が同じ意見ということではない。今までの議論では、個人献金が少ないために企業献金も認められるべきでは、との意見もあるが、政治活動に必要な費用としては、党員からの党費、個人献金、政党助成金が望ましいのではないかというのが同友会の考え方で、私もそのように考えている。個人献金は非常に少ないので、個人献金を喚起する必要があるとも思っている。

Q: 政治献金について、企業献金を増やすと経済界の意向がより政治に反映されるようになるのか。

北城: 日本経団連の意向は、「好ましい政治を行っている政党への企業献金が増えることは、経済界から見ても望ましい」ということ。これは、「企業の経営が活性化することが、国の経済の活性化に結び付く」という意味で、決して企業の利益のための発言ではないと思う。

しかし、政治が望ましい経済活動の方向に動いていない、ないしは望ましい方向に動くように経済界からのメッセージを送る、という意味では、政党の政策を評価し、それに応じて各企業が献金をする、という考え方そのものを理解できるところはある。

ただ、政治と企業のお金のやり取りについて十分に国民の理解を得られない中で、政治献金をまとめて、額を決めて献金をする、ということでは、なかなか国民の理解は得られないのではないかと思う。

日本経団連は、最終的には個々の企業の判断で献金する、という発言をしているので、「枠を決めて」の献金ではない、と理解している。

Q: 同友会としては、個人献金を増やすことによって企業献金の必要はない、という考えか。

北城: その方向が望ましいと思う。

渡辺: 個人献金を増やすという意味で、最近「マニフェスト」という言葉が盛んに使われている。政党が「マニフェスト」で選挙を競うことによって進歩すれば、政治が解りやすくなり、政策を理解して支持する個人のモチベーションが湧いてくるのではないか。できるだけ早く、政党が政策で競うという政治体制にしていくことが重要だと思う。

Q: 政党内でも政策がバラバラ、という現実の中で、政党単位で献金することが果たして改革に貢献できるのか、という疑問があるが、その点についてはどうお考えか。

北城: 最終的には個々の企業(経営者)の判断。各々の政党・政治家が、どのような政治をするのか、具体的にどこにお金を使ってどこを削るのか、という「マニフェスト」を作っていくことが重要である。今の政権構想・政策は、実行した後の評価をしにくい仕組みである。評価ができるような目標を掲げ、それが実行されたかどうか、実行した結果その効果があったのか、という「マニフェスト」「政策綱領」を作り、それを国民に訴えていくことが重要だと思う。それがあれば献金する側も解りやすいと思う。

渡辺: 企業経営と同じで、「マニフェスト」を巡る「Plan-Do-See」が政治であり、「See」は選挙で行われる、という仕組みになればよいと思う。同友会の政治委員会の報告としては、「マニフェスト」を「守るべき公約」として、それによって政党の「Plan-Do-See」をやっていきたい、という結論に達している。

北城: 「国民に優しく」「環境にやさしく」という公約では、指標がない限り守ったかどうかの評価ができない。評価がないことが問題で、政策や行政活動に対する評価は、現在のところ自己評価に過ぎない。「ほぼ達成」「概ね達成」「一定の進歩が見られる」というようなはっきりしない評価ではなく、達成したかどうか、効果があったかどうか、が分かる第三者による評価が良いと思う。

評価については、民間企業のコーポレート・ガバナンスについても、経営者の行動が適切かどうかを評価する独立した取締役はほぼ機能していない点で、政府同様問題がある。学校教育についてもしかりで、日本社会ではあまり第三者の評価なしにさまざまなことが行われている。

渡辺: 消費税などの問題にしても、わかりやすく定量化するなどして国民に訴えかけなければ「Plan-Do-See」は実行できない。

Q: (日本経団連の)奥田氏が、消費税の引き上げについて、小泉首相がすぐに反応しないという政治への不満を述べているが、同友会としては消費税率の是正を要求していくのか。

北城: 基本的には、財政再建と将来の年金を含めた政策的財政事情を考えると、同友会も消費税の引き上げは必要と考えている。どの水準まで上げるかという同友会の試案もあり、消費税を上げて国民が広く税負担していくことが、高齢化が進む中で必要な手段と考えている。総理がおっしゃっているのは、今消費税引き上げの議論をすると財政規律の問題が生じるため、まずは財政規律を実行した上で消費税の問題を考えるべきということで、将来的にまったく消費税を上げないという考えではないと理解している。

渡辺: 昨年度、同友会では行財政委員会(細谷委員長)が提言を発表した。2010年度から一人当たり7万円分の基礎年金を消費税9%相当で賄うことを含め、2006年度から税率アップを開始し、2010年度には16%の消費税になるというものだが、保険料の負担はなくなるわけで、法人税率やその他の税制改革によって、直接税では供給サイドに負担をかけないよう減税し、国民負担はトータルで30%という内容である。小泉首相は、2006年まで消費税引き上げはしたくないと言っていて、導入しないとは言っていない。日本経団連の消費税論は、多少の一般税源化も含めて議論されており、(同友会とは)方法が違うということ。しかし、持続的社会保障のためにも、次世代への負担増しを考慮しても消費税が最適であり、先進成熟国はほとんどそのようにしているという先例に学ぶことにもなる。

Q: サミットで、異例とも言われる為替についての発言があった。最近の為替相場の動向で望ましい相場水準について、どのようにお考えか。

北城: 今回サミットで、ブッシュ大統領が「強いドルの政策を維持する」という方針を出し、為替について言及されたことは、政治的なタイミングからすると非常に良い発言だったと思う。一方、為替相場そのものは市場が決めることである。特に輸出を考えて「弱いドル」を望む産業界に向けても、また米国内に資金が集まるための「強いドル」を望む観点からも、「市場が決めた水準」というのは両方に配慮した発言だと思う。サミット以降の為替の動きをみても、妥当な水準で動いている。今回、サミットで為替について議論したこと自体は良かったと思う。

最終的な数字については、市場で決めること。市場への介入は、ダウン降下が起きたときにそれを調整する、ということであり、長期的な水準を円安・円高に持っていく、ということは政策で決まることでも決めることでもない。基本的には市場で決めるという方針が良いと思う。

渡辺: 日本から見ると「円/ドル」の関係だけに見えるが、ヨーロッパで開催しているサミットであることから「ドル/ユーロ」のトレンドが大きい。

北城: 「ユーロ」と「ドル」の関係から、「円」が動いているともいえる。ヨーロッパから見ると、「強いユーロ」は輸出の面から非常に厳しい。そういう意味でも、ヨーロッパも為替に非常に関心があると言える。

Q: 渡辺専務理事は、りそなの社外取締役に就任される。それについての抱負と、りそなの再建に貢献したい点は。

渡辺: 本当の意味でのりそなのデータや今後のあり方はこれから聞くため、明確に答えることはできない。引き受けた過程を通していえば、同友会で出したりそなに関する2つのコメントで、コーポレート・ガバナンスを確立すべきと申し上げた。細谷さんもわたしも、社外取締役を外部から取り入れるべきと提言しており、北城委員会でもそうしたことを昨年言っている。年齢や能力や忙しさを考えれば辞退したいのが本音だったが、言い出した以上は引き受けなければならないと思った。りそなのガバナンス体制があのようなものでなければ、おそらく断っただろうと思う。りそなが今後どうなるかが最大の問題で、1兆9千億円強の資本注入は大きく、今後の経営にとって重要な資金となる。金融専門家やクレジット業界の社長、トヨタの監査役など、様々な社外取締役が今までの経験による経営の知恵を持ち込むことで、金融界にいると気づかないようなバンク・ビジネスを盛り上げていきたい。本当の意味で、りそなが今どのような状態にあるのか、中小企業の8割の貸出先がどういう状態であるのか、そして企業再生の可能性はそこにかかっていると思う。デフレ経済は簡単によくなるものではないので、デフレ経済下で自己資本比率を著しく下げたりそなが合計3兆円近い公的資金によって再建されるのだから、真剣にデフレ経済下での金融業のあり方を模索したい。仮にりそなを再生できれば、日本のコーポレート・ガバナンスや株式会社のあり方の方向性が決まるだろうし、金融専門家以外の知恵の出し合いにより新しい日本の金融業界のあり方やビジネス・モデルを確立できれば、すばらしい試金石になると受け止めている。私が花王で培ったノウハウを生かし、今までの金融のノウハウにとらわれずに改革に取り組んでいきたい。

北城: 独立取締役というのは、それぞれの多様な経験を生かし、執行幹部として経営を行っている銀行経営者に対する評価・方針付けをしていくものである。金融に詳しい人だけが参加すればいいわけでなく、多様な株主や社会の意見の代表者が経営に参加することが、バランスのとれた経営の意思決定に役立つと思う。(りそなの)独立取締役が過半数ということは、過去とは違った経営判断をすることの意思決定を支援する要素もあると思う。

渡辺: 新聞でしばしば金融庁の行政指導が強すぎると言われる。(りそなの件は)資金こそ国から預かっているが、独立した市場経済でりそなが再生するため、経営そのものは国の一本的な方針の押し付けや強度の政治干渉を遮断するシステムになっているはずである。

北城: そうなることを期待している。

Q: 多様な人材が集まる中で、銀行の外側からガバナンスを進めるうえで共通の軸を持つとすると、外から見える何らかの数値というものがわかりやすいと考えるが、どうお考えか。

渡辺: その通りだと思う。今度の(公的資金を)入れるか入れないかは、税効果の認識の違いも含めて4%という基準を割るか否かにあった。今後も数値で見ることはすると思うが、あまりに数値にこだわって瀬戸際で勝負すると、持続的・安定的な銀行経営はできないと思う。その意味で、今回の思い切った公的資金の投入は、経営の持続的クリエーションに取り組む上で意味がある。毎年の決算期に、税効果の認識しだいで経営がひっくり返る数値では問題があるが、経営をやる以上は、基本的数値の設定がなくては、誰も企業価値評価ができなくなってしまう。小林前代表幹事が提言したCSRも含め、経営はできる限りわかりやすく、かつ達成可能な数値を持ってコミットしていくことになると思う。

以上

(文責:事務局)


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